禍の団の二天龍たち   作:大枝豆もやし

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第25話

「フルフル」

「ぎゃあああああああ!!!!」

 

 フルフルの力を使って雷を落とす。電撃は目の前の神父たちと堕天使に直撃し、意識を刈り取った。

 それを目視して確認した僕は生き残ったはぐれエクソシスト、レイナーレ事件で一緒にいた一方通行モドキに振り替える。

 

「……君は避けきったか。雷よりも速く動けるとか化け物?」

「別に光より速く動けるわけじゃねえよ。ただあんたの目を見てタイミングを読んだだけさ。あんた正直すぎんだよ」

「そうか。それはどうも」

 

 突然はぐれは飛び上がる。どうやら僕の張った罠に気づいたらしい。

 

「会話で注意を逸らしながら毒の花粉をまき散らす冥界の植物を出しやがったか…。あんた相当性格悪いな」

「お互い様だ!」

 

 今度はマルコシアスの力を解放して接近。スタンバトンを取り出して殴りかかった。……と見せかけて。

 

「ぶはッ!?て…テメエまた毒を!!」

「またまたやらせていただきました~」

 

 スタンバトンの中身は毒の霧。ボタンを押すだけで飛び出る仕組みだ。

 

「く…クソが!!大した力もねえのに奇策だけでパワーアップしたこの俺を追い詰めるとか……。あんたやっぱ最高だ!!」

「……それ逃げながら言うセリフじゃないよね?」

 

 僕は軽口を言いながら追うも、既にフリードの影はなかった。

 指先程とはいえ、まさかマルコシアスのスピードを超えるなんて…。よほど強力な聖剣を手に入れたようだ。

 

「それにしても聖剣か…。どうやら今回も面倒なことになりそうだ」

 

 だが厄介ごとは同時にチャンスにもなる。ここで僕がまた活躍すれば、もっと信頼値を稼ぐことが出来る。

 しかし焦ってはいけない。もし先走りしすぎてしまえば、僕を監視しているあの無能王に気づかれるかもしれない。

 まったく、僕を観察する暇があるなら貴族の一人や二人粛清しろよ。行動できないからなめられるんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また神父がこの町に紛れ込んでいた。とりあえず捕まえて作った檻にぶち込んだ。尋問及び拷問の許可をくれ」

「……随分適応しているわね」

 

 ライザー事件から数日後、信頼値をごっそり稼いだおかげか、僕はこの町の管理を任されるようになっていた。

 やることははぐれの討伐や神器狩りに来た堕天使を追い払うこと。はぐれは即殺処分が許可されているが、堕天使はそうはいかない。なにせ彼らは仕事としてやっているのだから。そんなの無視して殺すけど。

 結界というか、センサーのようなものを設置。そして使い魔と木場たちを定期的にパトロールさせることで警備を強化。侵入を感知するとすぐさま僕が駆けつけて即対処する。はぐれが侵入してもティータイムを楽しみ、大公が連絡するまで気づかない無能とは違うのだよ。

 

 おかげで僕の信頼値はうなぎ上り。僕がこの無能よりも管理出来ることをアピールしておけば、事実上のみだけど、権利を得ることが出来る。

 

「またはぐれエクソシスト捕まえました。これで三件目ですわイッセー部長」

「私は堕天使を捕まえました。下級ですがグリゴリの正式な調査官だったので渋々逃しました、イッセー部長」

「……部長は私なんだけど」

 

 あれ?すでに達成している?

 

「それで、今回で既に三回も堕天使陣営と天使陣営の奴らが侵入。そして戦闘をしてたと」

 

 はぐれエクソシストと堕天使、そしてエクソシストが悪魔の領地で好き勝手暴れている。しかもこんな田舎町でだ。

 ……迷惑な話だ。喧嘩したり殺し合うのは君たちの勝手だけど、そういうのは他所でやってくれ。後処理は誰がやると思ってるんだ。

 

「それで、この町でなにしてたの?」

「……」

 

 僕は捕まえたエクソシストに振り替える。しかし彼は何も答えず、ただ俯くだけだった。

 

「じゃあ当ててやる。……君は聖剣の強奪を目論んでいた。…違う?」

「!!? な、なぜそれを!!?」

 

 カマをかけてやると、あっさりひっかかてくれた。

 けど僕は顔に出さないよう努力する。必死に『やはりそうか』といった表情を繕った。

 

 尋問はただ脅したりするだけではない。場を支配してほしい言葉を吐き出させる。脅迫はその手段のうちの一つでしかない。

 

「フリードとかいうはぐれエクソシストが聖剣を持っていた。だからアレを狙っていたのだと思ってたんだけど。駄目だよ、盗みは。主も言ってるじゃん」

「悪魔に組する人間が偉そうに主の言葉を口にするな!!それに、あの聖剣は我らバチカンの物だ!!強奪したのはあいつらの方だ!!」

 

 またまた勝手に吐き出してくれる神父さん。本当に素直な人だ。操りやすい人は好きだよ。楽出来るから。

 ふ~ん。つまりフリードたちは聖剣を強奪っと。それを取り返すために君たちはこの町に潜伏したと。

 

「え~。聖剣奪われたの~?大事な聖剣奪われるとか……。君たちって本当に間抜けだね。それとも聖剣ってあんまり大事じゃないの?もしかしてコンビニに売ってるカッターナイフよりも安いの?」

「言葉を慎め小僧!!聖剣は主が貴様らのような汚らわしい存在からお守りするために与えてくださった至高の宝だ!! たしかにコカビエルによって聖剣を三本も奪われたが、残り四本だけは守り来った!!」

 

 まるで狂犬病に感染したかのように檻の中で暴れる神父さん。

 あ~ヤダヤダ。これだから狂信者は。すぐに冷静さを失って噛みつこうとする。教会陣営は本当に狂犬しかいないね。僕が治してあげよっか?……いや、やっぱあいつらの頭治すの無理だわ。

 ま、その怒りを利用して尋問する僕が言えたことじゃないと思うけど。おかげで大分楽させてもらってるし。

 

 けど情報は集まった。やはりバカの相手は本当に楽だ。少し挑発しただけで聞いてないことも教えてくれる。……ここまで口の軽いバカを派遣するとか、教会陣営本当に大丈夫?

 

「そう、ほしい情報は集まったからもういいよ。じゃあね~」

「おいマテ!まだ話は……うわあ~~~~!」

 

 指をパチンと鳴らす。瞬間床がパカッと開いて神父を入れた檻は落ちてしまった。

 

「つまりコカビエルとかいう堕天使に3本の聖剣をバチカンから奪われ、それを奪還するためにこの町に来たと。……ねえ何でこの町なの?」

 

 僕はメモした紙を眺めてため息をついた。……本当にもう、この町はトラブルに事欠かないよ。もしかしたら赤龍帝である僕のせいかもしれないけど。

 

「ねえ朱乃、教会陣営と堕天使陣営に今すぐ領地内から出ていくよう言って。あと賠償金と謝罪の要求も忘れずに」

「え?そんなこと出来ますの?」

「出来る。出来なきゃおかしい。だってこれって、立派な不法侵入だよ。しかも勝手に戦闘おっぱじめてるし。……死人が出たらどうしてくれるんだ」

「…分かりました。こちらから手配してみます」

 

 まったく、本当にふざけた案件だ。例えるなら、人の家に勝手に入ってきて、勝手に喧嘩して、物を壊しても後片付けや弁償することなく、知らん顔で居座るようなものだ。もし僕が家主なら激怒する。

 だからさっさと両方共にご退場してもらう。その後に謝罪と賠償金だ。

 

「それで、リアスはどうしてるの?」

「……球技大会に備えてほかの眷属たちと練習してますわ」

「あんのバカが!!こんな忙しい時期に何人間ごっこしてんだ!!本来あいつの仕事だろうが!!!」

 

 口調を荒くして怒鳴った僕は決して悪くない。

 というか、悪魔が人間の大会に出場すんなよ。スペック違うんだから不公平だろうが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「球技大会に向けての練習及び参加を中止。今後は堕天使と教会陣営対策に力を注ぐことにする。以上」

 

 翌日、僕はオカルト部員を集めて今後の方針を独断で決めて発表することにした。

 幸い反対する者はいなかった。皆今は球技大会どころではないことを理解しているらしい」

 

「納得いかないわ!!」

 

 このアホ赤毛を除いて。

 

「分からないの、今は緊急事態なんだ。遊んでいる余裕なんてないんだよ」

「けど堕天使と天使の争いでしょ!?なら私たちが干渉していいわけないじゃない!!」

「他所ならね。けどソイツらはこの町でやっているんだ。リアス・グレモリーという貴族悪魔が統治するこの町でね。無関係では終わらせることは出来ないよ」

「堕天使や教会のことなんてしったこっちゃないわよ!!勝手に殺しあっても無関係だわ!!」

「……」

 

 僕は言っても分からないバカの首を締めあげた。たぶん今の僕の瞳は光が消えているだろう。

 

「あぐッ……」

「……テメエ本気でこの町を統治する気あんの?」

 

 顔を近づかせ、無理やり目を合わせる。

 

「君はこの町の住民たちの命を預かっているも同然なんだ。なのにその義務を放棄して遊び呆けていいと本気で思ってるの?」

 

「判断が難しいなら上に報告して指示を仰げばいい。なのに何勝手に答えだして自己完結してるの?何放置して臭い物に蓋してんの?そうやってると後々問題が大きくなるのが理解できないのかな?」

 

「君はこの町の管理を任されているんでしょ?ならその責任果たしなよ。この町にトラブルが舞い込んだら対処するのが君の仕事でしょ。下らない理由並べて逃げるなよ。

 僕が君の上司なら責任追及してこの土地を取り上げた上、受けた損害の補てんを要求しているよ。もちろん爵位も降格だ」

 

 本当にこのバカは学ばない。レイナーレ事件であそこまでボロクソに言われても、なぜ少しも改善しないのか。

 なんで冥界のボケ悪魔共はこんな無能で脳みそが全部胸と尻にいったような阿呆を監視役も付けずにここの統治を任せているの? マジふざけんな。それで被害被るのは人間なんだ。貴族ごっこは他所でやらせろ。

 

 僕は言いたいことを言い終えると、このバカを投げ飛ばした。

 

「やっぱりお前、人の上に立つ器じゃねえわ」




領地内ではぐれエクソシストと神父が戦ってるのにスルーいた事件で、また無能さんやらかしたなと思ったのは私だけではないはず。
自分の領地内に無許可で調査した挙句、敵同士で喧嘩してるんですよ?
のんきに祭り楽しんでんじゃねえよ。
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