学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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GR122話:廻神類─無限の零

「コォ──ォォオ──ッ!!」

 

 

 

 虚空に現れる黒い翼。

 現世にその身を留めるために繋がれる枷となる2本のボルト。

 そして、表情の分からない龍の頭部。

 それ自体が虚空そのものと言える龍は、遂に顕現したのだった──

 

「《ゲンムエンペラー》、だとォ!?」

「……《ゲンムエンペラー》の効果により、全てのコスト5以下のクリーチャーの効果は失われる。それは”攻撃出来ない”といった効果も消え、《ザンボロン》達が攻撃態勢となったことを意味する!!」

「ぐぅっ……!?」

「そして僕に残ったマナは6枚!! 2マナで《無限皇帝の顕現(ロジュニア・アドベント)》を発動し、墓地から《堕魔ザンバリー》を蘇生。そして、ムゲンクライム4発動!!」

 

 タップされるのは《ゲンムエンペラー》、《ザンバリー》、《ターボ兆》、《ザロスト》。

 そして墓地から──再び極大に迫るラストワードが唱えられようとしていた。

 

「《夢幻の無(デイドリーム・ダークマター)》!! 効果でターンを飛ばすか、貴様の手札とクリーチャーを吹きとばして墓地から僕のクリーチャーを呼び出すか、択べ!!」

「ッ……!!」

「もう貴様に選択の余地はない。《ゲンムエンペラー》はワールドブレイカー。一撃で貴様のシールドを叩き壊す!!」

「ぐぅっ……致し方なし……!! もうターンは渡さん!!」

「ならば消えて貰おうか、《ブラキオ龍樹》に!!」

 

 吹き飛ぶ《ブラキオ龍樹》。

 そして黒鳥の墓地からは、《ツェン・ミリアルデン》が蘇生される。

 

「僕はこれでターンエンドだ」

「おのれ、ナメおってからに……!! 我のターン!!」

 

 残り少ない山札を見やり、シヴァは黒鳥の軍勢を止めるべく動き出す。

 

「マナゾーンのクリーチャーの数だけコストを少なくし、《ロボネコ・フシャーン》を召喚!! 残るマナを使い、フシギバースで《ギガンディダノス》を呼び出す!」

「バオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!」

「超えられるものならば超えてみろ人間!!」

 

 片や、大質量を持つ樹海龍。

 片や、無限の概念の夢幻龍。

 その両者がついに睨み合う。

 互いに世界を壊す程の力を持つだけあり、その大きさは伯仲していた。

 しかし。

 互いにリソースをぶつけ合う消耗戦が続いた結果。

 勝負は一瞬で傾くことになる。

 

「幾ら相手が巨大であったとしても!! 仲間と、信ずる人から託されたものに僕らは負けはしない!!」

「コォォォ──ォオオオオン!!」

「信ずる力だと!? そんなものは我々、神の養分でしかないわ!!」

「神を名乗る不届き者には分かるまいよ。一生な!!」

 

 再びムゲンクライムを起動させるレン。

 幾ら単体で強大な力を持つジャイアント・ドラゴンと言えど。

 手札、場、墓地、全てをリソースとするチーム零の前では押し潰されるのみ。

 

「ムゲンクライム4、《夢幻の無(デイドリーム・ダークマター)》!! ターンを渡すか!! 渡さないのか!!」

「最早退かん!! 退かんぞ我は!! 此処はもう、通さん!!」

「ならば──こちらも全力で行く!! 《∞龍 ゲンムエンペラー》で攻撃!!」

「《ギガンディダノス》の壁を通り抜けると言うのか!?」

「《ゲンムエンペラー》は止まらん!!」

 

 夢幻の龍は飛び立ち、そして樹海龍をも超えていく。

 

 

 

 

「そのパワーは……無限大!! パワー∞だ!!」

「ッ……!!」

 

 

 

 

 ワールド・ブレイクが炸裂した。

 シヴァを守るシールドは消え去っていく。

 そして。再びレンのターンとなった──

 

「この我の敷いた布陣を突破するとは……!! 何故だ!!」

「個の力が勝利に導いたのではない。デッキ全ての力で──そして、此処まで僕を送り届けてくれた全ての人の想いを以て、貴様に勝利したのだ」

「認めん、認めんぞ!! この我の破壊の力こそが至高──ッ!! 貴様も、その龍も破壊し尽くしてくれる──!!」

 

 黒い翼が、再び飛び立つ。

 そして──樹海龍の身体を、そして廻神類の身体の下に巨大な虚空の穴を作り出していく──

 

 

 

 

「うぐっ……何だこれは……引きずり込まれていく──!! ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

「──《∞龍ゲンムエンペラー》でダイレクトアタック」

 

 

 

 

<夢幻泡影>

 

 

 

「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおお、人間ンンンンンンンンンンッッ──」

 

 

 

 

 画して。

 巨神と巨龍は、底知れぬ大穴へと引きずり込まれ、消えていった。

 インドを蹂躙しようとしていた破壊の神は、たったの一夜にしてその姿を消してしまったのである。

 

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 

 ──終わった、のだろうか。

 展開されていた空間が消え失せ、そこに巨神の身体は無かった。

 サッヴァークとシャークウガは地面に降り立ち、主たちを下ろす。

 

「っ……黒鳥サンは!? 黒鳥サンは何処デス!?」

「先輩、あれを!」

 

 紫月が指差した。

 空から、ゆっくりと人々が落ちてくる。

 ふわふわと重力に逆らいながら、そのまま地面へと寝かされていく。

 みると上空には黒い翼を広げたゲンムエンペラーがぐるぐると飛び回っていた。

 

「……囚われた人たちを……?」

「……無口だけど、優しいのですね。彼は──まるで、師匠みたいです」

 

 そう言っている間に、ゲンムエンペラーの身体は消えていく。役目を果たしたかのように。

 元よりあらゆるクリーチャーの理を超えた、宇宙からやってきたドラゴンだ。恐らく、また宇宙へと還るのだろう。

 一抹の幻と夢のように。

 

「……似た者同士。通じ合うというのは……その通りです。ね、師匠」

 

 

 

「──全くだ」

 

 

 

 紫月が呼びかけた方向に──黒鳥は立っていた。

 

「黒鳥サンっ!! よかったデス、無事で!!」

「無事じゃあない。全く……神相手にやり合うだなんて、何度もやるものじゃない。オマケにゲンムエンペラーは何処かへ消えていったし……」

『自分を繋ぎとめてるモンが消えたからな……あの巌流齋のジイさんと運命を共にしたんだろ』

『これもサダメ、というわけか』

 

 しみじみ、とシャークウガとサッヴァークが言った。

 

「これで、インドの神類種を討伐できた──後は世界(ザ・ワールド)のエリアフォースカードを待つのみ──」

 

 

 

 

「──その必要はありませんよ?」

 

 

 

 

 聞き覚えのある声が荒れ地と化した都市に響いた。

 3人は振り向く。

 そこには──アカリが立っていた。

 想定よりも早い帰還。

 そして、彼女が何故かムンバイに居る事に一同は驚きを覚える。

 

「無事だったデース、アカリ!?」

「待ってください。……白銀先輩の姿が見えませんが」

「……そうだ。白銀はどうした」

「……目的の物は全て手に入れましたが──」

 

 アカリは懐から1枚のカードを取り出す。

 刻まれた数字はⅩⅩⅠ番。間違いなく世界(ザ・ワールド)のカードだ。

 そして彼女は、明け透けに言い放ったのだった。

 

 

 

 

「──この時代のおじいちゃんは……死んじゃいましたね?」

 

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 

 ──同時刻。

 幽世の世界。

 世界(ザ・ワールド)のエリアフォースカードが祀られていた祭壇が無惨に焼き尽くされている。

 縁の神・ククリヒメの亡骸が、その前には転がっていた。

 

 

 

 

「マスター!! マスタァァァーッッッ!!」

 

 

 

 

 返事が無い。 

 慟哭するチョートッQが揺さぶっても──胸に銃創を開けられた耀は、もう目を覚まさなかった。

 

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 

 ──往々にして。

 最期の瞬間とは突然やってくるものである。

 しかし、全てを攫っていく悪意は突然現れるわけではない。

 最初から牙を研ぎ、その瞬間までじっくりと待つ。

 

 

 世界のカード。そして、それを支える天体のカード。

 

 

 

 これらが揃った時、遂に全てのエリアフォースカードが揃おうとしていた。

 

 

 

 しかし──それは決して大団円ではなく、この物語の終焉の始まりに過ぎなかったである。

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