学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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GR62話:無限合体──神化

 ──俺とイカルスのデュエル。

 俺が《タイク・タイソンズ》を出す中、あいつらは《ダーク・ライフ》を唱えてマナと墓地を増やしている。

 勝つには、相手が仕掛けて来る前に《ジョット・ガン・ジョラゴン》を出すしかない。

 

「《ヤッタレマン》を召喚! そして、《タイク・タイソンズ》で攻撃──するとき、Jチェンジ発動! 場のコイツとマナにあるコスト4以下のジョーカーズを入れ替える!」

 

 そのためには、あいつらよりも2手先を行くしかない。

 目には目を歯には歯をなんて言うが、マナ加速にはそれを上回る速度のマナ加速が手っ取り早い!

 

「《タイク》と入れ替えるのは《メイプル超もみ人》! 《タイク》の場を離れた時の効果と合わせてマナを2枚ブーストだ!」

「これで白銀先輩のマナは次のターンでマナが5枚。更に《ヤッタレマン》も居る……まるで、《メンデルスゾーン》を使った後のドラゴンデッキです」

「マナを増やすのは自然文明のオハコだからな! 次のターンでビシッと決めてやるぜ!」

 

 手札にある《ジョット・ガン・ジョラゴン》を出すには、最大でマナが7枚必要だ。

 更に《ヤッタレマン》が居る時にジョーカーズを1体手札に戻せば、それでコストは2軽減される……つまり、次のターンに俺のマナが5枚以上になっていれば《ジョラゴン》が出せる!

 

「ハハッ、そんなにがっつくなよ童貞野郎」

「ああ? 何だとコラ」

「獲物を前に舌なめずりするのは三流ってことさ。最初からトばしすぎると、朝まで持たないぜ」

「心配しなくても朝まで走るつもりはねーよ。速攻でお前らを叩きのめして、アカリを助ける!」

 

 ……この余裕、あいつらも何か仕掛けて来るな。

 マナゾーンには自然と闇のカード……闇で次のターンに4コスト……まさか。

 

「白銀耀。お前の切札は《ジョット・ガン・ジョラゴン》か。話には聞いてるよ。場のジョーカーズを手札に戻したら、コスト軽減できるんだっけ?」

「可哀想可哀想可哀想ーっ! 次のターンに、もう切札が出せるって思ってるんだね!」

「だけど、まだ前戯も終わっちゃいない。俺が焦らしてやろう──」

 

 タップされる闇を含んだ4枚のマナ。

 そこから悪魔の形相をした門が現れた──

 

「さあ、呪文《解体事変》を唱えようか! 相手の手札を1枚見ないで墓地へ叩き落とす!」

「呪文版《ジェニー》だと!? また未来のカードか!」

「このタイミングのピーピングハンデスは……!」

 

 公開されていく手札。

 それはよりによって、《アイアン・マンハッタン》と《ジョット・ガン・ジョラゴン》の二択……!

 

「ねえねえねえイカルス! 金ピカのカードがあるよ! あれがウワサのカードだよねーっ!」

「まあ落ち着けよイカルス。さっさと墓地へ落としてしまおうか。《ジョット・ガン・ジョラゴン》を捨てろ」

 

 やられた。このカードを握っていたから余裕ぶってたんだ……!

 《アイアン・マンハッタン》を出そうにも、まだマナが足りない。

 アイツの言う通り、完全に、トばし過ぎた……!

 

「マナにカードを置いて、ターンエンド……!」

「だから言わんこっちゃない。こちらも仕掛けるか」

「あっ、イカルス! アレを使うんだね!」

「そうだねイカルス。タイミングは此処しかない。5マナを──タップ!」

 

 天使擬きたちの足元に無数の茨が生えだす。

 何だ!?

 たかが、5マナのカードだろ!? 一体、何を使うってんだ……!?

 

「それは生命を生み出す完全なる大地の抱擁、轟き破砕する呪われし文言──」

「目交い、産み出せ──《大地と生命と轟破の決断(パーフェクト・ネイチャー)》!」

 

 大地が罅割れ、そこから黄金の光が飛び出した。

 こ、これって──

 

「効果でコスト5以下のクリーチャーを2体、マナゾーンからバトルゾーンへ! 《龍罠(ドラップ) エスカルデン》!」

「そしてそしてーっ! アタシの切札、いっくよーっ!」

 

 カタツムリの戦車に続くようにして、天使の如き翼が広がった。

 大地から這い出るのは、黄金の鎧を身に着けた天馬だった──

 

 

 

「神誕──《G・A・ペガサス》!」

 

 

 

 な、何が起こったんだ……!?

 一瞬で、場にクリーチャーが2体出て来やがった……!? 

 しかもマナゾーンから……!? あの呪文、どうなってんだ!?

 

「見給え、低俗下劣下賤でクソッたれた旧世代の人類──! これがパーフェクト呪文の力だ!」

「何が旧世代の人類だ、何がパーフェクト呪文だ! そもそも低俗で下劣なのは、お前も人の事言えねえよ!」

「仕方が無いだろう? オレ達はそういう風に作られたんだから」

「あんだと……開き直りやがった!」

「開き直るも何も……合理的かつ理想的な新世代の人類。それに必要な遺伝子を見定めるのがオレ達の役割さ」

「遺伝子……?」

「あんな奴らの悪趣味な話を聞いてる場合ですか! 問題はあの呪文ですよ!」

 

 ぐいぐい、と袖を引っ張る紫月。

 そうだ、イカルスの口車に乗せられてる場合じゃねえ。

 

「一体、何が起こったんですか……!? あの呪文は何を……!?」

「それもそうだ、いきなり前触れも無しに2体もクリーチャーが……!」

「何って……コスト5以下のクリーチャーを2体、マナゾーンから呼び出しただけだが?」

「アタシ達ペトロパブロフスキー重工が造り出した、完璧な自然の呪文だよーっ!」

 

 ふざけてる。

 Jチェンジでさえ、入れ替えるクリーチャーが必要なんだぞ!

 無から場にクリーチャーが2体も出て来るって、どんな呪文だよ!

 

「……そもそもパーフェクト呪文が他にもあったなんて……!」

「紫月、何か知ってるのか?」

「……いえ、今この場で考えても仕方ない事でした。それより、問題は今のデュエルと《ペガサス》と《エスカルデン》でしょう」

「そ、それもそうか……!」

 

 確か《G・A・ペガサス》の効果は……自然の呪文のサーチか。

 しかもアイツ自体が光のドラゴンだから、放っておけばファイナル革命持ちのドラゴンにチェンジされる可能性がある。

 どうにかして処理したい所だが、こうもおやつ感覚でマナからクリーチャーを引っ張り出されたんじゃ、いずれ対処が追い付かない。

 だって、さっきのパーフェクトなんたらってカードも自然の呪文じゃねえか!

 都合よくマッハファイターが引けるとは思えねえし……!

 

「《ペガサス》の効果で、《大地と生命と轟破の決断(パーフェクト・ネイチャー)》を手札に加えるよーっ!」

「やっぱり──! もう1回来るじゃねえか!」

「そして、《エスカルデン》の効果で山札の上から2枚を表向きに。その中から、クリーチャーを加えるけど……今回は全部マナに置こうか」

「これでターンエンドだよーっ!」

「何とかこれで済んだ……!」

「でもマナから展開したのに、相手のマナゾーンのカードは減ってませんよ先輩!」

 

 そう、それが問題だ。

 少なくとも、後もう1回《大地と生命と轟破の決断(パーフェクト・ネイチャー)》が来る……!

 しかも、下手に手札に切札をサーチすれば《解体事変》で落とされる可能性もある……手強いぞ、このデッキ。

 

「4マナで《天体かんそ君》召喚! 山札の上から3枚を見て、その中から1枚をマナに置く! 残りは山札の上と下に!」

「はいはい、もう良いよそういうの。省略省略!」

「どうせ負けちゃうの分かってるんでしょーっ? 見てて可哀想だから、足掻くのはやめよーよ!」

「こ・い・つ・ら……!」

「白銀先輩、いちいち振り回されないでください!」

「悪い、すっげぇムカつく奴を思い出したもんでな……!」

 

 こいつらやっぱり、マリーナの配下だわ……!

 人をイラつかせるツボをこれでもかってくらいに抑えてやがる!

 

「さーて、そろそろこっちもヤるか……オレ達と一緒に、()()()()()()!」

「6マナをタップするよーっ!」

 

 地面がぐらぐらと音を立てて揺れる。

 6マナ? 待てよ、これってまさか──!

 

 

 

「神撃──《G・E・レオパルド》!」

 

 

 

 吼える獅子の神。

 それに跨るのは刃を振り回す戦神だ。

 

「揃っちまった……!」

「その効果で《青守銀 シルト》を手札に加えるよ! そして!」

 

 2つの獣の間に紫電が迸る。

 何なんだ、この嫌な感じは──!

 全く異なる異物が接合していくような、気味の悪さ……!

 繋がっていく。

 神と神が──!

 

「陰と陽、男と女、そして神と神、片方では不完全でも二つが合わさればカンペキだよーっ!」

「さあ、繋がれ。天を抱くのは終わりの大地──《ペガサス》、《レオパルド》、G・リンク!」

 

 G・リンク。

 対応する二つのゴッドが繋がり、一つのクリーチャーとなる能力。

 《ペガサス》に対応するのは《レオパルド》……2体が合体すれば、もうあいつらはカードの効果では選ばれない。

 黄金の盾を掲げた天馬と獅子の巨神。

 それが目の前に聳え立つようにして立ちはだかっている。

 パワーは決して高いとは言えない。だけど、決して触れる事の出来ない威迫を放ち続けている……!

 

「恐れ戦け! これがオレ達の神々だ!」

「獣と獣、二つが合わさって一つの柱に!」

「下賤な民には触れる事すら叶わないんだよ、白銀耀!」

「……触れる事すらァ……? へっ、リンクしたところでパワー7000のW・ブレイカーだろ……!」

 

 「選ばれない」ってことさえ、除けばだけどな!

 正直、息切れしている俺にとってはかなり危ない状態には違いない。

 制圧された状態では、あのゴッドたちは安全なフィニッシャーになるだろう。だから、これは只の強がりかもしれない。

 ……だけど、それはあくまでも盤面を完全に制圧されればの話だ!

 

「ターンが返ってきて良かったぜ──《天体かんそ君》で山札の上に仕込んでたこいつを、ようやく召喚できるんだからな!」

 

 使うのは水を含んだ6枚のマナ。

 それらは激流となって、バトルゾーンで渦を巻く──!

 

 

 

「──これが俺の大洋の切札(オーシャンズ・ワイルド)! 

 

 

 

 刻まれるMASTERの紋章。

 浮かび上がるのはⅣ。武を以て覇を成す皇帝の数字!

 

 

 

「波濤を超えろッ、《ジョリー・ザ・ジョルネード》!」

 

 

 

 俺の呼びかけに答えるようにして、三又の槍と銃を構えたガンマンがカードから飛び出す。

 こいつの効果で、超GRゾーンから3回GR召喚を行う!

 

「……隠し持ってたか。まだそんなカードを……!」

「《ジョルネード》の能力で、《バツトラの父》、《ゴッド・ガヨンダム》、《バイナラシャッター》をGR召喚だ!」

 

 さらに、《ガヨンダム》のマナドライブで手札を捨てて2枚ドロー。

 そして──《バイナラシャッター》で《エスカルデン》を山札の一番下に送る!

 

「これで、ターンエンドだ!」

「山札への除去なんて、どいつを戻しても無駄だよ」

「無駄無駄! どうせ回収すれば良いもんねっ!」

「下賤な民がイキがっちゃって、調子乗ってんじゃないよ!」

「……先輩、そろそろ私も腹立ってきました」

「だろうな!」

 

 だけど、状況は好転したとはいえない。

 あいつらはまだ、さっきの呪文を握っている。

 再び5枚のマナがタップされ、暴走する大自然の暴威を振るう──

 

「──呪文、《大地と生命と轟破の決断(パーフェクト・ネイチャー)》をもう1度使おう!」

「また来た……!」

「《ペガサス・レオパルド》はこのターン、アンタップしているクリーチャーを攻撃出来る」

 

 アンタップキラー付与まであるのかよ! 

 そうか、革命チェンジしてくるなら、安全に殴れるこのタイミング……!

 

「さらに、マナから《エスカルデン》を出して、山札の上から2枚を表向きにするよーっ! その中からクリーチャーを手札に加えても良いからねーっ!」

「1枚をマナに置いて、《幻緑の双月》を手札に加えるよ。そして、《ペガサス・レオパルド》で《ジョルネード》を攻撃──するとき、革命チェンジを発動しよう!」

 

 黄金の鎧を身に纏った天馬と獅子の神々が《ジョルネード》目掛けて突貫する。

 その身体は一瞬で、百の弓矢を降り注がせる獅子龍へと変換された。

 さらに、リンクされたゴッドは、簡単には消えはしない。

 片割れだけがバトルゾーンに残るのだ。

 

 

 

「リンク解除で《ペガサス》を場に残す! そして──《百族の長(ミア・モジャ) プチョヘンザ》にチェンジ! ファイナル革命でこいつよりパワーの低いクリーチャーを全てマナ送りだ!!」

 

 

 

 弓矢はクリーチャーに突き刺さるなり絡みつく樹木と化し、地面へ次々に引きずり込んでいく。

 俺のクリーチャーは全滅。更に、相手の《ペガサス》や《エスカルデン》もマナゾーンに送られていった。

 こうしてイカルス達も、場に《プチョヘンザ》が残るのみとなった。

 最も──《大地と生命と轟破の決断(パーフェクト・ネイチャー)》がある以上、あいつらにとってマナのカードは手札同然だけども!

 

「オレ達のマナは9枚。これで、お前は8コスト以下のクリーチャーを出せばタップインされる」

「スピードアタッカーも、マッハファイターも効かないからねっ!」

「しかも《プチョヘンザ》のパワーは12500! そうそう超えられやしないさ!」

 

 パワー12500。確かに大層なパワーかもしれない。

 しかも7コスト以下はタップイン。足止めされたも同然だ。

 恐らくアカリは、このロックに足元を掬われたのだろう。

 ……だけど!

 

「それなら、《バイナラドア》召喚! 《プチョヘンザ》を山札の一番下に送る!」

「……ちぇっ、つまらないなあ」

「除去耐性が何にも無いから、ただ退かせば良いだけだからな! これくらいなら、ロックでも何でもねえよ!」

 

 何とか《プチョヘンザ》は突破出来た。

 多分、アカリは《ペガサス・レオパルド》と相性の良いあいつに大分苦しめられたんだろう。

 だけど、マナが伸びるこのデッキなら対処手段は幾らでも用意できる……!

 

「手札があれば……まだ、幾らでも巻き返せる!」

「……でも白銀先輩。相手のマナ、もう大分溜まってますよ……?」

 

 でも白緑で大型の切札だろ? しかもわざわざデッキにゴッドを入れてるんだろ? 何を出すってんだ……?

 そういや、さっきあいつらが手札に加えてたカードって《幻緑の双月》だよな?

 確かアレって、《母なる星域》とのツインパクトカードだったような……。

 

「……まさか」

「そうです。先輩も思い当たる節があるのでしょう? 《母なる星域》は進化クリーチャーを出す呪文です」

「……馬鹿な! こんなデッキ、分かる訳ねえだろ……!」

 

 思い当たる一つの可能性。

 そう言えばあいつらのデッキ、闇が入ってる割には主張が薄かった。

 じゃあ、そもそも何の為に入れてたんだ? と考えた時、一つの結論に至る。

 GRのマナドライブの為だけならまだ薄い。

 フィニッシャーが闇文明のクリーチャーなんだ。

 闇で、超重量で、進化で──しかも、ゴッドに関係するカード! 今の今まで頭からすっぽ抜けていた! 

 

「……ねえねえねえ、イカルス。どうするの?」

「そうだねえイカルス。やっぱり、付けあがらせたら調子に乗るだけか」

「そろそろ見せてあげなよ、イカルスの本当の切札」

「そうだねえ、《レオパルド》も《プチョヘンザ》も、こいつには大して響いてないみたいだしなあ──もっとハードに攻めてやろうか」

 

 タップされる5枚のマナ。

 再び翼を広げて《G・A・ペガサス》が現れる──

 

「効果で自然の呪文、《母なる星域》を手札に加えよう!」

「そして2マナで《幻緑の双月》召喚するよーっ! 効果で手札からカードを1枚マナに置くからね!」

「そして、後3マナ残っているぞ!」

 

 ──今やっと分かった。こいつら、丁度10マナで進化元と超重力級の進化先を揃えるつもりだったのか──!!

 

「呪文、《母なる星域》! 効果で場のクリーチャー……《幻緑の双月》をマナに送って、マナゾーンのコスト以下のコストを持つ進化クリーチャーを1体場に出すッ!」

「さあ、七番目の落とし子の誕生だよーっ!」

「《ペガサス》を進化元に……進化」

 

 ゴッドを進化元にするクリーチャーなんて、そうそう多くない。

 それに、こんな大量のマナを必要とするカードだって同じことだ。

 こいつら、今の今までこんなものを隠し持ってたのか──!

 

 

 

「オレ達が世界を産み直そう──神化完遂、《第七神帝 サハスラーラ》ッ!!」

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