学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】 作:タク@DMP
※※※
「白銀先輩なんですよね……!?」
「本当の本当だ。嘘なんてあるもんか! 俺はちゃんと此処にいる!」
結論から言えば、俺の目論見は成功した。
ダンガンテイオーに貫通弾と同じ能力を付与させ、そのまま地底目掛けて突っ込ませたのだ。
エリアフォースカードの場所が分からなくとも、巨大な魔力を放つ禁断の永久機関とやらの場所はすぐに分かった。
すり抜け続けている所為かなかなか減速が出来なかったものの──何か変なものを吹っ飛ばしたような気がするが、着地には成功した。
そして見つけたのだ。
気が付いたら、手足が勝手に動いていた。
ハッチから飛び降りた俺は紫月を抱き寄せる。
「先輩……!?」
「悪い。でも、抑えられねえんだ。すっげー探したんだぞ! すっごくすっごく心配して、ずっと不安で、やっと見つけたんだぞ! 怖かっただろ!? すっげー辛かっただろ!? 俺、お前が攫われたのに何にも出来なかった! お前に何かあったらどうしようってずっと──」
「私も──信じられない気分です。確かに先輩は無茶苦茶する人だって知ってますけど」
力無く彼女は微笑む。
「でも、まさか……未来まで追いかけて来るなんて思わないじゃないですか」
ぎゅう、と彼女も俺を抱き返したのが分かった。
その瞳には涙が溜まっている。
「紫月は平気です。大丈夫、ですから」
「大丈夫なわけねーだろ。こんなに震えてるし怪我してるじゃねえか」
ああ、強がってはいるけど、こんなに彼女は小さくて脆い。
頭からは血も流れている。
もう大丈夫だ紫月。お前は──俺が守る。
「きぃーさぁーまぁーらぁぁぁ」
恨めしい声が聞こえて来る。
ぶよぶよの肉の塊のような大男が──口の裂けた怪物魔導司がこちらへずし、ずし、と迫って来る。
「……よくもぉぉぉ、俺様のモノをぉぉぉ、許さねえ、許さねえええ、殺せぇぇぇ──!!」
研究室に兵士たちが飛び込んできた。
しかし、彼らはアカリとジョルネードによって抑え込まれる。
水の弾丸が兵士たちを撃ち、押し流してしまった。
「お爺ちゃん、バックーニョを叩いて!」
そんな声が響いて来た。
当のバックーニョと言えば、憎悪に満ちた表情でこちらへ近づいてくる。
敵意を剥き出しにした紫月が丸々肥え太った怪物を指差した。
「……白銀先輩。あいつ、シャークウガを改造したんです」
「シャークウガを……!?」
「はい。あいつのエリアフォースカードで洗脳してるみたいです」
「……猶更あいつをぶっ飛ばさなきゃいけねえってか!」
「ふーしゅるるるるるー、簡単に行くと思うなよ……機動──VV-8!!」
次の瞬間、ビキビキと音を立てて、バックーニョの背後にある強化ガラスが砕け散る。
「いけません、バックーニョ様ーッ! それはまだ、動かしてはいけません!」
「うるせぇぇぇーっ! こいつらは一人残らず食わなきゃ気が済まないでおじゃる……!」
動き出す禁断のクリーチャーは一瞬光ったかと思えばすぐさまバックーニョの手に渡る。
あいつ、あのカードをデュエルで使うつもりか……!
部屋に逃げ場はない。
今の紫月は自分で自分の身を守れない。
男に二言は無い。俺がこいつを守るんだ!
「……紫月、部長命令だ。離れんなよ」
「──はい。白銀先輩」
エリアフォースカードを掲げる。
無機質な音声が響き渡った。
「起動、
「開け、
<Wild……DrawⅣ──EMPEROR!!>
<Wild……DrawⅩⅡ──HANGED MAN!!>
※※※
俺とバックーニョのデュエル。
《ヤッタレマン》を召喚した俺に対し、バックーニョも追いつかんとばかりに初動から動き出した。
「《悪魔妖精ベラドンナ》召喚! 効果で自爆してマナを増やすでおじゃるー。ふーしゅるるるるるー、ベラドンナたんは可愛いでおじゃるなぁー」
現れたのは包帯が巻かれたぬいぐるみの妖精。
しかし、その命は儚く一瞬で握り潰されるように爆散する。
「なんつーか、人は見かけによらねえっつーけど、お前は例外だよな! 例外中の例外だぜ! 俺は3マナで《てんたいかんそ君》を召喚だ!」
「先輩、何時の間に自然のジョーカーズを?」
「此処に辿り着くまで本当に色々あったんだよ……」
山札の上から3枚を見る。
その中にあったカードは《スロットン》、《ジョラゴン》、《バイナラドア》。
《スロットン》をマナに、《ジョラゴン》を山札の上にセットし、《バイナラドア》を山札の一番下へ送る。
これでターンエンド。
次のターンには《ジョット・ガン・ジョラゴン》が現れるのだ。
「ふーしゅるるるるー、何をしてくるのか知らないでおじゃるが、そのコスト軽減カードは聊か邪魔でおじゃるなぁー」
「あん?」
「4マナで、《虹速 ザ・ヴェルデ》を召喚でおじゃる」
現れたのは緑色のソニック・コマンド。
バイクに跨ったロボットクリーチャーだ。
だけど、あんなクリーチャー見た事ねえぞ!?
「紫月、あのカード知ってるか!?」
「私も初めて見ました……! でも白銀先輩、気を付けて。仮にもバイクならば、すぐに殴ってくるはずです」
「自然単色のソニック・コマンドでありますが、何に侵略するんでありましょうな?」
正直、《ゲリランチャー》でもまあまあ面倒だぞ。
「《ヴェルデ》はマッハファイター! 《ヤッタレマン》を攻撃するとき、侵略発動でおじゃる」
流石紫月、勘が鋭い。
ブンブンと音を言わせながら突っ込んで来る《ヴェルデ》。
しかしその時、その緑色の機体が一瞬で漆黒に塗り替えられた。
「侵略開始! 《S級
はぁ!? ちょっと待て、あいつ如何にも自然のクリーチャーって感じだったじゃねえか!
出てきたのは闇のコマンドから侵略する《デッドゾーン》。
その腕のアームで、《かんそ君》も引きずり回し、《ヤッタレマン》共々破壊してしまった。
「ウッソだろ……!? 何で自然の《ヴェルデ》が闇の《デッドゾーン》に侵略できるんだ……!?」
「ふーしゅるるるるるー、甘い、甘いでおじゃる。《ヴェルデ》は場と墓地に居る時、全ての文明を得るのでおじゃるよぉー」
それじゃあ実質、全ての侵略者に侵略できるってことじゃねえか!
しかも場は一掃されて、次のターンに《ジョラゴン》は出せねえし……!
「俺のターン、4マナで《バンオ・クロック》を召喚! 効果でGR召喚だ!」
「じーあーる、召喚?」
「ああ、紫月は知らないんだっけか。これが、2079年の……未来のデュエルだ!」
「ずるい! 私の知らない間に何を習得してるんですか!」
「そんな事言われても!」
バトルゾーンに現れたのは《サザン・エー》。
マナドライブ効果で自身を自爆させ、カードを2枚ドローするのだ。
「更にターンの終わりに、《バンオ・クロック》はマナゾーンへ行く。ターンエンドだ」
「ふーしゅるるるるー、マッハファイターの的が嫌だから場にクリーチャーを出さないつもりでおじゃるな? まあでももう遅いでおじゃる」
「あんだと?」
「我は3マナで、《
現れたのは黒、緑、そして青。
この3色のパーツに覆われた機体。
その身体に純白の鎧が重ね合わされていく。
「《デドダム》の効果で、山札の上から3枚を見るでおじゃる。その中から1枚をマナ、1枚を墓地、1枚を手札に加えるでおじゃる!」
「な、何ですかその化物は……!」
「いっぺんに手札とマナと墓地を増やしやがった!? しかもそいつ、コマンドなのかよ!」
「更に2マナで《ベラドンナ》たんを召喚でおじゃる! 即自爆して、今度は手札を破壊するでおじゃるーっ!」
再び弾け飛んだ妖精は、今度は幽霊の手となって俺の手札を叩き落とす。
自然と闇の2色ってだけあって、《ジャスミン》と《特攻人形ジェニー》の合いの子かよ!
しかも落ちたカードは《ソーナンデス》。
これじゃあマッハファイターも使えねえし……!
「さあて、本当なら一気にシールドを叩き割りたい所でおじゃるが、前にレジスタンスの《ジョルネード》にはトリガーからのカウンターで散々手痛い目に遇わされたでおじゃるからなぁー、ターンエンドでおじゃる」
「先輩。あいつきっと、次のターンで仕掛けてきますよ」
「……そうだなあ。どうすっか」
「後悔させてやりましょう。出し惜しみしたのを」
「……そうだな!」
此処でやる事は一つ。
あのデカブツをさっさと処理する事だ!
「俺は3マナで《
「なっ……!?」
「そして、コストが同じクリーチャーを全て山札の下に送るんだ!」
表向きになったカードは3枚。
《機術士ディール》、《テック団の波壊Go!》、そして《奇天烈シャッフ》だ。
選ぶのは当然コスト6の《ディール》だ!
「選んだコストと同じクリーチャーの《デッドゾーン》を山札の一番下に!」
「っ……わ、わらわの切札が……!」
「へっ、怖気づいて殴らないからこうなるんだぜ! 更に3マナで《ウォッシャ幾三》も召喚! 効果で、《全能ゼンノー》を場に出す!」
これでターンエンド。
次のターン、確実に《ジョラゴン》が出せるところまで持っていったぞ!
「──なーんてね、でおじゃる、ふーしゅるるるるるー」
「あ?」
にたぁー、と笑みを浮かべるバックーニョ。
彼は6枚のマナをタップする。
次の瞬間、ガコン、ガコンと機械の機動音が聞えて来る──
「6マナ払って召喚。これがわらわの真打でおじゃる」
現れたのは巨大なマシーン。
初期のコンピューターのような箱に鍵が付いている。
「《禁断機関 VV-8》召喚──こいつは場に出た時、山札の上から6枚を見て、その中から3枚のカードで封印し、残りを手札に加えるでおじゃる!」
「で、出て来やがった……!」
「でも、幾ら《VV-8》でもこのターン中に封印を全て外せるのでしょうか?」
「分かってないでおじゃるなぁー、《デドダム》で攻撃するとき、効果発動」
獣の爪、宇宙の装甲、そして不死身の身体。
その三つを併せ持つ機体が飛び掛かって来る。
その身体は墓地、マナゾーン、そして手札から──次々に飛んで来る巨大なパーツによって、更に大きくなっていった。
「先ず、手札から《超奇天烈 ギャブル》に侵略──そして、
刻まれるのは侵略者の紋章。
そして──アルカナの17番、
<
「三位一災、《