学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】 作:タク@DMP
※※※
黒鳥──2018年の方──とドギラゴンのオーラのデュエル。
マナを加速するドギラゴンのオーラに対し、黒鳥は《エマージェンシー・タイフーン》で手札を交換する動きを見せていた。
「先ずはその手札を捥ぐとしよう。2マナで《ルソー・モンテス》召喚。手札を1枚捨てて、相手の手札を1枚捨てさせる」
現れたのは地獄の審問者。
その手に握られた本が相手の知識を奪い取る。
早速1枚、ドギラゴンのオーラの手札は破壊された。
「グルァァァー!!」
<《バライフ》、
しかし、相手も展開の手を緩める気配はない。
マナを増やす効果を持つオーラである《バライフ》を出して応戦してくる。
「それがオレガ・オーラか……! 前もって予習していた甲斐があったというものだが、それでもどこまで戦えるかだな」
<《クリスマⅢ》、マナドライブ3>
加えて、憑依元となったカードは《クリスマⅢ》。
自身を破壊して、マナゾーンにカードを置く効果を持つ。
これで既に相手のマナは6枚に達しつつあった。
「僕は《サイバー・チューン》で手札を3枚引いて2枚を墓地に落とす。ターンエンドだ」
これで既に黒鳥の墓地には大量のカードが送り込まれていた。
墓地を増やす黒鳥。
マナを増やすドギラゴンのオーラ。
先手を打ったのは──怪物の方だった。
「グルゥゥゥーッ!!」
<《ダイパ殺デー》、
現れたのは蜘蛛のようなオーラ。
その手から放たれた糸が黒鳥の手札に絡みつく。
「チッ、《エマージェンシー・タイフーン》を墓地に置く!」
<《ヨミジ丁ー二式》、マナドライブ7>
だが、これだけでは終わらなかった。
黒鳥は目を見開く。
投影されたチップは、あまりにも大きい。
冥界への門をこじ開けようとしていた──
「馬鹿な──このGRクリーチャーとやらは、墓地からもカードを直接出せるのか!!」
「ウゥゥゥゥゥ、レェェェェエエエエン!!」
<
刻み込まれる数字はⅩⅨ。
太陽を示す数字。
戦場に降り立つのは漆黒の鎧に包まれた龍を超えし龍のオーラだった。
その一閃の下に《ルソー・モンテス》は両断される。
「っ……!」
咄嗟に黒鳥はデバイスを見やる。
そこには場に展開されているカードの説明が書かれていた。
「《蒼卍龍 ドギラゲンム》、ドラゴン・コード/マフィ・ギャング/デリートロンのオレガ・オーラ……! 成程な、場に出た時にクリーチャーを破壊する上にクリーチャーが破壊されたら手札を引けるのか……!」
「グルァァァァァーッ!!」
<《マリゴルドⅢ》、マナドライブ6>
それに加えて、《ドギラゲンム》が重なったチップから、更にオーラが投影されていく。
マナゾーンから現れたのはナースのような姿をしたオーラの《ジェ霊ニー》。
更に重ねられたGRはカッターのようなチップだった。
<《カット丙ー二式》、マナドライブ5>
次の瞬間、《ジェ霊ニー》の身体が弾け飛ぶ。
そして二本のカッターが黒鳥の残る手札も全て削り取った。
黒鳥はデバイスを見やる。
《ジェ霊ニー》は場に出た時、《カット》はマナドライブで自身を破壊する時、それぞれ相手の手札を見て手札を捨てさせる能力を持つ。
これで黒鳥の手札は全て削り取られてしまった。
(……しかも、今ので奴はまた手札を引いた……完全にしてやられたな、手札も場も一瞬で削り取られたわけだ)
黒鳥はトップで引いたカードをマナに置く。
ドギラゴンの姿をしたオーラは想像以上の強敵だ。
一瞬で戦力差を引き離されてしまった。
どうするか、と項垂れる。
此処まで来ると、最早トップ頼りしかできない。
「レ、ェェェエエエン」
咆哮する巨龍。
その声は──自分を呼んでいるように思えた。
「クッ、カハハハハ、貴様は……そんな姿になっても、僕の事が分かるのか。この時代ではない僕の姿が分かるのか」
見えている。
確かに彼は自分の姿が見えているのだ。
ならば猶更、これ以上の醜態は晒すことが出来ない。
黒鳥は──不敵に、笑みを浮かべるのだった。
※※※
黒鳥──2014年の方──は黙って、その戦いの行く末を見守るしかなかった。
未来の自分のスタイルがどうなっているのかと期待していたが、蓋を開ければ水の手札交換カードを使ってばかり。
墓地に落ちているカードの中には《ヘルボロフ》が見えるが、他のカードを見るに《ウェルカム・ヘル》と相性の良い構築とは思えない。
「何やっているんだ……未来の僕は……」
しかもそうこうしているうちに盤面も手札も完全に差を開けられてしまった。
こんな状態で勝てるビジョンは思い浮かばなかった。
にも拘わらず──彼は笑っている。
目を血走らせ、息を切らせながらも──まるで愉しむように口角を上げている。
「……まだ僕にも……あんな顔が出来たのか……だが、こんなことで勝てるのか? 勝たなければ、全てお終いじゃないか」
「見給え!! 手札もゼロ。クリーチャーもゼロ。まさに貴様は今、僕を追い詰めていると言っても良いだろう!!」
高らかに未来の自分の声が聞こえてくる。
とうとう気でも違ったか、と黒鳥は頭を抱える。
しかし──
「だが思い出せヒナタよ。僕のデュエルの美学は此処からだ。全てを美しく無に帰す破壊の芸術。貴様にそれをぶつけ、目を覚まさせてやろうではないか!!」
──その目を見て確信する。まだ未来の自分は諦めていない。
そして──美学。その言葉を彼はしばらく使っていなかったことに気付いた。
「美学、か……日々を生きるのが精一杯すぎて──そんな言葉、忘れていたな」
※※※
『白銀耀──』
その声には聞き覚えがあった。
他でもないゲイルのものだ。
どうして? 消されたはずじゃ──
「ゲイル!? 何処にいるんだ!?」
「一体どういうことであります!? 声が聞こえるでありますよ!」
『いいや、消されたさ。これは残響。亡霊のようなものさ。もう長くはもたない』
ゲイルの声は確かに響いてくる。
しかし。か細く、もう消えてしまいそうだった。
『だけど、
「カードが俺に……?」
「どういうことでありますか?」
『分からない。ところで僕は、
「
いやでも、そういえば……他のエリアフォースカードにもいろいろ特徴があるけど、
それにカードが引き寄せられているのか?
『チョートッQ。君なら分かるはずだ。
「わ、我に言われても……何にも分からないでありますよ!」
『いや、分かっているはずなんだ。なぜなら君は──既にそれを手に入れているようだからね』
ゲイルの声は小さく消えていく。
そよ風の中に消えてしまうかのように。
『……そして僕のヒーローを、よろしく頼むよ』
そこでゲイルの声は途切れた。
駄目だ。
結局訳が分からない。
思わず
熱い。熱を強く帯びている。
それはまるで──怒っているようだった。
だけど、分かる。これは
手に取ると何となくだが分かるのだ。
もっと遠くから伝わってくる感情だ。
「
「そ、そんなこと分かるのでありますか!?」
「……そりゃそうだよな。いきなり主人と引き離されて、一心同体の守護獣も消されて──桑原先輩の事、あんなに気に入ってたもんな」
俺は
そこに取り込まれているであろう
まるで心臓のように手にはっきり魔力と感情の奔流が伝わってくる。
「
火文明のマーク。真龍のマーク。そして次に刻まれるのは──自然文明のマークだ。
「な、何だぁ!? わ、私の
さあ、どうだろう。
俺にも実際分からない。
分からないけど──やるべき事は決まった。
「
カードを引く。
そこにあるカードは当然、前のターンにセットしていた《ジョット・ガン・ジョラゴン》だ。
7枚のマナをタップする。
ああ、行くぜ切札。
刻まれるのはⅣ。皇帝を意味する数字。
真龍の降臨を表すマスタードラゴンの焼き印が地面に大きく表れた──
「《ジョット・ガン・ジョラゴン》、装填完了!!」
無数の弾痕が地面に穿たれる。
空から飛び出したガンマンのドラゴン。
もうここまで来たら後に引き下がれない。
「馬鹿め!! こちらには5体の壁がいるのだ! クリーチャーの攻撃が通ると思うな!」
「貫き通す! 《ジョット・ガン・ジョラゴン》で攻撃!」
地面を駆けるガンマン。
その手に弾丸が装填される。
攻撃時の効果でカードを1枚引き、1枚捨てる。
そして捨てたカードがジョーカーズならば、その登場時の効果を使えるんだ!
<《スロットン》、ローディング>
「《キング・ザ・スロットン7》を捨てて、ジョラゴン・ビッグ1発動! 山札の上から3枚を表向きにして、全部ジョーカーズならばその中から1体選んで場に出す!」
表向きになったカードは《アイアン・マンハッタン》。《バイナラドア》。
そして──
「来た」
浮かび上がる数字はⅧ。
《ジョリー・ザ・ジョニー》のカード。
それが自然文明の緑に染まっていく。
択ぶのはこの弾丸だ!
「これが俺の
一瞬遅れて、ブモオオオオという唸り声が後ろから聞こえてくる。
それは俺の頭上を飛び越し──荒々しく地面に降り立つ。
そこに飛び乗る一つの影。
カウボーイハットにゴーグルを装着した必中の射手がそこにはあった。
「自然文明のジョニー……!」
何だろう。こいつ──確かに初めて握った気がしない。
ジョニーの新しい姿のはずなのに。
「……まあ今は考えてるよりも先に、あいつをぶち抜くのが先だ!」
「通さんと言っただろう!」
先行する《ジョット・ガン・ジョラゴン》の散弾。
しかし、それは《バツトラの父》によって防がれてしまう。
だが──そこに続くようにして《ジョニー》が巨大なクロスボウを掲げた。
そこには幾つもの弓矢が装填されており──
「《オラマッハ・ザ・ジョニー》はマスター・マッハファイターだ! 場に出たターン、アンタップしているやつも含めて相手のクリーチャーを攻撃できる!」
それが次々に放たれていく。
まずは《ケルベロック》だ。
その三つ首の額に弓矢が突き刺さり、内部のチップを砕いて爆散させる。
「馬鹿め! それで終わりだろう!」
「いーやまだだ! マスター・マッハファイターで《オラマッハ・ザ・ジョニー》はバトルに勝ったらアンタップして、相手のシールドをブレイクするんだ!」
再びクロスボウに弓矢が装填された。
今度は乱射。
シー・ジーの場に、《オラマッハ・ザ・ジョニー》のパワーに勝てるクリーチャーは存在しない。
「オーラが分散させたのが逆に仇に……!? 馬鹿な、こんなことが……有り得ない!!」
爆散する《TS-10》の背後でシー・ジーは目を見開く。
そして降りかかる弓矢はそのまま彼のシールドも貫いていく。
「そうだ、これは幻だ、夢だ、だって、こんなことがあって良いはずがない。あって良いわけが──無い!! だって悪いのはお前達だぞ! 私は何も悪くないのだぞ! ほら証拠に見てみろ!」
砕かれたシールドの1枚が光り輝く。
マズい。S・トリガーだ!
「S・トリガー、《お眠りララバイ》で《クリスマⅢ》をGR召喚し、場にGRクリーチャーが3体以上いるので相手のクリーチャーを全てタップする──!!」
「マスター、止められるでありますよ!」
「分かってらぁ!」
《ジョニー》が発動した呪文目掛けて引き金を絞る。
《ゴールデン・ザ・ジョニー》と同じ──いや、それ以上かもしれない。
呪文に対抗する能力が備わっているんだ!
「《オラマッハ・ザ・ジョニー》の効果発動! 相手が呪文を唱えた時、それと同じコストのジョーカーズを手札から捨てれば、その呪文の効果は失われる!」
クロスボウが呪文を打ち消す。
これで、光はこちらに届かない。
まだ《ジョニー》は攻撃できる!
「バトルに勝てば《ジョニー》は無限にアンタップする!! ブロッカーも何も関係ねえ!!」
乱射されるボウガンが次々にシールドを、そしてクリーチャーを打ち砕いていく。
最後に残ったのは──シー・ジーのみだった。
飛び掛かる《ジョニー》。
同じく弩を構える迎え撃つシー・ジー。
互いに弓矢を引き絞り、放つ──
「ふざけるなァァァーッ!! こんなのは、夢、幻だァァァーッ!!」
一手、ジョニーが速かった。
弓矢を引き放つ事なくプチョヘンザの怪物は蜂の巣と化す。
「《オラマッハ・ザ・ジョニー》でダイレクトアタック」