学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】 作:タク@DMP
※※※
「──何で」
炎が、俺を包む。
正直、痛みも衝撃もシー・ジーとのデュエル以上のものだった。
皮膚は焼け爛れて皮が捲れてるし、全身煤だらけだ。
それでも──
「何でまだ、
──俺は、その場に立っていた。
「大事なモンを、無かった事にしたくねぇからだ──ッ!!」
「我々は、そのために戦っているのでありますよ!」
砕けたシールドから、S・トリガーが飛び出す。
来た──《バイナラドア》と《SMAPON》だ!
《バイナラドア》の除去効果は《ダラク》に付いた《エダマ・フーマ》に阻まれてしまう。
だけど、オマケでカードを1枚引くことができる!
「ブランの歴史も、ロードの託してくれたモンも、全部無かった事にしなんかしねぇ! 俺だけが全部覚えていたとしても、俺が全部引きずって、俺達の
「はっ、喚いても無駄ですわ。このまま蹂躙して──」
「《SMAPON》のスーパー・S・トリガー効果で、そのターン中、自分はゲームに負けず、相手はゲームに勝てねぇ!」
「なっ──なら、これ以上の攻撃は無駄ですわね。でも、《ジャ悪ペンドラ》の効果で、ブレイクしたシールドの数だけ手札を捨ててもらいますわよ」
巨大なムカデのオーラが飛び出したかと思うと、俺の手札を一気に喰らっていく。
更に山札も纏めて墓地へ送られた。
「《ジャ悪ペンドラ》の効果で、ブレイクしたシールドの枚数だけ山札も破壊しますわ!」
「痛くも痒くもねぇよ」
「っ……!? ……言ってくれますわね、ターンの終わりに《Code:1059》の効果でGR召喚しますわよ!!」
現れたのは《白皇世の意志 御嶺》。
パワー25000を誇る不死身のGRクリーチャーだ。
「そして罪・無月の大罪の効果で、ターンの終わりに自分のクリーチャーを墓地に置かないといけないですわ。まあ場を離れない《御嶺》を選べば良いですわね! オーッホッホッホッホ!」
それに、と彼女は俺の盤面を見回す。
「マナは次のターンで5枚。でもコストを軽減するクリーチャーなんてどこにも居ないですわね。手札もボロボロ、そんな状態で《メラビート・ザ・ジョニー》も、まして《サンダイオー》も出せる訳がありませんわ!」
「……それでも勝つ。勝たねえと──いけねえんだよ!」
飛び出すエリアフォースカード。
そこに刻まれた、マスター・ドラゴンの紋章。
希望は、次のドローに託す!
「ドローッ!!」
俺はずっと、ブランを支えてるって思ってた。だけど──本当はブランに、仲間達に俺は支えられてたんだ。
「っ馬鹿な! この盤面で逆転できると思っているのですの!?」
「大番狂わせが、デュエマの醍醐味だ! しっかりラーニングとやらに刻んでおけよ!」
5枚のマナをタップさせる。
足りない2枚は──場の《バイナラドア》と《SMAPON》を戻す事で補う!
「自力でコスト軽減……わ、私のド・ラガンザークと似ている──!?」
「一緒にするんじゃねえ! このカードは──仲間の魂を背負った、俺の
浮かび上がるMASTERの紋章。
そこに上から、Dのマークが焼きつけられる──
「これが俺達の、
エリアフォースカードに映る銃を掲げし皇帝の絵。
そこから無数の銃火器が飛び出す──
「──《ジョット・ガン・ジョラゴン》、装填完了!」
──大地を踏みしめ、爆誕したのだった。
無数の銃を背負った無限大の道化龍。
それが、《ジョット・ガン・ジョラゴン》だ!
「っ……な、何ですの!? 《ガンマスター》じゃない《ジョラゴン》……!?」
「マスター! やったでありますよ! ジョラゴンと今のマスターの適合率は──100%を超えているであります!」
「なら引き下がる理由もねぇな! 《ジョット・ガン・ジョラゴン》で攻撃だ!」
無数の銃口がマリーナを狙う。
その顔が今度こそ蒼褪めた。
「いや、大丈夫──ただのW・ブレイカー! 見掛け倒しですわ!」
此処で攻め勝てる保証なんか何処にもない。
だけど、もう引き下がる理由もない!
『
「《ジョラゴン》で攻撃するとき、カードを1枚引いて1枚捨てる。捨てるのは、《ガヨウ神》だ!」
「それが何になるって言うのですの……!?」
『【ジョラゴン・ビッグ1】:バレット・ローディング』
次の瞬間、捨てられた《ガヨウ神》が《ジョラゴン》の掌から吸い込まれていく。
それが弾丸となって装填され──打ち放たれた。
『”ガヨウ”ローディング』
「ジョラゴン・ビッグ1──それは、手札から捨てたジョーカーズの”場に出た時の効果”を使う能力だ!」
「それでも運任せでなくて? しかも、たかが1枚程度じゃ覆らないですわー」
「だったら良かったんだけどな──まず、《ガヨウ神》の効果発動! カードを2枚引く!」
撃ち放たれた弾丸が空中で炸裂し、手札となって俺の手に加わる。
「そして、カードを1枚捨てれば、もう2枚ドローできる!」
「カードを捨てる……!? ま、まさか、連鎖ですの……!?」
「その通りだ! 《アイアン・マンハッタン》を捨てる!」
『”マンハッタン”ローディング』
《ジョラゴン》がマリーナのシールド目掛けて弾丸を放つ。
それが破裂し──竜巻となって、彼女の盾を纏めて破砕した。
あまりにも吹きすさぶ嵐が、機械椅子をひっくり返してしまう。
「キャアアアッ!?」
「大嵐の弾丸、マンハッタン・トランスファー! 相手のシールドを2枚選んで、それ以外を全てブレイクする!」
「しかも、手札を捨てる効果はまだ連鎖しているでありますよ!」
「今度はこいつだ!」
さっき《ガヨウ神》の効果で引き込んだ──とっておきの火のジョーカーズだ!
「疾く駆けよ、鋼の軍馬! 《バーンメア・ザ・シルバー》を装填!」
『”バーンメア”ローディング』
続けざまに《ジョラゴン》が弾丸を放つ。
今度は二発が虚空に放たれ、超GRゾーンの大穴となって穿たれた。
「《バーンメア》が場に出た時の効果で2回GR召喚する──《鋼特Q ダンガスティック
咆哮と共に鋼の獣、そして全身が機械に覆われたもう1体の《ジョラゴン》が戦場に降り立つ。
これで──現代と未来のジョラゴンが揃った!
「《ジョット・ガン・ジョラゴン》で、シールドをW・ブレイク!」
「おのれ、一撃でシールドを全部持っていくとは……これが、ドラゴンの力ですのね……!」
降り注ぐ破片を機械椅子で受け流した後、マリーナは這い出てきた。
空に浮かぶシールド・トリガーを手に──
「でも、此処でこのカードが来てしまったのが運の尽きでしたわね! S・トリガー、《
メイスを掲げた地獄の審判が実体化する。
それが、《ガンマスター》の身体を一瞬で撃ち砕いてしまった。
「オーッホッホッホッホ! 残念! 折角、スピードアタッカーになれるカードを引いたのに、トドメまで持っていけないなんて、おハーブ生えますわ、オーッホッホッホッホ!」
「《鋼特Q ダンガスティック
「ホ?」
地面を駆ける鋼の獣の進撃は止まらない。
もう守るものが何もないマリーナに、そのビーム砲の銃口を向けた。
「な、何で──」
「《バーンメア》の効果で場に出てきたGRクリーチャーは、皆スピードアタッカーだ!」
極光が限界までチャージされていく。
目を見開いたマリーナ目掛けてそれは解き放たれた──
「お前達の好き勝手にもうさせてやるもんかッ!! この時代から出てけッ!!」
「ブラン殿には指一つ触れさせない! ダンガスティック・キャノン──でありますッッッ!!」
※※※
間もなくして。
時間Gメンのタイムマシンが現れた。
ダンガスティックに吹き飛ばされたマリーナは瓦礫の中に埋まってはいたが──すぐさま駆け付けた隊員に引き起こされる。
そして憎々しげにこちらを睨んだかと思えば、
「流石……ドラゴンの力は素晴らしいものですわ。たっぷり、研究の糧にさせていただきますわよ、オーッホッホッホッホ!」
「おいコラ! 何勝手に逃げようとしてんだ!」
「まだ何かありますの?」
「歴史を変える為なら、過去に遡って子供を平気で殺す……それがトキワギ機関のやり方なのかよ!」
「?」
彼女は不思議そうな顔をすると言った。
「それが任務というならば、ワタクシは喜んで実行しますわよ。開発したオーラを試す絶好の機会ですもの!」
「ふざけんな! 実験ついでに殺されて堪るか!」
「庶民の生き死になんて、ワタクシには関係ないですわ。まあでも、今回はワタクシたちの負けて良いですわよ? あーはいはい、興醒め興醒め」
一発ぶん殴ってやろうかと思って走りかけたが、そのままタイムマシンは何処かへ飛んで行ってしまう。
辺りを見回すと、本当にボロボロで──これ、どうなるんだろう、と思案していた。
「ロード」
ふと、その名前を呼ぶ。
彼の事をずっと覚えているのが特異点たる俺の使命なのだろう。
だけど──
「……やりきれねえよな、こんなの」
「マスター……」
「歴史を変える度に、誰かが消える。でも、歴史を元に戻しても”変わった歴史でしか生きていられない人”も消える」
ロードだってそうだ。
遅かれ早かれ、彼は消える運命だった。
「……俺のやってる事も、結局時間Gメンと何にも変わらねえじゃねえか」
「……それでも、前に進むしかないでありましょう。我だって……皆が一緒が良いであります」
「分かってるよ」
俺は──覚悟しなければいけないのかもしれない。
最善の歴史なんてものは存在しなかったとしても、「俺の歴史」が最善だと念じてでも進まなければならない。
じゃなければきっと、何処かで押し潰されてしまう気がした。
目の前で失ったものを数えているうちに、罪悪感に引きずられてしまいそうな気がした。
「それに、ロード殿は背中を押してくれたであります」
そうだ。
ロードは、自分の選択に後悔なんかしていなかった。
俺も──後悔しないようにしないと。
「今更引き下がるつもりはねえ。あいつに助けられた命、俺は──俺の今を取り戻すために使う」
「おじいちゃーん!」
アカリの声がした。
見れば、カンちゃんに乗ったまま地面から飛び出して来る。
「この時代、破損が激しくて修復が始まりつつあります! 早く逃げないと帰れなくなります!」
「ああ、分かった──」
そうだ、帰らなきゃいけない。
ブランが、仲間達がきっと──待っているはずだから。
「帰ろう、チョートッQ! 俺達の時代に」
「……応、であります!」