学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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GR50話:禁断の永久機関──天災の侵略者

 ※※※

 

 

 

「白銀先輩なんですよね……!?」

「本当の本当だ。嘘なんてあるもんか! 俺はちゃんと此処にいる!」

 

 結論から言えば、俺の目論見は成功した。

 ダンガンテイオーに貫通弾と同じ能力を付与させ、そのまま地底目掛けて突っ込ませたのだ。

 エリアフォースカードの場所が分からなくとも、巨大な魔力を放つ禁断の永久機関とやらの場所はすぐに分かった。

 すり抜け続けている所為かなかなか減速が出来なかったものの──何か変なものを吹っ飛ばしたような気がするが、着地には成功した。

 そして見つけたのだ。

 気が付いたら、手足が勝手に動いていた。

 ハッチから飛び降りた俺は紫月を抱き寄せる。

 

「先輩……!?」

「悪い。でも、抑えられねえんだ。すっげー探したんだぞ! すっごくすっごく心配して、ずっと不安で、やっと見つけたんだぞ! 怖かっただろ!? すっげー辛かっただろ!? 俺、お前が攫われたのに何にも出来なかった! お前に何かあったらどうしようってずっと──」

「私も──信じられない気分です。確かに先輩は無茶苦茶する人だって知ってますけど」

 

 力無く彼女は微笑む。

 

 

 

「でも、まさか……未来まで追いかけて来るなんて思わないじゃないですか」

 

 

 

 ぎゅう、と彼女も俺を抱き返したのが分かった。

 その瞳には涙が溜まっている。

 

「紫月は平気です。大丈夫、ですから」

「大丈夫なわけねーだろ。こんなに震えてるし怪我してるじゃねえか」

 

 ああ、強がってはいるけど、こんなに彼女は小さくて脆い。

 頭からは血も流れている。

 もう大丈夫だ紫月。お前は──俺が守る。

 

 

 

「きぃーさぁーまぁーらぁぁぁ」

 

 

 

 恨めしい声が聞こえて来る。

 ぶよぶよの肉の塊のような大男が──口の裂けた怪物魔導司がこちらへずし、ずし、と迫って来る。

 

「……よくもぉぉぉ、俺様のモノをぉぉぉ、許さねえ、許さねえええ、殺せぇぇぇ──!!」

 

 研究室に兵士たちが飛び込んできた。

 しかし、彼らはアカリとジョルネードによって抑え込まれる。

 水の弾丸が兵士たちを撃ち、押し流してしまった。

 

「お爺ちゃん、バックーニョを叩いて!」

 

 そんな声が響いて来た。

 当のバックーニョと言えば、憎悪に満ちた表情でこちらへ近づいてくる。

 敵意を剥き出しにした紫月が丸々肥え太った怪物を指差した。

 

「……白銀先輩。あいつ、シャークウガを改造したんです」

「シャークウガを……!?」

「はい。あいつのエリアフォースカードで洗脳してるみたいです」

「……猶更あいつをぶっ飛ばさなきゃいけねえってか!」

「ふーしゅるるるるるー、簡単に行くと思うなよ……機動──VV-8!!」

 

 次の瞬間、ビキビキと音を立てて、バックーニョの背後にある強化ガラスが砕け散る。

 

「いけません、バックーニョ様ーッ! それはまだ、動かしてはいけません!」

「うるせぇぇぇーっ! こいつらは一人残らず食わなきゃ気が済まないでおじゃる……!」

 

 動き出す禁断のクリーチャーは一瞬光ったかと思えばすぐさまバックーニョの手に渡る。

 あいつ、あのカードをデュエルで使うつもりか……!

 部屋に逃げ場はない。

 今の紫月は自分で自分の身を守れない。

 男に二言は無い。俺がこいつを守るんだ!

 

「……紫月、部長命令だ。離れんなよ」

「──はい。白銀先輩」

 

 エリアフォースカードを掲げる。

 無機質な音声が響き渡った。

 

「起動、皇帝(エンペラー)!」

「開け、吊るされた男(ハングドマン)……!」

 

 

 

<Wild……DrawⅣ──EMPEROR!!>

<Wild……DrawⅩⅡ──HANGED MAN!!>

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 

 俺とバックーニョのデュエル。

 《ヤッタレマン》を召喚した俺に対し、バックーニョも追いつかんとばかりに初動から動き出した。

 

「《悪魔妖精ベラドンナ》召喚! 効果で自爆してマナを増やすでおじゃるー。ふーしゅるるるるるー、ベラドンナたんは可愛いでおじゃるなぁー」

 

 現れたのは包帯が巻かれたぬいぐるみの妖精。

 しかし、その命は儚く一瞬で握り潰されるように爆散する。

 

「なんつーか、人は見かけによらねえっつーけど、お前は例外だよな! 例外中の例外だぜ! 俺は3マナで《てんたいかんそ君》を召喚だ!」

「先輩、何時の間に自然のジョーカーズを?」

「此処に辿り着くまで本当に色々あったんだよ……」

 

 山札の上から3枚を見る。

 その中にあったカードは《スロットン》、《ジョラゴン》、《バイナラドア》。

 《スロットン》をマナに、《ジョラゴン》を山札の上にセットし、《バイナラドア》を山札の一番下へ送る。

 これでターンエンド。

 次のターンには《ジョット・ガン・ジョラゴン》が現れるのだ。

 

「ふーしゅるるるるー、何をしてくるのか知らないでおじゃるが、そのコスト軽減カードは聊か邪魔でおじゃるなぁー」

「あん?」

「4マナで、《虹速 ザ・ヴェルデ》を召喚でおじゃる」

 

 現れたのは緑色のソニック・コマンド。

 バイクに跨ったロボットクリーチャーだ。

 だけど、あんなクリーチャー見た事ねえぞ!?

 

「紫月、あのカード知ってるか!?」

「私も初めて見ました……! でも白銀先輩、気を付けて。仮にもバイクならば、すぐに殴ってくるはずです」

「自然単色のソニック・コマンドでありますが、何に侵略するんでありましょうな?」

 

 正直、《ゲリランチャー》でもまあまあ面倒だぞ。

 

「《ヴェルデ》はマッハファイター! 《ヤッタレマン》を攻撃するとき、侵略発動でおじゃる」

 

 流石紫月、勘が鋭い。

 ブンブンと音を言わせながら突っ込んで来る《ヴェルデ》。

 しかしその時、その緑色の機体が一瞬で漆黒に塗り替えられた。

 

 

 

「侵略開始! 《S級不死(ゾンビ) デッドゾーン》でおじゃる!」

 

 

 

 はぁ!? ちょっと待て、あいつ如何にも自然のクリーチャーって感じだったじゃねえか! 

 出てきたのは闇のコマンドから侵略する《デッドゾーン》。

 その腕のアームで、《かんそ君》も引きずり回し、《ヤッタレマン》共々破壊してしまった。

 

「ウッソだろ……!? 何で自然の《ヴェルデ》が闇の《デッドゾーン》に侵略できるんだ……!?」

「ふーしゅるるるるるー、甘い、甘いでおじゃる。《ヴェルデ》は場と墓地に居る時、全ての文明を得るのでおじゃるよぉー」

 

 それじゃあ実質、全ての侵略者に侵略できるってことじゃねえか!

 しかも場は一掃されて、次のターンに《ジョラゴン》は出せねえし……!

 

「俺のターン、4マナで《バンオ・クロック》を召喚! 効果でGR召喚だ!」

「じーあーる、召喚?」

「ああ、紫月は知らないんだっけか。これが、2079年の……未来のデュエルだ!」

「ずるい! 私の知らない間に何を習得してるんですか!」

「そんな事言われても!」

 

 バトルゾーンに現れたのは《サザン・エー》。

 マナドライブ効果で自身を自爆させ、カードを2枚ドローするのだ。

 

「更にターンの終わりに、《バンオ・クロック》はマナゾーンへ行く。ターンエンドだ」

「ふーしゅるるるるー、マッハファイターの的が嫌だから場にクリーチャーを出さないつもりでおじゃるな? まあでももう遅いでおじゃる」

「あんだと?」

「我は3マナで、《天災(ディザスター) デドダム》を召喚でおじゃる」

 

 現れたのは黒、緑、そして青。

 この3色のパーツに覆われた機体。

 その身体に純白の鎧が重ね合わされていく。

 

「《デドダム》の効果で、山札の上から3枚を見るでおじゃる。その中から1枚をマナ、1枚を墓地、1枚を手札に加えるでおじゃる!」

「な、何ですかその化物は……!」

「いっぺんに手札とマナと墓地を増やしやがった!? しかもそいつ、コマンドなのかよ!」

「更に2マナで《ベラドンナ》たんを召喚でおじゃる! 即自爆して、今度は手札を破壊するでおじゃるーっ!」

 

 再び弾け飛んだ妖精は、今度は幽霊の手となって俺の手札を叩き落とす。

 自然と闇の2色ってだけあって、《ジャスミン》と《特攻人形ジェニー》の合いの子かよ!

 しかも落ちたカードは《ソーナンデス》。

 これじゃあマッハファイターも使えねえし……!

 

「さあて、本当なら一気にシールドを叩き割りたい所でおじゃるが、前にレジスタンスの《ジョルネード》にはトリガーからのカウンターで散々手痛い目に遇わされたでおじゃるからなぁー、ターンエンドでおじゃる」

「先輩。あいつきっと、次のターンで仕掛けてきますよ」

「……そうだなあ。どうすっか」

「後悔させてやりましょう。出し惜しみしたのを」

「……そうだな!」

 

 此処でやる事は一つ。

 あのデカブツをさっさと処理する事だ!

 

「俺は3マナで《7777777(セブンスセブン)》を唱える! 効果で相手は山札の上から3枚を表向きにする!」

「なっ……!?」

「そして、コストが同じクリーチャーを全て山札の下に送るんだ!」

 

 表向きになったカードは3枚。

 《機術士ディール》、《テック団の波壊Go!》、そして《奇天烈シャッフ》だ。

 選ぶのは当然コスト6の《ディール》だ!

 

「選んだコストと同じクリーチャーの《デッドゾーン》を山札の一番下に!」

「っ……わ、わらわの切札が……!」

「へっ、怖気づいて殴らないからこうなるんだぜ! 更に3マナで《ウォッシャ幾三》も召喚! 効果で、《全能ゼンノー》を場に出す!」

 

 これでターンエンド。

 次のターン、確実に《ジョラゴン》が出せるところまで持っていったぞ!

 

 

 

 

「──なーんてね、でおじゃる、ふーしゅるるるるるー」

「あ?」

 

 

 

 にたぁー、と笑みを浮かべるバックーニョ。

 彼は6枚のマナをタップする。

 次の瞬間、ガコン、ガコンと機械の機動音が聞えて来る──

 

「6マナ払って召喚。これがわらわの真打でおじゃる」

 

 現れたのは巨大なマシーン。

 初期のコンピューターのような箱に鍵が付いている。

 

「《禁断機関 VV-8》召喚──こいつは場に出た時、山札の上から6枚を見て、その中から3枚のカードで封印し、残りを手札に加えるでおじゃる!」

「で、出て来やがった……!」

「でも、幾ら《VV-8》でもこのターン中に封印を全て外せるのでしょうか?」

「分かってないでおじゃるなぁー、《デドダム》で攻撃するとき、効果発動」

 

 獣の爪、宇宙の装甲、そして不死身の身体。

 その三つを併せ持つ機体が飛び掛かって来る。

 その身体は墓地、マナゾーン、そして手札から──次々に飛んで来る巨大なパーツによって、更に大きくなっていった。

 

「先ず、手札から《超奇天烈 ギャブル》に侵略──そして、SSS(トリプルエス)級侵略[天災(ディザスター)]発動! さあ、来るでおじゃるよ! 最強にして最凶! 天才にして天災の不死身の切札がァーッ!」

 

 刻まれるのは侵略者の紋章。

 そして──アルカナの17番、吊るされた男(ハングドマン)の数字。

 

 

 

天災(ディザスター)、ローディング>

「三位一災、《SSS(トリプルエス)天災(ディザスター) デッドダムド》──侵略開始!!」

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