とあるカードが大活躍するだけの短編
僕は、そのカードが大好きだった。
竜を模した猛々しい造形。
見る者の目を焼き尽くすかのような赤い鱗。
ファラオが操る三幻神、その内の一つ。
けれど、
『耐性つけて出直してこい』
『せめて原作通り守備表示にも通じたなら』
『なんで強制効果なんだよ!』
『あーあまたあいつドジってる…』
扱いやすく単純に強い、OCG化当初から常に一定の評価を受けてきたオベリスクの巨神兵。
OCG化当初はその余りの弱体化から極めて不遇な扱いを受け『ライフちゅっちゅギガント』なる蔑称まで与えられていたラーの翼神竜は、最近になってOCG化された球体モードと不死鳥モードによって息を吹き返していた。
そして現在、そのカードはネタとして盛り上がる事もなく、最強の三幻神の内の一柱として持て囃されることもなく、遊戯王というカードゲーム界でも長い歴史を持つコンテンツの闇に葬り去られようとしていた。
「そんなの…嫌だっ!」
◆
「貴様…何者だ!?そのモンスターは一体なんだ!?」
「我が名は、ファラオ」
自らが設定したキャラクターに成りきって、リンクヴレインズに蔓延るハノイの騎士の内の一人を見下ろしている。
「愚かなる民衆に、神の威光を示すため…今、この地に降り立った!
さぁ!その力を今こそ解き放てッ!!!」
「オシリスの天空竜!!!」
空に浮かび上がる、巨大な竜の形をした神が鉄槌を下す。
砲声と共に迸った雷霆がリンクモンスターを焼き払った。
「ば、馬鹿な…!わ、わたしのもんすたーが、ぜんめつめつめつ…」
神の威光を前にしてマインドクラッシュ!状態となったハノイの騎士を捨て去り、僕はまた別の敵を求めて歩き始めた。
―――まだだ
―――こんなものじゃない
―――お前は、もっと凄い奴なんだ
―――そうだろ、オシリスの天空竜
「グルァァァァアアアアア!!!」
僕の心の声に応えるように吠え声を上げたオシリスの天空竜は、光の粒子となって僕のデッキへと戻った。
◆
「例え神だろうと、このカードの前には無力!底知れぬ絶望の淵へ、沈めェ!『聖なるバリア―ミラーフォース』!」
「無駄だ!神に罠は通用しない!(チェーン発動、メタバース→神縛りの塚、これによりオシリスに破壊態勢が付与)」
「何だと!?」
◆
「…いいだろう、これからはお前がハノイのリーダーだ、ファラオ。餞別だ、このカードを受け取れ」
「このカードは…!」
「…どうか頼む!我々の…父の望みを、どうか果たしてくれ…!」
「…我は唯、神の威光をこの世に示すだけだ。だが安心しろ、神と共にある我に、敗北などありえない」
◆
「お前は何故戦う、ファラオ!?」
「…唯、神の力を示すが為、だ。プレイメイカー」
◆
「やったぜ!神の力を封じてやった!いっけぇ!プレイメーカー!」
「あぁ!デコード・トーカーで、オシリスの天空竜にこうげ…」
「神を前に、その瞳を曇らせたな、プレイメイカー!」
「何!?」
「リバースカード、オープン―――!」
◆
僕は、戦い続ける。
僕が愛したカードの力を、示すために。
調べてみたら、現状(2018/04/13)、攻撃力2000オーバーでリンク2以下のモンスターってサイバーのリンクモンスターだけなんですね。
つまりオシリスが場に居るだけでリンク2以下のモンスターはほぼ全滅するという…。
これは、ミラフォに続いてオシリスの時代クルー?