学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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GR4話:取り残された少年──ジョーカーズ大旋風

 今までシー・ジーが従えていた猿の怪物だ。きっとあれが、彼の切札なんだろう。

 何だか不気味だ。

 今まで俺が知っている水のクリーチャーとは一線を画す。

 生物の姿を模していながら、全く感情や生き物らしさが感じられない無機質さ。

 カシャカシャと音を立てて、丸いカメラアイが標的を捉えた。

 

「お爺ちゃん、気を付けて! 《ギャ・ザール》は今までのオーラとは比べ物にならないくらい恐ろしいカードです!」

「一体、何をするつもりなんだ……!?」

「トキワギ機関に逆らう愚かな類人猿共。お前達が私達へ反抗が成功する──その命題の答えは偽だ! 《アネモⅢ》で攻撃するとき、《ギャ・ザール》の効果発動!」

「アタックトリガー!?」

「その効果で手札より、コスト6以下のオーラ、または呪文を使う。私は《*/弐幻ケルベロック/*》を《アネモⅢ》へ付ける」

 

 大猿に取り込まれていくのは三つ首の魔獣のデータ。

 《ギャ・ザール》の瞳が妖しく輝き、再び起き上がる──

 

「なっ!? 攻撃中にアンタップした!?」

「《ケルベロック》が付いたクリーチャーは「ブロッカー」を得てアンタップする。そして、《アネモⅢ》で貴様のシールドをパワード・W・ブレイク」

 

 大腕が一気に俺のシールドを薙ぎ払った。

 これで残るシールドは3枚。

 だけど、まだ《アネモⅢ》は攻撃出来る──思わず、俺の弱音は緊張混じりに押し出された。

 

「《アネモⅢ》で攻撃──《ギャ・ザール》の効果で《ケルベロック》を付けてアンタップ」

「させないっ、《バツトラの父》をタップして、その攻撃を無効化する!」

 

 《バツトラの父》は相手が自分を攻撃するとき、タップする事で攻撃を止めることが出来る。

 しかし、これも1回限りだったのか──

 

「──やっべぇ」

「安心しろ。《ケルベロック》はもう手札には無い。だが……連続攻撃が終わったとは言っていない。《アネモⅢ》で再び攻撃! その時、能力でカードを1枚引き、手札から《極幻星 ジュデ・ルーカ》へ更新(オーライド)!」

 

 大猿に取り込まれたのは、星型のサイバー・コマンドのようなクリーチャーのデータ。

 しまった、これで《アネモⅢ》のシールドブレイク数が上昇してしまっている。

 その長い尻尾から散乱するようにして光線が放たれ──

 

 

 

「──パワード・T・ブレイク」

 

 

 

 俺のシールドを一気に3枚、切り刻んだ。

 一気に砕け散るシールド。

 まずい。

 俺の体は完全に剥き出しだ。

 しかし──まだ、逆転の芽は残っている。今、手札に加わったカードが決め手だ。

 ……白銀耀、落ち着け。冷静に対処すれば……!

 

「諦めろ。此処で貴様を逮捕する」

「ッまだだァっ! S・トリガー、《SMAPON》でパワー2000以下のクリーチャーを全て破壊! そして、スーパーボーナスで俺はこのターン、敗北しない!」

 

 現れたスマホのクリーチャーが熱線で《CS-20》を焼き払った。

 そして、俺の眼前に巨大なバリアが展開される。

 あ、危ない。間一髪──

 

 

 

諦めろと言っただろう(・・・・・・・・・・)。《ジュデ・ルーカ》の効果発動」

 

 

 

 ──おかしい。

 そういえば、砕かれたはずのシールドの破片がまだ空中に浮いている。

 破片が鏡のように不思議そうな俺の顔を映した。

 その時──それが歪み、次々にオーラとなって戦場へ解き放たれる。

 

「《ジュデ・ルーカ》を付けたクリーチャーがシールドをブレイクした時、その数だけ山札の上を捲る。そして、その中からコスト6以下のオーラを好きな数場に出しても良い」

 

 な、何だってぇぇぇ!?

 ちょっと待て、ってことはもう3枚もオーラが出て来るのか!?

 

「効果で《幽具ランジャ》、《*/弐幻ニャミバウン/*》、そして──《無修羅デジルムカデ》を使用。全てGR召喚してそれに付ける」

 

 展開される超GRゾーンの穴。

  

「《ランジャ》を《甲殻TS-10》へ、《ニャミバウン》を《マシンガントーク》へ、そして《デジルムカデ》を《シェイク・シャーク》へ、それぞれ投影(オーライズ)

 

 チップからランチャーのようなクリーチャーが現れ、《ゲラッチョ男爵》に酷似したクリーチャーを蛇のようなオーラが飲み込むようにして取り込んだ。

 そして鮫のようなクリーチャーからも覆い被さるようにして、《阿修羅ムカデ》に酷似したオーラが顕現した。

 GRクリーチャーには見覚えのある姿も散見される。

 だが、そんな事より今は──場に大量のオーラを纏ったクリーチャーが現れてしまったことの方が重要だ。

 

「《ランジャ》の効果で《ガチャダマン》をパワーマイナス3000で破壊。そして《ニャミバウン》の効果で《バツトラの父》をバウンス。そして《シェイク・シャーク》で《ダテンクウェール》を次のターン攻撃不能に」

 

 成程、確かにこれでは頭を抱えるしかない。

 これでは俺のクリーチャーはほぼほぼ機能停止したも同然。

 次のターン攻撃出来るのは《SMAPON》と《ヤッタレマン》しか居ない。しかも──

 

「《デジルムカデ》の効果でお前のクリーチャーは全てタップして場に出る。加えて、《マシンガントーク》で《アネモⅢ》もアンタップさせて防御も万全だ」

「……成程な」

「お爺ちゃん……!」

 

 不安そうな表情のアカリ。

 絶望的な状況の俺。

 成程、シー・ジーからすれば俺達は最早崖っぷちというわけだ。

 

「今、投降するなら手荒な真似はしない。どうだ? 降参するか? それとも、我が《ギャ・ザール》に砕かれるか──択べ」

「なあ、シー・ジー。三つ目の選択肢、追加していいか?」

「”泣いて詫びる”、か? 私は容赦はしない」

「……ハッ、ちげーよ──」

 

 そうだ。こんな状況、選択肢は決まり切っている。

 俺が選ぶのは──最後まで、諦めない事。そして、

 

「俺が此処で勝つことだ」

「ほう。まだ勝利を諦めないと?」

「俺はこの目で見たわけじゃないから、お前らの正しさだとか信念だとか、何が本当で何が間違ってるかも分からねえ。アカリの言ってる事だってまだちょっと信じられねえ」

「ちょっ、酷いです、お爺ちゃん!」

「では何故、そこの反逆者に与する?」

「決まってんだろ。他でもない俺の仲間の為だ。あいつらの変えられた歴史は、俺が元に戻す。正しいとか間違ってるじゃねえ。俺の歩んできた道の通りに直すんだ!」

「……くっ」

 

 そうだ。

 それが、俺のやるべき事だ。

 歴史が上書きされたなら上書きし返してやる。

 仲間との歴史を、取り戻してやる。

 

「くっ、ククッ……狂った証明だな、偽善者よ」

「ああ?」

「貴様は……それが本当に正しいとでも思っているのか? 仲間とやらの為に、”公益”を犠牲にするつもりか? それが、例え世界を滅ぼす事になっても?」

「世界を滅ぼす? どっちが狂ってんだ! デュエマを消したり、時間を書き替えたり──」

「それだよ、白銀耀。お前が狂っているのは、そこだ」

 

 俺が……?

 こいつ、何を言っているんだ。

 

「白銀耀。貴様は仲間思いではあるが……その本質が酷く歪で傲慢なエゴの塊だ」

「俺が……傲慢? 何言ってんだ、ゴチャゴチャうるせぇぞ! 俺はやらねえ善よりやる偽善を選ぶだけだ!」

「違う。偽善ですらない。お前はお前の為に戦っているのが何故分からない」

「何が言いたいんだ!」

 

 嫌な汗が伝った。

 

 

 

「仲間の為に戦ってるんじゃあない。仲間の為に戦っている()()()()()が気持ちいいから戦ってるんじゃないのか?」

「──ッ」

 

 

 

 

 こいつ、何言ってんだ。

 そんな訳は無い。

 そんな訳はあって堪るか。

 だって、俺は、俺は何時だって──俺じゃない、誰かの為に、仲間の為に戦ってるんだ。

 

「うるせぇな、さっきから……だから、どうしたってんだよ!」

皇帝(エンペラー)に相応しい暴君っぷりじゃないか。都合の良いもの以外を全て切り捨てて否定してきたから当然か。まあ気持ちは分かる。私は常に、私情を切り捨て、公益の為に戦っている。貴様からすれば私は悪者に見えるかもしれないが……それでも世界の為に戦っているのだ」

「誰がお前なんかに分かって……!」

「お前は自分が気持ちいいから戦っている。違うか? 正しい側に自分が立っていると思いたいから戦っている。違うか?」

「そんな事──!」

 

 

 

 

「お爺ちゃん、冷静になってくださいッ!」

 

 

 

 声が飛んで来る。

 振り向くと、必死な表情のアカリが俺の顔を睨んでいた。

 

「デュエマを消すわけには、仲間との思い出を消すわけにはいかないんでしょ!? アカリも、仲間の為に戦ってるから痛いくらい気持ちは分かります! 何で自分が戦ってるのか見失わないで!」

「黙れ。口出しするな、反逆者。次はお前も逮捕してやるからな」

「お爺ちゃん! マスターカードを使って下さい! 早く!」

「マスターカード──あっ」

「お爺ちゃんに信用してもらえるように、アカリも頑張ります。だからっ、敗けないで!」

 

 そうだ。

 こいつが逆転の鍵だ。

 信じてみるしかない。今はアカリの事を。

 

 

 

「……ありがとう、切札を借りるぜ……アカリ!」

 

 

 

 皇帝(エンペラー)のカードが煌めく。

 刻まれるのはローマ数字のⅣ。

 今こそアルカナの力を解き放ち、切札を切る時だ。

 

「相手ターンの終わりに、マスター・J・トルネード、発動──」

 

 そうだ。

 今は迷ってる場合じゃ無いだろ。

 あいつの言葉に惑わされるな。

 俺の……俺のやることは、最初から変わってないじゃないか!

 

「場のジョーカーズを合計コスト10以上になるように手札へ戻す。対象は《ウォッシャ幾三》と《SMAPON》だ!」

「おのれ、そのデッキにも入っていたのか! 白銀朱莉、余計な事を……!」

「合計コスト10達成。巻き起こせ、ジョーカーズ大旋風(トルネード)!」

 

 戦場に吹き荒れる大嵐。 

 そこから水飛沫を上げて、海馬(シーホース)と共に降り立つ青いガンマン。

 

 

 

「これが俺の渦巻く切り札(オーシャンズワイルド)。波濤を越えろ、《ジョリー・ザ・ジョルネード》!!」

 

 

 

 刻まれるのは黄金のMASTERの紋章。

 まだ、俺でさえも見た事が無い──青いジョーカーズの頭領がそこに立っていた。

 

「水文明のジョーカーズ……これが、《ジョルネード》……よし、一気に行くぞ!」

 

 俺の言葉に頷いたガンマンは虚空に三発の弾丸を撃つ。

 そこから現れた大穴から、GRクリーチャーが更に飛び出した。

 

「《ジョリー・ザ・ジョルネード》の登場時効果! 俺は3回、GR召喚をする!」

 

 1発目は《ヤッタレロボ》。

 2発目は《ジェイ-SHOCKER》。

 そして3発目──超GRの穴にレールが敷かれていく。

 

「マスター! この穴に飛び込めば力が手に入るでありますな?」

「そう、みてえだな」

 

 《ダンガンテイオー》がエリアフォースカードから飛び出す。

 

「なら……進むしかないでありますな! だからマスターは、ドカンと構えていればいいのであります!」

 

 音速で穴へ突貫する《ダンガンテイオー》。

 それが時空を突き破り──獣の如き咆哮を上げて戦場へ降り立った。

 ああ、背中を押されちゃ仕方ない。

 やるしかねえ。此処で──!

 

 

 

「これが俺の真剣(ガチ)切り札(ワイルドカード)! 《(メタル)特Q ダンガスティック(ビースト)》!」

 

 

 

 獣の咆哮が戦場に轟く。

 降り立つのは全身が紅く光る装甲に身を包んだ獣。

 大地を踏みしめ、駆ける俺の切り札だ。

 

「《デジルムカデ》の効果はタップイン……だけど関係ねぇな。俺のターンの始めになりゃ、全員アンタップだ!」

「くっ……!!」

「そんでもって、俺のターン。2マナで《ウォッシャ幾三》を召喚! 効果で《ダテンクウェール》をGR召喚!」

「無意味だ。《デジルムカデ》でタップインしろ!」

 

 いいや、これで良い。

 確かに無意味に思えるかもしれない。 

 だけど──

 

「《ジェイ-SHOCKER》で攻撃……するとき、Jトルネード発動! 《ウォッシャ幾三》を手札に戻す!」

「!?」

「こいつのJトルネードで手札に戻したコストと同じクリーチャーを、相手は場に出せない!」

 

 そうだ。

 幾らオーラと言っても、本質は下にあるカード。つまり、召喚さえ封じてしまえばオーラも付けることは出来ないはずだ。

 コストはどっちを指定すれば良いか迷ったけど……《アネモⅢ》と《シェイク・シャーク》、《TS-10》は3コストだった。

 つまり、少なくとも超GRゾーンの半分以上がコスト3のカードってことだ。

 残りがコスト2の《マシンガントーク》と《CS-20》だから、外れる可能性もある。だけど無策で突っ込むよりよっぽどマシだ!

 

「シールドをブレイク。言っておくけど、《ジョルネード》の効果で俺のジョーカーズはブロックされねえからな!」

「くっ……!」

「《ジョルネード》でシールドをW・ブレイク!」

 

 嵐の弾丸が二発、相手のシールドに撃ち込まれた。

 しかしそこからも何も出てこない。

 結構ギリギリだけど……このまま押し切るしかない!

 

「そして、《ダンガスティックB》で攻撃! こいつは、場とマナにジョーカーズが合計8枚以上あれば……パワー8000のW・ブレイカーになる!」

「ガァァァァァーッ! 押し潰すでありますよォーッ!」

 

 吼えろ鋼の暴獣。

 風のように疾く走り、そして駆ける。

 そして鋭く、そして重い爪がシー・ジーの残るシールドを叩き砕いた。

 しかし、そこから2つの光が飛び出す──S・トリガーか!

 

「S・トリガー、《ニャミバウン》、そして《ランジャ》……GR召喚して投影(オーライズ)──」

 

 だが、彼は言葉を失う。

 捲れたのは《アネモⅢ》。《ジェイ-SHOCKER》の効果でバトルゾーンに出る事を封じられている、コスト3のクリーチャーだ。

 場にクリーチャーが出なければ、そもそもオーラを付ける事も出来ない。

 そして出ないGRクリーチャーはそのままトップ固定される──だから、もうあいつは何も出来ないんだ!

 

 

 

「おのれ……こんな解は、有り得ないッ!!」

 

 

 

 悪態を吐くシー・ジー。

 彼に向かって、機械化されたジョーカーズが襲い掛かる。

 これで、終わりだ!

 

 

 

「《ヤッタレロボ》でダイレクトアタック!」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 膝を突いたシー・ジーから逃れるようにしてタイムマシンに飛び乗り、何とか一息吐いていた。

 まだあいつも諦めた様子は見せていない。

 とはいえこれで一安心だ。この時代──変えられた現代を抜け出す事が出来る。

 

「お爺ちゃん、これから2016年のダッシュポイント……タイムマシンで侵入可能な時代に向かいます」

「そこで時間Gメンの時間改変を食い止めるんだな?」

「はいっ。奴らの施した工作を止めます」

 

 変えられた時間を戻す事が正しいのか。

 あいつらが、時間Gメンが戦っているのは公益──レジスタンスを滅ぼす以外にも何か目的があるのか?

 分からない。分からないけど──

 

「アカリ、ありがとな」

「はい?」

「デッキと切札を貸してくれたことだよ」

「はいっ。当然です。私にとって、お爺ちゃんは若くてもお爺ちゃんですからっ」

「……俺は、お前の事を信用してなかったのにな」

「大丈夫です。これから信じてくれれば、それでいいです。アカリは、お爺ちゃんの味方です」

「……ありがとう」

 

 まだ俺は何も分からない。

 だけど──今頼れるのはアカリ。

 そして。

 

「さーて、マスター! 何があったのか、説明してもらうでありますよ!」

「ゲッ、そういやお前、何も知らないまま駆り出されたんだっけか」

「お、おおお! チョートッQ! チョートッQじゃないですか! これが爺ちゃんの守護獣ですね!」

「何でありますか!? マスター、彼女についての説明を求めるでありますよ!」

「ああ……イチから全部説明すると長いんだけどな……」

 

 こうして全部チョートッQに説明した。 

 彼も半信半疑だったが、最後には頷いていた。

 

「少し分からないであります」

「まあ分からないよな」

「いや、そうじゃなくて。分からないのは皇帝(エンペラー)に起きたバグ……急な停止の原因でありますよ。時間改変の影響を受けなかった我と皇帝(エンペラー)に何があったのかが分からないであります」

「!」

 

 そうだ。

 何で俺の皇帝(エンペラー)も時間改変の影響を受けてないのだろう。

 

「特異点であるお爺ちゃんと契約してるから、とかですかね? 憶測ですけど」

「ってことは、お前にも分からないのか……」

「だって、特異点なんてそう居るわけないじゃないですか。事例が少ないんです」

 

 そりゃそうだ。

 特異点なんて例外中の例外のはずだ。それでも、何か理由があるはず。

 そんな気がしてならない。

 

「何であれ、今は仲間を元に戻す事が先決であります」

「ああ。皆を元に戻さないと──」

 

 そう言いかけた時。

 ズキリ、と胸を刺すようにシー・ジーの言葉が脳裏に浮かんだ。

 

 

 

 お前は自分が気持ちいいから戦っている。違うか?

 

 

 

 ……。

 そんなわけ、ないだろ。

 俺は、皆の役に立つために頑張って来たんだ。じゃナきゃ、俺ハ──何ノタメニ、自分ヲ殺シテ

 

「マスター?」

「──あっ、いや、なんでもねえ」

 

 いけない。

 こんな事に何時までも囚われている暇は無い。

 俺は、俺がやらなきゃいけない事をやるだけだ。

 それは仲間を元に戻す事。先ずは、そう来なきゃ始まらないんだ。

 

「行くぞ相棒。今度は時間を超えた戦いだ」

「応、であります! このチョートッQ、時の果てまでも付いていく覚悟であります!」

「ちょっとお爺ちゃん、私の事も忘れないでくださいね!」

「あのマスター、コイツさっきからマスターの事じーちゃん呼ばわりでありますが良いでありますか?」

「事実、そうなってるみたいだからな……」

 

 ともあれ。

 今は進むしかない。

 いや、遡るしかない。時間の流れを辿って、そして元に戻す。

 俺の知ってる世界に、デュエマと仲間を取り戻すんだ。

 

 

 

 そう、俺が意気込んだ時だった。

 

 

 

 突如、機内に警報が鳴り響く──そして、アカリが蒼褪めた顔で言った。

 

「大変です、爺ちゃん──」

「なあ、これ何なの? ヤバい音してんだけど」

 

 かくかく、と震える首をこちらに向け、彼女は呟く。

 

 

 

「後方、約40機──時間Gメンのタイムマシンが、追ってきます──」

 

 

 

 ……ヤバくない?

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