学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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GR101話:大革命

「──《鬼ヶ逢魔 エンド・ジャオウガ》の鬼エンド発動ッ!!」

 

 

 

<逢魔が終わり、鬼エンドッ!!>

 

 

 

 空は真っ黒に染められる。

 逢魔が刻のその先。

 魑魅魍魎と百鬼夜行が来たるその時がやってきた。

 

「全ては終わる──真っ黒に踏み潰される。テメェら人類が絶滅する時が来た」

「ッ……何でそんなに、人類が憎いんだ!?」

「ちげぇよ。鬼ってのはな──生まれつき、人類を滅ぼすようになってんのさ!! 生命として!!」

 

 鬼としての在り方、ということか。

 その宿命には、酒呑童子でさえも逆らう事は出来ない。

 人間を傷つけて喰らい、根っこのない憎悪のままに暴れ回る。

 それが──鬼としての生き方ということなのか。

 俺には分からない。

 誰かを傷つける生き方は、俺には──いや、

 

「ッ……そっか。誰かを傷つけてでも進んできた、か」

 

 ──そうだ。

 俺だって、同じだ。

 誰かを傷つけて進んできた。

 火廣金を、今まで対立してきた相手を。

 戦って、力で押しのけて、その度に俺も傷ついて相手も傷ついて──そんなことを当たり前のように繰り返してきて。

 これじゃあ、どっちが鬼かわかりゃしない。

 

「──《エンド・ジャオウガ》の鬼エンドッ!! それは、この手番の終わりにもう一度俺様の手番を行うというもの!!」

「ッ……何だと!?」

「……お終いだぜ、白銀耀。いや、桃太郎ッ!! テメェを殺して人類も皆殺しにするッ!!」

 

 燃え盛る大獄の鬼。

 その炎の棍棒が俺のシールドを焼き払った。

 S・トリガーは──くそっ、出ないか!!

 

「……そしてェ、時間を超越したコイツにテメェは押し潰されて死ぬッ!!」

「ッ……!」

「《ジャオウガ》で攻撃──する時、鬼エンド発動ッ!! 手札から呪文《百鬼の邪王門》を放つ!!」

「なっ!? 攻撃時にも!?」

「そうだ!! 効果で、山札の上から4枚を墓地に置き、その中から《闇鎧亜ジャック・アルカディアス》を場に出すッ!!」

 

 幸いスピードアタッカーじゃなかったが残しておけば、命取りとなる。

 相手はエクストラターンを取っているのだから。

 

「T・ブレイクッ!!」

 

 いや、躊躇している暇なんてない。

 S・トリガーは──ダメだ、無いッ!!

 

「さあ、もう一度俺様の手番だ!!」

 

 酒呑童子は笑みを浮かべると──再び《エンド・ジャオウガ》によって突貫する。

 ……マナにカードも置かなかったし、何もしてこない!?

 手札を溜め込んでいる……ってことか!?

 いや、これは──

 

「また引いたぜ──《百鬼の邪王門》ッ!! 鬼エンドでもう一度放つッ!!」

「ッ……ま、まずい」

「効果で墓地から《黒神龍装ダフトファントマ》を場に出すッ!! そして《エンド・ジャオウガ》で──テメェのシールドをW・ブレイクだッ!!」

「ぐうっ……!?」

 

 ──分からない。分からない。

 どうすれば良い。

 傷つくほどに強くなる敵。

 そして、俺自身も──

 

「……仲間なんて甘っちょろいモンに頼った結果がコレか」

「ぐ、こいつ……ッ!!」

「この槍は良い。俺様が一人で未来に君臨するその瞬間が──確かに視えた。人類を絶滅させた、その先の未来が」

「……それで、お前はどうなるんだ?」

「……ンだと?」

「人間を全部滅ぼして、お前ひとりになった世界で──お前はどうするんだよ?」

「ッ……ハッ、一体何を言ってやがんだ!? 俺様一人が王として君臨する世界だ!! 邪魔な奴を全て滅ぼして──」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

”テメェは無能だ、消え失せろ”

 

 

 

”テメェは俺を裏切ろうとしたな? 処刑するッ!!”

 

 

 

”鬼なんざ、結局──俺様一人で十分なんだよ”

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「ッ……そうだ、これで良いッ! これが、俺様の望む世界だッ!!」

 

 

 

 一瞬。

 酒呑童子の眼に何が視えたのか俺には分からない。

 分かりたくも無い。

 きっとこいつは、放っておけば気に入らない全てを滅ぼしながら生きていくのだろう。

 人間だけじゃない。

 自分の同族である鬼でさえも。

 

「──だからテメェは此処で消えるッ!! 消え失せるッ!! どちらかのシールドがゼロである限り、鬼エンドは発動する──ッ!!」

「……そうだ。だけど……次の1ターンは、そうじゃない」

「ッ……何だと!?」

「S・トリガー……《深緑の魔法陣》ッ!!」

 

 浮かび上がるのは、自然の力を得た魔方陣。

 それにより、俺のシールドが──1枚、加わった。

 

「んな、馬鹿な……!? だけど攻撃は止まってねえ!!」

「まだだ!! このシールドだけは……死守するッ!! S・トリガー発動!! 《灰になるほどヒート》!!」

 

 灰燼の炎から──逆転の一手は確かに現れた。

 

「効果で《爺モン&婆ファンクル》を場に出し、《ジャック・アルカディアス》とバトルして破壊だ!!」

「だがこいつはスレイヤーだ!! 相討ちだぜ桃太郎ッ!!」

「……そうだ。だけど、これで──互いのシールドは1枚になった!!」

「ッ!!」

 

 酒呑童子の顔が引きつる。

 しかし、再び余裕の笑みを浮かべた。

 シールドがゼロになっても、勝てるという算段があるのだろう。

 

「──ターン終了時、《エンド・ジャオウガ》は効果で俺様のクリーチャーを全て破壊する。だが、《ダフトファントマ》は墓地の札を4枚戻して生き残るッ!!」

 

 場には──あの黒いドラゴンギルドのクリーチャーだけが残っている。

 このターンで決めきれなければ、追撃を喰らって俺は負けるだろう。

 だから。

 此処で──勝つしかない!!

 

「俺様の未来は不変だ──変わらねえよッ!!」

 

 確かに、そうだ。

 あいつの槍の力が確かならば、このデュエルは俺は負ける。

 仮にあいつの守りを貫通できなければ、恐らく手痛いカウンターを受けるだろう。

 《深緑の魔法陣》で埋めたカードは《ヘットルとフエートル》。もう奇跡は起こらない。

 

「……それでも、俺は──」

 

 立て。

 立つんだ。

 何のためにここに来た?

 負けないためだ。

 勝つためだ!

 

「俺は──ッ!!」

 

 

 

 

「アカル!! ネバーギブアップ!! シュギョーの成果、見せてやるのデース!!」

 

 

 

 ──その時。

 皇帝(エンペラー)のカードが強く、熱を持った。

 

 

 ──ブランの声が、聞こえてきた。

 

 

 

「耀ッ!! そんな奴に負けんな!! 勝てーッ!!」

 

 

 

 ──花梨の声が、聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

「白銀のヤロー、大丈夫かよッ……!! 負けたら承知しねーぞ……!!」

 

 

 

 ──桑原先輩の声が、聞こえてきた。

 

 

 

「結局は貴様に託すことになるのだろうな……だが、それでこそ僕らの切札だ」

 

 

 

 ──黒鳥さんの声が、聞こえてきた。

 

 

 

「……どうか、勝って……ッ!」

 

 

 

 ──翠月さんの声が、聞こえてきた。

 

 

 

「……先輩。勝ってきてください」

 

 

 

 

 ──紫月の声が、聞こえてきた。

 

 

 

 

 

「──君を信じても良いのだろうか。俺は──いや、今は君に賭けるしかない。部長ッ!!」

 

 

 

 ──そして、火廣金の声が──聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 ──声が、聞こえてくる。

 あいつらの、声が。

 まやかしか?

 いいや、違う。

 これは確かに──皇帝(エンペラー)の力だ。

 

「ブラン、花梨……!!」

 

 確かに俺達は傷つけあうこともあるかもしれない。

 

「黒鳥さん……」

 

 だけど、その度に俺達は再び手を取り合ってきた。

 

「桑原先輩、翠月さん……!」

 

 きっとすれ違っていても、道を違えたとしても、見ている方向が違ったとしても──

 

「紫月ッ……!」

 

 ──俺達は、きっと一つのもので繋がった仲間に違いないんだ。

 ……絶対に!!

 

 

 

 

「ッ……火廣金!!」

 

 

 

 膝を突いている暇なんて、俺には……デュエマ部部長・白銀耀には無ェんだよッ!!

 

「何時だってそうだった。忘れちゃいけなかった……俺を支えてくれる仲間は、今確かに此処に居るッ!!」

「臭い事を抜かすんじゃねえッ!! 仲間なんて要らねえ。俺一人の世界を──」

「ブチ壊す。そんな未来は、俺がこの手で風穴開けるッ!!」

 

 カードを引く。

 引いたのは──白紙のカード。

 デッキに入れた覚えのないカードだ。

 ……もしや、と皇帝(エンペラー)のカードを見やる。

 誇らしげに輝いていた。

 あいつの……置き土産か!

 

「俺のターン! 5マナで《燃えろ!アポロソ君》を召喚!」

「ッ……何だ、そのカード!?」

「……未来を変える……この手で! 《アポロソ君》はマッハファイターだ! 《ダフトファントマ》に攻撃──する時、効果発動! 俺のシールドをブレイクする!」

 

 そして当然、トリガーは発動する。《ヘットルとフエートル》だ。その効果で山札の上から1枚目がマナゾーンに置かれる。

 だけど、重要なのはそこじゃない。

 攻撃した時、俺がシールドをブレイクしたということだ!

 

「そして《アポロソ君》の効果発動!! 俺のマナを6枚までアンタップする!」

「なッ!?」

「俺はキリフダッシュ宣言!! 呪文、《モモモモスモモ・ダッシュ》でコストを軽減!! そして!!」

 

 

 

<ジョーカーズ疾走ッ!! キリフ・ダッシュ!!>

 

 

 

「──発動、キリフダッシュ!!」

 

 

 

 俺は残るマナを3枚タップする。

 これで……終わらせる!!

 

「──俺の未来を俺が斬り開くッ!! 上げるぜ勝鬨、ひっくり返すぜ、革命の時ッ!!」

 

 桜が舞い散るフィールドに、その龍は確かに現れる。

 未来が視える鬼に勝つならば、未来さえも変えるしかない。

 

 

 

”白銀耀。我が名は皇帝(エンペラー)──今こそ、真に貴様に力を貸そう。我が奴隷となるか? 家臣となるか?  それは我が決定することだがな”

 

 

 

「いいや違う──それは、俺がこれから決めるッ!!」

 

 

 

 聞こえてきた声に俺は答える。

 

 

 

”……フッ。あくまでも我を従えると? ならば良し──そうでなければ我がシモベなど務まらんッ!!”

 

 

 

 

「ああ、だから……もう一度、力を貸してくれ!! 皇帝(エンペラー)!!」

 

 

 

”……ゆくぞッ!!”

 

 

 

「──ああ!! これが俺の切札(ワイルドカード)ッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 ──皇帝(エンペラー)の紋章が浮かび上がり、Ⅳの文字が刻まれる。

 

 

 

 

「《勝熱百覇(ジョーネツヒャクパー)モモキングReVo(レヴォリューション)》ッ!!」

 

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「あの、クリーチャーは……ッ!?」

 

 

 

 紫月は目を丸くした。

 耀が呼び出したのは確かにモモキングだ。

 しかし、その力は神力由来のそれではない。

 明らかにエリアフォースカードの力によって具現化したものだ。

 その根拠は、もともとあったものではなく新たに生み出されたクリーチャーということにある。

 

「まさか。本当に皇帝(エンペラー)のカードが二つあった、ということか」

 

 バイク仮面は言った。

 

「……どういうことデス!? 両方共本物だったってことデス!?」

「……元々2枚のカードが繋ぎ合わされていたと考えれば納得が行く。部長の皇帝(エンペラー)が凄まじい力を持っていたことにも、そして分裂した煩悩が恐ろしく強かったことにも説明がつく」

「ッ……だが、それじゃあ……あのもう1枚の皇帝(エンペラー)は何処から来たんだよ!?」

「あたしもう訳分かんない!?」

 

 シャークウガとモルネクレディが喚き立てた。

 当然、謎はそこに行き着く。

 しかし──今までのことから導き出されることが一つだけある。

 

 

 

「──未来から、誰かが送り込んだ……?」

 

 

 

 紫月はぽつり、と呟いた。

 同じ時代に同じエリアフォースカードは存在しない。

 ならば──もう1枚が存在する理由はそれしかない。

 

 

 

 ※※※

 

「ッ……バカな!! そんなクリーチャーは……未来には無かったはずだぜッ!! 槍は、槍の見せた未来はまやかしだったのかァ!?」

 

 初めて酒呑童子は取り乱した。

 

「ちげーよ。多分、未来が変わったんだ。こいつは……今、呼び起こしたんだからな!」

「何、だと……!?」

「エリアフォースカードには守護獣が存在すんだよ──テメェが傷つけた、俺達の相棒が!!」

「ッ!!」

「どういうわけか、俺の皇帝(エンペラー)は2枚存在していて、今まで俺は2枚目の存在に気付かなかった」

 

 ──その結果。煩悩と共に分離して、強く自我を持ったのが、あの黒い俺だ。

 だけど、それを打倒したことで俺の元にはもう1枚の皇帝(エンペラー)が渡った。

 こいつの出どころは正直、今の俺には分からない。

 でも言えることがある。今のコイツは敵じゃない。

 俺の中にあった薄暗い気持ちは、俺の敵じゃなかった。俺の一部分だった。だから……それを認めることで、俺達は一つになった。

 

「こいつは……新たなるモモキングは今までの歴史にも、これからの歴史にも無いッ!! 今目覚めた、俺の第二の守護獣だッ!!」

「バ、バカな──俺の、未来が……だが、そいつで俺様を倒せると本気で思っているのか!?」

「思ってるさ」

 

 誰かがきっと、未来を変えたいと強く願ったのだろう。

 同じ時代に同じエリアフォースカードは存在しない、という仮説が本当ならば、きっとそうに違いない。

 俺は……俺の運命を変える。そして、超えるんだ!

 

「──《モモキングReVo(レヴォリューション)》のキリフダReVo発動ッ!! 山の大革命ッ!!」

「なっ!?」

「こいつをキリフダッシュで召喚した時……山札の上からカードを2枚マナゾーンに置き、そしてマナゾーンから3枚までを手札に加えるッ!」

 

 俺が見せたカードは──モモダチ達だ。

 そして、全てのマナがアンタップした!!

 

「シールドがあと1枚……丁度残ってるな!! 《モモキングReVo(レヴォリューション)》で最後のシールドをブレイクッ!!」

「S・トリガー……《ツルハシ童子》ッ!! 効果で山札の上から3枚を墓地に置き、1枚を手札に戻すッ!! 加えて、こいつは鬼時間で守護(ブロッカー)を持つッ!!」

「……いや、それさえも押しのけるッ!!」

 

 俺は一気に6枚のマナをタップした。

 キリフダッシュ、同時発動だッ!!

 

「《モモキングReVo(レヴォリューション)》の効果で、俺のチーム切札はキリフダッシュ2を持つッ!! 行け、モモダチ──いや、スパダチ達よ!!」

「「「応ッ!!」」」

 

 《モモキングReVo(レヴォリューション)》の革命の波動か、それとも皇帝(エンペラー)の力によるものかは分からない。

 しかし。

 確かにモモダチ達も、真の桃太郎のお供として覚醒したのだ。

 カードが白く輝き、再び塗り替えられていく。

 

 

 

「──我が名はモンキッド!! 《スパダチ モンキッドR》!!」

「──我が名はケントナーク!! 《スパダチ ケントナークR》!!」

「──ボクはキャンベロ!! 《スパダチ キャンベロR》!!」

 

 

 

「「「我ら、桃太郎様の真の助太刀、スパダチなりッ!!」」」

 

 

 

 3騎のスパダチが戦場に降り立った時。

 真なる革命が巻き起こる──

 

「下らねえ!! 雑魚が集まったところで俺様に敵うわけが──」

「そいつぁどうかな? 3体のキリフダReVo(レヴォリューション)発動ッ!!」

「先ずは俺の効果ッキィ!! 林の大革命ッ!! 全てを地に還すッ!!」

 

 酒呑童子の場のクリーチャー達が大地に飲まれていく。

 全員、マナ送りだ!!

 

「バカな、俺のクリーチャーが……!」

「そして私の力!! 風の大革命ッ!! 我が主にはもう、一歩も近付けさせぬッ!!」

「ッ……!!」

 

 酒呑童子の手札に鎖が巻きつけられていく。

 もう、革命ゼロトリガーは使えない。使わせない!!

 

「ハッ、ハハハッ、だけど、俺にはまだ……視えている……槍の見せた、未来がッ……!!」

「──いっけぇ!! スピードアタッカーの《キャンベロR》でダイレクトアタック!!」

「視えていると……言ったはずだァァァーッ!!」

 

 酒呑童子の手から一つの槍が突き刺さる。

 

 

 

「喰らい尽くせ……俺様の敗北の運命をッ!! 塗り替えろ、鬼の栄華へッ!! 

これが俺様の真の鬼札……《一王二命三眼槍(バラド・ヴィ・ナ・シューラ)》ッ!!」

 

 

 

 

 時が、巻き戻る。

 確かにヌンチャクを振り回した《キャンベロR》の攻撃が通る──はずだった。

 しかし。その攻撃は完全に無かったことにされたかのように、《キャンベロR》は元の場所に戻っている。

 

「ッ……ハ、ハハハハ!! 終わりだ!! お終いだ!! 攻撃は凌ぎ切ったッ!! 俺様の勝利は揺るがねえんだよ人間──ッ!!」

「……何が起こった……!?」

「俺様が負ける時。この槍を見せて、山札の一番下に送れば──俺は、負ける代わりに生き残るッ!!」

 

 そうか、敗北回避持ち。

 だから、革命ゼロトリガーを封じられても余裕だったのか。

 ……だけど。

 

「──それなら、こっちも勝つまで殴らせて貰うぜ」

「ッ……は?」

 

 酒呑童子は漸く気付いたようだった。

 俺の場のクリーチャーが、全てアンタップされていることに。

 

「な、何でだよ? 何でテメェの怪物が全部起き上がってやがるッ!? 何でだァ!?」

「ボクの力だよッ!!」

「ッ……!」

「火の大革命ッ!! ボクがいれば、チーム切札は何度でも攻撃出来るんだ!!」

 

 酒呑童子は──槍を握り締めた。

 

「バカなッ!! バカな馬鹿な馬鹿なバカな馬鹿な!! 《一王二命三眼槍(バラド・ヴィ・ナ・シューラ)》ッ!! 見せろ!! 早く見せろ!! 俺様の、俺様の勝利の未来を──ッ!!」

「《モモキングReVo(レヴォリューション)》でダイレクトアタックッ!!」

 

 神速の太刀が──鬼神類を何度も、何度も、何度も切り刻む。

 

 

 

 

「──絶技・風林火斬ッ!!」

 

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 見える。視える。視えるはずだ。

 俺様が勝つ未来が。

 俺様が人類を滅ぼして、滅ぼした後の、その先の未来が──視え──

 

 

”おーい、誰かいねーのかよ? ……皆殺しちまったからなあ”

 

 

 

”……んだよ。本当に誰もいねーじゃねーか”

 

 

 

 

”……つまんねえの”

 

 

 

 ハッ、ハハッ、ンだよ……俺様には、最初っから()()()なんて無かったのかよ?

 桃太郎を殺して、人類を皆殺しにして、鬼の世界を作って。

 ……そして、その鬼の世界も自分で壊して。

 世界には俺様一人だけ。

 

 

 

 ……つっまんねえなァ。


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