学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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第2話:弾丸VS戦車─魔導司

 ※※※

 

 

 

「ワイルドカード捕獲完了。此奴が蒐集していたモノの在処は……」

 

 待っている時間はすぐに終わる。”彼”は再び光と共に戻ってきた。

 それと共に、大量の”何か”が空中から降ってくる。

 鞄だとか、筆箱だとか、靴だとか――その中にはブランの帽子もあった。

 

「成程、此奴が隠していたのか」

 

 手に握っていたパクリオのカードを見ながら、彼は言った。エリアで無事、勝利したということなのだろう。

 

「――火廣金 緋色」

 

 俺はその名を呼んだ。

 やはり此奴も、エリアフォースカードの使い手だったのだろう。

 その証拠に彼の肩に、バイザーを付けた白いネズミのようなクリーチャーがよじ登っている。

 

「会いたかったぜ、お前にな」

「……君達か」

 

 冷たい声色で彼は言う。

 

「こっちにゃ聞きたい事が山ほどあるんだ。何者だ、お前は」

 

 今日こそは俺の質問に答えてもらうぜ。そっちの都合ばっかり押し付けられちゃ、こっちもたまったもんじゃねえ。

 はぁ、と溜息をつくと火廣金は笑みを浮かべる。

 気障な野郎だが、思いの外簡単に奴は口を割った。

 

「……火廣金 緋色。またの名を、”アルカナ研究会”の『灼炎将校(ジェネラル)』」

 

 ???

 何だ此奴、いきなり……。

 アルカナ研究会ってどういうことだ?

 

「アルカナ研究会? ジェネラル、だあ? 良い年して中二病をこじらせてんのかオメー」

「中二病ではない」

 

 

 そうはっきり断言されてもこっちも反応に困る。

 だけど、クリーチャーとか実体化する世の中だし、どうも真実味を帯びてきた気がするぞ。

 

「そんでもって、俺達にワイルドカードと関わるなってどういうことだよ」

「只の人間ごときが、ワイルドカードにそんなカードを使って接触するなということだな」

 

 ……? 

 意味が分からない。只の人間……?

 どういうことだろう。

 

「おうおうおう、何だかすっごい偉そうな奴でありますな!! 我がマスターに向かって!! 只の人間? 自分が選ばれた人間と勘違いしてるイタい奴でありますかぁ!?」

「選ばれた人間、か。間違ってはいないが」

「ほらぁ、マスター。此奴やっぱ、只の痛い奴でありますよォ!」

 

 ……煽るチョートッQ。

 だけど何故だろう。此奴の言っている事、冗談やハッタリじゃない気がする――!

 

「……おい、マスター。此奴はちょっと、只の人間ってわけじゃねぇみたいだぜ」

「そのようですが……具体的には?」

「明確に、”魔力”を感じるんだよ。あいつからな」

 

 シャークウガ曰く、そういうことだった。おいチョートッQ。お前やっぱポンコツじゃね? お前もあれくらい分析出来ねえの?

 「あ、あっるえー、只のイタい奴じゃないでありますかぁー?」とすっとぼけてるけど、分かんなかったのか、この柔らか新幹線め。

 ……だけど魔力がある、か。だけどそれじゃあ、まるで――

 

「……クリーチャーみたいじゃねえか」

「クリーチャーではない。俺は人間だ。人間だが――魔力(マナ)を持っている」

「ますます訳が分かんねえ。何なんだ? お前」

「そちらの理解は問わない。こんな宗教観がぺらぺらの国で育ったのだ。仕方もないだろう」

「ああ? どういう意味だよ。さっきから喧嘩売ってんのか」

「こっちの身分はあらかた晒した。というわけで再度警告だ。ワイルドカードに首を突っ込むな、只の人間。エリアフォースを俺に渡せ。そんな得体のしれないもの、お前達に持たせているわけにはいかないとのことだ」

「悪いですが、その警告は聞けませんね」

 

 前に進み出たのは、紫月だった。

 

「こちらには、知る権利があると思うのですよ。ワイルドカードが何なのか。そもそも、コレの所為で私達の日常は一変したようなものですからね。今更知らないフリは出来ません」

「と、うちの嬢ちゃんが言ってるんでな。それに、この俺様が居る限り、うちのマスターに敗北はあり得ねえぜ」

「というわけで、《5000GT》とシャークウガを入れ替えて戦うとしましょう」

「何でそんなこと言うんだよ!!」

「私に敗北は無いので」

 

 早速足手纏い扱いされてんじゃねえか、シャークウガ……。

 

「それに、アルカナ研究会って胡散臭いデス! こっちが従う義理は無いと思いマス!」

 

 意気揚々と言ったブランがスリングショットを構える。

 溜息をわざとらしくつくと、火廣金は言った。

 

「折角警告してやっているのに、聞き分けの無い連中だな、君達は」

「どうするッスか? ヒイロの兄貴。処す? 処すッスか?」

 

 火廣金の肩によじ登っているネズミのようなクリーチャーが言うと、彼も頷く。

 どうやら、さっきパクリオを取り押さえたクリーチャーみたいだが、こいつの相棒みたいだな。

 

「言われるまでも無い」

 

 次の瞬間だった。

 緋色の手に、魔法陣のようなものが浮かび上がる。

 俺は紫月を手で制しながら、それに目が吸い込まれた。

 何だろう。これは一体――

 

「白銀耀と言ったな。君に少し思い知らせてやろう。俺達本職に歯向かう事が、どれほど愚かなのかを」

 

 刹那、周りの空気が凍り付いた。

 チョートッQが叫ぶ。

 

「マスター、来るでありますよ!!」

「来るって、まさか――」

 

 言いかけた途端――光が、周囲を包み込んだ。

 

「此処はデュエルで決着を付けよう」

「デュエル……か!」

「ああ。君が勝てば俺は手を引く。だが、俺が勝てば君のエリアフォースカード、貰い受ける」

 

 結局デュエルか。

 つまりはあの空間で戦うということなんだろうが……。

 俺はエリアフォースカードを取り出した。しかしこの勝負、乗っても俺にメリットが無い。

 それなら、さっさと逃げてしまうのも手だが――魔法陣のようなものが廊下の天井や床一面に広がった。

 

 

 

「――情け無用……戦闘開始ッ!!」

 

 

 

 そうか、こいつ――エリアフォースカードが無くても、あの空間を広げられるのか!! 

 それで俺は逃げられないと悟る。

 

「仕方ねえ、受けて立つ!!」

「超超超可及的速やかに、片付けるでありますよ!!」

 

 不承不承、ではあったが致し方ない。

 俺はこのデュエルを受ける事にしたのだった。

 

 

 ※※※

 

 

 

 俺と火廣金のデュエル。

 俺が1ターン目にマナチャージを済ませただけなのに対して、火廣金は早速動き出した。

 1枚のマナをタップし、そこから火文明の歯車の紋章が浮かび上がり、燃え上った。

 

「1マナをタップして《ホップ・チュリス》、出撃」

「ヒャッハー!! ヒイロの兄貴、しっかりと俺の雄姿、見ててくれッス!!」

 

 火文明の紋章が空中に浮かび上がり、そこから炎が吹きあがってネズミのようなクリーチャーがスケボーと共に飛び出してくる。

 火の新種族、ビートジョッキー。確か、序盤から展開する速攻を得意とする連中だったことは憶えているが……。

 

「何なら、こっちもクリーチャーを出すぜ! 2マナで《ヤッタレマン》召喚! ターン終了だ」

「……フン」

 

 不機嫌そうに鼻を鳴らす火廣金。

 

「ジョーカーズ……温いデッキだな。欠伸が出る」

「何!?」

「遅い。俺のデッキに比べれば、な」

 

 お、遅い――!? 確かに速攻デッキに比べれば、そうかもしれない。

 だけど、それだけで強い弱いを決めるのは浅いとしか言いようが無いぞ。

 

「――教えてやる。真の戦闘がどのようなものか――お前は、3ターン目にそれを思い知る」

「真の戦闘だって!? はっ、何言ってんだ。そっちだって、ジョーカーズの破壊力を前にして、チビることになるんじゃねーか!?」

 

 きっとハッタリだ。

 今ので動揺したということを、相手に悟られてはいけない。

 これは心理戦でもあるのだ。こっちに、有効なカードが無いと思われてはいけない。

 

「そうなるのは君の方だ」

 

 カードを引いた彼は言った。

 

「2マナで《一番隊 チュチュリス》を出撃させる。ターンエンド」

「へっ、何だ。攻撃しねえのか?」

 

 速攻デッキ……? かと思ったが、違うのか?

 なぜ殴らないんだろう。

 

「俺のターン、《ゼロの裏技 ニヤリー・ゲット》をG・ゼロで唱える!」

「……」

 

 山札の上から表向きになるカード。

 それは、《ヤッタレマン》、《超特Q ダンガンオー》、《パーリ騎士》の3枚。

 全て無色クリーチャーだから、俺の手札に加えられる。

 よし、これならガンガン攻められるぜ!

 

「そして、《ヤッタレマン》を1コストで召喚! 更に、2コストダウン、1マナで《パーリ騎士》、更に1マナで《洗脳センノー》を召喚! ターンエンドだ!」

「お、おお! 流石でありますよマスター! 次のターンで、《ダンガンオー》でシールドを全部割って勝てるでありますよ!」

 

 相手も動いてこねえし、更に《洗脳センノー》で相手ターンのコスト踏み倒しも禁止している。

 これなら、勝てるかもしれない!

 奴は次のターン、まだマナは3枚しかないし、まだ何もできないはずだ!

 

「へへん、どんなもんだ!」

「……温いな」

 

 一言、そう彼は呟いた。

 

「――戦闘とは、こういうものだ『灼炎将校(ジェネラル)』の戦闘というものは――!!」

 

 次の瞬間、火廣金の掌が光る。

 1枚のマナをタップされると同時に、炎が迸った。

 

「コストを1軽減し、1マナをタップ。《ダチッコ・チュリス》、出撃」

 

 現れたのは、炎を纏った赤いネズミだった。

 

「此奴の効果で、俺が次に召喚するビートジョッキーのコストはマイナス3される。更に、《チュチュリス》の効果で、もう1マナ軽減できる」

「なっ……!?」

 

 ちょっと待て――この理屈だと、コスト6のクリーチャーが出てくるってことじゃねえか!!

 幾らジョーカーズデッキでも、そんなことは出来ないんだぞ!?

 2ターン目に《ヤッタレマン》を出しても、《ヤッタレマン》の効果でコストは最低でも1は払わないといけないし……。

 

「コストを4軽減、2マナをタップ。そして《ダチッコ・チュリス》を進化元に、NEO(ネオ)進化!!」

「ね、NEO進化――!?」

「君に見せてやろう。俺のNEOクリーチャーの力を――!!」

 

 火のマナが収束していき、彼の掌に火文明のマークが浮かび上がった。

 そして、《ダチッコ・チュリス》目掛けて何かが空中から落ちてくる。

 すかさず、火ネズミはそれに飛び乗った――

 

 

 

戦車前進(パンツァー・フォー)! 《ガンザン戦車 スパイク7K(セブンケー)》!」

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