禍の団の二天龍たち   作:大枝豆もやし

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第73話

『ヴァーリ、お父さんはね、優しい王様になりたかったんだ』

 

『なんだよそれ。成りたかったって、諦めたのかよ』

 

『うん、お父さんは昔魔王だったからね。魔王は弱いものを虐める悪いヤツだったから、悪いものたちの王も悪い王になっちゃうんだ。

 だから魔王を辞めたらいい王様になれると思ったけど、現実は甘くなかった。……魔王だった事実は決して消せない』

 

『そっか、それじゃしょうがない』

 

『ああ、そうだね。……本当に、しょうがない』

 

『ああ、しょうがねえから俺が代わりに成ってやる。

 親父は弱い魔王だったからできなかったかもしれないけど、人間と悪魔のハーフなら出来るかもしれないからな』

 

『……けど、悪魔は混血には厳しいんだ。悪魔以外を見下してね、自分よりも強い筈の種族も見下すような頭悪い種族だからね』

 

『だったら力ずくでわからせてやる。俺は悪魔よりも強い白龍皇の力もあるんだ。その力で弱い種族ごと悪魔も支配してやる!

 安心しろ。俺は最大最強の白龍皇と同時に最高最善の魔王にもなるから!

 親父の罪も夢も全部まとめて―――』

 

 

 

 ―――俺が、ちゃんと背負ってやるから。

 

 

 

『あぁ……ヴァーならきっと出来る……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある異空間、そこにはあらゆる異形が集まっていた。

 悪魔、堕天使、妖怪、ドラゴン、修羅…。共通点といえば人外であることぐらいであった。

 国も種族もバラバラ。中には種族的に対立関係にあるモノまでいる。

 しかし彼らは争うどころか楽しそうに雑談をしている。

 

「まだか!? まだボスは三大勢力に戦争をしねえのか!?」

「落ち着け、こうやって俺らを集めたってことはやり合うんじゃねえのか?」

「そうだぜ!やっと俺らがボスのために集まったんだからよ!」

 

 彼らはヴァーリの率いる妖精派の種族たち。

 

 この派閥に入った理由は様々だ。

 三大勢力に恨みを持つ者、今の三大勢力を変えたい者、ボスであるヴァーリのカリスマに惹かれた者、或いは義理がある者、ただ勝ち馬に乗りたい者…。

 様々な種族が様々な理由でこの組織に加入している。

 そんな彼らだが、やることは既に決まっている。

 

 

「ああ、さっさと三大勢力をぶっ潰してえ!」

 

 それは三大勢力の壊滅だ。

 

 しかし、ヴァーリ含む妖精派の上層部は表立った武力行使を今まで行っていない。

 理由は既に分かっているし、大半の者も理解している。

 だが納得はしていなかった。

 

「ボスの奴、まさかビビってるんじゃねえのか?」

「あんなに啖呵切っといて何もしねえのはおかしいよな」

 

 特に、三大勢力に恨みのある者たちは現状に不満を抱き、その我慢もピークに達した。

 妖精派に入っている者のほぼ半分が三大勢力に恨みを持ち、今すぐにでも憎しみを晴らしたがっている。故に、こんな者も多いのだ。

 

「んだとゴラ! テメエふざけたこと言ってんじゃねえよ!」

「そうだ!不満があるなら抜けりゃいいじゃねえか!」

 

 そして、ヴァーリに心酔している者たちはそんな我慢を知らない彼らを軽蔑していた。

 

「ああ?やるのかテメエら!」

「上等だ! オメエみてえな我慢も出来ねえ犬猫並の知能しかない種族なんざぶっ潰してやら!」

「言ったなテメエ!」

 

 また、異種族である以上、こういった乱闘もこの組織では尽きないのだった。

 

 これはヴァーリがだらしないのではない、多種族を率いる以上仕方のない問題だ。

 種族レベルで価値観や意見が違うのだ、馬を合わせるなんてなかなか出来ない。

 そのはずなのだが………。

 

 

『ついにこの時が来た』

 

 その声を聴いた瞬間、乱闘は止まった。

 

 

 

 突如、誰も居ない様に見えるステージらしきものの上から、少年の声が響く。

 コツコツと、無人であるステージから靴音が響く。

 いや、無人ではない。

 暗闇の中から姿を表す様に、霧が少しずつ晴れてくるかのように。

 ゆっくりとその姿が顕になっていく。

 

『よく皆集まってくれた……』

 

 王冠にも似た黄金の角、青空のように澄んだ瞳。

 まるで光そのものを纏うかのように輝く翼。

 純白の装甲に、高エネルギーの込められた宝玉。

 

『俺たちの時代が始まる』

 

 突如現れた純白の鎧を纏う少年を見て、先程まで騒いでいた人外たちの顔に、ゆっくりと喜色が浮かぶ。

 そのその場で片膝をつく。

 

『さあ、反逆の時だ』

「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは天界。かつて聖書の神が創造し、天使共々統治していた空間。その最上階で天使のトップ、熾天使セラフ達が集まって今後のことについて話し合っていた。

 

「……悪魔はもう終わりですね」

「ええ、ですがあれは悪魔側の蒔いた種。我々が干渉するものではありません」

「けどあのまま悪魔が倒れたら今度は私たちが終わります。ここは協力しなくてはなりません」

「……本気で言ってるのか?」

 

 話し合いの内容を具体的に言うと、悪魔たちに協力するか否かである。

 ヴァーリとその協力者たちによって悪魔陣営の信用はどん底、貴族悪魔でさえ愛想を尽かして次々と禍の団に流れている。

 内部でそのような事態になっていて、外部では全く信用が落ちないなどあるわけがない。むしろ逆に悪魔を敵視する声が強まった。

 

「そもそも」

 

 

 天使陣営は滅ぶ寸前……いや、寸前だった。

 天使たちの大半は神の不在をばらされた瞬間に堕天し、天使陣営を抜け出している。

 彼らが忠誠を誓っているのは神と神が運営するシステムだ。決して熾天使たちではない。

 当然のことだ、何故なら彼らはそうなるよう神にデザインされているのだから。

 まあ、そこはさして重要ではない。

 

 

 問題は、神の名のもとに行われた必要悪だ。

 

 

 神は時に残酷な任務を天使たちに与える。

 愛するべき隣人を不幸にし、切り捨て、時には玩具のように扱って捨てることすらあった。

 異教徒の弾圧、聖剣実験、他宗教の宝物の強奪、敬虔な信徒に対する切り捨て……。枚挙に暇がない、

 しかし天使たちは必死に堪えた。全ては神の教えを守るために。

 だがそれらが神の命令ではなかった。

 

 

 瞬間、天使たちは目が覚めた。

 

 

 俺たちのやってきたことはなんだ?

 あれは本当に神の教えに従った行動なのか?

 本当はただの信仰稼ぎと上層部のお遊びで、俺たちはいい様に使われていたのか!?

 

 

 たとえ悪魔や堕天使が憎くても『神の命』に背くことはできない。彼らは涙を呑んで熾天使たちが結んだ和平に従った。

 和平が結ばれた現代でも転生悪魔制度や神器狩りの被害者は減らなかった。

 何千年もの間争ってきたのに突然和平を結んで水に流した。

 自陣営も彼らが人間を見下し、敬虔な教徒を切り捨て、優秀な人材を使い潰してきた。

 

 だが神は不在だった?

 今までの罪は神の御慈悲によって許されたのではないのか?

 そして未だ尚悪魔と堕天使は罪を犯し、熾天使たちはソレを無視しているのいうのか!?

 それだけでなく自身たちも守るべき教徒たちを使い潰し、異教徒の弾圧をおこなっているのか!?

 

 ふざけるな! 俺たちは熾天使たちの道具なんかじゃない!!

 

 こうして天使たちも次々と堕天し、天使陣営から抜け出していった。

 

「だから悪魔との交流を捨てるべきなんだ、早くしないと私たちが巻き込まれる」

「し、しかし彼らは和平に応じてくれるのか?彼らは徹底抗戦を取ると思うが…」

 

 このように意見は真っ二つに分かれている。

 今すぐ悪魔と縁を切ってヴァーリと和睦を結ぶか、抗戦を続けるべきか。

 今のところ現悪魔との関係を続けるという意見が多い。

 彼らは悪魔のトップと個人的な繋がりがあり、その関係を続けたがっている。

 まあ、個人の感情で一族の命運を決めるなって文句が飛ぶと思うけど。

 

「た、大変です!!」

「…何事です?」

 

 突然一人の天使が会議室のドアを蹴り破るように入ってきた。それを見たガブリエルは彼を窘めるような目線を向けたが、彼の言葉を聞いてそれをやめた。

 

「しゅ、襲撃です!ヴァーリ派が急に攻めてきました!!!」

「!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 悪魔、天使、堕天使の領地に新世代悪魔の軍団が押し寄せてきた。

 鬼、悪魔、妖怪、堕天使、ドラゴン…。弱小種族から神霊クラスのヤバい種族まで、あらゆる人外たちが三大勢力軍団を圧倒し、進撃を続ける。

 いや、よく見れば三大勢力に属していた者たち、特に悪魔が多い。

 彼らはゲオルグの絶霧によってあらゆる場所から転移し、魔剣や聖剣などの特殊な装備を武装して。

 

 今の禍の団には創造系の神器を持つものが複数いる。そういったものに武器を量産させることで装備を充実させているのだ。

 他にも様々な陣営をスポンサーに付け、伝説の武器を貸与してもらうことが可能になった。さすがに全員分は支給できなかったが、それでも十分の成果だ。

 霊薬、資金、兵士、その他の伝説のアイテム…様々な物を援助してくれた。

 スポンサー達は出し惜しみなどしない。三大勢力を倒すため一丸となって協力してくれている。

 

「ば…馬鹿な!? 異教の悪魔如きに我ら堕天使が!?」

「何故光の力が効かない!?」

 

 悪魔に光の力が効かない。

 堕天使たちは自身の優位性が崩されることで動揺し、焦り、混乱する。

 そんな状態でまともな戦闘ができるはずもなく、堕天使たちは碌な抵抗もできずに駆逐されていった。

 

 彼らの大半は悪魔たち見下している。

 単純な戦闘能力では悪魔が上だが、堕天使の力は悪魔にとって猛毒。よって同格で殺しあうなら堕天使が勝つことが多々ある。

 そのせいか堕天使たちは錯覚してしまうのだ。自分たちは悪魔よりも優れているのだ、悪魔は自分たちより下位の存在なのだと。

 だがこの戦いではその常識が通じない。悪魔如きと慢心している堕天使は次々と撃墜されていった。

 

 実際のところ、悪魔たちは対堕天使用の装備をしているだけだ。

 光の毒を無毒化する装備。そのおかげで光の力を無力化しているように見せかけているだけである。

 実際はその装備の無毒化作用以上の光を食らわせば突破出来るし、光の力でも物理攻撃は通せるので光の槍は普通に刺さる。

 しかし堕天使たちはそんな簡単なことにすら気づかない。これが節穴アイというものか。

 

「く、クソッ!なんでここが攻められるんだよ!?援軍はまだなのか!?」

「え…ええ。それがここ以外にも悪魔たちが暴れて手詰まりとの報告があります。だからどこまかしこも手一杯のようです」

「おのれ悪魔の分際で!」

 

 指令本部で指令官らしき男が悪態をつく。彼こそがこの基地の最高責任者で、アザゼルたちにこの基地の管理を任されている。

 

「いったい何なのだあの悪魔共は!?聖水も光も効かないし特殊な能力や神器まで持っているではないか!あれは上級悪魔クラスはあるぞ!」

 

そう、この基地を襲っている悪魔たちの大半は上級悪魔の血を引くものか神器などの特殊能力を持つハーフ悪魔である。ただでさえ光の力(アドバンテージ)が消えて不利だというのに、向こうは優位性が認められているのだ。不条理、不公平、理不尽・・・そんな単語が指令の頭によぎった。

 

「大変です指令!悪魔たちがついに基地内部まで侵入しました!」

「な…なんだと!?」

 

 もはやこの要塞が落ちるのも時間の問題であった。

 

 




え~、今回、部下や中間管理職の天使たちがミカエル達セラフの被害者みたいな風に描きましたが、こいつらも悪いと私は思ってます。
神の命令は絶対だ、間違いなんてない、あるなていう奴は異教徒だ死ね! 神の命令は絶対だ、だからお前らも従え、従わない異教徒は悪だ死ね!……こんな感じに見えます。

例えばゼノヴィアとイリナ。コカビエル編で路銀が尽きた際、賽銭泥棒しようとか、異教徒から強奪しようとか提案してましたが、あれってギャグじゃなくてマジでやろうとしてた雰囲気があります。
例えば貴族悪魔。彼らは純血や悪魔という種族を絶対視しており、自分たちより強いドラゴンですら汚らわしいとかほざき、たちの悪いヤツは他の種族を奴隷にしようとしてます。
例えば堕天使。彼らはグリゴリを絶対視しており、妄信のあまりアザゼルが命令してないことも勝手にやる暴走っぷりです。
例えばイッセー、彼はおっぱいのためなら何だってします。それがたとえ犯罪でも、明らかに悪くないものを悪者に仕立て上げてもやり遂げます。

なんていうか、ハイスクールd×dのキャラって全体的に自分の信じることに対して「妄信的」というか、「盲目」というか……。
アレを見てるとハイスクールD×Dの熱血シーンとかも「暴走」って感じがするんですよね。

しかもソレを指摘するようなストッパーもいないんですよね。
皆さんはどう思います?

ハイスクールD×Dのキャラは妄信的ですか?

  • うん、そうだ
  • いいや、そんなことはない
  • 部分的に違うキャラもいる
  • あれは妄信ってレベルじゃない
  • 暴走の間違いだろ
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