結果を言おう、この勝負はリアスの圧勝に終わった。
匙は男気を見せて格上であるイッセーに立ち向かったのだが、イッセーはそんなこと知ったことかでも言いたげにボコった。
それはもう酷い有様だったらしい。味方である木場たちですら引くほど徹底的にやってしまった。
その時のコメントが以下である。
『知ったこっちゃないよ。鼬の最後っ屁はなによりも怖いんだ。なにせその瞬間に全てを賭けるから何が来るか分からない。
獅子も全力で兎を狩る。そこには遊びだの笑いだのが入る余地はない。徹底的に喰らい尽くす』
お前はどこのアマゾンズだ。
ソーナ・シトリーはリアスに惨敗。彼女は数では圧倒的に勝っているはずなのに、リアスの駒を一つも取れなかった。
このSSでは原作と違ってアーシアもギャスパーもいない。だというのに彼女は惨敗したのだ。
これは単にソーナたちが弱かったのか、それともイッセー地獄のおかげか、はたまたご都合か。それは皆様が決めてください。
「…リアス、私の完敗です。どうやら貴女は上級悪魔としても貴族としてもレーティングゲーマーとしても高みにいるようですね」
「そ……そんなことないわよ」
口ではそういうも満更ではなさそうなリアス。
彼女の眷属たちは『全部イッセーのおかげなんだけど……』とでも言いたそうな、冷たい目で彼女を見つめていた。
「……今日で分かりました。どうやら私の夢は所詮きれいごとだと。どうやら私なんかには平民向けのレーティングゲーム学校を作れそうにありませんね……」
「ちょっとソーナ。貴女夢を諦めるの?」
リアスはソーナの背中を摩りながら聞く。
「……はい。私には不釣り合いな夢だってわかりました。だから、諦めることにします」
「馬鹿言わないで!」
リアスは弱気になったソーナの頬を殴った。
「こんな程度で諦める気!?貴女は貴族なのでしょ!?だったらこんな程度で諦めるんじゃないわよ!ねえイッセー!」
リアスはイッセーに話を振るも、イッセーは固い表情で首を振った。
「いいんじゃない、わざわざ辛い夢を見るのことなんてないよ。辛くてやめたいなら降りるのも選択肢の一つだよ」
「「……え?」」
「夢を見るってすごく熱くなって、死ぬ気ですごく頑張れる。そして叶った時はとても充実出来る。けど、それだけじゃないんだ」
「夢を背負うって大変なんだ。夢を叶えるためにはめちゃくちゃ努力しなくちゃいけないし、他の人たちを蹴落とさなくちゃいけないし、理不尽な目に遭って夢をあきらめなくちゃいけないことだってある」
「そういったリスクを背負って夢を追いかけるんだ。それを貫くにはすごい勇気がいるし、知恵や力もいる。夢の実現が難しければ難しいほどそれは必要になる」
「君はそんな険しい道を進む覚悟はあるかい?途中で挫折する恐怖に打ち勝てる強さがある?夢を貫くための実力と知恵がある?」
「そんな険しい道を進むことになるのに、僕は頑張れとか君なら出来るなんて軽々しく口に出来ないよ。第一君のことをよく知らない僕が言っても説得力ないでしょ。
まして君の夢は歌手や芸人になるとかそんなレベルじゃない。悪魔社会の常識を覆すようなことをするような夢なんだから、その程度じゃすまない」
「身の丈に合わない夢を追いかけるのは辛いし何より無謀だ。それでも追いかけるのは諦めを知らない馬鹿野郎か実力を疑わない傲慢野郎ぐらいだよ」
「「……」」
イッセーの言葉に二人の姫さまは何も反論出来なかった。
「……時間は十分ある。ゆっくり考えるんだね。辛くて厳しい身の丈に合わない夢を叶えるために進むかどうかを」
イッセーは少し言いすぎたなと笑いながらその場を去った。