学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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GR19話:アナザーロード──怒りの一撃

 ビーム砲と刀を携え、究極の合体ロボが顕現する。

 さあ応えてくれ、サンダイオー。

 今こそお前の必殺技をぶつける時だ!

 

「《リオンザッシュ》の効果で《ゴッド・ガヨンダム》をGR召喚! 効果でカードを捨てて、2枚ドロー! これで全ての条件は揃った!」

「条件だと!? 今更一体何を──」

「先ず、《メラビート》の効果でジョーカーズが5体以上いるので相手のクリーチャーを全て破壊!」

「破壊されるのは《アネモⅢ》だけだ! それだけではこの防御は止められない!」

「それだけじゃねえぞ。場にジョーカーズが6体、マナに6枚、合計11枚! G・ゼロ条件達成!」

 

 

 

皇帝(エンペラー)、【MAX必殺】モード──マキシマム』

 

 

 

 ジョニーの愛馬、《シルバー》が巨大な主砲、マキシマム・キヤノンへと姿を変える。

 その大口径は、《サンダイオー》へ向けられ、放たれる。

 

 

 

「Gゼロで呪文、《ジョジョジョ・マキシマム》を唱える! これで、《サンダイオー》のブレイク数は場のジョーカーズだけ増えるぜ!」

 

 

 

 刀身が極太のレーザー光を受け、赤く煌いた。

 そして、全力全壊を以てそれがシー・ジーのシールド目掛けて振り下ろされる。

 《ジョジョジョ・マキシマム》の効果は場のジョーカーズの数だけブレイク数を増加させること。

 

「そ、そんな、馬鹿な──ッ!?」

「加えて、《サンダイオー》は場とマナにジョーカーズが合計10枚以上あれば相手のシールドをブレイクする時、代わりに墓地へ置く」

「っ……まさか」

「一度置き換えたものは置き換える事は出来ない。デュエル・マスターズの大原則だ! 「〇〇する代わりに〇〇する」の効果は連鎖しねえんだよ!」

 

 だから、《ザハ・エルハ》ではこのシールドの焼却は防げない。

 そしてシールドを直接墓地に置くからありとあらゆるS・トリガーを無効化する!

 

 

 

「鎧袖一触……オメガ・マキシマムであります──ッ!!」

 

 

 

 振り下ろされた極太の一閃。

 それがシー・ジーのシールドを纏めて墓地へ焼き落とした。

 呆気に取られて何も言えない彼目掛けて──ガンマンの弾丸が火を噴く。

 

 

 

「──ブランを、返せッッッ!! 《メラビート・ザ・ジョニー》でダイレクトアタック!!」

「くそ──おのれ、白銀耀──ッ!!」

 

 

 

 着弾点から爆炎が巻き起こる。

 そして、空間は崩れ去ったのだった。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「がはっごほっあ、う、ぐぅっ──!!」

 

 

 

 辛うじてシー・ジーは立つ。 

 スーツは焼け焦げており、もうふらふらではあったが。

 

「おい。まだ喋れるよな?」

「──は、はぁ、あの方は、私には止められない──だから、私にはどうしようも、ない」

「うるせーんだよ。お前らの所為でブランが大変な事になってんだろうが。簡単には逃がさねえぞ、今回はな」

 

 胸倉を掴むとシー・ジーは憎々しげに俺を睨んでいたが、やがて眼を逸らし、吐き捨てるように言った。

 その視線の先には──ロードが立っている。

 

「ってめ、何余所見してやがる!!」

「ロード・クォーツライト……忘れるな。或瀬ブランの歴史を修正するということは、お前自身が歴史上から消える事は確定事項。よく、考えるんだな──」

「僕が、歴史から消える──」

「おいテメェ! 今は俺がテメェに質問してんだぜ、無視してんじゃねえ!!」

「誰がお前なんぞとまともに話を取り合ってやるものか。それに、歴史が変わればこのロードが消えるのは本当の事だろう? 或瀬ブランを犠牲にして今の歴史を維持するか、そこに居るロードを犠牲にするか、それだけの違いだ」

「この野郎……!」

「都合の悪い事を隠し通せると思うなよ、偽善者。私は最初から、お前に有益な情報をやるつもりなど毛頭も無い。おっと──ロードにとっては、今の情報は有益だったな」

 

 確かに、それは逃れられない事実だ。

 だって、ブランの歴史を修正すると言う事は──この時代で真っ当に生きているロードの歴史が消えるということ。

 いや、消えるだけならどんなに良かっただろう。

 俺の知っているロードは──ブランに一生癒えない傷を残したのだから。

 

 

 

「ロード、憶えておけ。白銀耀は……お前の敵だ。身の危険を感じたなら、さっさと始末するんだな」

 

 

 

 そう言い残し、シー・ジーは俺の手から逃れるようにして姿を消してしまった。

 その場に沈黙が残る。

 ……どうするんだよ。

 こんなのって、ねぇよ。

 両方を、どうにかして助けられないのかよ。

 分からない。分からない。

 俺は一体、どうすれば──

 

「部長が正しい歴史を修正すれば、僕は消える。それは本当なのかい?」

「……本当、だと思う」

「成程。確かにこうしてみれば、()は僕の敵ということになる」

「ロード……」

 

 雲の切れ目に陽光が差す。

 彼の顔は──微笑んでいた。

 

 

 

「──でも、ブランが生きている歴史があるって言うなら、僕は喜んで消えるよ」

 

 

 

 俺は言葉を失った。

 喜んで消える? そんな事を、笑いながら言うなよ。

 俺は何て言えば良いのか──

 

「あの子が笑顔をいられる歴史があるなら……それで良い」

「ロード様!? そんな、ロード様が消えるなんて私は──」

「シリウス。君にとっては僕が大事なように、僕もブランが大事なんだ」

「ですが……それでは、私は何のために戦ってきたのか」

「良いんだ。もう決めたから」

「ロード、お前……お前は、それで良いのかよ」

 

 彼は俺の問に答えはしなかった。

 

「部長。過去に行く方法を教えてくれ。君の言う、()()()()()とやらがホラじゃないならね」

 

 

 

「おじいちゃーん!! タイムダイバーの整備、終わりましたーっ!!」

 

 

 

 アカリの声が響く。

 そして、屋上のコンクリートからせんすいカンちゃんの船体が浮かび上がった。

 呆気に取られた様子でロードが目を見開く。

 

「……アカリ! こっちは何とか勝てたぜ!」

「遅れてすみません! こちらも準備完了です!」

「部長、あれは……」

「タイムダイバー。時間を超える潜水艦だ!」

「……あれが?」

「うん、まあ」

 

 ……流石にこれが最新型タイムマシンとは信じられないだろう。

 ハッチから飛び降りたアカリが、急いで駆けてくる。

 

「大変ですお爺ちゃん、Code(コード)1059(ヘブン)の影響かダッシュポイントが複数発生していて、何処に行けばいいのか分かりません! 時間改変された場所を特定しないと……」

「2010年12月24日、あの日はクリスマスイヴだったからよく覚えている」

 

 ぴしゃり、とロードは言った。

 正確な日時。

 忘れられもしない、この歴史でのブランの命日なのだろう。

 

「アカリ君。そこに時間の歪みとやらは発生しているか?」

「……はいっ! 此処にもダッシュポイントが……」

 

 タブレットで何やら検索しているアカリは目を見開いた。

 

「あっ、この日にロンドンに改変反応発見! 此処で間違いないです!」

「そうか。じゃあ、僕も連れて行ってくれ」

「ロード……協力してくれるのか?」

「最初はちょっと疑わしかったし、今も全部信じられたわけじゃない。だけど……言っただろう? 僕は──ブランの幸せが、僕自身の幸福さ」

 

 彼は拳を突きだして来る。

 

「それに、歴史が違っても部長は部長だった。僕のピンチに迷わず駆けつけてくれただろう?」

「それは──」

「何、初歩的な推理だよ、我がワトソン」

 

 まるでブランみたいに彼は言った。

 ひょっとして、こいつも推理小説好きなのか?

 

「朝、部長は僕にかなり敵対的な態度を取っていたね。そして、この事から向こうの僕と君の仲が破局的なのは凡そ察する事が出来たさ」

「うっ、それは」

「それでも君は、顔も声も憎たらしいはずの僕を助けてくれただろ。僕の知ってる部長も、きっとそうすると思っただけだよ」

 

 この歴史の異常を解決したら、このロードは消えてしまう。

 だけど──それでも、こいつは乗ってくれた。

 

 

 

 

「僕の知らない部長。一緒に忌まわしい過去を変えてほしい。ブランの為に」

「こっちこそだ。よろしく頼むぜ……ロード!」

「それじゃあ、過去に行きましょう! 二人共!」

 

 

 

 ──画して。

 何の因果か、捻じ曲がった歴史の因縁の宿敵は──今、最高のパートナーとして俺に協力してくれることになった。

 タイムダイバーが向かうのは──2010年のロンドンだ!

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