学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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GR117話:縁神類─辿り着く弾丸

 現れ、翼を広げるのは獣の龍。

 歪曲した二つの角に加え、顕現した時、大地が揺れる。

 

「ッ……こいつは……!」

「先ずは《イメンズ・サイン》の効果で《全能ゼンノー》とバトルして破壊」

「マズい、折角《ゼンノー》を残せたと思ったらッ……!」

「そして《テライグニス・アクアエル》の効果発動です。《アクアエル》はクリーチャーを1体選び、それ以外のクリーチャーを全てタップする」

「全員タップ──だけど、どの道《ドンジャングル》が居るから攻撃は全てコイツに吸われる──」

「ふふっ、甘いと言ったはずですよ!」

 

 返る彼女のターン。

 まだ、どうにかできると言うのだろうか。

 いや、恐らくその算段は付いているのだろう。

 さもなきゃ、こんなに自信たっぷりではないはずだ。

 

「私のターン……呪文、マナから《生命と大地と轟破の決断(パーフェクトネイチャー)》を唱えるわ!」

「んげっ、その呪文って……!」

「マナから2体クリーチャーを出すインチキカードであります!?」

 

 あのいけ好かない双子天使が使ってたカードだ。

 この時代にも存在していたのかよ……!?

 

「完全なるパーフェクト呪文は、神のみが持つ権能と同義です。その効果でマナゾーンから《ゴリオ・ブゴリ》と《天渚の鎖 イキリワニ》をバトルゾーンへ!」

「マナからの2体踏み倒し……!」

「しかも結局、また《ゴリオ・ブゴリ》が場に出てるでありますよ!」

「そして、《テライグニス・アクアエル》で《ドンジャングル》に攻撃する時、アバレチェーン発動!」

 

 二重の鎖が《テライグニス》の周囲を舞う。

 あいつの素のパワーは──7000。とてもじゃないがこのままでは《ドンジャングル》を討ち取れない。

 しかし、場には既に《ゴリオ・ブゴリ》が居る。これでパワーが2倍になり、相討ち──

 

「アバレチェーン三連発ッ!! 《イキリワニ》の鎖で《テライグニス》のパワーを+4000! そして《ゴリオ・ブゴリ》の鎖でパワーを2倍に!」

「突破、されたぁ!?」

「そして《テライグニス》の鎖よ! 他のクリーチャー……《ゴリオ・ブゴリ》のパワーを+7000します! ……お覚悟は、出来ましたか?」

「ッ……!」

 

 世界獣龍の攻撃により、《ドンジャングル》が破壊される。

 またしても、俺の切札が破壊されてしまった。

 

「更に、《ゴリオ・ブゴリ》で攻撃する時──アバレチェーン発動! 《イキリワニ》でパワーを+4000してパワーを2倍に! 更に《テライグニス・アクアエル》のアバレチェーン発動!」

 

 その時だった。

 《アクアエル》の身体が再び起き上がり、更にパワーが膨張していく──

 

「アンタップ、したぁ!?」

「《ゴリオ・ブゴリ》で《ジョルネード》を攻撃して、破壊しますッ!!」

「っ……マジかよ……!」

「更に、《テライグニス・アクアエル》で《ガンマスター》も攻撃して破壊ですッ!」

 

 世界獣龍の拳が《ガンマスター》を砕く。

 折角苦労して場に出した主力の3体は──見事に破壊されてしまった。

 俺の場に残っているのは、《ジェイ-SHOCKER》だけ。

 

(しかも、結局相手の場には《メメント》が残っている。あれが地味に厳しい……《イキリワニ》がブロッカーになったままだ!)

 

(仮にアレを突破したところで……我々が無事にトドメまで持っていけるかは未知数でありますよマスター……!)

 

(いや、恐らく通らない)

 

 あいつは最初に、《マチョシビロ》の効果で《光牙忍ソニックマル》を手札に加えていた。

 だからこそ、盤面を空にしてから過剰打点でトドメを刺すつもりだったのだ。

 しかし──それがどうだ。こちらの場は1体だけ。

 仮に1体、スピードアタッカーを引けたとしても、《ソニックマル》の効果でクリーチャーがアンタップするので、あいつ自身を含めてブロッカーは3体現れることになる。

 

(弾は使いきっちまった……! どうする……!? 手札にも、マナにも、あの盤面を一掃できるカードは無い……!)

 

 《メメント》があるということは、シノビ1体でこちらの攻撃クリーチャーが2体も止められるということも有り得る。

 しかも、《テライグニス・アクアエル》と《ゴリオ・ブゴリ》が揃っているということは、さっきのアバレチェーンを見るにあの2体だけで3回もの攻撃を生み出せる。

 早い話、《ドンジャングル》さえ出せば止まるんだろうが、その《ドンジャングル》は今しがた破壊されてしまった。2枚目? そんなものは手札にもマナにもない。

 

「正直、貴方の力は私の想像以上でした。盤面を空にされた所為で、私も《テライグニス・アクアエル》の効果を最大限に発揮することが出来なかったので」

「ッ……そうだな。アバレチェーンは単体で強い効果ってわけじゃない。場に並べば並ぶほど強くなる効果ってわけか……俺は好きだぜ、そういうカード達!」

「貴方のジョーカーズも、私の暴拳王国に似通ったものを感じます。仲間と仲間が手を繋ぐことで強くなる……それがジョーカーズなのね」

「ああ。最高だぜ。こんなデュエルは久しぶりだ!」

「しかし──その楽しいデュエルも此処まで。後顧の憂いは此処で断つわ! 《メメント》のDスイッチで、《ジェイ-SHOCKER》をタップする!」

 

(仮に《オラマッハ》のマスター・マッハファイターで壁を退かせても、トドメまでは持っていけない! 《ジョラゴン》は手札に無い……! 《モモキング》じゃあ、相手に攻撃が届かない……!)

 

 そもそも、ブロッカー合計3体を突破出来る確証は何処にも無いのだ。

 ……手札も、マナも、弾はもう無い。

 

「万策尽きた──普通の奴なら、そう思うかもな」

 

 ──でも、それは諦める理由にならない!

 

「ッ……成程。貴方はそうやって、今まで戦い抜いてきたのですね」

「ああ。俺はどうやってでも、負けられない理由があるんでな!」

 

 それならば最後は、山札の上に頼るしかない!

 

「俺のターンッ! 7マナをタップ──《キング・ザ・スロットン7》を召喚だ!」

「ッ……最後の最後で神頼み、ですか」

「いいや、あんたの言葉を借りるなら……縁頼みだ」

「何……?」

「このデッキは……ジョーカーズは、俺が今まで出会って来た切札達の集合体みたいなもんだ。あんたも強いよ──その俺の切札を悉く打ち倒して来たんだからな」

「……ふふっ。そうね。そうやって褒められるのは……少しむず痒いです」

「だけど! 俺の弾丸はまだ尽きてない! 俺の切札は……この中に眠っている、はず!」

 

 俺のシールドは残り2枚。

 下手をすれば、その中に眠っている可能性すらある。

 だけど。ここを外すか、外さないかで勝負は決まる──

 

「《スロットン》の場に出た時の効果──山札の上から3枚を表向きにして、それが全てジョーカーズなら1体選んで場に出す!」

「ッ……ごくり。見ている私も、緊張してくるわ……! 負けちゃうかもしれないのに、貴方に……切札を捲ってほしいと願っている私も居る。これは──高揚感というものなのですね!」

「マスター……!」

「いくぜ……1枚目!」

 

 ──捲れたのは──《エモG》。

 

「そして──2枚目!」

 

 ──捲れたのは──《グレープ・ダール》。

 

 

 

「──そして、3枚目ッ!!」

 

 

 

 ──捲れ……たッ!!

 

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 ──初めてこのカードを使ったのは、火廣金との二度目のデュエルの時だった。

 俺の運命は俺が決める。

 他の誰に言われる筋合いは無い。

 他の誰かが決めたレールに従うつもりはない──それは、今でも変わらない。

 

 それにつけ足すなら、その運命は俺にも分からないということ。

 

 分からないから、良いんだ。

 

 決められた未来の絶望を……俺が、撃ち抜くッ!! このカードでッ!!

 

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「撃ち抜け、俺の切札(ザ・ジョーカーズ・ワイルド)――《ジョリー・ザ・ジョニー》!!」

 

 

 

 赤、緑、青──再び、光は集約する。

 全てを兼ね揃えた、無色にッ!!

 

「《ジョニー》! 《ジョリー・ザ・ジョニー》! 久しいでありますな!」

「ッ……そこで、そのカードを……!? 確かに貴方とは縁深いカードだけど……」

「役に立つかもって思って入れてたんだよ。こいつは……場とマナにジョーカーズが5枚以上ある時、攻撃の終わりに相手のクリーチャーとシールドが無ければEXウィン出来る──」

「──でも。私の場にはクリーチャーが3体。更に手札には《ソニックマル》も──」

「──それだけじゃねえんだよ。こいつは今のジョーカーズでも珍しい、()()()()()()()()()()()()()()()()()なんだ!」

「なっ……!」

 

 あの時の俺はずっと、コイツの効果を破壊、EXウィン程度にしか考えてなかった。

 それに色は無色だから、ジョーカーズから色が増えればおのずと抜けていく。

 しかし。故に誰もが見落とす。こいつの本領は──何時いかなるどのような状態でも、確実に標的を仕留める確実性にあると!

 

「……盲点、だったわ。ブロッカーを固めれば……守り切れるとばかり……ッ!」

「いや、俺が同じ立場でもきっと同じ事を考えただろうぜ」

 

 俺は《ジョリー・ザ・ジョニー》に手を掛ける。

 銀の馬に駆ける白きガンマンは、大猿を、そして世界獣龍の頭を飛び越し、跳ね、そして銃を構えた。

 この一発に、俺の全てを賭けるッ!!

 

 

 

 

「──《ジョリー・ザ・ジョニー》でダイレクトアタック──ッ!!」

 

 

 

 銃弾が──神を貫く。

 こうして、世界(ザ・ワールド)のカードを賭けた戦いは──幕を閉じたのだった。

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