学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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GR54話:弾丸VS戦車再び──目標は白銀耀

 ※※※

 

 

 

「火廣金さんとお爺ちゃんが戦闘開始してしまいました……!」

「放っとけ! どうせ殴り合わなきゃ解決できねーだろ。お前はシャークウガの監視と街中にクリーチャー張り巡らせることに注力しろ」

 

 管制室から空間で激突する二人の様子、そしてロストシティ各階層の様子が見える。

 来たるシャークウガの襲撃に備えて、アカリの呼び出したクリーチャー達が既に迎撃態勢に入っていた。

 ──と言っても、迎撃イコールお爺ちゃんと火廣金さんが両方共シャークウガの処理に失敗するって前提ですからね……そんな()()()()()、出来れば起こって欲しくないんですけども。

 アカリは冷や汗を拭う。

 どうか、最悪の事態が起こりませんように、と希うしかない。

 そもそも大前提は街にシャークウガを再び入れない事で、もう一度彼を入れれば街の被害は更に拡大することは確実だ。

 戦力が大幅に不足している現状は、有り合わせの駒でやりくりするしかない。

 というのも──

 

「そういえば団長、黒鳥さんやブランさん達の様子が見えませんけど……」

「あいつらか。実はまだ戻ってきてないんだよ」

「戻ってきてない!? 大丈夫なんですか、それは!?」

「あ、いや、数回程連絡は来ているんだが……帰還に時間が掛かっているとのことでな」

「え? どうしたんでしょう?」

「さあな。その時は色々手間取ってたみたいだから、連絡はすぐ切ってしまった。後で報告を聞くさ。それよりアカリ、もう一つ聞いておきたいんだが」

「何ですか?」

 

 コーヒーを飲み切ると、怪訝な顔でトリスは問うた。

 

「さっきヒイロの寝てる病室に行ってたが……何をしてたんだ?」

「別に何も? ただ、ダメージがどれほどのものかを確かめてたんです。あれでも数時間で回復するものなんですね」

「あー……そうだなあ。戦車(チャリオッツ)の魔導司は頑丈なのが取り得だからなあ」

 

 

 

「遅れたデース!」

 

 

 

 そんな声が管制室に飛び込んで来る。

 現れたのはブランだった。

 

「ブランさん! 何やってたんですか!? こっちは大変な事になってるんですよ!? それに、黒鳥さんと翠月さんは……」

「黒鳥サンはミヅキを休ませてる所デース……色々あったデスから」

「はぁ。それで、どうしてこんなに遅れたんですか?」

「あのビルの1階の壁を開けたら、エレベーターの通り道を見つけたんデスよ! どうやら、地下のラボには最上階のエレベーターからしか降りられないようになっていたらしくってデスね」

「エレベーター……? じゃあ3人は地下施設に行ってたんですか?」

「地下といっても本当に深かったデスけどね……もう既に死体しか残ってなかったデス」

「それで翠月さんはショックを……」

「いや、ミヅキは逆に平気そうデシタ……私の方がダメージ受けてるデス。あの子、ホラー映画大好きなんデスよ……スプラッタ系の」

「意外です……」

 

 曰く。

 翠月はオウ禍武斗が瓦礫を退かすといった作業に魔力を使ったため、それで疲弊しているのだそうだ。

 

「デモ、その場に放置されてた吊るされた男(ハングドマン)を回収しないわけにはいかなかったデスから」

 

 そう言って彼女はアカリに吊るされた男(ハングドマン)のカードを手渡した。

 主を失って、既に力を失っているからか白紙と化してはいたが、それでもまだ魔力は感じられた。

 

「それに、色々資料もあったので集められるだけ集めてたんデスよ! 例えば、これとか……」

「これって……」

「ハイ! 気になる項目があったのデス」

 

 アカリは手渡された資料を流し見して、目にとめたのは──「守護獣改造計画」と書かれたものだった。

 

 

 

「これ、もしかしなくても──シャークウガの事じゃないですか!?」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 

 ──俺と火廣金のデュエル。

 バトルゾーンでは《タイク・タイソンズ》と《チュチュリス》が睨み合っている。

 互いに初動と初動のぶつけ合いだ。

 

「これより電撃戦を開始する。陸路と空路からの挟み撃ちだ。目標・白銀耀を撃滅する」

『ラジャー!』

「情け無用──殲滅戦用意。超GRゾーンをアンロック」

 

 火廣金の不穏な号令、そして響き渡るクリーチャー達の声。

 間違いない。

 今のアイツは、灼炎将校(ジェネラル)としての火廣金だ。

 全身が包帯塗れの火廣金だが、気後れしている様子は無かった。

 恐らく、今のアイツには情け容赦など存在しない。

 

「制空権を確保。これより絨毯爆撃を開始する──《DROROOON・バックラスター》中隊、戦闘配備!」

 

 彼の背後から大量のドローンが蝗の大群の如く湧き出てきた。

 空中は無数の機体に覆われ、すぐに見えなくなる。

 

「何だあれ……!」

 

 あれ全部纏めて1体のクリーチャーだっていうのか!?

 上空に大量のドローンがうじゃうじゃと覆っている。

 文字通りドローンの群れ(クラスタ)ってことか!

 

「《バックラスター》が場に出た時、《ドドド・ドーピードープ》をGR召喚する。そして、GRクリーチャーが場に出る度に《バックラスター》は相手のクリーチャーを爆撃する!」

 

 飛び出す戦車のクリーチャー。

 そして、それに合わせて示し合わせたかのように大量の爆弾がバトルゾーンにばら撒かれる。

 戦場は一瞬で硝煙と爆音に包まれた。

 煙が辺りを撒く。

 むせかえる程の爆風が立て続けに襲い掛かる。

 

「ってコレ、こっちにも爆風来てねえか!?」

「危ないでありますよ!」

「俺の知った事ではない。精々、俺がトドメを刺すまで生き残ってみせろ」

「くっそぉ……もう勝ったつもりかよ! 破壊された《タイク》の効果でマナを増やす……!」

 

 しかも《バックラスター》はバトル時にパワーが6000になる。

 場にクリーチャーを残すのは絶望的と言っても良いだろう。

 火廣金の攻撃を掻い潜りながら、何とか切札である《ジョラゴン》に繋げねばならない。

 

「──4マナで《てんたいかんそ君》召喚! 効果で山札の上から3枚を見て、1枚をマナ、1枚を山札の一番上、1枚を山札の一番下に置く!」

「つまらんな。盤面の取り合いは出来ないと踏んだか。ならばこちらは《バックラスター》をもう1体召喚してGR召喚だ」

「またかよ……!! ってことは《バックラスター》の効果が発動するじゃねえか……!」

「《ソニーソニック》をGR召喚。そして絨毯爆撃だ! 焼き払え!」

 

 空を回遊する大量のドローン達が爆弾を次々にばら撒いた。

 またもやバトルゾーンは硝煙と爆音に包まれていく。

 バトルゾーンにはクリーチャーは残らない。

 このターンに2回召喚しているから、《”罰怒”ブランド》が出て来る……!

 全員で殴って来るはずだけど──それならそれで、まだ手が無いわけじゃない。

 俺の手札には《バレット・ザ・シルバー》が握られている。これでカウンターすることが出来る……!

 

「さて、攻撃に移ろうか」

「えっ──!?」

「何が「えっ」なんだ? 残った1マナで《”罰怒”ブランド》を出して来ると思っていたのか。だが、以前《バレット・ザ・シルバー》で手痛い目に遇わされているからな」

「そこまでお見通しかよ……!」

「いつもなら運任せで取るに足らんが、《ジョルネード》がデッキに居るなら話は別……無からマスター・J・トルネードが発動するからな。そんな事は許さん。加えて、それだけ重いデッキならばトリガーも多く積まれている。この時点でのワンショットは自殺行為だ」

 

 火廣金は只怒っているだけじゃない。

 冷静に状況を判断できるだけの精神力も保っている。

 過去の敗北から俺が何を使うかを読んでいるんだ。

 流石赤単使い──ただ手札を切るだけでは勝てない事をこいつは完全に理解している。

 だから火廣金は手強い。

 

「俺に出来る事は、《ジョラゴン》が出て来るギリギリで勝負を決める事だ。《ソニーソニック》でシールドをブレイクしてターンを終了する」

「っ……そんなに《ジョラゴン》ばっか警戒してていいのかよ? 火廣金」

「何だと?」

「悪いけど俺も本気だぜ。今回ばっかりはな!」

 

 6枚のマナを捻り出す。

 ただ攻めるだけが勝利への道じゃない。

 盤面を固めて詰ませるのも勝利への近道だ!

 

「《ソーナンデス》召喚! こいつはマッハファイターだ! 《バックラスター》に攻撃──するときに!」

「──Jチェンジか」

「その通りだ! マナにあるコスト8以下のジョーカーズ、《ドンジャングルS7(ストロングセブン)》と入れ替える!」

 

 マナゾーンから飛び出したのは獣の爪を携えたロボットのジョーカーズ。

 更に、地面からは《ソーナンデス》が再び姿を現した。

 《ソーナンデス》を空中に投げ飛ばし、更に自身も天高く飛び上がった《ドンジャングル》は、ドローンの中隊を一掻きで壊滅させてしまう。

 そして、ドローン目掛けて巨大ないかだも突貫し──

 

「再び場に出た《ソーナンデス》を《バレット・ザ・シルバー》にJチェンジ! 山札の上から1枚を見て、それがジョーカーズならバトルゾーンへ出す……《ジョジョジョ・ジョーカーズ》、ハズレか! だけど──」

 

 《バックラスター》の群れは《シルバー》の銃口から放たれた弾丸によって次々に落とされていった。

 これで、2体の《バックラスター》は殲滅できた。

 さらに──

 

「これだけじゃない! 《ドンジャングル》の効果で、相手は攻撃するなら《ドンジャングル》を攻撃しなきゃいけないんだ! 更にバトル時にコイツのパワーは+6000、つまり14000になる!」

「俺のデッキに、このカードを超えられるクリーチャーは居ないと」

「少なくとも後続のクリーチャーの攻撃はシャットダウン出来たぜ!」

 

 文字通り《ドンジャングル》は強大な壁。

 存在するだけで火廣金の攻撃を封じ続ける。

 しかも、火しかないそのデッキならば除去するのはかなり難しいはずだ。

 

「……甘いな。やはり君では、俺には勝てない。そして、シャークウガを助けるなど夢のまた夢」

「はぁ!? どういうことだよ」

「俺はそこまで見越していたんだよ」

 

 火廣金は軽蔑するような眼で投げかける。

 

「甘い。甘すぎる。君はやはり……手緩い。君のような甘い奴を……どうして刀堂花梨が気に掛けるのやら、分からんな」

「何でそこで花梨が出て来るんだ!」

「出て来るさ! あいつは何時も……君の事ばかり見てるからな! 確かに俺は君とは違う。この手は何かを燃やす事しか出来ない。生ける火薬庫である俺はそもそも彼女に近付くべきじゃなかった。守れなかった!」

 

 その声は──後悔に満ちていた。

 

「助けられないならば、この手は燃やす事に使うしかないだろう! 俺は目の前にあるもの全てを焼き払う! 焼き払って焼き払って──最後には……一緒に燃え尽きろォォォーッ!」

 

 3枚のマナがタップされた。

 更に手札も一緒に捨てられる。

 これは──B・A・D・S……!? 

 ってことは、考えられる呪文は一つしかない。

 そしてそこから飛んで来るカードも!

 

高速詠唱(クイックスペル)、《“必駆”蛮触礼亞 (ビッグバンフレア)》! 効果でビートジョッキーを1体手札から場に出す!」

 

 轟轟と音を立てて彼の背後に現れる超弩級戦車。

 勝利を司る覇道の龍の骨を纏ったドラゴンギルドだ。

 

 

 

戦車よ、前へ進め(パンツァーフォー)──《勝利龍装 クラッシュ”覇道(ヘッド)”》!」

 

 

 

 手札を温存してたのは──こいつを出す為でもあったのか!

 《クラッシュ”覇道”》のパワーはバトル時に14000。

 丁度《ドンジャングル》と相打ちじゃないか!

 

「《クラッシュ”覇道”》と《バレット・ザ・シルバー》を《“必駆”蛮触礼亞 (ビッグバンフレア)》の効果でバトル! 一方的に破壊だ。更に《ドンジャングル》に《クラッシュ”覇道”》で攻撃!」

 

 突貫する戦車、迎え撃つ《ドンジャングル》。

 互いにぶつかり合い、機体が自爆し──相打ちとなってしまう。

 

「《ドドド・ドーピードープ》で攻撃! 手札が無いので、手札を捨てるデメリットも発動しない! シールドをW・ブレイクだ!」

「っ……やっべぇ──!!」

 

 砕け散るシールド。

 更に──まだ追撃が残っている。

 

「《ソニーソニック》でシールドをブレイク──!」

「S・トリガー、《りんご娘はさんにんっ子》! 効果で《プロジューサー》をバトルゾーンに出して、《バツトラの父》をGR召喚だ!」

 

 これで、攻撃は止まった。

 更にターンの終わりに《プロジューサー》はマナゾーンへ行き、今度は《ゴッド・ガヨンダム》がGR召喚される。

 だけど……問題は此処からだ。

 火廣金のターンはもう1回来る……!

 

「《クラッシュ”覇道”》は破壊された時、タップされていればEXターンを与える。もう君のターンは来ない……と言っても、次に引くカード次第だがな」

 

 カードを引いた火廣金。

 彼はそれを見るなり──マナを支払わずにバトルゾーンへ投げ飛ばした。

 

「情け無用、殲滅作戦開始」

 

 火廣金の目に、一瞬だけ火が灯る。

 両手に魔方陣が浮かび上がり──その呪文を解き放った。

 

 

 

『必殺術式・マスターG・G・Gスペル、キャスト──』

「──必殺、《“閃忍勝”威斬斗(シャイニングウィザード)》!!」

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