禍の団の二天龍たち   作:大枝豆もやし

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第4話

「…よし、これで準備万全だ」

 

 その日の夜、僕はバイザーのいた廃屋でちょっとした工作をしていた。

 はぐれ悪魔は指名手配されており、捕まるか処刑が確認されない限り追われ続ける。だからはぐれを勧誘した後、元はぐれ悪魔の死の捏造工作をするのが妖精派“うち”のやり方だ。

 本来ならもっと早く準備をしているのだが、この土地を縄張りにしている悪魔はめちゃくちゃ遅い。だからこんなに日を開けてもバレないのだ。ていうか、サボりすぎだとドライグに怒られた。

 話を戻す。通常ならば何度か行動すれば偽造だとバレるが、悪魔相手だと問題はない。だってあいつら、よほど強くて有名なはぐれ悪魔以外には興味ないし。

 うちのへっぽこ錬金術師が用意してくれた偽の死体を放り込んで、豚の血から生成した偽造の血をぶっかけて事件現場は完成。あとは魔力を発すれば・・・早速来たか。

 

『相棒、この地の領主が来たぞ。逃げないのか?』

「待てドライグ。僕の任務は何も死体偽造だけじゃない。情報収集も兼ねているんだ」

 

 僕は札をポケットから取り出し、予め作っておいた泥人形にセットした。

 

「さあ、どこまで戦えるか見せてもらうよ。リアス・グレモリーさんと愉快な眷属さんたち」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イッセーが準備を終えて数分後。ここでやっとオカルト部員たちは廃屋に到着した。

 彼女たちがいつもどおりオカルト部員の部室で待機をしていると、突如、強力な悪魔の気配がした。

 ついた頃にはもう遅かった。既にバイザーは殺されており、やったであろう存在は影すら見当たらない。

 

「あらあら。また先取りされましたわね」

「…今月に入って5回は超えてます」

「・・・・・・そうね」

 

 悔しそうな顔でリアスは言った。

 強力な悪魔の気配を感じたのはこれが最初ではない。もう何十回も感知しており、何度か探索した。

 しかしいつも駆けつけた後には全て終わっている。どんなに派手に遺体を破損しても、首だけは目立つ所に残している。まるで見せびらかすかのように。

 リアスには我慢ならなかった。まるで獲物を横取りし、『どうだ?俺の方が狩りうまいだろ。お前らは鈍いんだよ』とバカにされているようで堪らなく不愉快だった。

 

「…一体何者なの?」

 

 リアスは苛立ちながら呟く。

 その時だった。床が急に何かが飛び出したのは。

 

「ゴォォォォレム」

 

 それはイッセーがさっきまで作った泥人形、3体のゴーレムだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なあ相棒、なんでゴーレムなんて出したんだ?』

 

 とある部屋の一室。僕たちは予め仕込んでおいた監視カメラからこの土地を管理する悪魔、リアス・グレモリーの戦う風景を観察してると、ドライグがいきなり今更な質問をした。

 

「見ての通り情報収集だ。あのクソ白髪ケツ龍皇に頼まれたんだ」

『……お前たち本当に仲悪いが仕事では協力的だな』

 

 うるさい。僕だって仕事以外ならあんなクソ野郎の頼みなんて絶対に聞くか。

 

「けどこの土地の悪魔や人外の強さは僕も知りたいと思ってたんだ。これはいい機会だ。情報を吐き出してもらうよ」

 

 この土地は日本であり、本来ならば土地神とか日本の化物や神の管理下にあるはず。なのに何故かこの土地は若手悪魔であるリアス・グレモリーが支配しているのだ。

 支配といっても、別に街の人間を支配下に置いているわけではない。一種の縄張りのようなものだ。だから無許可でここに入った人間以外の種族(僕は人外と呼んでいる)、神器使いや魔法使いなどの人外に関わる人間を排他する権限がある。

 …まあ、そんなことに全ての人外や人間が同意したわけではないのでほぼ力づくなのだが。

 

 話を戻す。僕はこの街を縄張りにしているリアス・グレモリーの手腕を知りたいのだ。

 正直、この街の警備は笊同然だ。はぐれ悪魔だけでなく堕天使や悪霊なども入り放題で僕や部下たちがあいつらの代わりに処理している。

 本来ならばあの女の仕事なのだけど、仕事が遅いので任せられない。モタモタしていると死人が何人も出てしまう。

 見つかるリスクもあるが、僕の住んでいるこの街が血で汚されるより万倍マシだ。どうせバレないし。

 

 とまあ、僕はあの女に対してあまりいい感情を持ってない。本当になんであいつがこの街を管理してるんだ?

 通常なら未成熟の悪魔は冥界の学校に通っているはず。上級悪魔の子なら尚更だ。なのになぜあいつは教官や助っ人もなしでこの街を管理している?

 

『英雄派からもらった資料を見てなかったのか?あのお嬢さまは親日家で日本の学校に通いたいあまり権力と金の力を使い、この土地で領地管理を学ぶという名目でここの学校に通っているのだ』

「・・・・・・そりゃまた面倒だね」

 

 ワガママ言うお嬢様もお嬢様だけど、そんな子供に土地の管理を丸投げする悪魔社会もどうかしている。普通は監督とかつけるだろ。

 

 それにお嬢様もどうかしている。彼女は良い家の娘で、その家を継いで悪魔の社会に大きく影響を齎すことになる。

 言うなれば貴族だ。当然教養を身に付けるため相応の学校に通い、訓練しなければならない。在学中に人脈作りも必要だろう。

 なのに日本に住みたいというだけでここに来るとか・・・本当にどうかしている。旅行で我慢しろよ

 

「土地の運営能力は壊滅的。なら今度は戦闘能力だ」

 

 電波状の魔力を飛ばしてゴーレムを動かす。

 最初のターゲットは彼女の部下の一人、塔城小猫だ。データでは高い防御力と怪力を誇るというが、それだけでは僕のゴーレムは攻略できないよ。

 

「・・・フッ」

 

 ゴーレムがその拳を塔城の小さな体躯に叩きつける。しかし、予想外に、彼女はビクともしなかった。それどころか、鼻で笑う始末だ。

 

「吹っ飛べ」

 

 塔城はゴーレムの腕を掴み、その小さな体には見合わない怪力で投げ飛ばす。その先には剣を構えた男子生徒と、手から電気を発する女子生徒がいた。

 たしか男は木場裕斗だったね。優れた剣術を誇り、目に止まらないほどの高速移動が可能と情報にはある。

 女子生徒は姫島朱乃。魔術に明るく特に電撃が得意とある。

 

「いい感じだよ小猫ちゃん」

「これで終わりですわ」

 

 木場が情報通りの凄まじいスピードで斬りかかり、続いて姫島が電撃を発する。

 なるほど。基本スペックは平均的な若手悪魔よりも高い。もしバイザーなら既に死んでいただろうね。

 

 

 だが、それがどうしたというの?

 

 

 正直、バイザーはあまり強くない。むしろ僕から見れば雑魚の部類だ。その程度で満足していればこの街をとても任せられない。

 

「スペックが高いのは理解した。なら技術面はどうかな?ちゃんと能力を使いこなせてるか見せてもらうよ」

 

 再び電波上の魔力を発して命令する。今度は少し本気を出せと。

 このゴーレム自体あまり強くないけど、君たちに倒せるかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な・・・なんなのよこのゴーレム!?」

 

 バイザーが潜伏してたと思われた廃屋。私たちはアガレス大公の依頼で向かった。

 けど目的地には誰もいなかった。あったのはバイザーの死体とバイザーを倒した犯人が置いてったゴーレムだけ。

 そしてゴーレムは無礼なことに私たちに攻撃してきた。

 

「領地を勝手に荒らすだけに留まらず、今度は私たちに雑魚を差し向けるってわけ?」

「・・・もしかして私たちのこと舐めてます?」

「あらら。それはいけませんわね。・・・ちゃんと教育してあげなくては」

 

 本当に舐めた相手ね。多少のやんちゃなら謝るだけで許してあげてもいいけど、おイタが過ぎたわね。今度こそ見つけて消し炭にしてあげるわ!

 まずはこのゴーレムの撤去からよ。攻撃力も防御力も小猫が上。スピードとテクニックは言うまでもない。

 負ける要素なんてひとつもない。ここで始末しなさい!

 

「「はい!」」

 

 二人は同時にゴーレムへと向かう。スピードが速い裕斗が先に追いつき、剣を振るう。

 勝った。私は彼の剣を見て確信した。

 裕斗は魔剣創造という特殊な武器、神器を所持している。これで様々な効力を持つ魔剣を作り出すことが出来るのだ。

 もちろん制限はあるし、作った魔剣は時間の経過によってなくなってしまうけど、それでも強力な力には変わらない。

 それに加えて裕斗自身の剣術とスピード。彼は剣豪の元で直々に修行したおかげで素晴らしい技能を誇っている。

 

 多種多様な魔剣に彼自身の卓越された技術。この二つが合わさればあんな泥人形など真っ二つに出来る。

 そのままみじん切りにしちゃいなさい!

 

 ガキィィィィィン!

 

「え?」

 

 けど、裕斗の剣はあっさりと止められてしまった。

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