学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】 作:タク@DMP
──俺とシー・ジーのデュエル。
手札が手元に現れ、シールドが何時ものように浮かび上がる。
何時もと違うのはデッキの右に裏が白い謎のカードで置かれたゾーンが存在することだ。
「超
あいつも同じようにして、白いカードで束を構成した。
あれは超ガチャレンジゾーンって言うのか。
超次元ゾーンみたいにデッキの外に用意するカードの束ってことは分かるが……その仕様を探る間もなくカードの束に電子ロックのような拘束が仕掛けられる。
「な、どうなってんだ!?」
「お爺ちゃん! 超
「どうやって出すんだよ!?」
「今は普通にデュエマしててください! 私はこれ直さないといけないんで!」
「とにかく、今はやるしかない……2マナで《ヤッタレマン》を召喚! ターンエンド!」
手札にはあまり使ったことのない自然のジョーカーズが見られる。
どうやら未来の俺が使っていたデッキの1つらしいが、どうやって戦うんだ?
見た所、唯のビートダウンだから出せるクリーチャーを出して行くしかない。
「私のターンだな。さて……どちらが超GRの力を使いこなせるのか。命題の答えは既に決まっている」
『
エリアフォースカードが恐らく隠されているであろうデバイス。
それを白い山札の上にかざす。
「超GR、アンロック」
直後、シー・ジーの電子ロックにパスコードが埋め込まれ解除された。
宙に舞う12枚のカードが円を描いて回転し──大穴を作り上げた。
そこからバトルゾーンへ何かが降り立つ。
「さあ、教えてやろう。これが、お前のまだ見ぬデュエル・マスターズだ。何も分からぬうちに敗北しろ」
「な、何だ──!?」
「GR召喚……《アネモⅢ》」
禍々しい気が周囲を覆った。
何だ、これ。
大層な口上に反して現れたのは草の蔓が絡まった異形。
ハート形にそれは花を咲かせ、中央にICチップのようなものが座している。
「インチキであります! マナはまだ2枚、しかも自然マナは無いでありますよ!」
「不正? その命題は偽だ。これはGR召喚。GRゾーンから、オレガ・オーラに憑依させる憑代を呼び出す」
「オレガ・オーラ……!?」
「その通り。電子化されたクリーチャーのデータだ」
シー・ジーが取り出したのは横向きのカードだ。
それが突如現れた《アネモⅢ》のカードに重ねられる。
何なんだこれは? 一体何が起こって──
「《*/
チップを通して横向きのカード、オレガ・オーラから一つ目の異形が現れる。
全身棘だらけで、鍵爪を生やした奇怪なクリーチャーだ。
しかし、元がデータだからか所々ブツブツと途切れ気味だ。
「何なんだよコイツ……ん?」
……待てよ、にしてはこいつ初めて見た気がしないよーな……。
「気を付けてください、お爺ちゃん!」
アカリの声がまた飛んで来る。
お前、タイムマシンの修理は大丈夫なのか?
だけどアドバイスはありがたい。しっかり聞いておこう。
「オレガ・オーラはGRクリーチャーの上に重ねられて、初めて1体のクリーチャーになるんです!」
「GRクリーチャーにGR召喚、もう訳分かんないんだけど!?」
「所謂クロスギアみたいなものです! でも、クロスギアとは違って、装備される側のクリーチャーを超GRゾーンから直接呼び出すことも出来るんです!」
成程、何が出て来るか分からないが装備元を用意できる
なかなかに厄介なカードタイプだ。
つまり、呼び出すGRクリーチャーはランダムな代わりに、下のクリーチャー次第ではそこらのクリーチャーより厄介なものが仕上がるってことか。
「しかも《チュパカル》はオーラのコストを1軽減するんです!」
「一番隊と同じ効果か。放っておいたら厄介だが……かと言ってあいつ、どうやって退かすんだ!?」
「普通に除去すれば大丈夫です、落ち着いて!」
「なら、こっちもお返しだ。1コスト軽減、3マナで《ガチャダマン》召喚だ!」
現れたのはガシャポン玉のようなクリーチャー。
その時、
「超GRゾーンのカードは全部で12枚、同じカードは2枚しか入れられません! 何が出て来るかはランダムです!」
「まさにガチャか。見様見真似だが……やるしかねえ!」
『
「超GR、アンロック!」
電子ロックが解かれ、12枚の白いカードが宙へ飛んで行き、サークルを作り上げる。
そこから1体のクリーチャーがバトルゾーンへ現れた。
「《ガチャダマン》が場に出た時、GR召喚する! 《バツトラの父》を召喚!」
現れたのは──全身が機械になったような《バッテン親父》。
成程な。こんな感じで「GR召喚する」という効果を使うと、超GRゾーンの上から1枚が場に出て来る訳か。
「《ガチャダマン》の効果で俺のGRクリーチャーは皆マッハファイター……結構強いなコレ!」
「でもパワーが足りないであります。《アネモⅢ[+チュパカル]》のパワーは3000、《バツトラ》は1000しかないでありますよ!」
「だけど3ターン目で既にこっちのクリーチャーは3体。このペースで並べていきゃあ、物量で圧殺出来る!」
「物量で圧殺。野蛮人の発想だな」
「あーっ!? 誰が野蛮人だ!」
「タダのGRクリーチャーが、オレガ・オーラの憑依したGRクリーチャーに勝てる訳が無いだろう」
カードを引いたシー・ジーは2枚のマナをタップする。
マナゾーンに置かれているのは闇のマナだ。
「教えてやる。オレガ・オーラは、重ねれば重ねる程強くなる。この命題は真だ」
「重ねる……!? そうか、装備カード……!」
「《幽影 エダマ・フーマ》を《アネモⅢ》に
怪物の姿は、黒い影に覆われたことで変化する。
カメレオンと忍者が組み合わさったようなクリーチャーだ。
そして、それに合わせて《アネモⅢ》のパワーがどんどん上がっていく。
「更に1マナで《チュパカル》をGR召喚した《
「増えやがった……!」
またチップのようなクリーチャーが出て来る。
ボコボコと泡が噴き出しており、そこからまた一つ目の異形が現れた。
「これで私はターンエンド」
……やはりオレガ・オーラの本質は装備カード。
重ねれば重なる程にその力は増していくのだろう。
やはりこのまま放置は出来ない。
「俺のターン、2マナで《ウォッシャ幾三》召喚! そして、GR召喚──《
プロペラを回転させる《テンクウオー》が超GRの穴へ飛び込む。
そして、そのまま時空を突き破り──暴獣の如きGRクリーチャーとして戦場へ駆けつけた。
そのパワーは──圧巻の6000。タダで出て来るクリーチャーとしては破格だ。
「ッ何だコレ、つぇえ!? タダで出て来るパワー6000のクリーチャーかよ!?」
「今ならマッハファイターが付いているであります! あのオレガ・オーラを粉砕するでありますよ!」
「よっしゃァ! 《アネモⅢ》を攻撃だ!!」
「え!? 待って、お爺ちゃん──」
《アネモⅢ[チュパカル+エダマ]》のパワーは5000。
しかし、俺のターン中《ダテンクウェール》のパワーは6000だ。
一方的に粉砕する事が出来る。
「マッハファイターが付いたクリーチャーは場に出たターン、アンタップしているクリーチャーを攻撃出来る! 《アネモⅢ》を破壊!」
「っお爺ちゃん! それは駄目! 駄目です!」
「え──!?」
「逸ったな」
刀を咥えた機械の暴獣がカメレオンの影目掛けて一文字に斬り裂いた。
しかし──
「んなっ、手応えが──無い!?」
ダテンクウェールが斬り裂いたのは黒い影のみ。
まだ戦場には、《アネモⅢ》を核にした《チュパカル》が生き残っているのだ。
「どうして、破壊出来てねえんだよ……!?」
「やっちゃった……! 《エダマ・フーマ》は付けたクリーチャーが場を離れる時、代わりに墓地に置くことで他のオーラと核になるGRを守ることが出来るんです!」
「んな大事な事、もっと早く言えよ!」
「過ぎた時間を気にしても詮無き事だ。どうせ、お前達からエリアフォースカードを奪う未来は変わらない」
「くそ、なら強引に殴り切って……!」
「だからダメです! オレガ・オーラはトリガーも強いんです、下手に殴ったらもっと不利になります!」
「んだそりゃ! 守りも硬いってのか!」
まずい。
あいつの場には2体の《チュパカル》が居る。
加えて、2体目の《チュパカル》が付いているあの不気味な《接続 CS-20》ってカードも嫌な予感がする。
盤面の数では圧倒的にこちらが勝っているし、相手ターン中弱体化する《ダテンクウェール》もガードマンを持つ《ウォッシャ幾三》で守ることが出来る。
だけど何だろう。
この妙な焦燥感は──!
「《チュパカル》2体、そして《CS-20》で私のオーラのコストは3軽減されている」
「3コスト軽減!? 嘘だろ、じゃあ4コスト以下のオーラは1マナで出て来るのかよ!?」
「流石に察しが速い。1マナで《極幻空ザハ・エルハ》を《アネモⅢ》に
横向きのカードが更に重ねられた。
一つ目の異形から鳥のような翼が生え、長い尻尾が伸びる。
そして、巨大な目玉が中央、翼でそれぞれ開眼した。
「な、何だよコイツ──!」
「《ザハ・エルハ》、または自分のオーラをクリーチャーに付けた時。私はカードを1枚引く。そして、これを付けたクリーチャーはパワード・ブレイカーを得る」
「パワード・ブレイカー……?」
「パワーが6000毎にブレイク数が増えていくんです! 今、そいつのパワーは7000、既にW・ブレイカーになっています!」
「ゲェッ、マジかよ……!」
「更に1マナで《エダマ・フーマ》を《アネモⅢ》へ
コストをただでさえ3も下げられているこの状況でオーラを途切れることなく連打されるのは非常にきつい。
《アネモⅢ[チュパカル+ザハ・エルハ+エダマ]》のパワーは9000。
処理が難しいラインになってきた。
「さて、そろそろ終わりにしよう。これだけ手札が増えているという事は、私の選択肢が増えているのは明確。そこから、貴様を粉砕する手札は既に揃っている」
コスト軽減と手札補充の組み合わせ……流石にヤバいな……!
残り2マナが支払われた。
より大きく、より強く、そしてより頑強に──電子の影は更新されていく。
「《アネモⅢ》、
巨大な腕、そしてのっぺりとした顔面を持つ大猿がフィールド上に現れる。
体中に迸るパルスは絵画のようにラインを描く。
「これは悪夢の如き現実と定義する。命題の答えは──《極幻夢 ギャ・ザール》」