禍の団の二天龍たち   作:大枝豆もやし

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今回はデート回です。


第10話

 ここは教会。既に儀式は整えられおり、いつでも行える状態だ。あとは生贄のアーシアと至高の堕天使であるレイナーレがいれば完成だ。

しかしアーシアは逃げ出しレイナーレも数週間ほど行方不明。

 このままでは儀式は行えない。仲間の堕天使は慌てていた。

 

「…ずいぶん慌てているようね」

「「レイナーレ様!?」」

 

 突然現れたレイナーレに驚く堕天使二人。

 

「ごめんね二人とも。実はとあるものを準備するためにいろいろとしてたの。ごめん」

「準備?」

「ええ準備よ。なにせここは悪魔の土地。いつ邪魔してもおかしくはないわ」

「けど、

「そんなことはないわ。だってここ、売地じゃない。もし悪魔がこの土地を買い取ったら好き勝手にできるということよ」

「「な…なんだってー!?」」

 

 二人の堕天使は焦った。

 はぐれエクソシストを用意しているが、それでも本格的に悪魔が動いたらつぶされてしまう。

 

「あら気づかなかったの?だから私はそうならないように準備してきたの」

「そ…そうなんッスか。でもそれなら言ってくれたらいいのに」

「そういうわけにもいかないのよ。危険なことにあなた達を巻き込むわけにはいかなかったからね。…それでドーナシークは死んでしまったから」

「「・・・」」

 

 二人は感激した。レイナーレ様はこれほど私たちのことを思ってくれたのかと。

 やはり至高の堕天使になるのはこの方が相応しい。そのためならば私たちは何処までついていこう。彼女たちは決意した。

 

「でね、、根回しはしたけど時間稼ぎ程度にしかならないの。だからこれを使って儀式の時間を短縮したいのよ」

 

 そういってレイナーレは怪しい機械を取り出す。

 

「これがあれば私たちの計画はより完璧になるのか!」

「そうよ。これで私たちの邪魔は出来ない。今日こそ私たちが至高の階段を登れるのよ」

「そ…そうなんスか!やったッス!レイナーレ様万歳!」

「ありがと。それじゃ、早速準備を始めるわ。まずは魔法陣の形を変えて…」

 

 レイナーレの言われたとおりに彼女の部下たちは動く。多少の変更はあったが、やること自体は変わりないので準備は数分ほどで終わった。

 

「なぁ、なんでいきなり計画が変更されたんだ?」

 

 はぐれエクソシストから不満の声が漏れる。

 当然のことだろう。今までどこに消えたかと思えば、突然戻っていきなり準備をしてきたと言われても怪しいと思うのが普通。誰だって疑う。

 

「なに人間が意見してんッスか!? お前らは私たちに従えばいいんス!」

 

 しかし、ミッテルトたちはその意見を聞かなかった。

 人間ごときが何を偉そうに意見する。お前たちはただ奴隷のように働いていればいいのだ。そういうことだ。

 

「これでやっと私たちの夢が叶うんスね!?」

「ああ。これまで頑張ってきた甲斐があった…」

 

 

 

 

 

 

「ええ。これで計画は完璧よ…」

 

 レイナーレは歪んだほほえみを顔に張り付けて言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっ。アーシア」

「・・・え?」

 

 川のほとりでアーシアが黄昏ていると、イッセーが声をかけてきた。

 

「ど…どうしてここに?」

「言ったじゃん迎えに行くってさ。まだ時期じゃないけどね。それに、君のセリフはそのまま君に返るよ」

「その…今は、お昼休みで休憩していいって言われたんです」

 

 アーシアのいうことは嘘ではない。突如レイナーレが休憩を与えると言ってこの川のほとりにまで連れて行ってくれたのだ。

 

「・・・イッセーさんにお願いがあるんです…。 私、この街のいろんな所に行きたいんです。だから…一緒に行きませんか?」

「いいよ。じゃあ、まずは美味しいものを食べに行くか」

 

 イッセーはアーシアの手を引いて店に連れて行った。

 彼が連れて行った先は喫茶店。落ち着いた雰囲気の店内の中には淡い日光が窓から照らされ、平日だからか人は疎らだった。

 二人はクラシックをBGMに、パスタを注文して頬張っている。

 

「ここのパスタ料理が美味しいんだ。ただ味だけじゃなくて目にも気を付けているんだ」

「目、ですか?お料理なのに?」

「うん。ほら見てこの盛り付けとお皿。味と香りだけじゃなくて視覚も工夫することでさらに美味しく感じさせるんだ」

「へえ~。私にはあまり違いが判りませんが…」

 

 イッセーが料理の説明をしていると、奥からマスターらしきおばちゃんがイッセーたちに近づいた。

 

「ちょっとイッセーくん、まさか平日で女を連れまわすなんて…とんだ女たらしになったわね」

「失礼な。少しのサボりは優等生の特権ですよ」

「…自分で優等生というとこがバカなんだよね~」

 

 マスターらしきおばちゃんの言葉にイッセーは少し不服そうな顔をする。

 彼の言う通り、一応イッセーは優等生として通っている。原作のように問題行為は起こさず、サボることなく学校に通っている。進学校である駒王学園でも第三位の成績を誇り、運動神経も悪くない。

実を言うと、既に博士号を取るほどの天才バカなのだが、それはまた別の機会に。

 

「あ、わかります。おしゃべりして思ってたのですけど、い…イッセーさんって頭はいいのに、す…少し変なとこありますよね!」

「あら、気づいたのね。この子かなり変わってるから、付き合うのは少し骨が折れるよ~」

「そ…そんなんじゃないんですけど・・・」

「(…あ、これ置いてけぼりにされるパターンだ)」

 

 すこし緊張してたどたどしいアーシアを気にせず、話を合わせてくれるマスター。あまり人付き合いのうまくないアーシアはつい話し込んでしまった。

 

「ところでヴァーリくんは元気?」

「死にました」

「・・・え?」

「ヴァーリは死にました」

 

 いい笑顔でイッセーは言う。

 

「あんな暴力野郎の話をすると折角美味しい御飯が台無しです」

「・・・このメニューと盛り合わせを教えてくれたのはヴァーリくんなんだけどね」

 

 彼らは食事をしながら雑談を続け、食べ終わるとイッセーがすべて払って次の店に向かった。

 

「えいや!」

 

 町の中にあるゲームセンター。アーシアはまず最初にパンチングマシーンで遊ぶことにした。

 しかしアーシアの細腕で、運動音痴の彼女にマトモなパンチなんで出せるはずもなく、出た結果はこのゲームセンター最下位だった。

 

「パンチ力2か…。ゴミだね」

「・・・」

「チン○スだね」

「二回も言わなくてもいいじゃないですか!しかもなんかひどくなってるし!」

 

 イッセーのあんまりな言葉にアーシアは文句を言う。イッセーは特に気にするでもなく、愛想笑いをうかべてただ「ごめんごめん」と謝った。

 思えば、彼女がこんな風に文句を言う光景はどれほど珍しいことか…。

 

「パンチは腰を入れなきゃ。腕の力だけじゃ格闘家でも蚊を叩く程度しか出ないよ」

「え…イッセーさん?」

 

 そういってイッセーはアーシアの後ろに回り込み、彼女の腕をとる。まるでエスコートするかのように優しく。

 もちろん決していやらしいことはしない。ここは公共の場。セクハラをするなんてもっての外だ。

 

「足腰に力を入れて踏み込んで、体重を拳にかけて殴るんだ。あと空手のように手を引きながらやるのもいい。滑車の原理でさらに威力が上がる」

「…はい」

 

 構え方と殴り方を教えながら、補助するイッセー。アーシアは彼に逆らうことなく受け入れ、的に集中した。

 

「いまだ!殴れ!」

「はい!」

 

 言われた通りのタイミングで殴る。瞬間、さっきのポスっという間抜けな音ではなく、何かが猛スピードで衝突したような音がミットから鳴った。

 音の通り、イッセーのサポートのおかげもあって、その威力はさっきの3倍は優に超えている。結果、アーシアのパンチ力は過去最悪から3位に跳ね上がることになった。

 

「す・・・すごいです!イッセーさんのおかげです!」

「いやいや。僕はただのサポートをしただけ。自転車で例えるなら補助輪みたいなものだ。僕もまさかここまで上達するとは思ってなかったよ」

 

 アーシアのパンチ力に驚いたのはイッセーも同じだ。

 こんな運動音痴の女が少し殴り方の心得を知った程度でここまで上達するとはだれが予想できるのか。

 

「じゃあ今度はどこに行く?」

 

 こうして、イッセーたちはほかのゲームをすることにした。

 何回か場所を変えたとこで、次はアーシアがチラチラ見ていたクレーンゲームに向かう。そこでイッセーはアーシアが一番ほしそうに見ていたぬいぐるみをとってプレゼントした。

 

「はいこれ」

「あ…ありがとうございます!一生大事にします!」

「…それは大げさだよ」

 

 アーシアの喜びように少し引きながら照れるイッセー。

 イッセーにとってはたかが人形だが、アーシアにとってその人形は初めて――からもらったものだった。

 

「おめでとうございますお客様。この商品は記念写真もついておりますので一枚どうでしょうか?」

「だそうですよ!どうしますイッセーさん?」

「・・・君それで僕に選択肢を与えてるつもり?顔に写真撮ってくださいって書いてるよ?」

「え?そ、そうなんですか?」

「顔に書いてあるって言われて本当に書かれてるって思いこむ人初めて見た」

 

 慌てて顔を拭くアーシアを微笑んで眺め、イッセーは店員に一枚写真をお願いする。

 これがアーシアが初めて撮った記念撮影だった。

 

「お客さまの写真はここに並べられます」

「・・・へえ~。ところであの薄汚い白髪はだれ?」

「あれは初めて最難解の景品をとった方です。お知合いですか?」

 

 イッセーは答える代わりにポケットから出したダーツを写真に投げた。

 

「へえー。これは生理的嫌悪があって攻撃性が刺激されるね。いい的だ。これでダーツゲームをしよう。店員さん、有料でもいいからあの的ちょうだい」

「お客様、その的は非売品でございます」

 

 次にイッセーたちは町を歩きながらいろんな店を眺めていた。

 

「…いろんなお店がありますね」

「うん。好きなとこに行っていいよ・・・あ、すいません」

 

 誰かが肩にぶつかったのでとりあえず謝る。だが、ぶつかった相手が悪かったらしい。

 

「おいオメェぶつかってそれだけか?あん!」

「授業サボってデートたぁいいご身分だな!え!?」

「慰謝料にこの女を貢ぐのが礼ってもんじゃねえのか!」

 

 ぶつかった相手、昔のヤンキー漫画で出てくるような雑魚役の恰好をしている男子高校生はイッセーを取り囲み、アーシアに手を伸ばす。

 

「…女をハントするのは君たちの自由だけど、ちゃんと相手のことを考えてくれないかな?」

「ぎゃ!?て…テメ!」

 

 アーシアに伸ばされた手をつかんで捻る。不良は振り解こうとするが、その力からは逃れることは出来なかった。

 

「どうした?これぐらい少し格闘の心得ができれば簡単に振り払えるぞ。まあ僕の場合、格闘技というより医術による知識だけど」

 

 不良たちは仲間をつかむイッセーを敵意の眼差しで睨む。

 その時だった。その後ろにいる男がイッセーを見て大声をだしたのは。

 

「…あ、あんたもしかして狂犬のイッセーか・・・?」

「え!?あ…あの誰が相手だろうと噛みつくあの!?」

「た…たしか女に手を出した男は誰であろうとボコって病院送りにしたっていう!」

「俺が聞いた話じゃ正論を暴力で捻じ曲げるとんでもねえ野郎だって話だぜ!」

「・・・ぶつかっただけで因縁つけるような男には言われたくないね」

 

 イッセーは突っ込むが不良たちは無視して勝手に盛り上がった。

 

「そ・・・そんな身勝手が服着たような奴とは喧嘩したくねえぜ!」

「嬢ちゃん気をつけろよ!噂じゃおっぱい触らせない女とかの自分に靡かない女には容赦ねえって噂だぜ!」

「しかもめっちゃ強いし注意するとキレるからかなりやばいぜ!」

 

 そう言って男たちはスタコラと逃げていった。

 

「い・・・イッセーさん?きょ・・・狂犬って・・・」

「そんなものはないよ」

「で、でもさっき・・・」

「そんなものはないよ」

「・・・」

 

 とりあえずアーシアは触れないことにした。

 

 

 

 

「イッセーさん、私こんなに楽しい日は初めてです!」

「初めてって…。そんな大層なことをしてないよ」 

 

 イッセーは冷たい飲み物を買うために自動販売機にお金を入れ、冷たい飲み物を買う。

 買ったものを手渡すと、アーシアは受け取りながら呟いた。 

 

「いいえ…生まれて初めてでした…」

「・・・」

 

 アーシアは缶をベンチの隣においてゆっくりと話し出す。 

 

「私は、元々教会で育てられた孤児でした。八つの時に死にかけていた子犬を主に助けてくださいと祈りを捧げていると、奇跡が起きました。それからすぐに大きな教会に連れられて、世界中から訪れる信者の怪我を治すように言われました。それから多くの人が私を訪れる様になりました。嬉しかったんです。私の力で誰かを笑顔にできるなら…私はこの力を大事にしたいって。そんなある日の事でした、偶然出会い、治療をした男の人が悪魔だったんです。それから私は異端者として教会を追われ…」

「知っているよ」

「・・・え」

 

 

 

 

「僕も、似たような力を持っているからね」

『boost!』

 

 イッセーはブーステッド・ギアを展開してアーシアに見せた。

 

「・・・これが目覚めたのは僕が9歳の頃、車に轢かれた猫を見た時だった。その猫は全身の組織がズタズタにされてもう助からない状態だった。獣医学上から見たら絶望的。だからここで安楽死させるのが僕の唯一出来ること。…そのはずだった」

「・・・」

「けど僕は諦められなかった。僕はなんとしてでも助けようと足掻いた。そのときにこの神器は目覚めた。僕はその力で再生力を強化させて助けることに成功したんだ」

「・・・・イッセーさんって優しんですね」

 

 イッセーは首を振って否定した。

 

「違うよあんなの。あれは子供の駄々って言うんだ。だれも決して駄々を捏ねる子供を諦めない、いい子なんて言わないだろ?」

「そ・・・そんなことないと思いますよ?」

「あるさ。たまたま僕に神器があって、神器が僕を助けたんだ。僕自身の力じゃない。ご都合主義で目覚めた力なんて僕は認めない」

 

 あの時猫を救ったのは自分ではなく神器。だから感謝すべきは自分ではなく中にいるドライグにするべき。それがイッセーの考えだった。

 彼は決して運任せの勝利を認めない。運とはあくまで チャンスのようなもの。すべて運が解決してくれような、ご都合を超えた補正など決して認めない。それは自分の力ではなく、補正が全部解決してくれたようなものだから。

 

「けど今は違う。僕には力がある。金もある。神器の力も完全に自分のものにできたし、色んな知識を身に着けた。だから教会ぐらいなんとかできるんだ」

「今の僕はただ救えないものをみて力がないのに叶わない願いをいうようなガキじゃない。君一人ぐらい、どうってことないんだよ」

 

 イッセーはブーステッドギアが展開されている手をアーシアに伸ばした。

 今の自分は違う。完全に力を己のものとし、応用まで使える。ドライグとは契約してその力を借りる権利も得た。

 使役術や薬学も習得した。ほかにも沢山の力を身に着けたのだ。

 

 いつまでたってもご都合主義な力に頼ることをイッセーは良しとしない。その度に反省点を克服して己の力にする。そうして初めてご都合主義の力は己のものになる。それがイッセーの考えだ。

 

「もっとも、そのためには君にも戦ってもらうよ。最後は君の手で自分の未来を掴んでもらう。……最後の最後で頼れるのは自分だよ?」

 

 少し苦笑いをして言うイッセー。彼の言葉にアーシアはうつむいた。

 

「人間はただのサルから宇宙や深海にまで行けるほど、地球を破壊出来るほどの力を手に入れたんだ。悪魔や天使ごとき、どうってことはない。」

「・・・こんな日をまた過ごせますか?」

「君が自分の運命と戦える決意があるなら」

「・・・私でも友達を作れますか?」

「君が望み相応の努力と結果を残せるのなら」

「・・・イッセーさんと一緒にいることを許されますか!?」

 

 涙を流しながら聞くアーシア。その質問にイッセーはニヤリと笑った。

 

「僕と一緒に戦える覚悟があるなら。それがある限り僕はいくらでも手を貸すよ」

 

 彼がそう言った途端、アーシアの意識は落ちた。

 意識が完全に沈む前、彼女が見たものはイッセーの笑顔ではなく、カラスのように黒い羽根だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの教会って既に売却されてるらしいですね」

「・・・え?」

 

 放課後のオカルト部室、イッセーは朱乃の入れた紅茶をフーフーして冷ましながら言った。

 

「ですから、あの教会ですよ。あそこは僕が小さい頃から既に捨てられたのに、なんで今更機能してるか疑問に思ったんですよ。ですから登記上のホームページで検索してみた結果、あそこはもう私有地になってました」

「…そう。ずいぶんあの教会が気になったようね」

「そんなことはありません。少し気になっただけですから。この便利な時代、スマホで何でも調べれますから」

 

 カチャリと、テーブルにティーカップを置く音を鳴らしながら答える。

 

「つまりあそこは既に天使や教会の土地ではありません。この場合、あの土地はどの陣営の縄張りになるのですか?」

「・・・」

 

 リアスは難しそうな顔をして数秒ほど思い耽る。

 

「…そうね。かなり微妙なとこだけど一応は私たち悪魔の領地になるわ」

「なるほど。ですけど微妙ということは天使側も難癖をつける隙があると」

「ええ。元とはいえそこは天使たちの領地だもの。形式上は領地じゃなくても、実質は違うなんてことはよくあることよ」

 

 難しそうな、少し不服そうな顔で答えるリアス。

 

「ですがあそこは私有地ですよ?ならやり用はありますよね」

「・・・ずいぶん回りくどい言い方ね。言いたいことがあるならはっきりしてちょうだい」

「…では、はっきり言わせてもらいます。・・・何が領地だ?秘密基地ごっこは他所でやってくれ」

 

 瞬間、部室内の空気が凍った。

 

「ここはあんたの領地と言ったな?はぐれ悪魔や堕天使には簡単に侵入されるし、領地内の人間は狩られ放題だ。こんな状態でよく領地と言えたもんだね?」

「・・・貴方は私を馬鹿にしてるの?」

「別に。ただ僕は感想を言ってるだけですよ」

 

 イッセーは立ち上がり、演説するかのようにリアスへの暴言(?)を吐いた。

 

「あんたは舐められてるんだよ。はぐれからも堕天使からも。そして実際に運営能力も低い。はぐれや堕天使に好き勝手荒らされているのがその証拠だ」

「違うというなら証拠を見せてみろ。人の庭の中で勝手に拠点を作り、好き勝手に荒らされてまだ泣き寝入りするの? もしそうならお前は無能以下の臆病者だ」

「非は明らかにあっちにある。人ん家で好き勝手やってる不届き者を追い出すことの何が悪い?ここで処分しても小競り合いの範疇だろ?」

「なら戦えよ。ここはあんたの土地だ。このまま逃げるならお家に帰って震えてろ。世間知らずのお嬢様にはよっぽどお似合いだ。何なら星の王子さまでも探す旅に行くか?」

 

 

「うっがあああああああああああああああああ!!!!!」

 

 イッセーの言葉にリアスは爆発。彼女は滅びの力を暴走させながらまるで獣のように吠えた。

 

「なによさっきから!ふざけたことばかり言って!消されたいの!!?」

「おっと、ここで暴力を振るうってことは図星を刺されて怒ったことになるぞ。・・・それで、図星なの?」

「そんなわけないじゃない!あんたの言っていることはでたらめよ!」

「なら証明してみてよ。口からじゃいくらでも言える。行動で示してこそ、人間は納得する。暴力でつぶすだけじゃ、誰もついてこないよ」

 

 怒るリアスに対し、イッセーは余裕のある態度、いや格下の相手を見下す態度で言う。

 その態度がさらにリアスから冷静さを失い、イッセーの狙い通りに動くことになった。

 

「やってやるわよ!やればいいんでしょ!?」

「ちょ…ちょっとリアス?貴女完全にあの子に乗せられてるわよ!」

「知ったこっちゃないわ!あそこまで馬鹿にされて引き下がれるものですか!」

「リアスーーー!!?」

 

 朱乃の制止を振り切って暴走するリアス。その有様をイッセーは楽しそうにニヤニヤと眺めていた。

 なんて扱いやすいんだこの女は。少しプライドを刺激した程度でここまで思い通りに動くとは。

 そんな風に思っていると、イッセーの頭を小猫が軽く小突いた。

 

「…あんまり部長をからかわないでください。あの人そういうのに慣れてないんで」

「・・・ごめんごめん。ああいう傲慢な女を見てると鼻っぱしを折りたい性分なんだ」

「…貴方もドS!?」

 

 小動物のように無害そうなイッセーの本性を垣間見た瞬間だった。




なんていうか、原作ってイッセーのハーレムに甘いと思う。
アーシアは彼女自身が動くことなくすべてリアスが権力で解決してくれたし、リアスも領地荒らされ放題なのに誰も文句ひとつ言わない。なんていうか、イッセーのハーレムになることで主人公補正の恩恵をもらったというか・・・。
例えるならお金持ちに群がってその恩恵を受けるキャバクラみたいな印象です。お客さんに愛想よくしてたらプレゼントもらえるような…。
みなさんはどうですか?

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