穂乃果がスクールアイドルをやろうと言った時、海未が消えた。いや、正確にはいなかったが正しいだろう。
「あれっ?」
「海未は?」
なんとなく想像がつく。海未は穂乃果の言うことを察知して逃げたのだろう。まあ、そこまで穂乃果の行動が予想できたのなら、穂乃果が逃がすことがないのも予想できるだろう。何故走って逃げない。案の定
「海未ちゃん!まだ話おわってないよぉ〜」
「私はちょっと用事が...」
いや、海未。その言い訳は苦しいぞ。
「いい方法思いついたんだから聞いてよぉ〜」
「・・・はぁ、私達でスクールアイドルをやるとか言いだすつもりでしょ?」
「おぉー、海未ちゃんエスパー!?」
「誰だって想像がつきます!」
まあ、そうだろう。逆にこれで気づかない方がおかしい。それにエスパーというものは希先輩が1番近いだろ。スピリチュアルパワーでほとんど言い当てるし…
「だって、こんなに可愛いんだよ!キラキラしてるんだよ!」
「そんなことで本当に生徒が集まると思いますか?」
「それは...人気がでなきゃだけど...」
「その雑誌にでてる人たちはプロと同じくらい努力し、真剣にやってきた人たちです。穂乃果のように好奇心だけで始めてもうまくいくはずないでしょう!」
穂乃果が何も言い返せないとそのまま
「はっきり言いますアイドルはなしです!」
と海未はいい、立ち去っていった。
「もう〜、海未ちゃんは・・・・・・
ことりちゃんはやってくれるよね?義政くんは手伝ってくれるよね?」
うお、いきなり俺達に質問してくるか。う〜ん、確かにスクールアイドルに目をつけたのはいい考えだと思うし、俺も昨日は3人がやれば可愛いと思ったけど、海未の言うことも正しいしな。何よりスクールアイドルをやって失敗して傷つくことり、穂乃果、海未を俺は見守れるのか?いくら考えても答えは出てこない。すると
「少し考えさせてもらってもいいかな?」
とことりが言った。きっとことりも同じことを考えてたんだろう。
「俺もだ。別にスクールアイドルに否定的なわけではないが、色々と考えることもあるしな」
「うん、分かったよ」
そうして1度その話は終わった。
放課後
俺は生徒会の仕事に必要な本を図書室に取りにいってた。ことりも穂乃果も海未も俺のことを置いてどこかに行ってしまうんだもん。正直悲しい...
そんな時、音楽室からピアノの音色が聞こえた。とてもいい曲だ。そんなことを思いながら俺の足は音楽室に向かっていった。
音楽室につくと中で赤い髪のショートカットの女子がピアノを弾いていた。その子がピアノを弾き終わると俺は拍手をしていた。
「ヴェェー!?」
あれ?俺変なことしたっけ?何か奇声あげて驚いてるんだけど。
「すごい、いい曲だったよ」
と、とりあえず声をかけた。すると
「あ、当たり前でしょ。私を誰だと思ってるの?」
「すまん、誰だかは分からん。あとさっきなんで奇声あげて驚いたんだ?」
そう答えると、その子は少し表情を落としたように見えた。そして
「私は西木野真姫よ。よろしくね先輩。あと驚いたのは今日の昼間にきたサイドテールの先輩と同じ反応をしてたから」
それだけ聞いて誰がここに来たのか分かった。てか俺、穂乃果と同じ反応してたのか。
「ああ、よろしくな。あと、俺学年とか言ってないのになんで先輩だと分かったんだ?」
「ヴェェー、それはその、ネクタイ、そうネクタイの色よ!」
「すごい観察力あるんだな。西木野」
そう言うと何故か西木野は得意気な顔で
「ええ、そうでしょ」
と言った。感情表現が豊かだな。
「あっ、そうだ、俺は岡田義政だ。呼び方は何でもいいからな」
「そう、じゃあ義政先輩って呼ばせてもらうわよ」
「ああ、いいぜ、西木野」
「それで義政先輩、もう1曲聞いてく?」
「ああって言いたいけど、今から図書室に本を借りにいくから、また今度聞かせてくれよな」
「そう、じゃあまたね。義政先輩」
と西木野は妖艶な笑みで言った。
「あ、ああ、またな」
となんとか返事をして、俺は音楽室から図書室へと向かった。
side真姫
始めてあの人が入ってきた時には驚いたけど、昔と、全く変わってなかったわね。義政は。最初は同一人物か、疑ったけど話してるうちに本物だと確信したわ。まあ、私のことを忘れてたのはショックだったけど...
いずれ思い出させて、また真姫って呼ばせるんだから。その時まであの約束はお楽しみね。
sideout
図書室に着いた。必要な本を借りるため、カウンターに行き、本を借りた。すると下から音楽が聞こえてくる。それもA‐RISEの曲だ。窓から下を覗き込んで見ると、穂乃果が踊っていた。A‐RISEなどの全国のスクールアイドルのダンスと比較できないほどの初々しいダンスだ。だから見向きされない?いや、穂乃果のダンスには何か惹き付けられるものがあった。そう、あのA‐RISEにもない何かがだ。俺はそれを見て、決心した。スクールアイドルを手伝おうと。
下に降りて、穂乃果がいた場所に向かった。角を曲がると海未が穂乃果に手を差し伸べてる。そしてそれを微笑んで見ていることりがいた。
「ことり何があったんだ?」
「えへへ、とってもいいことだよ〜」
「そうか、良かったな」
「うん!」
何があったかはことりの反応を見ればだいたい分かった。
「それじゃあ、ことりもスクールアイドルやるのか?」
「うん、穂乃果ちゃんも海未ちゃんもやるんだもん」
「そうか」
「義政くん、ことりたちのこと手伝ってくれますか?」
やばい、ことりが俺のことを頼ってくれてる。それだけで嬉しい。
「ああ、当たり前だろ!」
「ありがとう!」
「あっ、ことりちゃん、義政くんも」
「穂乃果ちゃん、ことりもスクールアイドルやるよ」
「ホントォ〜、ありがとうことりちゃん」
「それで私もことりもやるんですから、義政も手伝ってくれますよね?」
「あの〜、海未さん、後ろに修羅が見えるのですが…
まあ、いいか。さっきことりにも言ったけど手伝うよ」
「本当っ!じゃあ早速部活申請に行こう!」
そうして生徒会室にやってきた。
「・・・これは?」
あれ?絵里先輩、不機嫌じゃね?
「アイドル部、新設の申請書です!」
「それは見れば分かります」
「じゃあ認めて頂けますよね!」
「いいえ、部活は同好会でも最低5人は必要になるの。なんで義政がいるのに分からないのかしら?」
・・・あ、やべ、確かに部活の設立には5人以上必要だった。
「ですが、校内n「海未〜」なんですか!?義政」
「話遮るようで悪いけど、今5人以下の部も設立時は5人以上いたから、何言っても無駄だぞ」
「そうですか...」
するとここまで黙ってた希先輩が口を開く。
「あと1人やね」
うん、あと1人だね。ことり、穂乃果、海未、俺で...
「あっ、やべ!!」
「どうしたの?義政くん」
「いっ、いや、何でもない。ただ生徒会の書類やってなかったことを思い出しただけだから」
「そう...」
辛うじて嘘をついた。実際、書類もやばいけど、俺、にこ先輩のアイドル研究部に、強制入部させられてんだった。それをどうにかしないとな...
「あと1人。分かりました、行こう」
と穂乃果は生徒会室をあとにしようとする。それを
「待ちなさい」
と絵里先輩が食い止めた。
「どうしてこの時期にアイドル部を始めるの?あなた達2年生でしょう?」
「・・・廃校を何とか阻止したくて、スクールアイドルって今すっごく人気があるんですよ!だから」
「だったら例え5人集めてきても認めるわけにはいかないわね」
「どうして?」
「部活は生徒を集めるためにやるものじゃない。思いつきで行動したところで状況は変えられないわ。変なこと考えないで残りの2年自分のために何をするべきか、よく考えるべきよ」
と絵里先輩は申請書を突き返してきた。
「・・・戻ろう」
穂乃果は何も言い返さず、生徒会室をでてった。
「義政くん、行こ」
とことりが声をかけてくるが
「いや、ことり。俺はやることあるから先に戻っててくれ」
と言いことりのことを戻らせた。そして
「絵里先輩、なんで穂乃果にあんな言い方したんですか?」
「・・・えっ?」
「確かに思いつきかもしれませんが、穂乃果の廃校を阻止したいという気持ちは、絵里先輩と同じはずですよね?なのにあんな言い方はきついと思うんですが」
「だからよ」
「えっ?!」
「私も廃校を阻止したい。その気持ちは同じだわ。でも彼女たちがスクールアイドルで失敗して、スクールアイドルをやめたら学校にとって大きなマイナスになるからよ」
「本当にそう思ってるんですか?」
「ええ」
「んじゃ、今はそういうことにしときます」
「今は?変な言い方ね。私の決心は変わらないのに。それよりも、私はあなたが彼女たちを手伝う理由を知りたいわ」
「それは、答えてもいいけど笑いませんか?」
「そんなにおかしい理由なの?」
「まあ、多分」
「うちは笑わんよ」
希先輩、そういう時にだけ何故顔を突っ込んでくるんだろう?しかも悪い笑みを浮かべてるし…
「ええ、私も笑わないわ」
「まず、穂乃果のおかげですかね。穂乃果の言い出すことは無茶が多いけど、それをやって後悔したことなんて1度もないので」
「だから今回も手伝おうと?」
「ええ、もうひとつありますけど」
「それは何やん?」
「まあ、こっちが笑われるやつなんですけどね。・・・・・・なんで」
それを言うと、生徒会室に笑い声が響いた。
「まさか、義政がそんな人間だったなんてね」
「うちも驚きやで」
「笑わないって言ったじゃないですか...」
「ごめんなさい。でも私は義政の気持ちを知っても認めることは...」
「分かってます。それじゃあ失礼します」
と俺は生徒会室を出ていった。そしてそのままスクールアイドル部の部室へと向かった。
何か外から歌い声が聞こえる…
遂にアニメ1話完結!
誤字脱字報告、感想お待ちしております