学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】 作:タク@DMP
サイボーグに覆われた体。
怪しく輝く瞳。
不敵に笑みを浮かべる口。
しかし──姿を変えようとも、深海の覇王であることは変わりない。
刻まれるはⅠ。無限の可能性を秘めた魔術師の数字。
大胆に、そして豪快に。
世界を新しく塗り替えるべく、戦場へ降り立った。
「成程な──サイボーグになったおかげで、今の俺様はムートピアであり、そしてサイバー・コマンド! 《トワイライトΣ》の効果で出せるってわけか!」
「あの教皇には感謝してもしきれませんね。これを見越していたなんて──では、いきますよ!」
「おうよ!」
杖を振り回すシャークウガ。
その先端から水泡が浮かび上がる。
「《シャークウガ》の能力発動! 登場時に、場にある他のカードを2枚まで選んで手札へ戻します! 《マグナム》と《トワイライト》の進化元である《パクリオ》を手札に!」
バトルゾーンの《マグナム》は泡に包まれ、そのまま消えてしまった。
更に《トワイライトΣ》の身体から《パクリオ》が抽出され、紫月の手札へ還されていく。
「キャハァッ……!? 自分ノ、カードヲ、戻シタァ……!?」
「《トワイライトΣ》で《バルチュリス》を攻撃! そして破壊します!」
黄昏のサイバー・コマンド、《トワイライト》の放つ超電撃が《バルチュリス》を一瞬で黒焦げにしてしまった。
これで相手の場にクリーチャーはいない。
「ターンエンドです」
「キャハハハハッ……タノシイ! タノシイ! 悪意ニマミレタクリーチャーヲ……ツカイコナシテルナンテ!」
「へっ、何が悪意だ! そんなもんに俺様は負けねえよ! マスターが進む道を照らす限り、俺はそれを目指して突き進む!」
「キャハハハハーッ! 《マグナム》召喚!」
再び現れる《マグナム》。
確かにどんなにバウンスをしても、またクリーチャーは戻ってきてしまう。
このままではイタチごっこだ。
しかし。
「シールドが無い今、その《マグナム》もタダのクリーチャー……守りを固めましょう。《マリン・フラワー》召喚。そして、《ジェリー・ローニン》を召喚。その効果で山札の上を見て、それがサイバーに手札に加えます」
捲れたのは《スクリプト》。
コスト8の大型サイバー・コマンドだ。
「そして4マナで《パクリオ》召喚! 貴方の手札を見ます!」
「キャハハハハーッ!」
再び襲い掛かろうとする異形の記憶。
しかし──それはすんでのところで防がれる。
「キャハァッ……!?」
「わりぃな。テメェの放つ靄は、俺様がシャットダウンした。元々この身体はテメェの悪意で作られたようなモンだからな! 克服しちまえば、こっちのもんだぜ!」
「ありがとうございます、シャークウガ!」
「いいってことよ! 奴を封じ込めるぞ!」
「《パクリオ》の効果発動! 手札を見て──《シン・ガイギンガ》をシールドゾーンへ!」
「キャ、ハハァッ……!?」
封じ込められていく黒い靄の切札。
それは、最早出す前にシールドゾーンへ埋められていく。
「オ、オモシロクナイ……オモシロクナイオモシロクナイッッッ!!」
「残念でしたね。現実は面白くない事も辛い事も楽しくない事も沢山あります」
──それでも──毎日が楽しいのは、先輩達が居たから。私の狭かった世界を、広い海へ連れ出してくれた人がいるから。
「《水晶の記憶 ゼノシャーク》召喚……! ナンデェ、ナンデ……! トオラナイ……!」
攻撃しようにも攻撃も出来ない。
《シャークウガ》はパワー6000のブロッカーだ。
《単騎》では超えることが出来ない。
「私のターン。《マリン・フラワー》2体を召喚、そして《ジェリー・ローニン》を《トワイライトΣ》に進化!」
浮かび上がるバトルゾーンのサイバー達。
それが、一気に紫月の手札へ集められていく。
「戻すのは《シャークウガ》、《パクリオ》、《マリン・フラワー》! 合計3体を手札に戻し、《シャークウガ》、《パクリオ》、そして《スクリプト》をバトルゾーンへ!」
「ヒッ……!?」
「《シャークウガ》の効果で《マグナム》と《ゼノシャーク》を手札へ戻します。そして、《パクリオ》で《マグナム》をシールドへ封じ込めます!」
「タ、タノシクナイ、タノシクナイ……! ホントウニ、キモチガワルイ……人間……ソウヤッテ、アタシヲガンジガラメニシヨウトスル……!」
「どの口が言うのやら……《スクリプト》の効果発動。この子はかなり凄いですよ。手札に戻したクリーチャーよりもコストが小さいクリーチャーをバトルゾーンに出せるんです」
「マジ!? ってこたぁ、本当に好き勝手し放題じゃね!?」
「《シャークウガ》を手札に戻し、手札から2枚目の《パクリオ》をバトルゾーンへ!」
閉じ込められているということは、それ相応の理由があるという事。
まるで、子供のように駄々をこね、暴れ回り守護獣やエリアフォースカードを狂わせる存在。
もしもこれが、一つになったら、と思うと紫月はゾッとした。
「《熱湯グレンニャー》……! 《エメラル》……! コロシテヤル……コロシテヤルゾ、人間ッッッ!!」
「このままじゃキリがねえよ! 殴って勝つのかマスター!」
「S・トリガーを持ってるカードも埋めてしまいました! 今更殴って勝つのはリスクが大きすぎます!」
「じゃあどうやって……!」
「シャークウガ、気付いた事があるんです。貴方の効果を使えばトワイライトのループは大幅に簡略化されるんです」
《トワイライトΣ》の能力は、戻したサイバーの数だけ手札からサイバーを出せるという能力。
つまり、この能力でサイバーを好きな数だけ出し入れできれば、サイバーを使ったどのようなコンボも達成できる。
その気になれば山札のクリーチャーを全て出し切る事も出来るだろう。
だが、そのためには《トワイライトΣ》も手札に戻して使い回さなければならない。
「だけど《トワイライトΣ》は当然、
「そうか! そんでさっきの《スクリプト》を俺に使えば、《トワイライトΣ》をもう1回場に出せるじゃねえか! ん? でも、それじゃあ《スクリプト》で俺を戻してるから1体ずつクリーチャーが減っちまうんじゃねえか!?」
「そこは既に解決済みです。問題は……ループのフィニッシャー……それがまだ引けて無いんです」
「マジかよ!?」
「《シャークウガ》、《トワイライトΣ》、《パクリオ》、《スクリプト》……これだけでは、相手の手札をシールドに封じ込めるだけです……!」
手札にはそれらしきカードは見当たらない。
もう時間が無い。
外では耀が戦っている。
このままでは、彼に
しかし、黒い靄を封じ込める為にはこのデッキで勝つしかない。
「引くしかありません。水の本領は……ドローにありますから」
「そうだな。未来を手繰り寄せる力、それがドローだ!」
マナにカードを置く。
そして、この1枚で未来を手繰り寄せる。
「2マナをタップ──《マリン・フラワー》から進化です」
足元の海に巨大な影が浮かび上がる。
「──それは揺蕩う大洋の知識。未来を手繰りなさい、《アストラル・リーフ》!」
超巨大な波の怪物が姿を現す。
バトルゾーンにはいくつもの水の手が伸び、紫月に手札を供給していく。
登場時に3枚のカードを引くという能力は、現代に於いても最強のドローソースだ。
──《サイバー・G・ホーガン》、《アストラル・リーフ》……そして《サイバー》……これです!
その知識を元に、紫月のパズルは組み上がった。
「いきますよ! 《アストラル・リーフ》を進化! 《トワイライトΣ》! 効果で《シャークウガ》、《パクリオ》2体、《マリン・フラワー》を手札に戻します!」
大渦が巻き起こり、稲光と共に次々にサイバーが降り立った。
「《パクリオ》、《スクリプト》、《サイバー・I・チョイス》──そして!」
浮かび上がる魔術師のアルカナ。
それが輝き、世界を作り替える──
「私と共に、新たなる世界へ──《サイバー・N・ワールド》!」
純白の装甲に身を包み、巨大な手を広げた電子の巨人。
それがバトルゾーンへ現れる。
「イマサラァ、ナニヲスルツモリダァァァーッ!」
「これで、全ての準備は揃いました。パズルを紐解く時! 《サイバー・I・チョイス》の効果で《シャークウガ》をバトルゾーンに出します!」
「ッ!? ソイツハS・トリガージャ、ナイダロォ!?」
「いいえ。《サイバー・I・チョイス》は、S・トリガーを持つカードを1枚、コストを支払わずに使ってもよいという効果を持ちます。ツインパクトの呪文面がS・トリガーを持っていれば、それを使う事が出来るんです」
「ナァッ!?」
「おっしゃぁ! 出番ねぇかとヒヤヒヤしたぜ!」
「私が貴方を忘れる訳ないでしょう……そして《シャークウガ》の効果で《トワイライトΣ》のカードを手札に加えます! 更に《スクリプト》の効果で《シャークウガ》を手札に戻し、それよりもコストが小さい《トワイライトΣ》を《アストラル・リーフ》から進化!」
こうすることで、紫月はバトルゾーンのクリーチャーの数を減らさずに、ずっと《トワイライトΣ》を出し入れすることが出来る。
「そして後は《I・チョイス》、《パクリオ》、《スクリプト》、《N・ワールド》の4体を手札に戻し……以下、同じ手順を無限に繰り返すことが出来ます」
「ッ……!? ナ、ナニイッテ──」
「ところで忘れてませんか?」
シャークウガの力により、カードが無限に循環し続ける中、紫月はバトルゾーンと手札を行き来する2枚のカードを取り上げた。
「私まだ、《パクリオ》と《N・ワールド》の効果を
「デュエマじゃあ、クリーチャーが同時に出た時の処理は好きな順に解決していいんだっけか? となるとよォーッ、この無限ループが終わった後に、一気にこいつらの効果を解決しても良いんだってよォ」
同時に発動した登場時効果は、使わなかったものがどんどん溜まっていく。つまり、此処までのループで紫月は《パクリオ》と《N・ワールド》の登場時効果を30回以上貯めているのだ。
「何、難しい事はありません。《サイバー・N・ワールド》の効果発動」
その瞬間、ループは途切れた。
そして、紫月と黒い靄の山札が手札と墓地のカードを吸い込んでしまう。
「手札と墓地をシャッフルし、カードを5枚引く……これが《サイバー・N・ワールド》の効果です」
「バ、バカナヤツ……敵ニ塩ヲ送ルナンテ──」
「おや、ルーパーの間では常識なんですがね──相手に手札を引かせる時は、死刑宣告だと」
「エ──」
「敵に塩を送るのは私の性に合いません。相手を塩漬けにするくらいじゃないと。《パクリオ》の効果を解決。相手の手札を1枚、シールドに埋めます。そしてもう1回、《N・ワールド》の効果を解決──これが後、30回以上残っていますよ」
以下。
《N・ワールド》の効果によって手札を5枚引き直し、《パクリオ》で手札をシールドへ埋める事の繰り返し。
この無限ループの中で、紫月の山札は当然だが一切減らない。
しかし相手は、《パクリオ》の効果が発動した分だけ山札が減り続ける。
何故ならば、《N・ワールド》の効果でシールドのカードは回収できないからだ。
「つまりよぉ、テメェの山札は全部シールドに封印ってことだ!」
「ではおやすみなさい。精々、星空の良い夢を」
脳。
記憶。
それに等しい意味を持つ山札が次々に結晶のシールドと化していく。
怪物は耐えられなかった。
自分が断片的に封じ込められていく感覚に。
何分の1に分割されて封印されていた自分が、更に細かく分割されていく苦痛に、耐えられなかった。
「ア、ギ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアーッ!?」
黒い靄がシールドとなって埋め込まれていく。
しばらくすると──そこには何十枚ものシールドだけがあり、黒い靄は消え去っていた。
「……やれやれ、こんなデッキを使わせるなんて
「いや、ぶっちゃけループしたかったんだろ? マスター」
「気持ち良かったです」
「ほらぁーっ! そういうとこだぞーっ!」
「でも、これが水文明の戦い方なので。……ようやく、シャークウガと水文明らしいデッキで戦えてよかったと思ってますよ」
「ヘッ……そーだな」
パン、と二人はハイタッチする。
そして──目の前には神殿の扉が開かれていた。
「──我が友よ」
教皇の声が何処からともなく静かな空間に聞こえて来る。
別れの時間がすぐそこに迫っていた。
「
「また会いに来るぜ! 寂しいからって、暴走すんなよ!」
「……名残惜しいが、時間が無いか。礼はしてもし足りないが……」
「良いんですよ。あいつ、いけ好かなかったので」
「スカッとしたな!」
「……貴方達は本当に面白い……ずっと、覚えておくとしよう」
紫月とシャークウガは顔を見合わせて笑い合う。
自分達も忘れない。
孤独で、そして人の心が分かるエリアフォースカードの事を。
「そうだ。水文明の力……お前の愛する者に分け与える事も出来るぞ、暗野紫月」
「本当ですか!?」
「
「……愛と信じる事。それを忘れない事だ」
「ええ。覚えておきます。貴方の事も一緒に」
「……ありがとう。友達よ」
その声と共に、二人の視界は白く包まれた──
※※※
「んっ……」
気が付くと、紫月は巨大なテントの中に居た。
何時の間にか安全な所に避難させられていたのだろうか。
視界には、白衣を纏ったロボット。
魔力を持っている辺り、クリーチャーだろうか。ジョーカーズに似たようなクリーチャーがいたことを思い出す。
シャークウガの視線はと言えば、そのロボットの手元に向かっていた。
「なあ、マスター。ジョーカーズにミイラ男っていたっけか?」
「いる訳無いじゃないですかシャークウガ、何処を見て──」
そして──ミイラ男、もとい白銀耀の姿があった。
「先輩!? 何があったんですか!?」
「か、帰って来たのか、助けてくれ、紫月……!」
紫月が慌てて駆け寄ると、ロボットの医者が「アンセイ! アンセイ! 全治1か月! 全治1か月!」と抜かしている。
「全身大怪我!?」
「コイツ、ヤブ医者だ! 包帯が要らねえ所にまで包帯を巻いてやがる!」
「あー、そうだな。ぶち抜かれたのは腹だけか」
「いや、大事でしょう。大丈夫なんですか、先輩!?」
「それどころじゃないであります! 外で今、アカリ殿が敵と戦っているでありますよ!」
「敵!?」
思わずテントの中から外を覗く。
そこには──空間から弾き出されたアカリの姿があった。
※※※
メカドクターGrの治療は的確かつ迅速なものであった。
電気メスでの止血、輸血、弓矢の摘出、縫合。
此処までは良かったのだが、俺がいざアカリを助けに行こうとすると全力で止められ、包帯でぐるぐる巻きにされた次第である。
「それは先輩が無茶するのが悪いかと」とは紫月の弁であった。
何とか包帯から解放された俺はテントから外の様子を覗き見る。
「大変です、負けてしまってますよ!?」
「マジかよ……!」
「アンセイ! アンセイ! 包帯! グルグル! ギプス、グルグル! シューチューチリョー!」
「お前マジでうるせーんだよ! 噛むぞコラ!」
「黙ってるでありますよ!」
「先輩。流石に
「改造で大分魔力持ってかれたからな……精神世界で戦えてたのはバックアップがあってこそだ」
シャークウガがバツが悪そうに言った。
そういえば精神世界で何があったのか気になるな。
見た所、二人とも無事に戻って来れたみたいだ。
……シャークウガの姿はそのままだけど。
「あ、シャークウガの姿については問題ないです」
「ぶっちゃけ改造された後の方が俺つええ気がするから問題ねえな! ダンディさは前の方が」
「フカヒレ」
「はい」
「どっちにせよ、戦えるのは俺だけってことだな」
「……いいえ、私も一緒です。シャークウガ、出来ますか?」
「おうよ!」
そして──
「文明の力が、増えたであります!?」
「こんな事、出来たのかよ!?」
「今はこれが精一杯です。でも、私の力……先輩に渡します」
「ああ。確かに受け取った!」
これで火文明の力、自然文明の力、そして水文明の力が揃った事になるのか。
ということは、デッキのカードにも変化があるかもしれない。
そう思って、デッキケースを取り出したその時だった。
そこから1枚のカードが飛び出す──
「あっ!? 嘘だろ!?」
「あれって、《ダンガスティックB》のカードでありますよ!!」
「追いかけましょう、先輩!」
※※※
「あーあ、弱かったねえ。萎えちゃったよイカルス」
「本当に弱かったねーっ、イカルス。可哀想だよね!」
倒れ伏せるアカリ。
駄目だ。
もう、自分だけでは耀も紫月も庇い切ることが出来ない。
無力感に苛まれながら地面を握る。
「あっ、ぎぃ、あぁああ……!」
激しい苦痛が襲い掛かる。
ダメージは蓄積しつつあった。
目の前の天使擬きたちを睨みながら、銃口を向けようとしたが、
「やめなよ、そういうの」
「いっ──」
ドシュ。
鈍い音と共に、掌には弓矢が突き刺さっていた。
痛みで気が狂いそうになりながら、アカリはどうすれば良いかを考えようとした。
しかし、何も思いつかない──
「もう飽きたよ。全員殺して、エリアフォースカードを回収する」
「そしたら、トキワギ機関にも勝てるよねーっ」
──あたしは、何をしに来たんですか……! こんなやつらにコケにされて……!
悔しさで涙が滲み出る。
何がレジスタンスの希望の星だ、と吐き捨てた。
あまりにも今の自分は……無力すぎる。
──こんな時、あたしは……どうすれば──!!
「そうは……させねぇよ……!」
呻くような声。
そこには──白銀耀が立っていた。
そして、その傍には暗野紫月が肩を支えていた。
※※※
「アンセイ! アンセイ! マダ手当、オワッテマセン!」
「うっせーこのヤブ医者! 無理矢理包帯だらけにしようしやがって、いだだだだだ」
メカドクターGr.を怒鳴りつけた耀は紫月に背中を預けるようにしてエリアフォースカードを掲げる。
目標は唯一つ。
あのいけ好かない天使擬きたちだ。
「それよか、《ダンガスティック》のカードは何処だ!? あいついねえとデッキ足りねえんだけど!」
「アレ、我の本体でありますよ!?」
獅子と天馬の怪物が吼えた。
そこから強大なエネルギー弾が放たれて、地面を抉っていく。
まずい。このままじゃ、アカリが──
「くそっ、こうなったら俺様が──」
「シャークウガ、今の貴方の身体では無茶です!」
いや、来る。
何か来る。
何かが変わったような風が吹いた。
1枚のカードが、庇うようにして俺の前へ──来た。
「っ《ダンガスティック》のカード!?」
いや、それだけじゃない。
倒れているアカリのデッキケースからも、2枚。
カードが飛び出している。
「《ダテンクウェール》……《ダルタニック》……何処に行くの……!?」
3枚のカードが、盾になるようにして重なった。
そして──エネルギー弾を全て、弾き返してしまう。
「何が……起こってんだ……!?」
「3枚の、ロボットのジョーカーズカード……先輩、これってまさか!」
「……チョートッQ」
「応、であります!」
飛び出すチョートッQ。
その身体に、3枚のカードも引き付け合い、重なっていく。
それらは俺の手元に戻っていく。
見た事の無い1枚のカードとなって。
「っ……合体した……! 《サンダイオー》みたいに……!」
「水文明の力が……加わったってことですか……!」
「マスター! 我らの力、存分に振るうでありますよ!」
……よし、やってやろうじゃねえか。
今度こそ──逆転のチャンスだ!
「合体とかズルいーっ! 何が起こってるか分かんないんだけど!」
「おっとイカルス、合体なら俺達だってしてるだろう? 一心同体の神々の方が優れているさ!」
<Wild……DrawⅥ、LOVERS!!>
空間が開かれていく。
だけど負けない。
お前達が二人なら、俺達は……皆で戦ってるんだ!
「アカリ、ちょっと待ってろ。今、こいつら倒して助けに行くからよ」
「……お爺ちゃん」
「チョートッQ! 紫月! シャークウガ! 行くぞ!」
エリアフォースカードを掲げる。
火。自然。そして水。
3つの文明の力が合わさったこのカードで──今此処に居ない仲間の分の思いも背負って勝つ!
「
<Wild……DrawⅣ、EMPEROR!!>