学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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GR108話:彩神類─いずれ勝利へ至る道

 羽根が劇場を彩る。

 そこに現れたのは美の化身。

 毒々しい色の羽根に包まれた美の不死鳥は甲高く笑いを上げ、火廣金を見下ろしている──

 

「キングマスターカード……ッ!」

「かつて鬼に美学を奪われた哀れな不死鳥が居たわ──桃太郎に倒され、完全に覇気を失ったコイツをワタクシが配下に加えたってワケ!」

 

 つまり。

 不死鳥のクリーチャーは、この悪神に囚われているのである。

 その目は虚ろで、何も見えていない。

 悪趣味に彩られた自らの姿さえも。

 それが火廣金には──痛ましく映っていた。

 

「《ヲヲロラシアタァ》の効果でカードを3枚引くわ!! さあ、終焉の時間よッ!! 《傾国美女 ファムファタァル》をビビッドローで召喚!! 《ファムファタァル》の効果で、自分のクリーチャーのパワーを+6000し、「スピードアタッカー」「パワード・ブレイカー」を与えるわ!」

「一斉攻撃、というわけか……ッ!!」

「美美美美美!! 先ずはQ・ブレイカーになった《ヲヲロラシアタァ》で攻撃よッ!!」

 

 一挙に隕石が降り注ぎ、火廣金のシールドが4枚、砕け散る。

 

「かっは……!?」

 

 爆炎が巻き起こり、彼の身体が吹き飛ばされた。

 

「言っておくけど、《メテヲシャワァ・ヲヲロラシアタァ》の効果で、ワタクシの手札のコスト以下のクリーチャーは場に出せない……クリーチャーのS・トリガーは、使えないわッ!!」

「ッ……!」

 

 頭が揺れる。

 あの爆発の所為だ。 

 目がチカチカする。

 全身からは既に血が流れており、あのキングマスターカードがどれ程の魔力を秘めているかを思い知らされる。

 恐らくダイレクトアタックを喰らえば、命はない。

 

(だが、俺は……それでも、立たねば……ッ!)

 

 起き、上がれない。

 《メテヲシャワァ》のロックでクリーチャーのS・トリガーや、呪文のS・トリガーによってクリーチャーを出すことは封じられている。

 しかし、それでも──

 

「出せない、だけだッ……!! 出さなければ、問題ないッ……!!」

「美ッ!? 何を言っているの? そのデッキには、このクリーチャー達を止めるような呪文は──」

 

 

 

 

「──G・ストライク……《アイボー・チュリス》!!」

「美ッ!?」

 

 

 

 次の瞬間、《プロタゴニスト》の動きが止まる。

 択ばれないはずの結晶龍の身体が硬直し、そのまま膝を突いたのだ。

 

「バ、バカな、何が、起こったの……!?」

「G・ストライクは相手のクリーチャー1体を攻撃不能に陥らせる……これは召喚ではない!! 見せるだけで発動する効果だ!!」

「なっ、何です、ってぇ……!? でも、まだ打点は足りてるわ!! 《アワンデス》でシールドブレイク!」

「更にもう1発……G・ストライク──《ダチッコ・チュリスター》!! 《ファムファタァル》を攻撃不能にする!!」

「……ッ!!」

 

 トリスに渡されていたカードが、役に立った。

 召喚が出来るわけではないが、相手のロックをすり抜けて確実に相手のクリーチャーの攻撃を止める事が出来る。

 これがG・ストライクの力。

 鳳凰は幾ら攻撃しても火廣金に勝つことは出来なくなった。

 

「美美美美美!! まあ良いわ!! 消耗しきったアナタに、ワタクシを倒すことなんて不可能よ!!」

 

 喀血した自らのそれを拭いながらも、火廣金は起き上がる。

 しかし、先程の衝撃波によるダメージは想像以上のものだった。

 立ち上がるのがやっとで、カードを握る事すらままならない。

 場にはクリーチャーは1体も居ない。

 そして、相手は大量のクリーチャーを展開しているので、このターンで決めるしか勝ち筋は無い。

 更に、残るシールドは2枚。

 だが──

 

「魔導司を……無礼(ナメ)るな」

 

 ──それでも火廣金の闘気は消えはしない。

 

「……1マナで《ホップ・チュリス》を召喚ッ!」

「そんなモブを今更出したところで──」

 

 魔力の出力を限界まで上げる。

 血を全て魔力に変える。

 長引かせはしない。神を討つため、此処で最大の一撃を放つ。

 

「魔導司を……そして、俺のカード達を……無礼(ナメ)るなッ!!」

「ッ!?」

「コストを自力で3軽減、更に火のクリーチャーである《ホップ・チュリス》を出しているため、更に3軽減……2マナをタップ!!」

 

 例え、相手が神であろうとも。

 斃れた仲間の決意を背負っているのだ。

 袂を別った仲間が何処かで戦っているのだ。

 自分が恥ずべき戦いをしてどうする?

 

「全軍前へッ!! 龍の星を継ぐ魔神が拓いた、大いなる勝利への覇道ッ!! スター……進化ァァァーッッッ!!」

「ッ進化、ですってぇ!?」

 

 炎が燃え盛る。

 そして、宙に刻まれるのは──キングマスターを示す黄金の刻印。

 いずれ勝利へと至る龍帝のオーラを纏い、魔神は高みへと至った──

 

 

 

限界点超過(アンリミテッド・インパクト)──《我我我(ガガガ)ガイアール・ブランド》!!」

 

 

 

 

 既に限界など、超克した。

 後は光の速さで撃ち貫くのみ。

 

「《ガイアール・ブランド》……ですってぇ!?」

「……これはスター進化クリーチャー……過去のクリーチャーの力を受け継いだ、アルカナ研究会最後の切札ッ!! 貴様等神を名乗る不届き者を誅する星の鉄槌ッ!!」

 

 《ガイアール・ブランド》が戦場を蹴る。

 そして、《ファムファタァル》を、《プロタゴニスト》を、そして《メテヲシャワァ・ヲヲロラシアタァ》を潜り抜け、神速の拳をシールド目掛けて放つ──

 

「打ちぬけッ!! 《ガイアール・ブランド》でシールドをW・ブレイク──ッ!!」

「ぐぅっ……トリガー無し……!? でも、その超魔力……アナタ自身にも大分負荷が掛かっているわよね!?」

「ッ……!!」

「それに、アナタの場にもうクリーチャーは居ない……ッ!! トドメは刺せないわッ!!」

「居るさッ……最後の1体が……!! 《ガイアール・ブランド》の効果発動ッ! このクリーチャーは攻撃の終わりに破壊される──」

「何かと思えば自滅ねッ!!」

 

 ……火廣金は一瞬、笑ってみせる。

 

 

 

「次発装填……再突入……!!」

 

 

 

 次の瞬間だった。

 スケートボードに乗った小さなネズミが──鳳凰の心臓目掛けて突貫し、貫いた。

 

 

 

 

「カッ、ハ……!?」

 

 

 

 何が起こったのか、鳳凰には分からなかった。

 もう、火廣金の場にはクリーチャーは他に居なかったはずである。

 にも拘らず、最期のトドメの一撃が神である自らを貫いた。

 身体が焼けながら崩落していく。

 高純度の炎の魔力に貫かれたことで、再生が追い付かない。

 幾ら再生しても、体が燃えているので、そのたびに鳳凰は地獄の苦しみと共に燃え尽きていく──

 

「い、イヤッ!! イヤよ!! どうして!? 何が起こったのッ!?」

「……《ガイアール・ブランド》の効果だ。攻撃の終わりにこのクリーチャーを破壊するが……スター進化クリーチャーの進化元は生き残る」

「ッ……!?」

「そして、《ガイアール・ブランド》は残ったクリーチャーをアンタップし、スピードアタッカーを与える……ッ!!」

「かっ、あっ、ああ!? イヤ!! イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤァァァァァーッ!?」

 

 ペキッ、ペキッ、と割れていく水晶の身体。

 その度に鳳凰の羽根が次々にはげ落ちていく。

 虚飾に覆われた姿が焼け落ちた時──残ったのは、水晶の身体を持つ龍の姿だった。

 

「イヤッ!! 熱いッ!! 熱い熱い熱いッ!! 見ないでッ!! 見ないでェェェェーッ、ワタシはッ、ワタシはッ!! 完璧で美しい、()()()になりたかったのッ!! 水晶のドラゴンから、完全なる不死鳥にッ!!」

「……哀れだな。そうやって、ずっと──演じていたわけだ。ウソの自分を」

「何百年も力を蓄えて、漸く神の力を手にしたッ!! なのにッ!! なのにッ!! こんなっ、こんな姿はッ、姿なんてぇっ、嫌ああああああああああああああああああああああああああ」

 

 絶叫を上げながら──不死鳥ですらなかった、鳳凰を名乗る神擬きは燃え尽きた。

 

「……虚飾と、ウソを幾ら身に着けようと……何にもなれやしない、か」

 

 火廣金は、落ちていた《メテヲシャワァ・ヲヲロラシアタァ》のカードを拾い上げる。

 最初は鬼の王に。

 そして次は──不死鳥を騙る結晶の龍に。

 このカードは、ずっとそうやって利用され続けていたのだろう。

 しかし、もうこのカードを縛る者は居ない。何処にも。

 

 

 

「……もう良い。君は……自由だ」

 

 

 そう言って火廣金がカードを手放すと──《メテヲシャワァ・ヲヲロラシアタァ》──神のシモベたるキングマスターカードは、眠りにつくように消え失せたのだった。

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