禍の団の二天龍たち   作:大枝豆もやし

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第37話

「それでだ。いつの世も世界にでけえ影響を及ぼしてきた二天龍の片割れとリアスの同盟者に意見を聞いてみようと思う。白龍皇ヴァーリ、謎の神器使いの兵藤一誠。お前らはどう思う?……おい、寝るなイッセー」

「………ん?」

 

 ゆっくり寝ていると、いきなり起こされてしまった。せっかくいい夢見てたのに。……寝てた僕がいけないんだけどね。

 

「それでだ、お前はこの世界をどう変えたい?人間代表として何か言ってみろ」

「……人間代表?」

「そうだ。人間はお前しかこの場にいねえからな」

 

 この場の人間が僕だけだから僕が人間代表か。……あまりにも無理ありすぎだろ。

 

 本当に人間代表を呼ぶのなら、正式な代表を呼べばいい。僕はリアスと同盟を結んでいる以上、客観的には悪魔の味方だ。決して人間の味方とはいえない。

 

 もちろんこれは仮初の関係だ。メリットががなくなれば破棄もする。だけど今はそれをする必要などないし、まだこの関係を維持する必要がある。だからこの場では僕の立場は悪魔寄りなのだ。

 これで人間の立場として何か言え?……言いえるわけないじゃん。

 

 あと、何の権限があって僕が人間代表になるんだよ。お前らが勝手に言ってるだけじゃん。これじゃあなんちゃってどころじゃないぞ。ただの人間代表ごっこだ。発言には何の意味も権限もない。

 本当に人間代表呼ぶなら、英雄派か魔術派を呼べ。あいつらもかなり危なっかしいとこあるけど、今の僕の立場よりはマシだ。

 

 

 それに第一、お前ら人間の意見聞く気ねえじゃん。

 

 

 本当に人間の意見聞いて尊重してくれるなら、最初から僕たちは動かない。とっくに話し合いで解決してる。

 けどお前らは決して耳を貸さなかった。何度も話し合いの場を設けたのに、力のない雑魚の話など興味ないとばかりに踏みつぶしてきた。

 ならば僕たちは力でお前らをつぶす。お前らの悪事をばらまき、邪魔な奴らをぶち殺す。そうして弱らせて、追いつめて、そしてとどめを刺す。

 

「そうだね。僕は一般人が種族に巻き込まれない世界にしたい」

「そのためには我等が争ってはいけないということですか…」

 

 違うよ。お前らが殺し合おうが滅びようが僕たち人間には何の痛手もない。

 

 何も神は聖書の神だけではないんだ。特に日本は神様の宝庫だからね。縋る神には枚挙に暇がない。

 むしろ僕は教会陣営なんて人間にとっては不要だと思うな。だって聖書の神がいない以上システムはちゃんと働かない。つまりポンコツになり果てた神の奇跡なんていらないんだよ。

 それどころか害悪以外何者でもない。教会陣営でないものを異教徒と言って侵略するような輩だ。僕にとっては貴様らこそ異教徒、いや邪教徒と言ってやりたい。

 神の奇跡という強みがなくなり、異教徒への弾圧や異端者の私刑も強まっている今、もはや教会は機能してないどころか害悪となっている。これで未だに世界の調停者面するというのか。

 

 悪魔も堕天使もそうだ。どっちがいても利益にはならない。だって冥界の生物だもん。外来種はさっさと帰って。

 中でも悪魔は特にいらない。特に貴族共。お前らはさっさと滅びろ。お前たちに対しては一切の慈悲もない。悪魔の駒なんて奴隷生産機を作って他種族を拉致、はぐれ認定を連発して転生悪魔を切り捨て、管理不届きではぐれ悪魔の被害を他所の陣営に出す。……本当にふざけている。

 テメエらが自滅しておいて、なんでほかの種族がその埋め合わせに被害を受けなくてはならない。何故お前らの奴隷にならなくてはならない。何故お前たちの一部にされなくてはならない。

 滅びるのならばお前たちだけで滅びろ。僕たちを巻き込むな。ていうか滅べ。

 

 魔王、お前も同罪だ。お前は人間を大事に思っているポーズをとっているが所詮は上辺だけ。中身は空っぽだ。

 本当に人間を守るなら、自分の陣営で起きた不始末をちゃんととるのならば、ちゃんと法の整備して悪魔の駒やはぐれ認定の制限を設けろ。これぐらい政治に明るくない僕でも思いつくぞ。

 ほかにも言いたいことは山ほどあるが、要約すると魔王どもはどいつもこいつもポーズだけで全く仕事してねえんだよ。本当に魔王として君臨するならちゃんと貴族をコントロールしろ。武力でも権力でも使って縛り上げろ。仕事サボって妹に会いに来るな。

 そんなんだからお飾りの魔王、いや、利用される王さまに成り下がるんだよ。

 

 

 

 覚えていろ。いつかお前たちだけは滅ぼしてやる。

 

 

 

「ああそうだね」

 

 けど僕は何も言わない。だって言ったところで無駄だから。

 言って解決するならとっくにしている。けど出来ないから僕たちは仕方なく暴力に訴えたんだ。

 

 だから覚悟しろ。いつかは復讐してやる。

 

「じゃあ次はお前だヴァーリ。お前はこの世界をどうしたい?」

「……とりあえず俺は強い奴と戦いたい。そして強さと技を極め、強敵(ライバル)と共に次のステップに進みたい。俺は競技として、そして遊戯として、正しい戦いをしたい」

 

 ……お前らしいな。見た目のわりに暑苦しい。ジャンプの主人公か。

 

 

 

 

 

 

「そのために俺はこの欺瞞と虚構にまみれた世界を壊す」

 

 ……本当にジャンプの主人公だなお前。まるで鎧武者のライバル、バナナ男爵みたいだ。


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