学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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Ace19話:正義のサバキ─怒り

 近付く。

 おぼつかない足取りで、一歩ずつ近付く。

 

「ブラン、なのか……!?」

「……何だい、君は。儀式のジャマだよ」

 

 俺の声が聞こえたのか、少年が振り返る。

 ついに目が遭った。

 おぼつかないが、日本語が喋れるのか。

 

「……ああ。通じてるようだな。やはり日本人か」

「……テメェは、何だ?」

「彼女の……ブランの知り合いかい? フフッ」

 

 俺は睨みつけた。

 表情も何もない。

 眼球をカッ、と開いてただただ小さく何かを呟いている。

 

「ブラン? 何で、お前が……!」

『ブラン殿の反応……間違いないであります。でも、意識を失っているようでありますよ』

 

 じゃあ、本当にブランなのか。

 だとしても、だ。

 何であいつが此処に居るんだよ?

 

「何でだよ!? ブランが何でこんなところに!?」

「何だい? 彼女の知り合いかい?」

 

 少年は、にたにたと笑みを浮かべた。

 

「残念だけど……彼女はもう、二度と君の知っている彼女には戻れないよ」

 

 一瞬で俺は沸騰した。

 

 

 

「テメェかッッッ!!」

 

 

 

 地面を蹴った。

 拳を握り締める。

 それは驚くホドに冷静な相手の少年に受け止メられ、俺はそのマま流されて地面へ倒れ込んだ。

 だけど、負けじと起き上がり、胸倉をツかム。

 止まラなイ。

 煮えたギるよウな怒リが。

 頭ガ、沸騰したまま音を立テて止まらナイ──!!

 

「ッ……!」

「……不躾だな。いきなり殴りかかるとは。世界を救う男、ロード・クォーツライトに対し──」

 

 黙レ。

 黙レ黙レ黙レ──

 

「──!!」

「っと、もう1発見舞ってくるとは……!!」

「ッ……!!」

「彼女はもうブランであって、ブランじゃない。僕が今復活させるドラゴン……サッヴァークの最後の生贄──」

 

 

 

 ”知 ら ね え よ”!!

 

 

 

 最後まで聞かずに俺は頬にありったけの拳を叩き込む。

 倒れ込む相手の身体。今までの人生で、一番重い一撃。

 そこで我に返る。

 ブランは!? あいつを助けないと……!!

 咆哮し続けるドラゴンとブランに駆け寄る。

 

「聞こえるか、俺だ、耀だっ、今助けるぞ!」

 

 

 

「無駄だよ……何を言っても聞こえやしないさ」

 

 

 

 次の瞬間だった。

 ドラゴンの仮面が光る。

 俺の身体は宙に浮くと──吹き飛ばされた。

 再び立ち上がり、俺はロードにとびかかる。しかし。今度は見えない壁のようなものにぶつかって弾かれてしまった。

 

「ッくそぉ……!」

「エリアフォースカード2枚だけじゃあ、この障壁は突破出来ない。残念だったとしか言いようがないね」

「っ……この……!」

 

 俺に、おびえた様子の紫月が駆け寄ってきた。

 

「先輩……!!」

「あの野郎ッ、ブランをどうするつもりだッ!」

「っ……先輩」

「許さねえ……絶対ェに、許してたまるもんかよ! ブランが、あいつがこれ以上傷ついて良い理由なんて何処にもねぇんだよ!」

 

 ぶっ飛ばす。

 絶対にぶっ飛ばしてやるぞ。

 ブランが……どうして、ブランがこんな目に遭わなきゃいけねえんだよ!

 

「さっきも言った通りだけど? 僕は全世界の人類を救うために、今こうして立っているんだ」

「ああ!?」

「そのためには、人類の原罪を裁く必要があるんだ。分かるかい?」

 

 意味が分からない。

 何言ってんだコイツ。

 

「そんな訳の分からねえ事のために、ブランを──!!」

「そうだ。人間には生まれ持った罪を一生抱えているからね。それがある限り、人間は一生幸せになれやしない。だから、僕が人類を裁いて原罪から解き放つのさ」

「知ったこっちゃねえよ!!」

 

 そんなふざけた理想、俺には届きやしねえ。

 譲らねえよ。絶対に。

 

「仲間は絶対に譲らねえ!! ブランを、ブランを返しやがれってんだ!!」

「……先輩を、返してもらいます。私達の、ブラン先輩を」

「馬鹿だねえ。君達も僕の救済の対象だというのにさあ」

 

 彼は肩をすくめた。

 

「まあ、どうせ無駄だけど? 儀式が終わるまでもうすぐだから、それまで待っていてよ」

「待てるかよ!! ダンガンテイオー!!」

「壊しなさい、シャークウガ」

 

 ともに戦線を張る事が多いダンガンテイオーとシャークウガの相性は最高だ。

 シャークウガが魔法陣を生み出し、無数の弾幕を障壁にぶち当てる。

 そして、弱ったであろうその障壁に、ダンガンテイオーが大上段に振りかぶって刀を叩きつけた。が──

 

『びくともしないであります!?』

『ウッソだろオイ!?』

「ははははははは!! サッヴァークの力は、覚醒前なのに凄まじいなあ!! 全てを通さない絶対なる盾!! まさに、全てを裁く審判の龍に相応しいよ!!」

 

 高笑いを上げるロード。

 俺達は歯を食いしばる。

 どうする白銀耀。どうする白銀耀。

 このままじゃブランが危ない。あんな頭のおかしい奴の好き勝手にこれ以上させてたまるか!

 

 

 

「おらあああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

 

 俺達は上空を見上げた。

 そして、それはズドォン、と洒落にならない速度で落下する。

 その場に煙が舞った。

 何かが降ってきたのだ。またクリーチャーか? と思い、臨戦態勢に入る。

 こんな時に──と思った矢先。

 

「ゲホッ、ゲホッ、エホッ……」

 

 煙の中から聞こえたのは……咳き込む音だった。

 見ると、”罰怒”ブランドのボードらしきものが地面に突き刺さっている。そこに倒れ込んでいる2つの影。

 

「もぉーっ!! 何でこうなるのかなぁーっ!!」

「仕方がないだろう……重量オーバーだ」

「あたしが太ってるって言いたいの!?」

「そういうわけではない! ……しかし、此処が祭壇という場所か?」

 

 砂煙が晴れた。

 地面に膝をついてはいたが、そこにあったのは火廣金と花梨の姿だった。

 

「火廣金!? 花梨!?」

「すまん部長、遅れた。空中から妙な祭壇が見えたから、此処を狙って着陸しようとしていたのだ。幸い、クリーチャーと遭遇しなかったのでな、まだ全力で行けるぞ」

「……すみません、先輩方。それよりブラン先輩が──」

 

 火廣金とブランが祭壇の奥にある光を睨む。

 

「そんな……!? 何でブランが!?」

「イギリスから此処まで連れてこられたのか? とんだトンボ帰りだが……あの男が黒幕のようだな」

「っ……まさか、まだ増援が居たとはね。このロード・クォーツライトの断罪の裁判を傍聴に来たのかい?」

 

 零すロード。

 ブランが捕らえられていると知るや否や、2人は身構えた。

 最早火廣金も花梨も手加減をするつもりはないらしい。

 

「……嬉しいだろうねえ、彼女も。こんなに仲良くしてくれるオトモダチが居るんだもの。だけど、駄目だよ。彼は、僕の理想の下でしか幸福になれない」

「……あんたは許さない。絶対に」

「レディの扱いがなっていないな。少し躾が必要なようだ」

 

 ”罰怒”ブランドが実体化する。

 守護獣が目覚めていない花梨だったが──それに、戦車のカードをあてがった。

 彼の周囲の炎が、加速する。

 

「”罰怒”ブランド!!」

「シャークウガ」

「ダンガンテイオー!!」

 

 飛び掛かる3体。

 エリアフォースカード2枚でダメなら、3枚ならどうだ!!

 叩きつけられる一撃。

 

 同時攻撃が、障壁を叩き割る。

 斬撃。砲撃。打撃。全てが合わさり、決定打となったのだ。

 しかし──

 

 

 

「邪魔だって言ってんだよ」

 

 

 

 ──鳴り響く雷鳴。

 それにシャークウガと”罰怒”ブランドが打ちのめされた。

 吹き飛ばされたのは、紫月や火廣金、花梨も同じだったようで、閃光が晴れた頃には皆横たわっていた。

 

「皆……!!」

「だ、大丈夫……!」

「白銀先輩! 前を! あのドラゴン、普通ではありません!」

『尋常ではないであります!! 殺そうと思えば、此処に居る全員、今すぐ皆殺しに出来るであります!!』

『咄嗟に張った障壁が完全にぶっ壊れやがった……次はねえぞ』

「っこのぉっ……!! 化け物……!! どんだけ強いの!?」

『マスター。それに、嫌な予感は的中したでありますよ!!』

 

 ダンガンテイオーが刀を掲げた。

 雷鳴に打ち砕かれ、ボロボロになった刀を、だ。

 凄まじい威力であることが伺える。

 だが、それ以上に彼は嫌な予感とやらに衝撃を隠せないようだった。

 

「何だと……!?」

『やはりこの気配、あのドラゴンの体内には……ブラン殿のエリアフォースカードを感じるであります』

「嘘だろ!? じゃあ、どうして!? ワンダータートルは何やってんだよ!?」

『……ワンダータートルの気配は、全く感じないであります』

 

 ぽつり、と言ったダンガンテイオーの言葉。

 俺はハンマーで殴られたようだった。

 

「おい、どういうことだよ……!?」

『エリアフォースカードの魔力のリソースは、全てあのドラゴンに注ぎ込まれているであります。これは……我々守護獣というストッパーが居る場合、起こりえない事なのでありますよ』

「……なあ、まさか。そんな事は無いはずだ。あのワンダータートルだぜ!? あいつが、そうそうやられるわけがないだろ!?」

『我も、そうは考えたくないでありますよ!! 我だって、ワンダータートルの強さは嫌という程知っているであります!! 死ぬなんて、有り得ないであります!!』

 

 

 

「殺したよ」

 

 

 

 彼は淡々と言い放つ。

 煙の中から現れたロード。

 そして、サッヴァーク。

 その仮面からは、雷鳴が迸っていた。

 

「……殺した……!?」

「ああ。その守護獣の言っている事は正しい。サッヴァークを制御するための理性を司るのがブランの正義(ジャスティス)のエリアフォースカードだ。君。ワンダータートルの事を知ってるのなら分かるよね? 彼がもし居るのなら、サッヴァークが此処まで成長出来て無いよ」

「……何で」

 

 ワンダータートル。

 ブランの助手として、相棒として。

 そして俺達の爺ちゃんみたいな存在で。

 厳しさの中に朗らかさのあったあいつが。

 いつも、俺達を影ながら支えてくれたあいつが。

 俺は一歩踏み出した。

 そして思い返した。

 俺は知っている。昔、1人っきりだったあいつの事を──

 

 

 

「ワンダータートルが、簡単に死ぬわけねえだろ!!」

 

 

 俺は言い切る。

 言い切らなければ、最早立つ事など出来なかった。

 今の俺に、ワンダータートルの死まで受け入れる事など、出来る訳が無かった。

 ふざけんな。ふざけんなよ。

 こんな目に遭って、心の支えも失う。

 俺達の見てない所で、何で──!!

 

「いずれ、全ての人間は救われる。彼女が幾ら悲しもうが、もう些細な問題なんだ」

「そんな事、出来る訳がありません」

「出来るさ。サッヴァークの力は、人間を断罪する力だ。その本質は、全ての人間の意識をサッヴァークと統合すること」

『有り得ないでありますよ。幾らドラゴンでも、たかだか1体で全世界の人間の意識を統合させるなんて無理であります!』

「……ああ。サッヴァーク1体ならね」

 

 彼は笑みを浮かべた。

 あたかも、まだ何か残しているかのような言い方だ。

 

「魔女狩りめ……ふざけるなよ……!!」

 

 火廣金が振り絞るように言った。

 

「俺達の同士を……魔導司を何人も殺した罪。償っても償いきれんぞ」

「残念だが……既存の倫理観は全てサッヴァークの下に白紙になる。世界中全ての法は、僕とサッヴァークの前では無力だ」

「……そんなに、大層な事なのか。お前の断罪は」

「君達は、実に馬鹿だな。この世は悪意と欲望で満ち溢れている」

 

 サッヴァークが吼えた。

 雷鳴が迸る。

 

 

 

「搾取だらけの世の中じゃあ、一生人類は幸福になれない!! 僕達は数百年かけて、理想の世界を目指してきたんだ!」

 

 

 

 彼はほくそ笑んだ。

 そのためには、あらゆることは些細な犠牲に過ぎないと吐き捨てた。

 

「何で、ブランを……!!」

「彼女が僕の幼馴染だからさ」

「──んだと」

「そう……僕に警戒せずに近付いてきた、”幼馴染の”ブランはとても都合が良かった……どうせ彼女も幸せになるんだ。この程度、些細な事だよ」

 

 幼馴染。

 その言葉にぎょっ、としたのは花梨だ。

 

「……うぅ」

 

 今にも、泣き出しそうになっている。

 紫月の目の色が変わっている。火廣金が今にも飛び掛かりそうな勢いだ。

 拳を握り締めた。

 今までになく強く、強く、強く握り締めた。

 唇が渇く。頭の内側が焼け付く。

 髪が逆立つような苛立ち、胸の奥底から絶叫したくなるような燻り。

 

「二度と、あいつの事を幼馴染だなんて言うんじゃねえ」

「ん? 何度でも言うよ。彼女は僕の幼馴染だ。昔イギリスに居た時、よく遊んだものだよ。彼女は僕の事をイギリスでの親友だと思っていたんだろうが……僕の理想には同調してくれなかったね。残念だ」

「裏切ったのかよ。人をなかなか信用しなかったあいつが、親友とまでお前を呼んだ……なのに、何で裏切ったんだよ」

「今も昔も、僕は彼女の味方なんだけどねえ」

「どの口が、抜かすんだ。よくも……!」

 

 もう一度俺は踏み込んだ。

 サッヴァークの電撃の圏内だと分かっていても、俺はもう1度あいつを殴って、殴って、殴らなければ気が済まナカった。

 皇帝のカードも熱を帯びた。

 

 

 

「……部長、”戦え”!」

 

 

 

 火廣金が、起き上がっていた。息も絶え絶えに彼は絶叫した。

 

「”戦わなければ”、或瀬を救う事など出来やしないぞ!」

 

 腸が煮えたぎる。

 歯を食いしばって、怒りに耐えた。

 そうだ──此処で突っ込んでもダメだ。

 俺は、俺に出来る何時もの事をやるだけだ。

 

「言われなくても、分かってらァ」

 

 エリアフォースカードを掲げる。

 そうだ。拳を握り締めても仕方ない。

 俺が出来ることは唯一つ。デュエルしかないんだ。

 

「ロード。今のお前がどんなに理想を語ろうが、関係ねえんだよ。お前は俺達の大事なものを奪った。俺の仲間の大事なものを奪った。そんな奴の吐く夢物語、俺には届かねえ」

 

 彼は目を細めた。

 

「……ブランの友達……って言ったね。最後に名前を聞いておこうか」

「俺は白銀耀……鶺鴒高校2年生、デュエマ部部長。ブランは……俺の部員だ」

 

 彼の手から、1枚のカードが掲げられる。 

 エリアフォースカードだ。

 

「じゃあ、白銀耀。最後に君の力を借りるとするよ。サッヴァークは、デュエルという正当な手段を踏んで最後の覚醒を行う」

「させねぇよ。テメェも一緒に叩き潰す」

 

 サッヴァークが吼えた。

 

「……審判(ジャッジメント)起動。今こそ裁きの時だ、サッヴァーク」

『Wild ……Draw……ⅩⅩ……JUDGEMENT!』

 

 空間が開かれる。

 浮かび上がるのは、審判のアルカナ。

 だが、俺も遅れは取らない。ダンガンテイオーが頷き、刀を構えた。

 俺は振り返る。横たわる花梨と紫月。ボロボロな火廣金。

 今、俺達の為に戦ってくれている黒鳥さんに桑原先輩。

 そして……今も目の前でサッヴァークに取り込まれようとしているブラン。

 

『マスター!! ……あいつ、許さないであります!!』

 

 そして──隣で戦ってくれる相棒。

 ロードは孤独な奴だ。恐らく目的の為なら、何もかもを躊躇なく切り捨てるだろう。

 だけど……俺は違う。

 俺の戦いは、いつも俺1人の戦いじゃなかった!!

 

「頼むぜ、ダンガンテイオーッ!! 皇帝(エンペラー)、起動!!」

『Wild draw Ⅳ――EMPEROR!!』

 

 空間が開かれる。

 今から行われるのは、全ての当たり前を賭けた戦い。

 そして──俺の大事な仲間を取り戻すための戦いだ!!

 

 

 

「──ブラン、待ってろ。今助けだすからな!」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「ねえ、どうする……あたし達……!」

 

 言い出したのは花梨だった。

 このまま見ている事は出来ない。

 しかし、耀とロードは愚か、囚われているブランもサッヴァーク諸共空間に入ってしまった今、こちらに出来る事は無いように思えた。

 

「どうにかして……ブランを助けなきゃ……あたし達に出来る事、無いの!?」

「あれば今までもやっています」

「……いや、出来るかもしれない」

 

 火廣金の言葉に、花梨と紫月が驚いたように振り向いた。

 

「実は、エリアフォースカードには、とある仕様があることが分かった」

「仕様ですか」

「な、何なの!?」

「不法にその支配が解かれた時のために、エリアフォースカード同士である程度干渉できるようになっているとのことだ」

「そんなことできるの?」

「思い出せ。今までもエリアフォースカードが、エリアフォースカードに対して反応したり、共鳴したことがあったはずだ」

「あっ……!」

 

 花梨は思い当たった事を率直に口にした。

 

「あたしの戦車……!」

「そうだ。皇帝は、戦車の暴走に対して少なからず共鳴していた。エリアフォースカードの強い働きをエリアフォースカードが感知出来るのであれば、同様に俺達が強く働きかければ、或瀬のエリアフォースカード……正義に何か干渉出来るのではないかということだ」

「出来ると思いますか、シャークウガ」

『やったことがねえから何とも言えねえ。だけど……やってみる価値はあると思うぜ』

 

 紫月も、花梨も、頷いた。

 火廣金は顔を険しくした。働きかけが出来る。

 それだけのことだ。だが、それでも何もしないよりはましに思えた。

 その証拠に──

 

『もし、亀の爺さんが死んだとしても……エリアフォースカードは少なからずブランを認めていたんだ。俺らじゃなくて、俺らの主たるエリアフォースカードが呼びかければ、まだ何か応えが出るかもしれねえんだよ。だって、守護獣が死ぬなんて不義理……正義が簡単に認めるのかってな』

「出来そうですか」

『今なら……エリアフォースカードに、十二分な力が働いている今なら出来るはずだ。特に、俺と魔術師ならな』

「つまり、鍵はシャークウガということか」

「……分かりました。任せます」

 

 紫月はエリアフォースカードを握った。

 

「ブラン先輩は……私にとって、初めて仲良くしてくれた先輩でした」

「紫月ちゃん……うん。あたしにとっても、高校に入って色々あったけど大事な友達だもん。このままにしたくない」

「……魔力は、俺が補充する。ロードが、デュエルに集中している今がチャンスだ。行くぞ」

「……うん!」

「はい、やりましょう」

 

 魔術師と戦車が光り輝く。

 その背後で、魔導司が魔法陣を展開した。

 全ては、掛け替えのない友を救うため。

 出来る事をやるのみだ。

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