夏休みも中盤に差し掛かったある日。μ'sの練習も終わり、その後恒例の反省会に入った。いつものように海未や絵里から今日の練習でダメだった点について指摘が出て、それぞれが言われた点を改善するためにどうするかを話し合っていた。
「1番の問題は練習時間よね」
「そうですね。ですが、この暑さですので無理はしない方がいいのでは?」
「そうよね。練習が始まる1時間前に義政が打ち水してくれてるのにこんなに暑いんじゃ」
「朝と夕方に練習するのはどう?」
おっ、穂乃果にしてはいいアイデアだな。だけど
「時間が合わない人が出てくるんじゃない?」
そう思った。
「そっかぁ〜」
「他に誰かいいアイデアはない?」
「ぶ、部室で練習するのは?」
「いいアイデアだと思うけど、1曲まるまる踊る時狭くないかしら?」
「そ、そうですね」
「待ってください。個人個人で別の練習する時は部室で全体で練習する時は屋上ならいいんじゃ?」
「そうね。そうしましょう」
「花陽。花陽のおかげでこのアイデアが出たんだ。ありがとな」
「い、いえ」
「それじゃあ、今日の練習は終わりでまた明後日から頑張りましょう」
「分かりました」
それで俺が帰ろうとした時だった。穂乃果が
「ちょっと待って義政くん。少し話があるんだけど...いい?」
と言ってきたのは。
「それで話ってなんだ?」
「実は...」
これってもしかして告白なのか?いや、しかし俺には心に決めた相手が。
「明日、ウチでバイトしない?」
・・・そんなはずないよね。
「バイト?それだったらことりや海未を誘えば良かったんじゃ?」
「2人とも予定があって手伝えないんだよ〜。それで義政くんに白羽の矢がたったわけで」
・・・あの穂乃果が白羽の矢なんていう難しい日本語を使ってるだと...明日は雪が降るんじゃ?
「お〜い、義政くん。手伝えるの?」
「あ、ああ。一応暇だし手伝えるぞ」
「ありがと。じゃあ、明日朝の5時に来てね」
えっ?朝の5時?冗談じゃなくて?てか、穂乃果もういないし...
俺が家に着くと何故かことりが家の前にいた。
「どうしたんだ?」
「穂乃果ちゃんに何言われたの?」
「えっと、明日お店を手伝って欲しいと言われただけだよ」
「本当に?」
「逆に嘘をつく理由がないだろ」
「良かった。もしも穂乃果ちゃんに告白でもされてたら流石に許せなかったよ。・・・・・・」
「最後何か言ったか?」
「何も言ってないよ。じゃあお手伝い頑張ってね」
「おう」
そうしてことりは自分の家に駆け込んでいったがなんで待ってたのか...俺には分からん。
翌日、俺は朝早くにセットした目覚ましの音により目が覚めた。そして朝食を食べ穂乃果の家に向かった。
穂乃果の家に着くと穂乃果母が出迎えてくれた。
「いらっしゃい義政くん。今日はありがとね」
「いや、たまに手伝ってますし平気ですよ。それで俺は何すればいいんですか?」
「和菓子作りを手伝って欲しいんだけど...」
「分かりました」
「じゃあ着替えてきてね。はい」
と服を渡された。
「着替える場所は?」
「あっ、リビング使っていいわよ」
「分かりました。ところで穂乃果は?もう厨房にいるんですか?」
「えっとね、さっき起きて大急ぎで着替えてるの」
「ああ、なるほど。じゃあ着替えたら厨房行きますんで」
リビングでちょうど服を脱いだ時ド、ド、ドと階段を駆け下りる音が聞こえた。そして
「お母さーん」
と穂乃果がリビングに入ってきた。俺が着替えてる最中の。
「キャッ、って義政くん?な、なんでパンツしか、は、履いてないの?」
やべぇ、俺捕まっちゃうかも。全国ニュースものだよ。『スクールアイドルの闇!メンバー宅にマネージャー侵入。服を脱いでいた模様』
なんて報道されるかも。
「ち、違うんだ。和菓子作り手伝うために着替えてただけだから。頼むから見逃してくれ」
「そ、そうなんだ。じゃあ、私先に厨房行ってるから」
と穂乃果は厨房に向かったがあれは絶対に引かれてた。
着替えも終わり厨房に向かうと既に穂乃果と穂乃果父と穂乃果母が和菓子を作っていた。
「着替え終わったので何すればいいですか?」
「生地作ってくれない?」
「分かりました」
そうして俺は生地を作り始めた。穂乃果と一緒にだ。すごい気まずい。生地の形を整えるのは穂乃果のため、俺は生地を作り穂乃果に無言で渡す作業だった。それが2時間ひたすら繰り返された。まあ、俺も生地の形を整えるのは少しずつやってたけど。
「穂乃果、そろそろこっち手伝って」
「は〜い。あっ、義政くん。もっと優しく生地をこねてね。じゃないと穂むらの味にならないから」
「わ、分かった」
それだけ言い穂乃果は仕上げの方へと行った。いつもより生地を作る時力が入ってたようだ。理由は分かってるが...それにしても穂乃果はすごいな。僅かな違い気づいたんだから。さすがは和菓子屋の看板娘と言うべきか。てか、穂乃果にいつ謝ればいいんだ...
それからさらに時間が経ち、穂乃果母は店番にでて、穂乃果父は材料の買い出しに行くことになったため厨房にいるのは俺と穂乃果だけになった。しばらくの間無言の作業が続き
「材料も無くなってきたし、1度休憩にしよう」
と穂乃果が言った。
「分かった」
うん、分かってたことだけど会話が続かない。本当にこの空気どうすればいいの?
「義政くん、さっきのことは気にしてないからね」
そんなこと思ってたらいきなりこの空気作った元凶について話し出したよこの人は。
「そんなこと言われても俺の中じゃ申し訳なさでいっぱいなんだけど...」
「大丈夫だよ。私頭悪いからすぐ忘れちゃうし」
ああ、穂乃果は自分のことを蔑んでまで俺のことをフォローしてくれてるんだな。これ以上穂乃果に自分のことを蔑ませる訳にはいかないし、俺もこのことについては気にしないでいくか。
「・・・ありがとな穂乃果。おかげで元気がでた!」
「それならいいけど...」
「このあとは何すればいい?」
「う〜ん、材料が来るまで待機かな」
「分かった。あと生地の件もありがとう」
「あれは義政くんが私に渡してくる生地が固かったから言っただけだよ」
「はー、やっぱり分かるもんなのか?生地の質っていうやつ」
「う〜ん、なんて言うか感覚的に?前、義政くんが作った生地と比べても固かったし...」
「俺としては普通に作ってたつもりだけどな」
「そっか〜、でも私が生地について言ってからはちょうど良かったけど?」
「じゃあ穂乃果が天才ということでいいんじゃないか?いよ!穂むらの看板娘!!」
「もぉ〜、恥ずかしいこと言わないでよ」
「いや、ただ単にそう思ったから言っただけだ」
「ふ〜ん。そうだ!義政くんが作るのを失敗した生地があるはずだからそれをほむまんと同じように作って、ほむまんと食べ比べてみようよ!そうすれば義政くんにも違いがわかると思うよ」
「いいけど材料は?」
「ちょっとだけなら材料余ってるから。用意だけしといて。ほむまん貰ってくるから」
「いや、お金は払うよ!」
それから穂乃果がほむまんを持ってきて(後できちんとお金は払いました)俺の失敗した生地でほむまんを作り始めた。てか、穂乃果さん、作るの早くないですか?手際が良すぎるんですが...俺が作るとしたらまだ1つも作れてません。
「すごいな穂乃果」
「えっ?」
「いや、こんなに早く和菓子を作れるのがすごいと思って」
「別にこれくらい普通だよ〜」
「こうして話してる最中にも作れてる人に普通と言われても...」
「海未ちゃんだって私と同じくらいのペースで作れるよ」
「いや、そうだけどさ。形が崩れるじゃん。海未が穂乃果と同じペースで作ったら。ペース落とせばきちんとしてるけど」
「それは仕方ないよ。こういうのは慣れだもん」
「俺にはできる気がしないのだが...」
「じゃあやってみる?」
「はあ?」
「だからやってみる?私たちしか食べないんだし」
「じゃあやってみるか」
そこから穂乃果の和菓子作り講座が始まった。うん、見てるだけだと簡単そうだけどやってみるとすごい難しいわ。しかもこれを穂乃果と同じペースとか相当修行しないとできないんじゃないか?うん、やってみて分かったことはまず1番に穂乃果はすごいってことだな。そして俺にも多少は才能というものがあったことか。穂乃果に比べたら遅いが形もちょうどいいように作れるようになったからな。
「すごいよ義政くん。これならお店に出しても文句ないよ」
「それは言い過ぎだろ」
「大丈夫だって。お母さーん」
「何かしら?」
「ちょっとこっち来て〜」
「分かったわ。雪穂少しだけ店番お願いね」
いや、なんで穂乃果母が来るんだよ。俺たちだけってさっき穂乃果が言ってたじゃん。
「これが義政くんの作ったやつだけど、お店に出せるよね?」
「う〜ん、そうね。これならとりあえず文句は言われないと思うわ。でも、生地がダメじゃない?」
・・・穂乃果母も化け物だったか。なんで見ただけで分かるの?普通無理じゃね?
「まあ、義政くんの失敗した生地で作ったからね」
「それならきちんとした生地で作ればお店にも出せるわね。あっ、お父さんも帰ってきたしテストしてもらいましょうか」
・・・なんでこんな話になってるの?
場面は変わり穂乃果父が穂乃果と穂乃果母から事情を聞き、俺のテストをすることになった。と言っても俺が作れるのはほむまんだけなのでほむまんを作り穂乃果父が認めれば正式に俺の作るほむまんがお店に出されるわけだ。うん、なんでこうなった?
まあ、仕方ないのでただいま生地からほむまんを作ってる。テストと言われて手を抜く俺ではない。どんなテストも優秀な成績を収めてきた身としてはこのテストも合格しなければ。そんなわけで俺は本気でほむまんを作っていた。そしてほむまんを4つ作り終わり、穂乃果と雪穂、穂乃果父と穂乃果母に出した。てか、雪穂。店番はどうした?
そして俺の作ったほむまんがそれぞれの口に運ばれた。まず最初に口を開いたのは穂乃果だった。
「うん、美味しいよ!これなら普通にお店に出せるよ!」
「そうだねお姉ちゃん。お姉ちゃんの作るのよりも美味しいかも」
「雪穂ぉ?」
「冗談だよぉ」
なんか姉妹漫才やってるんだが...問題は親2人だな。
「うん、美味しい。問題ないわね」
おっ、穂乃果母からはOKがでたぞ。あとは
「・・・」
すごい緊張してきたんだが...なんで何も言わないんだ?まさかダメなのか...
「・・・」
頼むから何か言ってくれ。
「どう?」
穂乃果母の助け舟がでた。
「・・・」
グッ!と穂乃果父は無言のまま手を前に突き出した。
「合格でいいのね?」
穂乃果父は無言で頷き
「・・・」
穂乃果母に何か耳打ちをして、再び和菓子を作り始めた。すると穂乃果母が
「じゃあ穂乃果と雪穂。店番お願いね。義政くんはここでほむまん作り頑張って」
「「はーい」」
「えっ、分かりました」
そうして穂乃果と雪穂は店番にいき、厨房には俺と穂乃果父と穂乃果母が残った。何この状況?とりあえず、ほむまんを作るため生地を作ってると
「生地は私がやるから仕上げの方だけお願い」
穂乃果母が言ってきた。
「分かりました」
俺はそのまま穂乃果父の隣に行きほむまんを作り始めた。しばらくの間この体制で作業が進んでいった。すると穂乃果父が突然
「義政くん、穂乃果のことどう思っているんだ?」
と聞いてきた。俺は驚いた。まず何よりも穂乃果父が話すところを穂乃果の話でしか聞いたことがなかったからだ。
「突然なんなんですか?」
「いや、気になってな」
うん、話す時間は最小限だな。話に聞いてた通りだ。
「まあ、いいですけど。最高の友達ですかね」
「それだけか?」
「まさか。本当に俺と友達でいいのかって思うぐらい明るくて可愛い女の子ですよ」
「・・・そうか」
それで俺と穂乃果父の話は終わったが穂乃果父は何が言いたかったのか。
それからあっという間に時間が過ぎ既に午後の3時頃になっていた。ちなみに今は穂乃果と一緒に店番をしている。
「お客さん来ないね〜」
「それをお前が言うのか?」
「だって本当に来ないんだもん」
「ノーコメントで」
「はぁ、暇だなぁ」
「俺に何かして欲しいのか?店番中だからやれることは少ないが」
「しりとりやろうよ」
「なんでだよ」
「暇だから?」
「疑問形はやめろ」
「じゃあ何するのぉ〜」
「いいから少し静かにしろよ。そのうちお客さん来るから」
「なんか義政くんが私の立ち位置にいる気がする」
「確かにな」
ガララと扉が開いた。まだ小学生ぐらいの子がお母さんに連れられて入ってきた。
「ほらな。お客さん来ただろ」
「そうだね〜」
なんか反応が薄いが気にしてはいけない。すると女の子が穂乃果に
「お姉さんたちは恋人同士ずら?」
と聞いていた。ずらって何?
「えっ、違うよ。あの人はね夏休みなのに遊ぶ人がいなくてバイトしかやることのない可哀想な人なの」
「教えてくれてありがとずら。可哀想な人もバイト頑張るずら」
とその子はほむまんを買って帰っていった。
「あの子可愛かったね。ずらってどこの方言だろう?」
「ああ、可愛かったな。それよりも誰が可哀想な人だって?」
「あ〜、ごめんね」
と穂乃果は調子に乗ったような顔で謝ってきた。うん、可愛いから許せます。
「次からはもう少しまともな紹介してくれよ」
「うん!」
それからもたくさんのお客さんが来てあっという間に日がくれた。
「今日はありがとね」
「いえいえ、また今度も手伝いますよ」
「じゃあ、ウチでバイトしない?」
「いや、今日したんですが?」
「そうじゃなくて正式に」
「そういう事ですか。流石にそれはできませんね」
「なんで?」
「今、俺はμ'sのマネージャーをやっているんで。バイトとかはできませんよ。今は何よりもμ'sが優先事項ですから。なあ、穂乃果」
「うん!義政くんにバイトはして欲しいけどμ'sが優先だもんね」
「そういうわけなんで練習がない日くらいは手伝えるんで。その時は是非言ってください」
「分かったわ。あっ、今日のバイト代これでいい?」
「いや、いりませんよ。お昼ご飯ご馳走になりましたし」
「そう?ならほむまん持ち帰ってみんなで食べてね」
「分かりました。ほむまん頂きますね」
「じゃあ気をつけて帰るのよ」
「分かりました」
「あっ、送ってくよ」
「別にいいよ。こんなに遅い時間に穂乃果を出歩かせる訳にはいかないし」
「それは義政くんも一緒だよ」
「全然違うだろ。穂乃果みたいな可愛い子を夜1人で歩かさせれる訳ねえだろ」
「・・・えっ?」
「そういうわけだから帰るな」
俺は駆け足で家に向かった。
翌日俺が部室に入ろうとすると中で話し声が聞こえた。どうやら穂乃果が昨日のことを話してるらしい。
「それで義政くんが私に可愛い子って言ってくれたんだぁ〜」
「まあ、当然じゃない?夜だったんでしょ」
穂乃果さん、できればその話はしないで欲しかったなあ。俺がこのあと部室に入る勇気がなくなっちゃうよ。まあ、入るしかないんだろうけど。部室に入ると
「あっ、義政くん。昨日はありがとね」
「おう」
「それでお願いがあるんだけど」
「またか?」
「うん、また来週も手伝ってくれない?今度は海未ちゃんとことりちゃんもいるから、昨日よりは楽だと思うよ」
「りょーかい」
うん。俺の夏休みはμ'sのマネージャー6割宿題3割穂むらでのバイト1割の夏休みになりそうだな。
スクフェス感謝祭楽しみです。
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