しかも暗示のせいで両親おかしくなってるし…。じゃなきゃ裸エプロン見て元気が出るなんて言わねえよ。
そのせいか、原作でもイッセーの正体を両親が知っても、洗脳されているから受け入れたとしか思えませんでした。
みなさんはどう考えます?
「…おい、なんであんたがの家にいる?」
一旦帰って目が覚めると、僕のベッドにあの赤い髪の女がいた。
朝っぱら最悪な目覚めだ。身体だけはいいが中身は好かん。なんでこんな女が人気なんだ?悪魔なんて姿変え放題なんだから誰かコイツ以上の美人になれよ。
「起きろ!」
「きゃ!?」
隣で全裸になっている痴女を蹴って起こす。
いつまで人のベッドで寝てるんだ!? 僕の安眠を妨害しやがって!
「あら、ずいぶん手荒い起こし方ね」
「うっさい。テメエみたいな痴女には十分だ」
「・・・痴女なんてひどいわね」
「他人同然の男の前で全裸になれるような女を痴女以外になんと呼べと?」
色っぽく笑うが僕には響かない。むしろさらにイラつくだけだ。
「そ…そんなに怒らないでよ。泊めてくれたのは貴方の両親でしょ?」
「・・・ふざけんな。人の両親を洗脳しておいてよく抜け抜けとほざけるな」
そう、この女は俺の両親に暗示なんて洗脳紛いの脅迫をやりやがった。
悪魔は暗示といって、魔力的な抵抗力のない一般人に自分のいうことを聞かせる魔法がある。たとえどれほど現実味がなくても、一般人は悪魔の言われた通りにしてしまう。
よく使われる手法は記憶をなくすことだ。
悪魔たちの下らない利権争いなどに巻き込まれ、死んだ人たちは悪魔の存在がバレないようにするために存在を消されてしまう。
影が薄いから意識されないなんてものじゃない。冗談抜きで全部忘れ去られてしまうのだ。家族や友人や恋人からその人に関する記憶をすべて消し、戸籍や住所などの記録も全て消してしまう。
その人が生きてきた証、その人の人生を全て消してしまうのだ。これがどれだけ残忍なことなのか、普通ならば理解出来るだろう。
そんな恐ろしいことを平然と行えるこいつらが僕は嫌いだ。たとえ人が死んでも全部消してなかったことにすればいい。そんな考えだから堕天使には勝手に神器狩りをやられ、はぐれ悪魔は侵入し放題やり放題なのだ。
逆に違うというのならば教えてほしい。どこが違うのかと。
死を偽造するのならいくらでも方法はある。事故をでっちあげるなり、行方不明にするなり。自殺や病死にするなり。こんなものは悪魔たちの技術でも可能だ。
けど悪魔たちはそれをしない。面倒だからという簡単な理由で。だからその人がいた証を消して全部なかったことにしている。
これで人間と共存している気になっているのだら逆に笑える。やはりお前らは人間と分かり合う気など欠片もないのだなと。
「けど仕方ないじゃない。昨日は部活で帰りが遅くなったのだから。普通なら怒られても仕方ないのよ?」
「関係ない。自分の両親に怪しい術をかけられて怒らない子がいると思うか?」
両親に怪しい術をかけられたら誰だって切れると思う。現に僕はこいつが何か魔法を使おうとした途端、彼女の胸ぐらを反射レベルでつかんだ。
セクハラとかそんなの知るか。あの状況なら誰だってそうする。優等生だろうが不良だろうがそうする。
「とにかく、もう二度と僕の両親にそんな術を使うな。使うと本当に何するかわかりませんよ」
「そうは言ってもね、これから貴方は私たちにかかわる以上、色々と常識を超えたものとかかわるのよ。その度にどうするの?」
「……僕には口があります。話せばわかってくれる」
今までそうやってきたのだ。これからも僕はそうして生きていく。
「そんなこと言っても仕方ないじゃない。これから私と関わる以上、悪魔のルールを守ってもらうわよ」
・・・だから僕の両親を洗脳するっていうのかこの女は?ふざけんなよ。
そんなことをしてしまえば、もう二度と僕はこの世界に戻れない。・・・口からのウソならばいくらでもつけるが、この日常だけは嘘にしたくない。
「最初から言っている通り、僕は悪魔になるつもりはない。一生人間として生きていく」
「…強情ね」
少し強めにいうと、あきらめた様子でそういった。
クソが。なぜ僕がこんな役回りなのか。
「…眠い」
夕方ごろ、町に放した精霊から報告を受けて、とてもとても貴重な睡眠時間を削ってとある家に向かっていた。
報告とははぐれエクソシストが出たというものだ。
はぐれエクソシストとは、教会から追放、あるいは逃亡したエクソシストになった者たちだ。
どういった理由で追放されたのかは知らんが大半は殺しの味を占めて殺戮に溺れた者が多いと聞くが…本当にそれだけかは不明だ。
まあ、僕や組織の者が会ってきたはぐれエクソシストは全員殺戮狂だったが。
話を戻す。そんなやばい人間を放っておくわけにはいかないので僕が直々に向かった。
まったく、なんでこのタイミングで来るんだよ。今まで来なかったのに。
『なあ相棒、なんでお前が行くんだ?これはリアス・グレモリーの仕事だろ』
「あいつに任せられるか。また犠牲者が出てしまう」
あんな無能に任せられるか。この町は僕たちの町だ。だから自分たちの手で守る。三大種族?あんな劣等種族はいらん。帰れ。
「
ダンタリオンの力を借りて自分の姿を幻で包み込む。どんな姿かはダンタリオンにお任せだ。
彼(性別は不明だが)のことだ。ちゃんとした姿にしてくれるだろう。
早速扉を破壊して中に入る。すると、早速敵が目についた。
「わざわざ布教活動ごくろうさま神父さん。けど、不法侵入はいささかやりすぎではないですか?」
「・・・何もンだあんた?」
いやな気配の正体は神父服を着た白髪の少年だった。年は僕たちと同じぐらいだろうか。
「…なんだお前?悪魔みたいなにおいと人間…いや、ドラゴンや別の種族も混ざっている。・・・さてはお前、混ざりものだな?」
「さあな」
・・・コイツ、以外と勘がいいな。もしかしたら幻影もばれるかもしれない。もう少し出力を上げるか?
「ま、どっちでもいいか。見られたからには死んで・・・うお!?」
白髪は何処かから光の剣を取り出し、僕に振り下ろそうとする。なので僕はダンタリオンの能力で煙の幻影を相手に見せて動きを封じた。
「そこか!」
白髪が虚空に袈裟斬りにする。馬鹿め!それは僕の幻影だ!
今のうちに敵の懐に飛び込み、フルフルの力をほんの一部だけ借りる。白髪の首に触れて、至近距離でスタンガンのように電撃を食らわせ無力化させた。
「あぐ!?」
白髪が気絶したので蔓を取り出して拘束する。
この蔦は冥界でとれた植物を僕が改良に改良を重ねて作った自信作だ。たとえ象でも縛り上げることができる。
「…ずいぶんあっけないな」
相手は普通の人間の上、いきなりダンタリオンなんて初見殺しのような能力を使ったのだが。当然の結果といえばそうか。
「さて、コイツを連行して詳しい話を聞くか。・・・ん?」
誰かがこちらに近づく。数は全部で3つ。2つは人間、もう一つは悪魔だ。
人間と悪魔がそれぞれ一階のリビングから、人間の気配一つが上からくる。
おそらく人間と悪魔はグレモリー眷属とその契約者、人間一人はこの白髪の仲間だろう。
さて、どうやって言い訳しようかと考えていると・・・
「イッセーさん?」
「…アーシア?」
思いもよらぬ人と再会してしまった。
なるほど。これはあまりにも予想外だ。まさか昨日の今日で再会することになるとは。
うん、それだけでも驚きなんだけどもう一つ驚くべきことがあるよね?
「・・・アーシアさん、もしかして僕の変装見抜いてます?」
「え?変装?」
・・・ダンタリオン、もしかしてお前僕を僕の姿した幻影で包んでいるだけか?
いやいやいや。まさかそんなことあるわけないよね?そんな無駄ないじわるしないよね?
確認するため置いてけぼり状態の塔城小猫に目を向ける。僕たちだけで勝手に話進めてごめんね。あと彼女の後ろで震えているここの家主さんも。
「ねえ塔城小猫さん、僕はどう見える?」
「イッセー先輩何者でもありません」
まるで馬鹿を見るかのようにいう塔城小猫。彼女の後ろにいる男性も『え?変装してるの?』といった目で俺を見ていた。
・・・ハイ確信。やっぱダンタリオンは無駄なことしてました。
「(おいダンタリオン。どういうつもりだ)」
『(イッセー様のご尊顔を私の醜い幻影で隠すなどもったいない!)』
「・・・」
帰ってきたあんまりな答えに僕はがっかりとうつむく。
なんだよこの
「それで、こいつはどうするの?」
「もちろん部長に突き出します。・・・それにしても駆けつけるのが早かったですね。まさか隠した能力でもあるのですか?」
怪しんだ様子で僕を見る塔城小猫。
「違うよ。テクニックで電気を操って、電波にして敵を捜索してたんだ。そしたら偶然怪しい電波を感知してここに来たんだ」
「・・・そんな使い方も出来るのですか!」
嘘ですよ。騙されてますよ塔城小猫。本当はシルフを飛ばして情報収集させたんですよ。
もちろんフルフルを使ったやり方でも情報収集は出来る。しかしこれはかなり面倒なのであまり使わない。使うならフルフルを召還させてやらせている。
「では次の質問です。…その子とはどういう関係ですか?」
「昨日道案内してやったシスターだ。昨日のことなのに覚えてない?」
特に隠す必要がないので正直に言う。
できればアーシアの存在は隠したかったのだが仕方ない。別に知られてもまだ打つ手はあるし。ていうか計画は明日だし。
「・・・」
僕を訝しむような眼で見る塔城小猫。こいつ、僕のことを疑ってるな。
彼女の判断は正しい。僕は決して間違ってはない。僕だって敵と仲良くしているなら疑ってしまうし、どういうことだと聞いてしまうだろう。
「…貴方が何者だろうと私は気にしません。ですが、もし私たちに危害を加えるなら容赦しません」
「・・・そう。僕も別に君と仲良くしたいわけじゃないし」
いつもならばここで仲良くなるような言葉を吐くのだが、今は眠いのでそんな気概はない。
僕はまだ高校生なんだ。常に営業モードでいられるほど出来ちゃいない。許してくれ。
塔城小猫は白髪を引きずりながら去っていく。僕も帰ろうとすると、突然振り返って質問してきた。
「そういえば今日はサボりだったそうですね。一体何をしてたんです?」
「寝てたんだよ。お前の上司が人の部屋に無断で入ってったせいで安眠出来なかったんだ」
「・・・え?」
僕の返答に塔城小猫はハトが豆鉄砲を食らったよな顔をした。
大方油断したとこを突いて本当のことをしゃべらせる魂胆だったんだろう。けど僕には通じないよ。その手は僕もよく使ってるからね。家に帰って寝るまでが戦いだ。
そして僕はさらに君の上をいく。君たちの身内の非をついて、さらに場の空気を有利にするのだ。
「しかもご丁寧に全裸になってね。大方色仕掛けで僕をたらしこもうって魂胆だったろうけど僕には通じないよ」
「は…はあ。すいません」
「おかげで学校に行く気がしなくなったよ。家にいても母さんがいるし。一日中気分悪い状態だよ」
「・・・すみません。本当にすみません」
ペコペコと謝る塔城小猫。この子いい子やな。だけど腹芸ではいい子はすぐに脱落するんだよ。
「じゃあねアーシア。必ず迎えに行くよ」
「・・・え?」
それだけ言って、僕はその場から去った。
すでに準備は整ている。後はあいつがしくじらないように祈るだけ。