「未来から来たってどういうことだ?」
突然現れたスクールアイドルAqoursは自分たちがμ'sを救うため未来から来たと言っているのだが、未来から来たということが信じられなかった。
「千歌ちゃんの言ってる通りです」
「私たちの時代?ではμ'sは伝説のスクールアイドルなのです」
「はあ」
「それでルビィたちはμ'sに憧れてスクールアイドルを始めたんです」
「はあ」
「そして色々ありましたが、私たちはラブライブで優勝することが出来ました」
「凄いな」
「でも、学校は廃校になっちゃったんだけどね...」
「なんでだ?ラブライブで優勝できるレベルのスクールアイドルまでいるのにか?」
「はい、私たちの学校は少し田舎の方にありまして」
それを言われて分かった。人が集まらなかったのか。
「人が集まらなかったのか?」
「ええ、あと少しだったんだけどね...」
「でも、今はそのことについて話す暇もありません。問題はその後にあったんですから」
「問題?」
「ええ、精霊結界の損壊により、魔力構造が変化したのです!」
「精霊結界?魔力構造?」
「善子ちゃん?ちゃんと言うずら」
「うっ、Aqoursがラブライブに優勝してから数日後、ルビィの持ってたスクールアイドル雑誌が消えたのよ」
「要するになくなったのか?」
「いいえ、消えたんです」
「違いが分からないんだが...」
「スクールアイドル雑誌を買った時のレシートが白紙になってたんですよ。まるでそんな雑誌はなかったかのように」
「お前って雑誌買うたびにレシート保存してるのか?」
「ち、違いますよ!ルビィたちが雑誌に掲載されるから買ったばかりだったんです」
「なるほど。それで買ったばかりの雑誌が消えていて?」
「それだけなら不思議と思うだけで良かったのですが、ラブライブで優勝した事実までもが消えていたのです」
「は?どうしてだ?」
「私たちもそう思って運営に連絡したのよ。そしたらAqoursというグループがラブライブにエントリーしてませんと言われて」
てか、この金髪の子めっちゃ発音良くね?
「エントリーしてないと...でも、同じ学校の人たちはAqoursがラブライブで優勝したって分かってるんだろ?」
「それが...」
「優勝したことが記憶からなくなってたのか?」
「それどころじゃないよ。Aqoursがなかったことになってたんだから」
「それって...」
「はい、義政さんも似たようなことがあったと思います」
「今のμ'sと同じ状況ってわけか」
「でも、Aqoursのことを唯一覚えてる人がいたんです」
「本当か?」
「はい、私たちの顧問の先生でした」
「その顧問の先生はいないのか?」
「はい、先生はこの時代に来れなかったんです。ですが、代わりに助けになってくれそうな人を教えてくれて。それが義政さんでした」
「へぇー、ところでAqoursの存在が消えたんだったら、なんでお前らのいた時代じゃなくてこの時代に来たんだ?Aqoursの存在を戻すならそっちの時代に何か問題が起きたんじゃ?」
「私たちも最初はそう思ってたんです。でも、ルビィちゃんと花丸ちゃんが本屋でAqoursの存在が消えた理由を見つけてくれたんです」
「それって」
「はい、μ'sです。どのスクールアイドル雑誌にもμ'sのμの字すら載ってなかったんです」
「私たちはμ'sに憧れてスタートしたグループです。μ'sがなければ存在しないのも有り得ると思い」
「なるほど。それでこの時代に来たと」
「はい」
「じゃあどうやってこの時代に来たんだ?どう考えても未来から過去に来るなんてありえないんだが。それともお前たちがいた時代ってとんでもない先の未来でタイムマシンが開発されたのか?」
「えっと、私たちも最初はどうすることもできなかったんですけど、女の人が助てくれたんです」
「女の人?」
「はい!その人はただ私たちにタイムマシンを渡して、μ'sを助けてと言ったんです」
「それでμ'sが記憶から消えた理由は分かったのか?」
「それは...」
「分かってないと」
「すみません...」
「まあ、助けに来てくれただけでも感謝してるよ。それでこの後はどうするんだ?」
「さあ?梨子ちゃんどうする?」
「えっ?どうするって...よ、曜ちゃんはどうすればいいと思う?」
「それ私に聞く?」
・・・本当にこれでμ'sの記憶を取り戻せるのか?
「千歌さん、ここは原因解明のためμ'sが結成された時間に行くべきですわ」
「流石です、ダイヤさん」
良かった。救いの女神はいたようだ。
「じゃあ行きますよ義政さん」
「おう・・・って、どうやって行くんだ?」
「だからタイムマシンです」
「どこにタイムマシンがあるんですか?」
「これだよ」
と果南という子は手首につけてたブレスレットを見せてきた。
「そんなもので時間を移動なんてできるのか?」
「そうだよね。最初は私たちもそう思ってたけど、実際にできちゃったんだよ」
「了解。ところでそれって俺の分もあるのか?」
「あります」
と千歌は俺にブレスレットを渡してきた。本当にこれで時間を移動できるのか?
「じゃあ行くよ!」
「ちょっ、ちょっと待て。これどうやって使うんだよ」
「ああ、それは行きたい時間帯を思い浮かべれば」
そう言った途端千歌が消えた。続くように梨子、曜が消えていき俺1人が取り残された。まあ、使い方は聞こえたから平気だけど。確かμ'sが結成された時間帯に行くんだよな。そうして俺はμ'sが結成された日の朝を思い浮かべた。
気がついたら学校にいた。それも私服でだ。てか、千歌たちがいないし。俺どうすればいいの?
少し考えてから学校から出ることにした。まあ、私服で学校にいたら変だし、この時間帯の俺に遭遇することもありそうだからな。急いで学校から抜け出し、千歌たちを探すことにした。
結論から言おう千歌たちは見つからなかった。既に放課後になっている。あと1時間ほどでμ'sが結成されるはずだ。学校に入って様子を見てみるか。俺が学校に入って向かった先は屋上だ。屋上なら誰も来ないしμ'sが結成される中庭を見るのにはちょうどいいだろう。
それから1時間が経過した。その時俺の後ろの空間が歪み、千歌たちが飛び出てきた。
「あっ、義政さん」
「お前らどこに行ってたの?」
「え?ついさっきまでUTX前で話してたじゃないですか」
「いや、話してから俺もこのブレスレットを使ってこの時間帯に来たんだけどお前たちがいなかったんだよ」
「えっと、義政さん?この時間帯の何時頃に来たのですか?」
「朝の8時くらいだけど」
「それが原因だね」
「は?」
「イエス。義政は、μ'sが結成された朝を思い浮かべたんでしょ?でも、私たちはμ'sの結成された時間だもん。それで義政が私たちを探すことになったのよ」
「なるほどな」
「あっ、穂乃果さんが踊ってる!」
「ルビィ、どこですか?」
「下だよ、お姉ちゃん!」
「本当だぁ!」
「なんで千歌たちは興奮してるんだ?」
「えっと、千歌ちゃんたちはμ'sの大ファンだからずら」
「ありがとな花丸」
それはそれとして、そろそろことりと海未、そしてこの時間帯の俺が来るはずなんだが?なんで来ないんだ?
「なんかおかしくない?」
「どうしたの?曜」
「う〜ん、私たちはこのブレスレットにμ'sが結成される時間に行きたいと思ったはずだけど未だにμ'sが結成されそうにないもん」
「はっ!もしや魔界の者たちが何かをしたのでは!?」
「善子ちゃん」
「だからヨハネ!」
「義政さん、まだμ'sは結成されないんですか?」
「いや、もうことりたちが来てるはずなんだが...」
「じゃあなんで?」
「ことりと海未を探してくる」
「あっ、義政さん。もしこの時間の義政さんに接触しそうになったらすぐに逃げてくださいね」
「分かった。お前たちはこの時間の俺を探してくれ」
「分かりました」
さて、とりあえず海未が弓道場にいるはずだから弓道場に行くか。
弓道場に着くと海未が弓を構えていた。そして矢を射て的のちょうど中央部分に当てた。
「相変わらず凄いな」
「えっ?義政?」
海未はこちらを振り向くと弓を落とした。
「おーい、弓落としてるぞ」
「本当に義政なのですか?」
「質問の意味が分からないのだが。あと、なんで泣いてるんだ?」
海未は泣いていた。
「し、死んでしまったはずではないのですか?」
・・・今、海未はなんて言った?俺が死んだ?そんなわけないだろ。このブレスレットが壊れて未来にでも来てない限り。
「何を言ってんだ?」
「だから義政は死んだはずでは!?」
「なんで俺が死んだことになってんだよ!」
「去年の夏に義政は交通事故で死んでしまったはずです」
なんでそんなことになってるの?
「へぇー、じゃあここにいる俺はなんなの?」
「幽霊なのでは?自分が死んだことに気づいてない」
「その言い方酷くね?」
「変わってませんね」
「変わってる変わってないも俺生きてるからね」
「こうしてはいられません。ことりに連絡を。あと穂乃果にも」
ああ、この人俺の話聞いてないわ。
「さあ、行きますよ」
「いや、どこに?」
「ことりのところです」
そうして俺は半強制的に海未に連れられことりの家に向かった。
「やっと着きました」
海未さん。ことりの家まで来るの速すぎませんか?俺足が限界なんですけど。海未がインターホンを鳴らし、ことりが応答した。
『はーい』
「ことりですか?早く入れてください。義政がいるんです」
『えっ?義政くんが?・・・海未ちゃん、冗談はやめてよ』
「え?」
『私が義政くんのことをどう思ってたか分かってるんでしょ!なのになんでこんな酷いことができるの?』
「ですから義政がここにいるんです。ほら、義政」
「引っ張るなよ!」
『えっ!?本当に義政くん?』
「だからお前たちは何を言ってるんだ」
『すぐに開けるね。あと海未ちゃんごめんね』
「大丈夫ですよ。ことりの気持ちは分かってますから」
その後ドアが開きことりが俺に向かって抱きついてきた。
「本当に義政くん?夢じゃないよね?」
「ことりさん?流石に昼間っから外で抱きつくのは世間的にダメなんじゃないかな〜」
「そんなの問題ないよ。義政くんがいるんだもん」
うん、何が問題ないのでしょうか?嬉しいけどさ。
「とりあえず中に入ろうぜ」
「そうだね」
そう言いことりは俺と海未をことりの部屋に招き入れた。
「ところで何故義政はここにいるのですか?」
「なんでもいいよ。義政くんが無事ならそれで」
「なんでもよくはありません。ことりも義政のお葬式に出たんですから分かるでしょ。義政が死んだって」
「死んでないよ。ここに義政くんがいて、しかも触れるんだから」
「触れる幽霊かもしれないんですよ」
「それでもいいよ。むしろ幽霊ならことりに取り憑いて欲しいな」
なんかことりが怖いんだけど
「あのさ俺が死んでるていで話すのやめてもらえる?」
「そうだよね〜。あっ、穂乃果ちゃんも呼ばないと」
ことりはメールを打ち始めた。
「ですが、義政は死んだはずです。ことりを助けて」
「いや、俺ここにいるから。って、ことりを助けて?」
「ええ、引かれそうになったことりを助けて」
まあ、それで死ねるなら本望だな。
「はあ」
「ですから義政。あなたは幽霊なのです」
「洗脳にしか聞こえないのだが?」
「そうだよ。実際に義政くんがここにいるんだから」
「そうですけど...」
「聞きたいことがあるんだがいいか?」
「うん!いいよ!」
「ええ」
「今日、穂乃果にスクールアイドルやろうって誘われなかったか?」
「「えっ?」」
「なんで知ってるの?」
「やはり幽霊なのでは?」
「なんで海未はその方向に持ってたがるんだよ!それで言われたんだよな?」
「うん(はい)...」
「じゃあ話は早い。2人にスクールアイドルをやって欲しい」
「うん、いいよ!ねぇ、海未ちゃん」
「はい...って、何を言っているのですか!?今朝はことりもやらないと言っていたはずでは?」
「だって、義政くんのお願いだよ」
「そうですか...では義政、何故私たちにスクールアイドルをやって欲しいのですか?」
「そ、それは...」
やばい。どう答えればいいんだ?この状況下で未来から来たなんて言っても信じてくれないだろうし。悩んだ末に俺が出した答えはこの時間帯の俺を利用することだった。
「なんて言うか、ことりも海未も穂乃果にもずっと笑っててほしいんだ」
「「えっ?」」
「2人とも俺が死んでから本気で楽しいと思ったことあるか?」
このわずかな時間でも2人が本気で楽しいと思ってることは感じていた。
「私はないかな」
「ことり?」
「どんなに楽しい時にも義政くんがいたらって思っちゃって」
「私もそうですが...」
「だろ。でも、俺はことりにも海未にも心から楽しいと思って欲しいんだ」
「だからスクールアイドルをやれと?」
「ああ。絶対に楽しめるからな。辛いことがあっても最終的には楽しめる。俺はそう思ってるからスクールアイドルをやって欲しいんだ」
「義政...」
「2人とも頼めるか?」
「私は最初からやるって言ったよ?あとは海未ちゃんだけ」
「続かないかもしれませんよ」
「続くさ」
「何故言いきれるのですか?」
「スクールアイドルをやろうって言ったのは穂乃果だろ?」
「そうだよ」
「さっきな穂乃果が中庭でダンスの練習をしてたんだ。まあ、失敗しまくりだったけどな」
そう言うとことりと海未は複雑そうな顔をした。
「だけど練習をやめる気はなかったぞ。今からでも見てこいよ」
そう言うと海未はいち早く部屋を出ていった。
「ことりは行かないのか?」
「行くよ!でも、義政くんがいなくなっちゃう気がして...」
そうか。ことりは俺がいなくなるのが嫌なのか。でも、この世界の俺は死んでいるからここで俺がことりを穂乃果の前に連れてく訳には行かないしな。
「そうだな」
「じゃあ私は」
「スクールアイドルやってくれるんだろ?」
「そうだけど...」
「なら行ってくれ。俺はそのためにここに来たんだから」
「・・・分かったよ」
「ありがとな、ことり」
「うん!でも、義政くんにお礼を言われる権利は私にはないよ」
「なんでだ?」
「だって義政くんのおかげで私は生きてるんだから。実際にお礼を言うのは私。義政くん、私を助けてくれてありがとね」
そう言ってことりは部屋を出ていった。
俺はことりが部屋を出てからすぐにことりの家を後にして音ノ木坂に向かっていた。これでこの時間帯ではμ'sは存在することになる。あとは俺が生きてる時間帯のμ'sを作れればいいだけだ。そんなことを思っていた時だった。突然話しかけられたのは。
「ねえ」
その声は俺がよく知る声をより大人びた感じにしたものだった。まあ、気のせいだろうと思い返事をした。
「何か用ですか?」
「うん、すごい大事な用だよ!」
その話し方は俺のよく知る人にそっくりだ。だがそんなはずはない。俺に話しかけてきた人は彼女とは髪型も違い、何よりも彼女は今音ノ木坂学院にいるはずだからだ。
「それでその大事な用ってなんですか?」
「う〜ん、単刀直入に聞くね。なんで私の邪魔をするの?」
どういう事だ?別に通行の邪魔をしてるわけでもないし、この人の邪魔をした覚えもないぞ。
「なんのことですか?」
「あ〜、分からないか〜。じゃあ言い方を変えるね。なんでμ'sの存在を消す邪魔をするの?」
こいつは何を言ってるんだ?μ'sの存在を消す?俺の時代でμ'sが無くなっていたのも、この時間帯でμ'sが作られなさそうになってたのもこいつのせいなのか?
「あんたが俺の時代でもこの時間帯でもμ'sの存在を消した元凶なのか?」
「そうだよ。それで私の質問に答えてくれる?」
「俺にとってμ'sが大切だからだ!」
「へぇ〜、どのくらい?別にμ'sのメンバーでもなかったよね?」
「1番にだよ!それと俺はμ'sのメンバーではないけどμ'sのマネージャーをやってんだ!」
「μ'sのマネージャー?もしかして君は私とは違う世界の人かな?まあ、そんな質問しても分からないか。とりあえず私は全ての時間帯からμ'sの存在を消すことにしたの。邪魔しないでね。マネージャーくん」
「そんなことお前に指図される必要はないと思うが?あと俺の名前は義政だ」
「あるよ。だって私がμ'sを始めたんだもん」
「は?」
「私のこと分からないの?義政くん?」
俺の名前を言われた途端俺はこいつが誰か分かった。いや、最初に声を聞いた時からそんな気はしてた。だが俺がそれを否定してたんだ。
「ほ、穂乃果なのか?」
「うん!そうだよ!」
ありえない。穂乃果がμ'sの存在を消そうとするなんて。今、俺の前にいる穂乃果は確かに俺の知ってる穂乃果とは違い、大人になってる。だが、それでも穂乃果がμ'sの存在を消すなんてありえないはずだ。穂乃果がμ'sを大切に思ってることは知ってるから。
「なんでμ'sの存在を消そうとするんだ?」
「それは言えないよ。でも、私の邪魔をするのは将来、絶対に不幸になるから邪魔しないでね」
そう言って穂乃果は消えた。恐らく俺と同じようにタイムブレスレットを使い時間を移動したんだろう。だけど不幸になるってなんなんだ?
「あっ、義政さん!」
「千歌か。どうしたんだ?」
「それが突然みんなが消えちゃって」
「Aqoursのみんながか?」
「はい。それで義政さんを探してたんです」
そう千歌が言った時、千歌が消えた。元々そこには誰もいなかったように。
書くのにすごい時間がかかった。
誤字脱字報告、感想お待ちしております。
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