僕と騎士と武器召喚   作:ウェスト3世

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黒い剣

 王都では人々の声で騒がしい。とても落ち着きがないと言うのだろうか。

 それもその筈。一つは『黒尽くめの男』による国家騎士襲撃。国を代表する騎士が簡単にやられたのだ。そんな相手に自分たちのような一般騎士がかなう筈がないという負の感情を抱いていた。

 二つ目の理由として、ある男の知らせによれば、今現在、『黒尽くめの男』と第二国家騎士の霧島翔子と第三国家騎士の木下優子が黒尽くめと交戦中らしい。この二人がやられれば、国家騎士は全滅となる。そうなれば確実にフミヅキの勢力は衰える。そうならないよう、人々は二人に賭けるしかなかった。

 そんな不安の中、さらに不安の要因を引き出す物が現れる…。

 上を見上げると、交戦してる場から黒い光が見える。いや、光と言うには禍々しい。光と言うよりは闘気…。その禍々しい黒い闘気が天にまで響いている。

「な、なんだアレ…?」

「黒い…。」

 天にまで響くその黒い闘気はその闘気を囲むように雨雲の渦が出来ている。酷く不気味である。

 そして、王宮からもその黒い闘気ははっきりと映し出していた。

「なんだい、アレは…」

 カヲール二世は眉をひそめる。一体何が起きてるのかが全く理解できない。何が起きてるのかが分かるのはおそらくあの場にいる者だけだ。

 あの黒い闘気中心に空の色が邪悪なものへと変わっているようだった…。しばらく眉をひそめていたカヲール二世は、

「アレはまさか…!」

 何かに気付いたようだった。

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――

 

「何だよ、その剣は…」

 根本の顔に初めて恐怖に近い表情があらわれる。明久の召喚した黒い剣からでる黒い闘気は見る者からしたらゾッとするものだった。

「よ、吉井君」

 優子も同じような気持ちだった。この闘気を見るとまるで明久じゃない、別人なのではないかと疑ってしまいたくなる。しかし、その気持ちはすぐに消えた。

「…木下さん…」

 突然呼びかけられ、優子はビクッと体を震わせる。優子は恐る恐る明久の顔に目を向ける。しかし、彼はいつも通りの優しげの表情だった。

 その表情を見て優子は少し安心する。

「木下さん、すぐ終わらせるからそこで待ってて。必ず終わらせるから。そして一緒に帰ろう。」

 明久はニコリ微笑む。

 そのとき、優子に何か強い感情が芽生える。どこか恋しいと思えるほど強い思い。そして優しく温かい。それが何故かたまらなく嬉しかった。

 しばらくして優子は「うん」と頷いた。そして、明久は根本の方に向き直る。

「決着をつけるぞ、根本…!」

「…三下が…!」

 二人の足は同時に動き出す。そして、根本のアルマッスと明久の黒い剣が激しくぶつかる。

 二つの剣がぶつかり、周りの地面には少しだが亀裂が入っていた。それほど凄まじい剣圧だったということだ。

 その状態から明久は足を蹴り上げ、空中に舞う。そこから黒い剣を根本に叩きつける。当然、根本もそれをアルマッスで防ぐが…。

「ぐ…お…ッ」

 明久の一撃は重たかった。先程まで使ってた脆い西洋剣とは違い、太く重みがあった。そして何よりも黒い剣から発せられるこの黒い闘気が一撃をさらに強力にさせている。

 そして、黒い剣が徐々に押してき、根本の防御も限界になり、一端、明久から距離をとった。このままでは力負けしてしまうからだ。

 恐らく一撃の威力はアルマッスよりも黒い剣の方が重たい。そこで、根本は一撃を特化した攻撃じゃなく速攻性のある攻撃を選ぶ。

「……き、消えたっ!?」

 一瞬で根本の姿が消える。

(もらった…!)

 既に根本の剣は明久を貫こうとしていた。明久はようやく根本の気配に気づくが、もう遅い。明久と根本の剣の距離は零距離に近い状態だった。

「うおおおおおおおおおおおおおッ。」

 すると、黒い闘気がジェットエンジンかのように炎を噴きだすかのように逆噴射する。そのせいで、根本の剣は虚空を貫いた。剣を貫いたはずの明久は遠くにいた。

「ば、バカな…!」

 回避不可能の攻撃を躱され根本は驚かずにはいられない。

 そして、また黒い剣から闘気が噴きだす。そして、明久は剣をやや後ろに下げる。そして先ほどの原理を使い、再びジェットエンジンのような炎の逆噴射を扱う。逆噴射により明久の体は凄まじい勢いで前へダッシュする。

「は、速い…!」

 そして、黒い剣は根本を切り裂く。

「ぐああああああああああああッ!」

 先ほどは明久が悲鳴を上げてたが、今度は根本が悲鳴を上げる。立場は完全に逆転した。

 …しかし…。

「ま…だ…だ。」

 しかし、根本は踏ん張る。

 すると、アルマッスから恐ろしいほどの冷気が出現する。周りはその冷気で凍り、地面もビキビキと音を立て氷化していく。

 そして、あたり一面が氷で覆われ、さらには激しい吹雪まで吹く。明久の体も徐々に氷化されていく。だが、それは明久だけでなかった。根本も同じだった。

「…『絶対氷結』(アイス・ドシエル)…。残り五分もしない内にこの場は…イヤ、フミヅキ中が氷結される。貴様らはフミヅキの兵士はこれで終わりだ。」

 フミヅキ中凍ると聞くと大層な技だが、明らかにこの技は根本の体にも負担がかかる捨て身の技だ。明久には分からなかった。何故、彼がそうまでしてフミヅキを嫌うのかを。それに彼もこの王都の騎士である。

「どうしてそこまでしてこの町を嫌うのか僕には理解できないよ」

 明久は正直な感想を述べる。しかし、根本はフッと笑い、

「当たり前だ。オレの両親、親友はフミヅキの兵士に殺されたんだからな…。」

「…え…?」

 …どういうことだ…!?

 明久は困惑の表情を浮かべる。

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 日本は五十か国の小国に分裂していてその小国が30年前から権力を伸ばすため争い合う。その中でもフミヅキは圧倒的なほどの兵力を持っていた。その理由としてはカヲール二世が開発した『試験召喚システム』だ。仮に兵に身体能力に欠点があったとしてもその欠点は召喚する武器の点数によりカバー出来る。しかし、他の国にはそんな素晴らしいシステムはない。

 当時のフミヅキは脅威と呼べる存在だった。

 

 そして、7年前には50カ国あった小国もわずか2か国となる。一つはフミヅキ。もう一つはシワス。その2つの国が日本統一の為に争った。

 

 根本恭二は、シワスの国の出身者だった。

 彼はまだ幼かった。敵はフミヅキといことは知っていたが、戦争に狩り出される兵士と言うわけでもない。

 戦争が起きてはいるというものの、根本のいる街は特に戦争による被害もなく、皆、平和に日々を送っていた。

「なあ、知ってるか?フミヅキって国?」

「ああ、知ってる。この国と争ってる国だろ」

「なあ、今戦争だろ?この街も戦場になんのかな?」

「イヤ、ならないだろ」

 根本は親友二人とこんな会話を交わしていた。

 親友の一人は天野和夫(あまの・かずお)。坊主頭でわんぱくな感じをただ寄せる少年だ。

 そしてもう一人は桐川真子(きりかわ・まこ)。黒いショートヘアで清楚な感じの少女だ。この少女も普段よく遊ぶ友達である。

「でも、私は不安かな~。やっぱり今は戦争だし…。」

 

この頃は本当に平和だった。しかし、そんな平和もある日を境に終わりを告げた。

 

 

 ――――――――――――

 

「何だよ…これ…。」

 街は炎に包まれる。周りを見ても生きている人間がいない。赤い血を地面にこびりつけ、倒れているだけだ。その光景はまるで地獄だ。

 

 生き残ったのは彼だけ。周りが死んでいる中彼一人だけが生きている。彼はその現実に絶望した。

 

 

 

 

 

 

 





 更新少し遅くなりました。
 中途半端な終わり方してすみません。次回から根本の過去編いきます。
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