禍の団の二天龍たち   作:大枝豆もやし

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第21話

『それでは、ライザー・フェニックス対兵藤一誠様の試合を開始します』

 

 現在、僕は用意された使い捨て空間の試合場にいます。

 ・・・え~と、なんでこうなったのかな?

 

『(魔王がこのままでは埒が明かないから試合で白黒つけるといたのがきっかけだろ)』

「(・・・そうだった)」

 

 僕が周囲をかき乱してライザーが悪いという空気を作ったのだが、リアス・グレモリーの兄である魔王サーゼクス・ルシファーが前回のゲームが不確実なものとなったので、今日この場ではっきりさせるため僕に戦えとか言ってきやがったのだ。

 ・・・ふざけんなよクソが。さっきまで僕が有利だったじゃん。あそこから僕の独り舞台を形成してライザーを追い詰め、このふざけた結婚式を壊す予定だったのに……!!

 

 第一、なんで僕なんだよ。僕はリアス・グレモリーの協力者というだけで、眷属じゃないんだよ。なのに何故僕を強制的に参加させてるの?僕は君たちの軍門に下った覚えは全くないんだけど。

 ほかの貴族悪魔もそうだ。僕は無関係だというのに、何面白そうに参加認めてるんだ。しかもあの目、僕を見世物ショーみたいな目でみやがって…!しかも中には僕がライザーに負けるの期待してそうな奴いるし!!

 大義は既に僕の物になったというのに、まだライザーの味方するのかよ!!

 

『(そういった奴は大方貴族至上主義か純血悪魔至上主義の貴族だろうな。相棒が貴族悪魔を言い負かしたのが気に食わないらしい)』

「(…自分のことじゃないし、直接的な被害もないのに?)」

『(そうだ。奴らは貴族悪魔に人間が逆らうということ自体が気に入らないんだ)』

 

 ・・・下らない。そんなことをいちいち気にしなくては自分のプライドを保てないのか。悪魔って気の小さい下等生物だ。頭も悪いし。

 

『(まあいいではないか相棒。そんな回りくどいことするより力ではっきりさせたほうが赤龍帝らしい)』

「(それは歴代だけだ。僕は剣ではなく口と交渉で争いを解決してきたという自負がある)」

『(・・・まるで商人だな)』

 

 うるさいよ。何事も平和的に解決するのが一番だ。なんでも暴力で解決しようとする悪魔共がバカなだけだ。

 

「ハッハッハッ!残念だったな人間!ここじゃその達者な口も姑息な罠も使えんぞ!」

「別にいいよ。君相手なら小細工なしでも勝てる」

 

 そう、僕は直接戦うのを避けるだけで、何も君より弱いわけではないのだ。

 だったら直接戦えって?…嫌だよ、怠いじゃん。それに僕の情報が洩れる。

 

 

 けどここまで来たら仕方ない。…赤龍帝らしくたまには戦闘を楽しむか。

 

 

 みんな勘違いしてると思うが、僕は戦いも偶になら楽しむ。ドラゴンを宿した以上、闘争心や性欲と無縁ではいられないのだ。

 これはもう本能と言ってもいい。動物である以上、性からは逃れられない。それと同様にドラゴンを宿した人間は闘争心と性欲から逃れられないのだ。

 だから時々僕も発散させる。そういった欲望に溺れるようなバカな真似はしないが、時にはタガを外すのも悪くない。今日ぐらいは戦いを楽しむか。

 

「言ってあげる。君は僕に勝てない」

「・・・ずいぶんでかい口をたたいてくれるな」

「黙れよ。たかが火を灯すのとそよ風を起こす程度の能力しかないヒヨコの分際で。テメーのようなホストかぶれがこの僕に勝てると思ってるのか?」

 

 そう言うと炎が僕に襲い掛かってきた。僕は神器でそれをはじく。

 ・・・この程度か。なら今回は諦めてあのクソ野郎に喧嘩売るか。

 

「上等だ人間。いくら強い神器を持っていようが人間が悪魔に勝てないことを教えてやる」

「本当に出来の悪い教え子だ。本物の業火というものを、悪魔の力というものを先生が特別に教えてあげる」

 

 試合の開始を示す合図が鳴る。それと同時に僕たちは動いた。

 僕はとっさにその場を跳んで離れ、ライザーは空を飛んで炎の玉を精製している。

 

 僕は魔界とのリンクを繋いで、魔神の力をほんの少し拝借する。ほんの少しだ。このバカに魔力を消費するのはもったいない。

 さて、誰を使うか。やっぱりフルフルで電撃を…。いや、やっぱりここはフェニックスにするのが一番だよね。本物の力を教えるにはもってこいだ。

 

《イッセー、ここは俺がやろう。俺が本当の炎というものを教えてやる》

 

 …ああ分かっている。炎と言えば君だよね。ロウソクの火との業火の違いも分からない鳥頭には、お前のような本物を見せるべきだよな。

 やってやろうじゃねか、なあ…フラロウス!

 

「業火を纏いし力強き戦士よ、炎を瞳に宿す黄色の豹よ。

 汝の獲物はすぐ目の前ぞ。さあ、汝の獲物を狩り尽くせ。狩りの開始を示す咆哮を上げよ」

 

 

 

獣よ吠えろ、獄炎を纏いて(インフェルノ・ブラスター)

 

 

 

 瞬間、ライザーの体が黄色い炎に包まれた。

 圧倒的な熱量。それはライザーの炎を飲み込み、己の色に染め上げる。

 

 何を隠そう、この炎は地獄の大公爵、フラロウスの力だ。

 炎を操る魔神はけっこういる。決して消えない炎を出すアイニ、炎を吐く魔獣アモンや魔獣マルコシアス、炎の戦車に乗っているベリアルも炎を間接的に操れる。

 しかし数多く炎を操る悪魔の中で、フラロウスのみが「焼き尽くす」という描写がある。そう、彼の火力こそ魔神随一と証明されているのだ。

 

 故に彼の炎は全てを焼き尽くす。たとえ水でも炎でも、本来燃えるはずのないものでも塵一つなくこの世から消してしまう。

 まさしく地獄の業火。この世には存在しない魔の炎。あたり一帯を火炎地獄に変えてしまうアイニとこの世のすべてを無に消す炎のフラロウス。どっちが恐ろしいかの判断はお任せする。

 

「無駄だ。かの強大な豹は全てを焼き尽くす。水も、空気も、土も、そして炎さえも。無機物だろうがエネルギーだろうが例外はない」

「ば…バカな……」

 

 虚しい抵抗をする敗者に声をかける。

 

「いくら君が強い力を持ってもね、それを簡単に踏みつぶせる存在はいくらでもいるんだ。魔王然り熾天使然り神滅具然り。そのうちの一人が僕ってことさ。…ま、僕はただ彼らの力を借りているだけなんだよね」

 

 僕は黒い灰と化していくライザーに話しかけるも、本人は既に虫の息だ。僕の話を聞く余裕など持ち合わせていなかった。まあ分かって言ったんだけどね。

 

「ち・・・畜生・・・・・・」

 

 ライザーは屈辱と失意の中倒れた。

 炎を司るフェニックスが炎で負けた。例えるならコブラが同じ神経毒で殺されたようなものだ。

 彼にとっては本当に屈辱的なものだろう。なにせ自分の得意分野で見下している人間に負けたのだから。

 

「じゃ、僕の勝ちってことで」

 

 けど僕には関係ない。もし塞ぎ込んでしまっても僕は一切関与しないからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おめでとうイッセーくん。君は本当にすばらしい成果だ」

「…どうも」

 

 戦闘終了後、魔王サーゼクスが早速僕に話しかけてきた。

 

「君は有能だ。どうかね、早速私の眷属に……」

「お断りします。僕は自分よりも優れた相手以外には絶対に跪きません」

「……そう。それは残念」

 

 魔王は一瞬嫌そうな顔をするも、すぐに柔和な微笑みに戻る。

 おそらくあの一瞬で力を示すか見逃すかの損得勘定をしていたんだろう。けどリアスに恩を売ってる僕を敵に回すことを恐れ、咄嗟に引いたようだ。

 要するにこいつは妹との仲と魔王としての責務を天秤にかけた結果、妹を優先したのだ。本当に誰だよこいつを魔王にしたの。

 

 なんか周囲がうるさい。どうやら僕が眷属入りを拒否したのが気に入らないらしい。

 

「うるさいなぁ…。ここで君たち死ぬ?」

 

 軽くグラシャボラスの力を解放する。それだけで貴族たちは黙った。

 どれだけ馬鹿でも上位種の存在はちゃんと分かるんだ。

 

「じゃ、僕は帰らせてもらうよ。案内して」




拙作とは関係ありませんが、原作のイッセーがライザーの結婚式に乗り込んだのはかなり無理があると思う。
例えると受験勉強したけど大学に受からなかったので、ふざけんな俺を大学に入れろって無理やり入学式に怒鳴り込んだようなもの。
たしかにゲームはかなり不公平でしたが、ルールを決めるための交渉の余地は十分にあった。なのに何も言わずに自信満々に受けたのだから、今更持ち出せるはずもない。もっとも、リアスなら断ってると思いますが。
だからは熱血シーンというより、我儘なガキが乗り込んだシーンのように今は見えてしまう。
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