学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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GR25話:思い出の場所──真龍の弾丸

※※※

 

 

 

「──何で」

 

 

 

 炎が、俺を包む。

 正直、痛みも衝撃もシー・ジーとのデュエル以上のものだった。

 皮膚は焼け爛れて皮が捲れてるし、全身煤だらけだ。

 それでも──

 

 

 

「何でまだ、()()()()()()()んですの!?」

 

 

 

 ──俺は、その場に立っていた。

 

「大事なモンを、無かった事にしたくねぇからだ──ッ!!」

「我々は、そのために戦っているのでありますよ!」

 

 砕けたシールドから、S・トリガーが飛び出す。

 来た──《バイナラドア》と《SMAPON》だ!

 《バイナラドア》の除去効果は《ダラク》に付いた《エダマ・フーマ》に阻まれてしまう。

 だけど、オマケでカードを1枚引くことができる!

 

「ブランの歴史も、ロードの託してくれたモンも、全部無かった事にしなんかしねぇ! 俺だけが全部覚えていたとしても、俺が全部引きずって、俺達の現代(いま)に全部繋ぐ!」

「はっ、喚いても無駄ですわ。このまま蹂躙して──」

「《SMAPON》のスーパー・S・トリガー効果で、そのターン中、自分はゲームに負けず、相手はゲームに勝てねぇ!」

「なっ──なら、これ以上の攻撃は無駄ですわね。でも、《ジャ悪ペンドラ》の効果で、ブレイクしたシールドの数だけ手札を捨ててもらいますわよ」

 

 巨大なムカデのオーラが飛び出したかと思うと、俺の手札を一気に喰らっていく。

 更に山札も纏めて墓地へ送られた。

 

「《ジャ悪ペンドラ》の効果で、ブレイクしたシールドの枚数だけ山札も破壊しますわ!」

「痛くも痒くもねぇよ」

「っ……!? ……言ってくれますわね、ターンの終わりに《Code:1059》の効果でGR召喚しますわよ!!」

 

 現れたのは《白皇世の意志 御嶺》。

 パワー25000を誇る不死身のGRクリーチャーだ。

 

「そして罪・無月の大罪の効果で、ターンの終わりに自分のクリーチャーを墓地に置かないといけないですわ。まあ場を離れない《御嶺》を選べば良いですわね! オーッホッホッホッホ!」

 

 それに、と彼女は俺の盤面を見回す。

 

「マナは次のターンで5枚。でもコストを軽減するクリーチャーなんてどこにも居ないですわね。手札もボロボロ、そんな状態で《メラビート・ザ・ジョニー》も、まして《サンダイオー》も出せる訳がありませんわ!」

「……それでも勝つ。勝たねえと──いけねえんだよ!」

 

 飛び出すエリアフォースカード。

 そこに刻まれた、マスター・ドラゴンの紋章。

 希望は、次のドローに託す!

 

 

 

「ドローッ!!」

 

 

 

 俺はずっと、ブランを支えてるって思ってた。だけど──本当はブランに、仲間達に俺は支えられてたんだ。

 

「っ馬鹿な! この盤面で逆転できると思っているのですの!?」

「大番狂わせが、デュエマの醍醐味だ! しっかりラーニングとやらに刻んでおけよ!」

 

 5枚のマナをタップさせる。

 足りない2枚は──場の《バイナラドア》と《SMAPON》を戻す事で補う!

 

「自力でコスト軽減……わ、私のド・ラガンザークと似ている──!?」

「一緒にするんじゃねえ! このカードは──仲間の魂を背負った、俺の切り札(ワイルドカード)だ!」

 

 浮かび上がるMASTERの紋章。

 そこに上から、Dのマークが焼きつけられる──

 

 

 

「これが俺達の、真龍の切札(ジョーカーズ・ドラゴン)──」

 

 

 

 エリアフォースカードに映る銃を掲げし皇帝の絵。

 そこから無数の銃火器が飛び出す──

 

 

 

「──《ジョット・ガン・ジョラゴン》、装填完了!」

 

 

 

 ──大地を踏みしめ、爆誕したのだった。

 無数の銃を背負った無限大の道化龍。

 それが、《ジョット・ガン・ジョラゴン》だ!

 

「っ……な、何ですの!? 《ガンマスター》じゃない《ジョラゴン》……!?」

「マスター! やったでありますよ! ジョラゴンと今のマスターの適合率は──100%を超えているであります!」

「なら引き下がる理由もねぇな! 《ジョット・ガン・ジョラゴン》で攻撃だ!」

 

 無数の銃口がマリーナを狙う。

 その顔が今度こそ蒼褪めた。

 

「いや、大丈夫──ただのW・ブレイカー! 見掛け倒しですわ!」

 

 此処で攻め勝てる保証なんか何処にもない。

 だけど、もう引き下がる理由もない!

 

皇帝(エンペラー)、アサルトモード──』

「《ジョラゴン》で攻撃するとき、カードを1枚引いて1枚捨てる。捨てるのは、《ガヨウ神》だ!」

「それが何になるって言うのですの……!?」

 

 

 

『【ジョラゴン・ビッグ1】:バレット・ローディング』

 

 

 

 次の瞬間、捨てられた《ガヨウ神》が《ジョラゴン》の掌から吸い込まれていく。

 それが弾丸となって装填され──打ち放たれた。

 

『”ガヨウ”ローディング』

「ジョラゴン・ビッグ1──それは、手札から捨てたジョーカーズの”場に出た時の効果”を使う能力だ!」

「それでも運任せでなくて? しかも、たかが1枚程度じゃ覆らないですわー」

「だったら良かったんだけどな──まず、《ガヨウ神》の効果発動! カードを2枚引く!」

 

 撃ち放たれた弾丸が空中で炸裂し、手札となって俺の手に加わる。

 

「そして、カードを1枚捨てれば、もう2枚ドローできる!」

「カードを捨てる……!? ま、まさか、連鎖ですの……!?」

「その通りだ! 《アイアン・マンハッタン》を捨てる!」

『”マンハッタン”ローディング』

 

 《ジョラゴン》がマリーナのシールド目掛けて弾丸を放つ。

 それが破裂し──竜巻となって、彼女の盾を纏めて破砕した。

 あまりにも吹きすさぶ嵐が、機械椅子をひっくり返してしまう。

 

「キャアアアッ!?」

「大嵐の弾丸、マンハッタン・トランスファー! 相手のシールドを2枚選んで、それ以外を全てブレイクする!」

「しかも、手札を捨てる効果はまだ連鎖しているでありますよ!」

「今度はこいつだ!」

 

 さっき《ガヨウ神》の効果で引き込んだ──とっておきの火のジョーカーズだ!

 

「疾く駆けよ、鋼の軍馬! 《バーンメア・ザ・シルバー》を装填!」

『”バーンメア”ローディング』

 

 続けざまに《ジョラゴン》が弾丸を放つ。

 今度は二発が虚空に放たれ、超GRゾーンの大穴となって穿たれた。

 

「《バーンメア》が場に出た時の効果で2回GR召喚する──《鋼特Q ダンガスティック(ビースト)》、《Theジョラゴン・ガンマスター》を出すぜ!」

 

 咆哮と共に鋼の獣、そして全身が機械に覆われたもう1体の《ジョラゴン》が戦場に降り立つ。

 これで──現代と未来のジョラゴンが揃った!

 

「《ジョット・ガン・ジョラゴン》で、シールドをW・ブレイク!」

「おのれ、一撃でシールドを全部持っていくとは……これが、ドラゴンの力ですのね……!」

 

 降り注ぐ破片を機械椅子で受け流した後、マリーナは這い出てきた。

 空に浮かぶシールド・トリガーを手に──

 

「でも、此処でこのカードが来てしまったのが運の尽きでしたわね! S・トリガー、《(シン)罰執行 ジョ(グラ)ンマ》を投影(オーライズ)ですわ! 効果で、《ガンマスター》を破壊しますわよ!」

 

 メイスを掲げた地獄の審判が実体化する。 

 それが、《ガンマスター》の身体を一瞬で撃ち砕いてしまった。

 

「オーッホッホッホッホ! 残念! 折角、スピードアタッカーになれるカードを引いたのに、トドメまで持っていけないなんて、おハーブ生えますわ、オーッホッホッホッホ!」

 

 

 

「《鋼特Q ダンガスティック(ビースト)》でダイレクトアタック!!」

 

 

 

「ホ?」

 

 

 

 地面を駆ける鋼の獣の進撃は止まらない。

 もう守るものが何もないマリーナに、そのビーム砲の銃口を向けた。

 

「な、何で──」

「《バーンメア》の効果で場に出てきたGRクリーチャーは、皆スピードアタッカーだ!」

 

 極光が限界までチャージされていく。

 目を見開いたマリーナ目掛けてそれは解き放たれた──

 

 

 

「お前達の好き勝手にもうさせてやるもんかッ!! この時代から出てけッ!!」

「ブラン殿には指一つ触れさせない! ダンガスティック・キャノン──でありますッッッ!!」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 間もなくして。 

 時間Gメンのタイムマシンが現れた。

 ダンガスティックに吹き飛ばされたマリーナは瓦礫の中に埋まってはいたが──すぐさま駆け付けた隊員に引き起こされる。

 そして憎々しげにこちらを睨んだかと思えば、

 

「流石……ドラゴンの力は素晴らしいものですわ。たっぷり、研究の糧にさせていただきますわよ、オーッホッホッホッホ!」

「おいコラ! 何勝手に逃げようとしてんだ!」

「まだ何かありますの?」

「歴史を変える為なら、過去に遡って子供を平気で殺す……それがトキワギ機関のやり方なのかよ!」

「?」

 

 彼女は不思議そうな顔をすると言った。

 

「それが任務というならば、ワタクシは喜んで実行しますわよ。開発したオーラを試す絶好の機会ですもの!」

「ふざけんな! 実験ついでに殺されて堪るか!」

「庶民の生き死になんて、ワタクシには関係ないですわ。まあでも、今回はワタクシたちの負けて良いですわよ? あーはいはい、興醒め興醒め」

 

 一発ぶん殴ってやろうかと思って走りかけたが、そのままタイムマシンは何処かへ飛んで行ってしまう。

 辺りを見回すと、本当にボロボロで──これ、どうなるんだろう、と思案していた。

 

「ロード」

 

 ふと、その名前を呼ぶ。

 彼の事をずっと覚えているのが特異点たる俺の使命なのだろう。

 だけど──

 

「……やりきれねえよな、こんなの」

「マスター……」

「歴史を変える度に、誰かが消える。でも、歴史を元に戻しても”変わった歴史でしか生きていられない人”も消える」

 

 ロードだってそうだ。 

 遅かれ早かれ、彼は消える運命だった。

 

「……俺のやってる事も、結局時間Gメンと何にも変わらねえじゃねえか」

「……それでも、前に進むしかないでありましょう。我だって……皆が一緒が良いであります」

「分かってるよ」

 

 俺は──覚悟しなければいけないのかもしれない。

 最善の歴史なんてものは存在しなかったとしても、「俺の歴史」が最善だと念じてでも進まなければならない。

 じゃなければきっと、何処かで押し潰されてしまう気がした。

 目の前で失ったものを数えているうちに、罪悪感に引きずられてしまいそうな気がした。

 

「それに、ロード殿は背中を押してくれたであります」

 

 そうだ。

 ロードは、自分の選択に後悔なんかしていなかった。

 俺も──後悔しないようにしないと。

 

「今更引き下がるつもりはねえ。あいつに助けられた命、俺は──俺の今を取り戻すために使う」

 

 

 

「おじいちゃーん!」

 

 

 

 アカリの声がした。

 見れば、カンちゃんに乗ったまま地面から飛び出して来る。

 

「この時代、破損が激しくて修復が始まりつつあります! 早く逃げないと帰れなくなります!」

「ああ、分かった──」

 

 そうだ、帰らなきゃいけない。

 ブランが、仲間達がきっと──待っているはずだから。

 

 

 

「帰ろう、チョートッQ! 俺達の時代に」

「……応、であります!」

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