学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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GR121話:廻神類─夢幻泡影

「《大樹王ギガンディダノス》……!! 大地をも支配する巨龍よ!! 我が身体となり、あの不躾な人間を踏み潰すのだ!!」

 

 

 

 

 先よりもはっきりとシヴァの声が聞こえてくる。

 巨神の身体は、完全に《ギガンディダノス》の姿へと化していた。

 そして、その頭部からは──筋骨隆々とした無数の腕を持つ三つ目の魔神が生えている。

 黒鳥はそれを睨みつける。

 あれがシヴァ神の本体。

 今までの巨神としての姿は、あれを守るためのもの。

 それがいま、ギガンディダノスの召喚のリソースとして変換されたのだろう。

 

(もしこのデュエルに負ければ、シヴァ神の本体に加えて、完全に目覚めたあのキングマスターが地上を蹂躙し尽くす……!! それだけは避けねば!!)

 

「《ギガンディダノス》の効果……!! 相手の手札を全てマナゾーンへ送るッ!!」

 

 魔神が吼える。

 次の瞬間、黒鳥の手札は全てマナゾーンへと叩き落とされていく。

 実質的な全ハンデスを前に黒鳥は狼狽えた。

 だが、それでもまだ盤面にはクリーチャーが残っている──しかし。

 

「そして、神の威光を前にした貴様のクリーチャーは全て、攻撃出来ない!!」

「なッ……!?」

「《ギガンディダノス》の力場を逃れることが出来るのは、《ギガンディダノス》よりも力の強いクリーチャーのみ……ッ!! しかし、《ギガンディダノス》のパワーは5万ッ!!」

「5万!? 5万……だと!?」

「そうだ!! これより小さきクリーチャーは、全て我の前に平伏すのみ……ッ!! そんなクリーチャーは存在しないがなァ!!」

 

 魔神が吼えた。

 彼の云う通り、パワー5万を超えるクリーチャーなどそうそう存在しはしない。

 

「そして、我にはまだマナが残っている──1マナを使って《ギガンディダノス》でフシギバース!!」

「何!? 今出したキングマスターを!?」

「来い、《ガンヴィー龍樹》ッ!! 効果で山札の上から7枚を墓地に置き、その中にあるフシギバースを持つクリーチャーの数だけ相手のクリーチャーを破壊する!!」

 

 墓地に落とされたのは、《ギガンディダノス》、《ガンヴィー龍樹》、《巨大設計図》、《ブラキオ龍樹》、《ダクライ龍樹》、《ドマンモ龍樹》、《超七極Gio》。

 そして、その中にフシギバースを持つクリーチャーは──5体。

 従って、黒鳥の場のクリーチャーは全てまとめて一掃されることになる──

 

「くそっ……これではムゲンクライムも出来んではないか……!?」

「我が抜かるはずがなかろう、戯けが……ッ!! 我は、そのまま《ガンヴィー龍樹》でフシギバース!!」

「ま、まだあるのか!?」

「今度は《ブラキオ龍樹》を場に出すッ!!」

 

 フィールドに大樹が生え、そこから更に龍が産まれ出でる。

 

「ブラキオ……ブラッキオ……まさか!?」

「《ブラキオ龍樹》の効果……相手クリーチャーの”バトルゾーンに出た時”で始まる効果は全て無効化される!!」

「ッ……!!」

 

 完封された。

 そうとしか言いようがなかった。

 この1ターンで黒鳥の手札を、場を、そして次の手をも封じてしまった。

 登場時効果が無効化されては、場のクリーチャーをどかしたりリソースを増やすことすら出来ない。

 

「我はこれでターンを終了する……!!」

「ッ……何て恐ろしい……!!」

 

 フシギバースによって、次々に役割の違う大型クリーチャーが入れ替わっていく様に黒鳥は少なからず戦慄を覚えていた。

 墓地にはまだ《ギガンディダノス》が落ちている上に、マナのカードはフシギバースで着実に増えつつある。

 こちらが盤面を並べたり手札を増やそうものならば、いつでもまた出てくる準備が出来ているぞと脅されているようなものだ。

 かと言って、黒鳥のクリーチャーは登場時効果が使えない。

 本当ならばムゲンクライムを連鎖させながら展開できたはずが、それすらも出来ない状態となっている。

 強いて言うならばマナのカードは11枚。これだけは無駄にあるような状態だ。

 

(最もマナがあっても、たった1枚のカードだけでどうにかできるのか……このデッキは!? 並べた瞬間、また《ガンヴィー龍樹》の餌食……いや、幸い相手の山札の残り枚数を鑑みるに、2枚目も《ガンヴィー龍樹》は撃ち辛いはずだ。かと言って、並べらたところで勝つ算段があるかというと……!)

 

「──いや」

 

 ネガティブな思考ばかりが浮かぶのを、黒鳥は止めた。

 

(ここまで来たら、引くしかあるまい。老師のデッキを……ゲンムエンペラーを……そして、僕自身が今まで積み重ねてきたデュエルスキルを信ずるしかない……!!)

 

 敵はあまりにも強大。

 盤面は絶望的。

 しかし、それでも諦めてはいけない理由がある。

 あれだけ成長し、そして戦ってくれた後輩たちに、そして弟子に顔向けが出来ないからだ。

 

「デッキの一番上から……カードを引いてくるなど、不可能だ。神を前にして、人間が奇跡を起こせるとでも?」

「神だと? ハッ──」

 

 たかが、この程度のピンチで──音を上げている場合ではない。

 

「──僕は斃して来たんだ。貴様のように、自らを神だと勘違いしたような輩を、何匹もだ!!」

「貴様ッ!! 今、我を……神たる我を、獣と同列に数えたな!!」

「本能のままに人に仇名す輩を、ケダモノと並べて何が悪い!!」

 

 斃す。 

 斃さなければならぬ。

 この巨神だけは、此処で討ち取らなければならぬ。

 そうでなければ、師匠としての務めも何も果たせない。

 今、此処で立っていないかつての仲間の分まで。 

 そして──死に別れた相棒の分まで。

 

「これ以上僕達から……何一つ、奪わせて堪るかよ!! シールドを墓地に置いて、墓地の《暗黒鎧ザロスト》を場に出す!!」

「ッ……貴様、まともな死に方は出来ないものと思え!!」

「呪文、虚数転生(イマジナリー・リローデッド)!!」

「!?」

 

 次の瞬間、墓地から2体の《ザンボロン》、そして《ドゥゲンダ》が姿を現した。

 当然、《ブラキオ龍樹》の効果で、登場時能力を無効化される。

 しかし──

 

「これでムゲンクライムが使える……ラストワード、《夢幻の無(デイドリーム・ダークマター)》をムゲンクライム4で墓地から唱える!!」

「ッ……無限のコストを持つ呪文だと」

「その効果で、貴様は次のターンを消し飛ばしても良い。選択権は貴様にある。ただし、そうしなかった場合──貴様のクリーチャーと手札1枚をデッキへ戻し、僕は水か闇のクリーチャーをタダで場に出せる」

「我に選択を迫るのか!! 小さき人間如きが!!」

「さあどうする。ターンを渡すのか。渡さないのか!!」

「小さき人間の狙いなど分かっておるわ!! 大方、《ブラキオ龍樹》を如何なる手を以てしても退かしたいと見える!! だが、ターンを渡せば、貴様は再び能無しの駒を並べるだけになるのだ!!」

 

 事実。

 シヴァの判断は正しい。

 墓地の除去効果持ちクリーチャーは《ブラキオ龍樹》が居れば効果を無効化出来る。

 そのため、此処で《ブラキオ龍樹》を大人しく明け渡すメリットが彼には無いのである。

 

「では、次の貴様のターンを消し飛ばす。そして──《ザンボロン》2体はムゲンクライムでタップされたのでカードを2枚引く。僕はムゲンクライム1で《ターボ兆》を出し、ターンを終了だ」

 

 だが。

 シヴァ神は知らない。

 自らが相対した人間が、誰よりもクリーチャーの屍を築いてきた男・黒鳥レンであるということを。

 

「2マナで《ドゥゲンダ》を召喚──《ザンボロン》、《ドゥゲンダ》、僕に力を貸せ」

 

<夢幻暗無・無間喰夢・無限喰罪──>

 

「ムゲンクライム……4ッ!!」

 

 

 

 

<──夢現断罪>

 

 

 

 

「永遠など無くとも、終着点は僕が決める」

 

 突如──虚空が、黒鳥の背後に現れる。

 

 

 

 

 

 

 

「──それは夢にして現、無限の零へと辿り着け!! 《∞龍 ゲンムエンペラー》!!」

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