学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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GR11話:受け継がれる部長魂──侵略オーラ

※※※

 

 

 

 俺とシー・ジーの二度目のデュエル。

 一度戦った相手だ。高火力のパワード・ブレイカーに対しては、カウンター。オーラに関しては強くなる前にマッハファイターで潰せば良い。

 初見じゃないなら、勝てる見込みはある!

 

「──俺のターン、《ヤッタレマン》を召喚!」

「私のターン。《チュパカル》を《イイネ(フォース)》に投影(オーライズ)

 

 現れたのは稲のような穂が実ったチップ。

 それを核にして一つ目の怪物が現れた。

 この間のデュエルには居なかった、初めて見るGRクリーチャーだ。

 

「何だ、あいつ……?」

「自然のGRクリーチャーでありますな」

「何だか不気味だが、関係ねぇな! マッハファイターで正面から叩き潰すだけだ!」

 

 《ヤッタレマン》で1コストを軽減。

 これで俺は3マナでジョーカーズを召喚することが出来る。

 ともかく《チュパカル》を排除しない事には始まらないのだ。

 

「《ガチャダマン》召喚! 効果で《鋼特QダンガスティックB》をGR召喚……って」

 

 攻撃しようとして手に掛けたカードのパワーを見やる。その数値、たったの2000。

 ちょっと待て。

 こいつ、よく見たら条件を達成していなければ並みの軽量クリーチャークラスのパワーしかないのか!?

 

「2000!? 2000しかパワー無いのお前!?」

「相手のパワーが大きい所為でありますよ、《イイネⅣ》は4000もあるであります!」

「ちげーよ! 条件達成してないお前のパワーが低いの!」

「足踏みしたな、白銀耀。簡単にデリートロンのGRクリーチャーを破れる……その命題の答えは偽だ」

「だーっ、何なんだよ命題だのなんだのまどろこっしい奴! 俺は数学だけは大の苦手なんだ!」

「野蛮人の猿には叫ぶのがお似合いだな。私は《イイネⅣ》を《ザハ・エルハ》に更新(オーライド)

 

 オレガ・オーラが更に重なっていき、どんどん巨大になっていく。

 あの不気味な一つ目の怪物に翼が生え、凶悪な天使の如き姿へ変貌した。

 その目玉が恐怖さえ誘う怪物の今のパワーは8000。条件を達成して今の《ダンガスティックB》でも相討ちを取られる圏内だ。

 

「こうなったら、あいつは無視してひたすら並べ続けるだけだ! 《ウォッシャ幾三》で《ダテンクウェール》をGR召喚!」

 

 くそっ、さっきこいつが出てきてくれたら良かったのに……今ではパワーが足りない。

 GR召喚はその性質上、運に左右される。だけど、相手のオーラは下のGRクリーチャーに左右される度合いが少ない。

 GRクリーチャーを主眼に置くか、オーラを主眼に置くかで戦い方もデッキの欠点も変わって来るのか……!

 

「このままターンエン──」

 

 

 

「グルァァァーッ!!」

 

 

 

 ……え?

 咆哮する《ダテンクウェール》。

 その瞳が赤く光り──《ザハ・エルハ》を投影し続ける《イイネⅣ》へ向かって突っ込む。

 

「ちょ、ちょっと待て! 攻撃しろだなんて言ってな──!?」

「そいつのパワーは6000と定義するならば、こちらは8000、従って《イイネⅣ》の勝ちだ」

 

 瞳の光線が鋼の獣を打ち砕く。 

 う、嘘だろ何があったんだ……!?

 

「マスター、《ダテンクウェール》は可能であれば必ず攻撃しなければならない効果が付いているでありますよ!」

 

 チョートッQの言葉で何が起こったのか気付いた。

 う、嘘だろ……マッハファイターが付与されたのが裏目に出たってのか。

 強力なクリーチャーの《ダテンクウェール》だが、デメリット効果も大きい。

 完全に盤面とGR召喚の結果が噛み合ってないじゃないか!

 

「まるで今のお前そのものだな、白銀耀。やる事成す事全てが裏目に出る。偽善者に相応しい顛末とは思わないか?」

「なんだと……!」

「失礼。訂正しよう、敗北者に相応しい結末だ」

 

 やる事なす事全てが裏目に出る。

 その言葉に覚えがないわけではない。

 未来で俺がやった過ち、後悔に大きく突き刺さる。

 駄目だ。何をやっても上手く、いかない……何でだよ!? 

 

「一度勝ったから、次も勝てる? その奢りが自らの身を亡ぼすぞ、皇帝(エンペラー)の適合者」

 

 《ザハ・エルハ》の翼が大きく広がる。

 焦燥、そして苛立ちに駆られる俺に、それは余りにも巨大に見えて──

 

「3マナで《*/肆幻ウナバレズ/*》を《イイネⅣ》に更新(オーライド)。《ザハ・エルハ》の効果で1枚ドローだ」

「魚みたいなオーラ……!」

「マスター、敵の手札に気を付けるであります! 何か、何かまずいものが隠されてるでありますよ……!」

「さあ、《イイネⅣ》で攻撃──」

 

 突っ込んできた!?

 確かにパワードブレイカーでT・ブレイカー、パワー数値も殴り返しを受けないラインだがジョーカーズ相手に半端に殴りかかればどうなるか、この間のデュエルでラーニングしたんじゃなかったのか!?

 いや、おかしい。

 この間とは何かが違う。決定的な、何かが──

 

節制(テンパランス)、インベードモード……【暴走更新(ランナウェイ)】エンゲージ!!』

「オーラが2枚以上重なったクリーチャーが攻撃するとき、手札から《φχ (ハイカイ)スピルバグス》……そして」

 

 急速に、オレガ・オーラの姿が変化している。

 誰にも止められない嵐のように──

 

 

 

γ(ガンマ)! λ(ラムダ)! Χ (カイ)!』

更新(オーライズ)完了──命題の答えは《ΓΛΧ(ガラムカイ)ヴィトラガッタ》」

 

 

 

 ──全てを吹き飛ばしたのだった。

 

「──え?」

 

 気が付けば。

 俺の目の前には、巨大な兜虫の姿の巨人が拳を降り下ろしていた。

 そして──何か煌めく破片が纏めて俺に降りかかる。

 

 

 

「っがぁああああああああああ!?」

 

 

 

 腕で顔を覆った時は既に遅い。

 無数の破片が刃になって俺の切り刻んでいく。

 服が破れ、肉が裂かれていく。

 悲鳴を上げる間もなく──体は蹂躙され、気付けば膝を突いていた。

 

「う、っそ、だろ……!?」

 

 痛い。

 後から、痛みがどくどくと流れる赤い水を肌で感じる。

 力が抜けた。

 何なんだよ、これ──

 

「《ヴィトラガッタ》、《スピルバグス》はオーラが2枚以上付いているクリーチャーが攻撃するとき、コストを支払わず攻撃したクリーチャーに重ねられる」

「ぐ、ぁ……くっそぉ……! S・トリガー、《バイナラドア》、《SMAPON》を発動……!」

 

 辛うじて、俺の言葉に応じてトリガーは発動。二体のクリーチャーが場に現れる。

 だけど、止まらない。

 赤くどろどろとしたものが、止まらない。立ち上がれない。

 押さえているので精一杯で、目の前がくらくらする。

 震える指で、敵のクリーチャーを、指差す。

 

「《バイナラドア》で《イイネⅣ》を──」

「無駄だ。《ウナバレズ》の効果で、付けたクリーチャーがタップしていれば選ばれない」

 

 構わねえ、よ……! これだけ居りゃ十分だ。

 マスター・J・トルネードが発動する──

 

「《ヴィトラガッタ》の効果発動」

 

 ──そう、思っていた。

 巨大な蟲の巨人が大地に両槌を落とす。

 待てよ。これって、嫌な予感が──

 

「な、何だ、揺れて──」

 

 無数の蔓が亀裂の入った地面から伸びた。

 俺の場に並んだジョーカーズ達は、そこから全て地の果てへと引きずり込まれていく。

 

「あっ、がぁ……!? マスタァァァーッ!?」

 

 みんなが、消えていく。

 《ダンガスティック》も蔓に絡め取られ、亀裂の中へ消えた。

 何が起こったのか分からない。

 分からないが──ただただ目の前が真っ暗になりそうになった。

 

 

 

「──攻撃の終わりにシールドが残って無ければ、相手のクリーチャーを全てマナゾーンへ送る」

「全、滅……だと」

 

 

 

 駄目だ。

 相手のターンの終わりにクリーチャーが残って無ければ、《ジョルネード》の効果は発動できない。

 このままじゃ負ける。

 俺は、此処で敗けられないってのに──敗けられねえのに……膝突いて、られるかぁ……!

 

「あ、ぐ、マスター……!」

「チョートッQ。休んでろ、後は俺がやる──!」

「で、でも、ぐぁっ」

 

 かすれ声が聞こえて来る。

 ダメージが激しいのか。

 なら、猶更、今此処で立てるのは俺しか居ない。

 

「俺は、《ヤッタレマン》、《タイク・タイソンズ》、《ウォッシャ幾三》を召喚……効果で《バツトラの父》をGR召喚──そして、《ガンバトラーG7》をコスト下げて召喚……!」

 

 まだ、やれる。

 これだけ居れば、発動できる。

 マナも、場も、全部揃っている。

 

「場とマナに、ジョーカーズが合計11枚……!」

 

 行ける。

 この血が滾る限り。

 仲間との思い出がある限り。

 俺は戦える。

 朦朧とする意識。暗転しそうな眼前。

 

「呪文、《ジョジョジョ・マキシマム》──効果を《ヤッタレマン》に使う……!」

「──!」

「へ、へへ、これで……終わりだぜ。《ヤッタレマン》で攻撃──」

 

 彼方から放たれる極太のレーザー砲撃。

 お終いだ。

 これで、相手のシールドを焼き払──

 

 

 

「マナドライブ、発動」

 

 

 

 ──え?

 冷徹な声と共に、《ヤッタレマン》の攻撃は掻き消えた。

 放たれた必殺の一撃は、強大な虫の怪物へ吸い込まれていく。

 嘘だろ? 

 何処に行った? 今の攻撃は──

 

「なんだよ……何が、起こったんだ……!?」

「《イイネⅣ》の効果だ。マナにカードが4枚以上、自然文明のカードがあればマナドライブは達成される。その効果で、お前は最初の攻撃でこのクリーチャーを攻撃しなければならない」

「はぁ……!? そ、そんな効果が……!?」

「オーラばかりに目が行って、肝心の効果を失念したな。最も、頭に血が回らない今の状態では仕方ないだろうが」

「く、くそっ……!」

「最も、成功していた所で、私はデッキに《ザ・クロック》を搭載している。勝っていたかどうかは分からんがな」

 

 駄目だ。

 勝てない。

 このターン、どうやっても──こいつには勝てない。

 折角の勝機を、逃したってのか俺は……!?

 

 

 

「諦めろ。白銀耀。此処でお前の敗北は証明された」

 

 

 

 巨大な鉄槌が俺へ向かって、振り下ろされる。

 最早避ける気力も、体力も、残って無かった。

 俺、ひょっとして、死ぬんじゃないか?

 

 

 

 ──うーん、最悪死ぬでありますな。

 

 

 

 だって、チョートッQ。お前、初めて会った時そう言ってたよな。

 冗談じゃない。

 俺、こんな所で死にたく──

 

 

 

「《イイネⅣ》で、ダイレクトアタック」

 

 

 

 何かが俺を弾き飛ばした。

 ゴム玉のように体は跳ね跳んで──潰れるような音と共に、地面へ落、ち──

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