学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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GR59話:奪還作戦──神々の大地

 ※※※

 

 

 

 腹部に深く突き刺さった弓矢。

 激痛、そして腹部に感じるどろどろと嫌な熱さ。

 沢山の血が溢れ出ているのは俺自身にも分かっていた。

 

「ああ、当たっちゃったかあ、イカルス」

「当たっちゃったねーっ、イカルス」

「次はそこのロボットだ」

「マ、マスタァァァーッ!!」

 

 サンダイオーの叫びが聞こえて来る。

 だけど、ダメだ。どうしようもない。

 この怪我では──戦う事も、逃げる事も俺は出来ない。

 サンダイオーの身体から光が消え、チョートッQの姿に戻ってしまったのが見えた。

 そうか。俺がもう魔力を送れない所為か……!

 

「魔力切れ……こんな時に──元に戻るなんて……!」

「ああ、本体はそんなに小さかったんだ。随分とまた、短小な守護獣が出て来たもんだ」

「主からエリアフォースカードを通して魔力を送って貰ってたんだよ、きっと!」

「要は借り物か。弱小守護獣には相応しいんじゃないか? あっははは!」

 

 獅子の爪がチョートッQの小さな体を吹き飛ばす。

 彼の身体は塵のように宙を舞い、地面に叩きつけられた。

 

「チョー……トッ、Q……!!」

「さあ白銀耀。宣言通り八つ裂きにしてやるよ。何処から千切ってほしい?」

「ねえイカルス。そんな弱っちい人間、後からでもどうとでもなるよ。その前に……守護獣から痛めつけてやろうよ!」

「いや、ダメだよイカルス。白銀耀は特異点だ。でも、普通の人間が時間干渉の影響を受けない体質だなんて、正体がクリーチャーでもない限り有り得ない」

「ってことは?」

「エリアフォースカードである皇帝(エンペラー)の方に秘密があるんじゃないか、ってマリーナ様は言ってたよ。守護獣がその時に居ないと、何も検証できない」

「ああ、それじゃあやっぱり……」

「白銀耀だけ殺すさ」

 

 じりじりとにじり寄って来る二人。

 身体に力が入らない俺はどうしようもなかった。

 ずるずるの赤い血に塗れた弓矢を握り締め、俺は殺されるのを待つしかない。

 

「や、やめるでありますよぉ……!! 我の事はどうでもいいであります!! マスターは、マスターだけは!!」

「はぁーあ、黙らせろ」

 

 天馬の蹄がチョートッQの頭を強く踏みつけているのが見える。

 やめろ、やめろ。

 これ以上、あいつを傷つけるな……!

 

「黙らないでありますよ……! マスターを守るのが……守護獣の務めでありましょうがッ!」

「守護獣が守るのはエリアフォースカードだ」

「エリアフォースカードも大事でありますよ! でも……マスターも、絶対に欠けちゃいけないであります!」

「こんな普通の人間は幾らだけ代価がある。僕らの所に来れば、もっと良い合成人間に仕えさせてやる。可愛い女の子とかどうだ? イカルスには敵わないけどね」

「代替なんて! 利く訳がないでありますよ! 我のマスターは、今までも、これからも……白銀耀唯一人であります!」

「分からず屋だなあ」

「チョートッQ……!」

 

 必死に蹄から抜け出そうとするチョートッQ。

 だけど、強く抑えられていて脱出できないようだ。

 駄目だ。魔力を送ろうにも肝心の俺がこれじゃあ……!

 ──どうしようも、ならないのか……!?

 特異点と言っても、俺そのものはただの人間でしかないってのか。

 エリアフォースカードが無ければ、皇帝(エンペラー)が無ければ……何も……出来ない!?

 チョートッQはああ言ってくれたけど……代替が利かないだけじゃダメだ、俺は……戦えないといけないのに……!

 

 

 

 パン、パァン!!

 

 

 

 鋭い発砲音が響き渡った。

 そして、何かがイカルス達にぶつかっていく。

 二人は虚を突かれたのか、驚いた様子で飛び退いて躱す。

 全身に装甲を施した海馬、そしてそれに跨る大洋のガンマン。

 彼は三又の槍を振り回すと、そこから幾つもの弾丸を獅子と天馬のクリーチャー目掛けて撃ち放つ。

 

「っ! 下がれ、新手だ!」

「守護獣……? いや、違う。トークン……!? もーうっ、邪魔するなーっ!」

 

 それを従えるのは──

 

 

 

「ア、カ……リ……!!」

「すみませんお爺ちゃん、遅くなりました……!」

 

 

 

 ──アカリだ。

 来てくれたのか……!

 

「街の復旧にクリーチャーを回してて……でも、もう大丈夫です。こいつらの相手は私とジョルネードが!」

「ねえねえねえ! あいつって、レジスタンスの白銀朱莉じゃない?」

「まずいなあ。流石に共闘を申し込む相手と交戦するのはまずい」

「共闘? 貴方達、ペトロパブロフスキー重工の合成人間でしょう」

「丁度良かった! 此処にレジスタンスの本拠点があるのは知ってるんだ。丁度共闘を申し込もうと思ってね」

 

 アカリの顔が蒼褪める。

 こいつらにはバレてはいけない場所だったのだろう。

 

「メカドクターGr.、お爺ちゃんの手当を。ジョルネードはチョートッQをお願いします!」

 

 白い機械の医者が彼女の投げたカードから飛び出した。

 そして、すぐさま巨大なテントを取り出す。

 

「お爺ちゃんはその中で治療を受けてください、大分酷い傷なので……! 」

「すま、ねぇ……!」

 

 銃口をイカルス達に向けるアカリ。

 その目は、何時にも増して殺気走っており──

 

「──取引する事なんて何もありません! 貴方達を始末します」

 

<レジスタンス・叛逆開始(アゲインストモード)……(スター)、エンゲージ!>

 

「あーあ、やる気だあいつ。しかも、アレが第三の天体のカード……!」

「仕方ないかー、それじゃあせめて、エリアフォースカードだけでも奪っちゃおーよ」

「奪ってどうするんだい?」

「どうもこうも、アレは二人のモノだよーっ!」

「それもそうか。オレ達は二人で一人だからなぁ」

 

 空間が開いていくのが見えた。

 二体の天使が嗤う。

 その手には──

 

「オレ達は一人だけじゃあ不完全だ。だけど、恋人(ラヴァーズ)は二人で一つ。繋がって初めて完全になる」

「教えてあげよう? 人間が、神様の前ではどんなに無力かってことをね!」

「さあイこうか! 絶頂させてやるよ!」

 

 

 

<Wild……DrawⅥ……LOVERS!!>

 

 

 

 ──アルカナの6番。

 恋人(ラヴァーズ)のカードが握られている──!

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「闇と自然の2マナで《ダークライフ》を唱えようか」

「効果で、マナを1枚増やして墓地も1枚増やしちゃうよーっ」

「あたしは2マナで《ザパンプ》を召喚。ターンエンドです!」

 

 アカリとイカルス達のデュエル。

 早速マナチャージをしてくる彼らに対し、アカリの場にはターンの最初に唱える呪文のコストを軽減する《ザパンプ》がいる。

 互いに切札を召喚する為に加速していく競り合いだ。

 

「オレ達は3マナで《超GR・チャージャー》を使う。効果で、《クリスマⅢ》をGR召喚」

「その効果で破壊して、マナを1枚増やすからねーっ!」

「GRまで……! でも、そもそも何のデッキなんでしょう……!?」

「下賤な民には高貴なオレ達のデッキなんて分かりやしないよ」

「そーだよーっ! 分かりっこないんだからねーっ!」

「まあでも……そんな粗末な服を着ている割には、意外と出るところは出て、引っ込んでいる所は引っ込んでいるな……」

「なっ……いきなり、何を……!」

「いや、良い。正直胸だけだったらイカルスよりも大きい……良いね。身体だけなら最高の黄金比じゃないか!」

 

 じろじろと嘗め回すように男のイカルスはアカリの身体を見回す。

 そして──言い放った。

 

「よしお前。オレの子供を作れ」

「はぁ!?」

 

 あまりにも突飛な発言にアカリは目を吊り上げた。

 言葉の真意が全く読み取れない。

 

「貴方、頭がおかしいんですか?」

「失礼だねえ。合理的な考えの元だ。俺の優秀な遺伝子と、君の優秀な遺伝子を組み合わせれば、新しい世代の人間を生み出せると言っている。そもそも、(スター)のアルカナが扱えている時点で、人間としては上の上だろう?」

「あーっもう! 浮気は駄目だよっ、イカルス!」

「……」

「とにかく、お前は気に入った。オレの物にしてやる」

「……気持ち悪い、と言っておきましょう」

 

 イカれている。

 話すだけ時間の無駄だ、とアカリは切り捨てる。

 

「悪いけど、恋人(ラヴァーズ)は貴方達が持っていていいようなカードではありません」

「あれ? 怒らせちゃった? やだなぁ、タダの遊びだよ」

「あたしのターン。1マナで《ザババン・ジョーカーズ》を唱え、カードを1枚引いて1枚捨て、それがジョーカーズならば1枚カードを引きます!」

 

 さらに、とアカリは手札からカードを捨てていく。

 支払うマナは火を含んだ2枚だ。

 

「警戒隊列を組んで下さい! これより、侵入者を迎撃します! マスターG・O・D・S、発動!」

神速詠唱(ソニックスペル)

 

 

 この呪文は手札を捨てた数だけコストを2軽減する。

 このターンにアカリが捨てた手札は2枚。さらに《ザパンプ》でもう1枚。よって──コストは5軽減だ。

 

 

 

「圧壊せよ、《”魔神轟怒(マジゴッド)万軍投(マグナ)》!」

 

 

 

 《ヤッタレロボ》、《ダテンクウェール》、《ジェイ-SHOCKER》が次々に飛び出した。

 一気に盤面はアカリが優勢に持って行った。

 

「うわぁっ、弱そうなのが3体も出て来たよ、イカルス」

「そんな本当のことを言うなよ。可哀想だろう?」

「そんな事言ってられるのも今のうちですよ! 《ヤッタレロボ》でコストを1軽減。更に、場にジョーカーズが4体以上いるので、コストを5軽減!」

 

 合計、コストは6軽減。

 最後の1マナをタップし、アカリはバトルゾーンへ自身の切札を投げ入れた。

 

 

 

「これがアタシの切札(ワイルドカード)、《ガンバトラーG7(グレイトセブン)》!」

 

 

 

 弾丸を乱射しながら戦場を駆ける銃のロボット。

 それが、イカルス達のシールド目掛け、手、頭、そして背中からビーム砲を全て解き放った。

 

「これで、ジョーカーズは場に出たターンに相手プレイヤーを攻撃出来ます! 《ガンバトラー》でシールドをW・ブレイク!」

「ぎこちない攻め方だが、悪くはない。だけど……イマイチ、情熱を感じないな」

「何を! 《ダテンクウェール》で更にW・ブレイクです!」

 

 砕け散るシールドにもモノともせず、少年のイカルスは不敵に笑いかける。

 そして、その手には──光が収束していた。

 

「S・トリガー……《ナチュラル・トラップ》。《ガンバトラー》をマナゾーンへ送るよ」

「なっ……!?」

「これで攻撃は止まってしまったねえ。どうする?」

「《ザパンプ》で最後のシールドをブレイクします!」

「成程。こちらにクリーチャーは居ないから、殴り返されない……あるいは、出てきてもマッハファイターだから温存する意味が無いと踏んだか」

「しかも、マッハファイターでも処理できるカードはせいぜい1体。これだけの戦力差なら──後1回攻撃は簡単に通せます!」

「ああ、でも……やっぱり面白くないな」

 

 負け惜しみだ、とアカリは念じた。

 しかし──イカルス達が5枚のマナをタップした途端、地面が揺れ出す。

 恐ろしい量の魔力が彼らのマナゾーンを包み込んでいる。

 

「それは生命を生み出す完全なる大地の抱擁、轟き破砕する呪われし文言」

「嘘、まさか、この呪文って……!」

「──さあ、此処からが本番だ。目交い、産み出せ──《生命と大地と轟破の決断(パーフェクト・ネイチャー)》!」

 

 少年のイカルスが唱えたその時。

 大地が隆起したその瞬間、植物の蔓が無数に地面へ這いずる。

 現れたのは──

 

 

 

「神誕──《G・A(ゴッド・アポロニア)・ペガサス》!」

 

 

 

 ──黄金の鎧に包まれた天馬のクリーチャーだった。

 その背には巨大な剣を掲げた兵士が跨っている。

 だが、突如現れた神を名乗る獣よりも、それを生み出した呪文にアカリは絶句した。

 彼女にとっても、それは見慣れぬカードだった。

 

「《生命と大地と轟破の決断(パーフェクト・ネイチャー)》……!? 何ですか、その呪文……!」

「オレ達ペトロパブロフスキー重工が生み出した完全なる呪文の一つさ。コスト5以下のクリーチャーをマナゾーンから出す。マナを1枚増やす。そして……」

「アンタップしているクリーチャーを攻撃出来るようにする、この3つから2つ、好きなものを選べるんだよーっ!」

「何ですか、それ……!?」

 

 マナを増やす、実質マッハファイター付与。これはまだ良い。

 問題はコスト5以下のクリーチャーをマナゾーンから出すという効果だ。

 その気になれば、もう1体コスト5以下のクリーチャーが出てきてもおかしくはないというのだ。

 

「頭おかしいでしょ!? 何てもの作ってるんですか、貴方達は!」

「なんか言ってるよイカルス」

「構うなよ。下賤な民の僻みさ。《ペガサス》の効果発動。山札から自然の呪文を持ってくるよ。回収するのは《族長の無双弓(ウビンデ・ワヌル)》だ」

「……しかも、ゴッドなんて旧世代の遺物で何をするつもりですか……!?」

「あれぇ? もしかして馬鹿にしてるのかな?」

「馬鹿ににしてるみたいだーっ」

「失礼だよなあ。神を侮蔑するのは……万死に値するよなぁーっ!」

「《ペガサス》で、《ダテンクウェール》を攻撃しちゃえーっ!」

 

 《ペガサス》が《ダテンクウェール》目掛けて飛び掛かる。

 大きな翼を広げた天馬の神は天秤を振り上げる。

 

「その時、革命チェンジ発動」

「《ペガサス》を《百族の長(ミア・モジャ) プチョヘンザ》と入れ替えるからねーっ!」

「なっ!? し、しまった!?」

 

 完全に頭から外れていた。

 《プチョヘンザ》へのノータイム革命チェンジという可能性を。

 《ペガサス》の種族はアポロニア・ドラゴン。しかもコストは5。

 チェンジ元としての条件は揃っている。

 ──でもまさか、いきなりこんな形で出てきて、こんなにすぐチェンジするなんて思わないじゃないですか!

 天馬の抱擁は──無数の弓矢の雨へと変わる。

 

「《プチョヘンザ》のファイナル革命発動。こいつよりパワーの低いクリーチャーを全てマナゾーンへ叩きこむ」

「ッ……そ、そんな……!」

「しかも、そっちの場に居るのはGRクリーチャーばかり。マナはロクに増えないだろう?」

 

 一瞬でアカリの盤面は壊滅した。

 バトルゾーンに、《プチョヘンザ》のパワー12500を上回るクリーチャーは存在しない。

 

「あ、あたしのターン……! マナにカードを置いて、終了です……」

「あれ? もう終わり?」

「無理も無いよねーっ、《プチョヘンザ》の効果であたし達のマナゾーンの枚数よりもコストの小さいクリーチャーはタップして出て来ちゃうもん」

「クリーチャーを出しても犬死するだけってことさ」

「だから、イカルスーっ、あんな女放っておいて、アタシの事だけ見ててってば!」

「ええ? どうしようかなぁー、正直、弱いけど……俺の眼鏡には合ってるんだよなぁ」

「っ……弱い? あたしが……?」

 

 アカリの中には沸々と「怒り」が沸き上がっていた。

 完全に嘗め腐られている。

 しかし──何も出来ない。

 

「5マナで《龍罠(ドラップ)エスカルデン》召喚。効果で、山札の上から2枚を表向きにして、クリーチャーを好きな数手札に加える。今回は2枚ともマナに送るけどね」

「そっちのターンだよっ。何出しても同じだけどねーっ」

 

 ──冗談じゃ、ない……! もっと、「力」があれば……こんなやつら、さっさと倒せるのに……!

 駄目だった。手札も、そしてマナも足りなさすぎる。

 さっきの速攻で、完全に息切れしてしまったのだ。

 

「おい、へばるなよ。まだ、こっちはイけてないんだからさ」

「ちゃあんと、最後まで味わってくれなきゃねーっ!」

「7マナで《ナ・チュラルゴ・デンジャー》を召喚。効果で場に出た時、自然のコスト6以下のクリーチャーを場に出す」

 

 飛び出したのは巨大な戦車。

 《ナチュラル・トラップ》を内蔵したツインパクトクリーチャーだ。

 その砲弾が地面にめり込むと──神の片割れが現れた。

 

 

 

「──神撃、《G・E(ゴッド・アース)・レオパルド》」

 

 

 

 轟轟と天に向かって吼える獅子の神。

 跨るは巨大な刃を振り回す荒れ狂う戦神。

 その刃が地面に突き刺さる時、更なる増援がイカルス達の手札に加わる。

 

「効果で光のクリーチャー、《時の法皇 ミラダンテⅫ》を手札に加えるよ」

「そ、そんなっ……!?」

「手札を溜め込んで大量展開なんてされたら、それはそれで困るしなあ。それに、こっちもそろそろ攻めたいんだ!」

「こーしゅぎゃくてん、だよーっ!」

「《プチョヘンザ》で攻撃するとき、革命チェンジ発動! 《ミラダンテ》と入れ替われ!」

 

 飛び掛かる天馬の姿をした天使龍。

 アカリの身体は突如現れた金色の茨に縛られて身動きが取れなくなっていく。

 

「そ、そんなっ……!?」

「更に《ミラダンテⅫ》が場に出た時、コスト5以下の光の呪文を唱えられる。呪文、《族長の無双弓(ウビンデ・ワヌル)》を唱えて……シールドをT・ブレイクだ!」

 

 砕け散る3枚のシールド。

 コスト7以下のクリーチャーの召喚は《ミラダンテ》によって封じられてしまっている。

 しかし──

 

「S・トリガー! 《松苔ラックス》で《ナ・チュラルゴ・デンジャー》を選んで攻撃出来なくします!」

 

 コスト8のクリーチャーならば問題なく攻撃が可能だ。

 これで、イカルスを攻撃すればアカリの勝ち。

 相手の場にはブロッカーとなるクリーチャーは居らず、さらにシールドもゼロだ。

 

「通りなさい! 《松苔ラックス》でダイレクトアタック!」

「──《レオパルド》でブロック」

「えっ……!?」

 

 しかし。

 その攻撃は獅子神の腕の一振りで防がれた。

 砕け散る《松苔ラックス》を、アカリは信じられないという目で見るしかなかった。

 

「《族長の無双弓(ウビンデ・ワヌル)》……マナ武装2でマナに多色カードが2枚あれば、オレ達のクリーチャーをブロッカー化するんだ」

「そんな……効果が!?」

「だから、お前の攻撃はそもそも通らなかったんだよ」

「可哀想可哀想! 最後の希望なんて、最初っから無かったんだねーっ!」

 

 したり顔を浮かべるイカルス。

 その手には、もう1枚の神のカードが握られている。

 

「なあイカルス。イこうか」

「そうだねえイカルス。これでお終いにしてあげよう」

「誰が言ったんだか……神と神。合わせて──神々。そう、デュエル・マスターズのゴッドは二つ揃って完全となる」

「獅子と天馬。二つの獣は一つの柱になるよーっ!」

「そうだ。それで初めて、完成された神々となるんだ!」

 

 アカリはただただ見上げるしかなかった。

 舞い降りる天馬の神。

 そして、それを迎える獅子の神。

 それが繋がる瞬間を──

 

 

 

「天を抱くは終わりの大地……《G・A・ペガサス》、《G・E・レオパルド》──ゴッド・リンク!」

 

 

 

 ──アカリはへたり込む。

 めき、めき、と何かが絡み合うような嫌な音。

 紫電が2体の獣を繋ぎ合わせていく。

 それが終わった時──獣たちの中央には見上げても届かない程に大きな天の輪を背負った黄金の盾が顕現していた。

 時を司る獣が残るシールドを踏み荒らす。

 剥き出しになった彼女のシールドからは、《バイナラドア》が飛び出した──

 ──か、たなきゃ……あたしは、こんな所では負けない……!

 

「《バイナラドア》で、相手クリーチャーを1体山札の下に送る……! 《ペガサス・レオパルド》を山札の下に──!」

「馬鹿だなぁー、まだ分からないのか?」

 

 《バイナラドア》から無数の手が飛び出し、引きずり込もうとする。

 しかしリンクした神にそれは届かない。

 ──しまった……まさかこいつら、リンクしたら()()()()()()()()……!?

 

 

 

「こいつはクリーチャーじゃない。神だ」

 

 

 

 神の盾より無数の光が溢れる。

 それがアカリを貫いた──

 

 

 

 ──こんなの、許せない……こんなのって──!

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