学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

144 / 316
GR15話:反撃──ドラゴン・コードを撃ち貫け

 ※※※

 

 

 

「《チュパカル》を《接続(アダプタ)CS-20》へ投影(オーライズ)。ターンエンドだ」

 

 先攻2ターン目。

 シー・ジーは早速、《チュパカル》を出して初動から突っ走ってきた。俺も《ジョジョジョ・ジョーカーズ》でサーチをしたものの、肝心の《ヤッタレマン》

 しかも、下にある《CS-20》の効果で更にコストを下げている。

 次のターンには1マナで《ガ・ニメデ》が飛んでくるだろう。

 

「だけど、それは使わせねえぞ! こっちは2マナで、J・O・Eを発動!」

「っ……使ってきたか。正史の切り札を」

 

 ガコン、ガコン、とエンジン音が掛かると共に、空中へ打ち上げられるサイコロ。 

 その目から光線が撃ち放たれた。

 そうだ。GR召喚は、序盤に行うとマナの枚数よりも大きなコストを持つクリーチャーが現れる事がある。

 つまり──

 

「2コスト軽減して《サイコロプス》召喚! 効果で、マナの枚数よりもコストが大きい《接続(アダプタ)CS-20》を山札の一番下へ!」

「ッ……!」

「出鼻は挫いたでありますよ! これでもうコスト軽減は出来ないでありますな!」

「ターンエンド時に《サイコロプス》は山札の下へ戻り、俺はカードを1枚引く」

 

 これで、軽減に加えて《ガニメ・デ》での大量ドローは出来ない。

 次のターン、3コストであいつが出来る事と言えば──

 

「3マナで《極幻智 ガニメ・デ》を構築(オーライズ)。《イイネⅣ》をGR召喚だ。効果でカードを1枚ドロー」

「大量ドローが出来なきゃ手札に自然のオーラを溜め込む事も出来ない。ワールドブレイクまでは持っていけないはずだ! こっちは、《おしゃかなクン》を召喚してターンエンド!」

「……口だけは立つな。偽善者にはお似合いだ」

「偽善者で結構。俺は、俺の為に戦ってる──今なら胸張ってそう言えるんだ!」

「だから何だというんだか──」

 

 シー・ジーは4枚のマナをタップしていく。

 何だ? 今までとは気色が違う。

 俺の知らない別のオーラが来る。

 

「──《*/弐幻ポコピー/*》を《浸透(スルー)DS-10》に投影(オーライズ)

「え、何だそいつは!?」

「《ポコピー》は自律増殖するオーラ。その効果で、山札から《*/弐幻ポコピー/*》を選択し、《アネモⅢ》に投影(オーライズ)

 

 何だこいつ。

 さっきとは丸っきり戦略を変えてきている。

 何体もオーラを重ねていた先程の対戦と打って変わって場数を増やしている、だと?

 

「マスター、何かがおかしいでありますよ! あいつ、オレガ・オーラを並べてるであります!」

「展開力で勝負するってのか……!? ヘッ、面白ェ! こっちも4マナで《怒ピッチャコーチ》を召喚だ!」

 

 現れたのはバッティングマシーンのようなジョーカーズ。

 そして、俺の超GRゾーンのカードが円を描き、ゲートを作り上げた。

 

「行くぞGR召喚! 出すのは──《パッパラパーリ騎士(ナイッ)》、出た時にマナドライブ2が発動する!」

 

 マナドライブ。マナゾーンに指定の文明があり、尚且つ指定の枚数を満たしている時に使える能力。

 その効果で墓地の《ジョジョジョ・ジョーカーズ》がマナゾーンへ置かれる。

 

「んでもって、あんまり手札を増やしたくないからな。このままターンエンドだ!」

 

 相手の場にはオーラが1枚しか重なっていないGRクリーチャーが2体しか居ない。

 《ヴィトラガッタ》とかいう化け物が場に出て来るには、最低でももう1枚オーラが重なっていないといけない上に、シールドを全部ブレイクするには手札が足りないはずだ。

 何より相手の手札は2枚しかない。

 あの中にオーラを溜め込められているかと言えばそうではないはずだ。

 侵略系のワンショットキルには手札が必要だってのに、あんなにオーラを分散させて何を考えてんだ?

 

「──さあ、揃ったぞ。お前達の敗北──それを証明するパーツが」

 

 空間が凍り付いた。

 あいつの手札に握られている悍ましいドラゴンのオーラが光り輝く。

 とうとう来るってのか。

 シー・ジーの──切札が!

 

「……最終シークエンスへ移行」

節制(テンパランス)──解禁(アンリーシュ)、ドラゴン・コード!』

 

 宙に浮かぶ夥しい数字の数々。

 その列は全て、105910591059……と繰り返されている。

 そして宙に刻まれるMASTERの紋章。

 来る。

 ドラゴンのオーラが──!!

 

 

 

『テン・ゴク・テン・ゴク・テン・ゴク──』

「──これは証明されるべき事象である。電龍更新(ドラゴライド)、《Code(コード):1059(ヘブン)》!」

 

 

 

 (あぎと)を開いて咆哮する機械龍が狸のオーラから更新された。

 遂に出て来やがったな──Code(コード):1059(ヘブン)

 機械のような姿をしていながら、まるで亡霊のように掴み処が無く点滅している龍のオーラだ。

 

「ドラゴンのデータ……オレガ・オーラって、マジで何なんだよ……!」

「オレガ・オーラは上質な兵器だ。我らトキワギ機関が世界を握る為のな──《アネモⅢ》で攻撃、パワード・W・ブレイク」

 

 掻き消える龍のオーラ。

 しかし、瞬きする間に既に俺の眼前へ現れていた。

 機械龍の巨腕が、俺のシールドを2枚叩き割る──

 

「ッ……! このくらいなら──」

節制(テンパランス)……ラッシュモード、【DL-Sys(ディーループシステム)】エンゲージ!』

 

 その時。

 再びCode(コード):1059(ヘブン)の姿が俺の目の前から消える。

 そして次の瞬間──今度は《ガニメ・デ》の姿に砂嵐が掛かり、あの機械龍がまた腕を振り上げていた──

 

「なっ、何で!? 何でまた攻撃してんだ!?」

DL-Sys(ディーループシステム)──その力で、Code(コード):1059(ヘブン)は他のGRクリーチャーに乗り移り、連続攻撃を仕掛ける事が出来る」

「なっ、嘘だろ!?」

「だが、それだけで終わる──その命題の答えは偽だ」

節制(テンパランス)……インベードモード、【暴走更新(ランナウェイ)】エンゲージ!』

 

 機械龍の像がブレる。

 その胸に埋め込まれているディスクに、巨大な虫の怪物の像が取り込まれていくのがはっきりと見えた。

 まさかあれって──

 

Γ(ガンマ)! Λ(ラムダ)! Χ(カイ)!』

「証明完了──《ΓΛΧ(ガラムカイ)ヴィトラガッタ》」

 

 しまった。

 オーラが乗り移るってことは、1枚しかオーラが重なってないGRクリーチャーに《ヴィトラガッタ》の侵略条件を達成させる事が出来るってこと。

 つまり──最初の攻撃でワールドブレイクまで持っていけなくとも、多段攻撃で相手のシールドをゼロにしてしまえば、全体除去が発動してしまう。

 

「知れ。これが、データに刻まれし龍の鉄槌だ──パワード・T・ブレイク」

 

 より重く。

 より激しい一撃が俺のシールドを全て薙ぎ払った。

 割られたシールドは3枚。

 その余波は、到底受け止めきれず──俺の身体を再び吹き飛ばした。

 

 

 

「終わりだ、白銀耀。お前は仲間には永遠に会えない」

 

 

 

 その声が響く。

 終わり?

 永遠に会えない?

 そんなの、嫌に決まってるだろ。

 嫌に決まって──

 

「がっ……!!」

 

 意識を、失う、ところだった。

 

 痛みが全身を揺さぶった。

 降りかかるシールドの破片が背中に突き刺さる。

 熱いものが、どくどくと溢れ出て顔を伝った。

 ああ、また血だらけかよ、俺──!

 

「く、っそぉ……!!」

「だが、忘れる事で──その苦しみから解放される。忘れろ。忘れろ。忘れてしまえ。デュエマも、仲間も」

 

 負けて、堪るか。

 

 決めたんだ。

 

 みんなが俺の事を忘れたって──俺だけは、憶えてるんだ。

 

 デュエマの楽しさも、仲間との思い出も──!

 

「デュエマは俺と仲間を繋いでくれたものだ……! 絶対に、忘れねえよ……!」

「私にとってはデュエル・マスターズもオレガ・オーラもタダの兵器に過ぎない」

「違う……兵器じゃない、デュエマは人を傷つける道具じゃ……ねえぞッ!」

「デュエルで勝利し、相手に言う事を聞かせる……お前にとって、大好きなデュエマはその程度のモノでしかない。服従を強いる道具だ。だから手放したくない。違うか?」

 

 違う。

 違う違う違う。

 俺にとってのデュエマは──

 

 

 

「そんなものは無い方が良いに決まっている。忘れてしまえ。それが──楽になる道だ」

「うるせーんだよ、タコハゲ野郎ッ!!」

 

 

 

 甲高い声が飛んで来る。

 頭を動かすことも出来なかったが、誰の声か一発で分かった。

 

「かぐらさか……せん、ぱい……!?」

 

 立っている。

 先輩が──空間の中に入って、俺の前に立っている。

 何で?

 何でだよ。

 空間の中には誰も入って来れないはずなのに。

 

「白銀はな、誰よりも素直で、馬鹿みてーにお人好しな男だ! そんでもってまた、馬鹿みてーに好きな物に真っ直ぐだから……楽って理由でデュエマの事を忘れられるわけないだろ!」

「部外者のお前に何が分かる? 脆弱で臆病な一般人が口を出すな」

「今だって脚ガクガクで逃げ出しちまいたいくらいだ。だけど、白銀は……こんな場面、何回も切り抜けてきたんだろ? あたしが、あたしが人生のこの一回くらい出張ったって、バチは当たらないってもんだよな」

 

 あの大胆不敵で、傲岸不遜で、唯我独尊な先輩が──震えてる。

 カチ、カチ、と歯が当たる音が聞こえて来る。

 きっと脚は震えてて、顔は見栄を張る為に無理矢理笑ってみせているのだろう。

 先輩。

 先輩、何でそこまでするんだ。

 あんなに戦うのは嫌だって言ってたのに。

 俺だって、先輩が危ない目に遇うのは──嫌なのに。

 

「難しい事なんて分からない。気が付けば足が動いてた。生憎、後輩の事を、後輩の好きなものを馬鹿にされるのはサイコーに虫唾が走るんだよなコレが!」

「それがこの男の真実だ。この男は自らの保身の為に──」

「そんな事言ったらさあ、あたしが今立ってるのもムカついた……それだけの理由さね」

「自分勝手な──私は、我々はトキワギ機関の為に──」

「自分の為に戦う、それが人間の究極的な生き方だよ。ンな当たり前の事が分かんないのか。そんなサイコーに当たり前の……何が悪いってんだよ!」

 

 指を突き立て、先輩は言い放った。

 

 

 

「白銀耀はあたしの後輩だ! 世界が敵に回っても、あたしだけはコイツの味方だ! だって、そっちの方が……サイコーに楽しい選択ってもんだろ!」

「歴史のエラー……お前も諸共に消えろッ!!」

 

 

 

 ああ先輩。

 やっぱり俺──何時になっても、先輩にだけは敵わないや。

 

 

 

「シールド、トリガー……発動」

 

 

 

「《灰になるほど──ヒート》!!」

 

 

 

 手札から飛び出す《怒ピッチャコーチ》。

 そして開くGRの門。

 助っ人に現れたのは、《ヤッタレロボ》だ。

 

「白銀──!?」

「《怒ピッチャコーチ》と《浸透(スルー)DS-10》をバトルして破壊! 相打ちだ!」

 

 よし。

 辛うじてダイレクトアタックは防げた。

 だけど、まだ《ヴィトラガッタ》の能力が残っている。

 

「防がれたか。だが、この程度は想定内──《ヴィトラガッタ》の効果で、お前の場のクリーチャーを全てマナ送りにすることは確定事項だ」

 

 振り下ろされる鉄槌。

 地響きと共に割れる足元。

 深き地の底にクリーチャー達が吸い込まれていく──

 

「おい白銀どうすんだ──!?」

「先輩! しっかり手ェ握っててください!」

「え!? あ──ちょっと待て!?」

 

 揺れる足元。

 先輩を引っ張り、俺はカードを手繰る。

 砂煙が巻き起こり──バトルゾーンには蔓が蔓延って見えなくなった。

 

 

 

「これで、全滅。この命題の答えは……」

「──全滅じゃねェよ」

 

 

 

 間に、合った。

 確かに残ってる。

 たった1枚、バトルゾーンに残ったカードが!

 

「──何故だ。《ヤッタレロボ》が生き残って──」

「《おしゃかなクン》のウルトラ・セイバーだ。俺のジョーカーズが場を離れる時に破壊すれば、生き残る」

「ウルトラ・セイバー……そうか、全体除去を喰らっても発動すれば生き残らせたいクリーチャーを場に留められるのか!」

「だとしても。そんな雑魚1体で、私を倒せるとでも──」

「いーや十分だ。これだけでな!」

 

 この1枚は大きい。

 この状況をひっくり返すにはあまりにも大きすぎる。

 

「先輩、見ててください──これが俺の、切り札達(ジョーカーズ)だ!」

「ああ見せてくれよ。サイコーに震わせてくれるヤツをさ!」

 

 《ヤッタレロボ》で俺のジョーカーズはコストを1軽減されている。

 俺のマナは7枚。

 一気に詰める! 俺の切札で!

 

「3マナで《ドンドド・ドラ息子》召喚! 効果で山札の上から4枚を表向きにして、ジョーカーズ・カードの《ルネッザーンス》を回収する!」

「そのカードは、手札にある火のジョーカーズにJ・O・Eを付与するカード……!?」

「ご名答! 加えて……《ヤッタレロボ》で1コスト軽減──」

 

 飛び出す皇帝(エンペラー)のカード。

 そして空へ刻まれるMASTERの文字。

 拳を握りしめる。7、6、5、とガコン、ガコン、と下がっていくカードのコストの数字。

 

「魂を燃やせ!! 点火(イグニッション)J・O・E(ジョーカーズ・オーバー・エクスプロード)!」

 

 やっぱりこのカードが最高に馴染む。高揚する胸を抑え、俺は盤上に切札を叩きつけた。

 この捻じ曲がった時の中で、未来を撃ち抜け!

 

 

 

 

「これが俺の灼熱の切札(ザ・ヒートワイルド)──燃え上がれ、《メラビート・ザ・ジョニー》!」

 

 

 

 飛んで来るボード。

 そこに乗った炎のガンマン。

 再会を喜ぶ間もなく──彼は二丁拳銃を地面目掛けてぶっ放す。

 炎の渦が巻き起こり、弾丸と化したジョーカーズが姿を現した。

 

「マスター・W・メラビート、発動! 効果で、J・O・Eを持つ火のジョーカーズを2体場に出す! 俺が出すのは《ルネッザーンス》──そして、《無限剣 リオンザッシュ》だ!」

 

 それは剣を掲げた炎の機士。

 未来への突破口となる先導者だ!

 

「ははっ、やっべー……カッコ良いカードばっかじゃねーか、白銀……!」

「カッコ良いだけじゃないですよ先輩! 先ず《ジョニー》の効果で場にジョーカーズが5体以上あれば、登場時に相手のクリーチャーを全て破壊します!」

 

 ボードが炎を纏い、オーラを纏ったクリーチャー達を一刀両断する。

 これで、シー・ジーの場のクリーチャーは全滅だ!

 

「更に、《リオンザッシュ》の効果でGR召喚! 出て来い──《ダンガスティック(ビースト)》!」

「よーやくっ、我の出番でありますなぁっ!!」

 

 地面へ降り立つ鋼の獣。

 これで盤面は完成した!

 

「《リオンザッシュ》で攻撃──W・ブレイクだッ!!」

「こんな、こんな事が……」

「更に、《ルネッザーンス》でW・ブレイク!」

「っ……私が、私の証明が間違っているとでも。ドラゴン・コードは、そう簡単には負けはしない!」

 

 次々に割れていくシー・ジーのシールド。

 よし、残り1枚だ!

 

「《メラビート・ザ・ジョニー》で最後のシールドをブレイク!」

「S・トリガー、《ニャミバウン》を投影(オーライズ)、《ヤッタレロボ》を手札へ戻す──ッ!!」

「土壇場でトリガーかよ、白銀どうすんだ!?」

「は、はは、スピードアタッカーの3体は攻撃し終わり、前のターンに場に出ていた《ヤッタレロボ》は消えた──これで、私の勝ちだ。証明完了──」

 

 

 

「《ダンガスティックB》で攻撃!!」

 

 

 

 咆哮する鋼の獣。

 それが、困惑するシー・ジー目掛けて飛び掛かる。

 

「今、何て──」

「《リオンザッシュ》が攻撃するとき、俺のクリーチャーを1体選んでスピードアタッカーを与える。後一手、足りなかったな」

「そんな馬鹿な事が──!」

 

 こいつの剣は先導の剣。

 仲間を引っ張る勇気の灯火だ!

 

 

 

「《(メタル)特急 ダンガスティック(ビースト)》で──ダイレクトアタック!!」

「ダンガスティック・キャノン……で、ありまぁぁぁすッッッ!!」

 

 

 

 赤い熱線が地面を焼き焦がす。

 双つの光はシー・ジー目掛けて放たれ、轟音と共に爆炎が巻き起こるのだった──

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。