学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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GR124話:晴天神類─復讐の神

 ※※※

 

 

 

「──死んじゃいましたね、って……そんな他人事みたいな……ウソデス!! アカルが殺して死ぬはずはありまセーン!!」

『気を付けい、探偵!! こやつ、人間ではないぞ!!』

 

 

 

 サッヴァークが叫ぶ。

 ──耀を始末して現れた彼女の手には、確かに世界(ザ・ワールド)のエリアフォースカードが握られている。

 しかし、ブラン達は一度経験している。

 その人物どころか、エリアフォースカードすらも模倣した敵を。

 

「アナタは……本当にアカリさんですか? 正直、白銀先輩が死んだ、などといきなり言われても信用しかねますが──」

 

 

 

 

「これでどうかな?」

 

 

 

 

 次の瞬間。

 目の前にカードがばら撒かれる。

 アカリは嘲笑しながら、それを足蹴にしてみせた。

 《ドンジャングルS7》。《キング・ザ・スロットン7》。《ジョットガン・ジョラゴン》。

 それだけならば、量産されているカードだ、と一蹴できただろう。

 しかし。

 

 《勝熱英雄モモキング》。

 

 《バーンメア・ザ・シルバー》。

 

 《Theジョギラゴン・アバレガン》。

 

 

 

 

 それらは──これまでの戦いで耀が手に入れてきた、2019年3月の時点では存在しないカードたち。

 

 

 

 

『おい……ウソ、だろ?』

 

 

 

 

 脱力したようにシャークウガが言った。

 それら全てが本物のカードであることを──彼自身の魔力を見る眼が証明してしまったのである。

 

「何で、そんな、アカルのカードが……!!」

「……信じられんが……!!」

 

 黒鳥の眼が殺意と共にアカリへと向いた。

 

「やはり貴様……白銀を始末した、ということか……!!」

「ッ……そんな。アカル……!」

 

 がくり、とブランは膝を突く。

 

「……何で、何でデスか、アカリ……私達、仲間だったじゃないでデスか……!!」

「ウッザ……皆、そういうのよね」

「ッ……貴女は……腐ってますね」

「何とでも。アカリは……神サマだから」

 

 アカリの身体が黒い靄に包まれていく。

 その身体が次々に変貌していく。

 浮かび上がるのは、世界(ザ・ワールド)太陽(サン)(ザ・ムーン)(スター)

 

 

 

 そして──皇帝(エンペラー)

 

 

 

「アカリは1000年前からずっとこう。アカリの名前は……天火明命(アメノホアカリ)、《灯神類アメノホアカリ》だッ!!」

 

 

 

 日輪を背負った巫女のような姿となった彼女の前に進み出たのは──紫月だった。

 

「……貴女が私達を裏切ったということは理解しました。しかし、先輩が死んだ──それだけは信じかねます」

「ふふっ、現実から逃れる。それもまた愚かしい人間らしくて良いと思うよ、暗野紫月。大好きな人が死んじゃったら、悲しくて絶望しちゃうしかないもんねえ!!」

「……絶望なんてしません。白銀先輩は──殺して死ぬような人ではありません」

「ッ──!」

 

 ブランが目の前を向く。

 その先には、紫月が手を差し伸べていた。

 

「さっき、他でも無いブラン先輩が……そう言ったじゃないですか……」

「っ……!」

 

 涙目で、彼女はその手を取る。

 自分達が信じず、一体誰が彼の無事を信じるのだ、と。

 

『テメェは……ぜってーに許せねえよ!!』

『報復を受けて貰おう。我が主を泣かせ、その部長に手を出した事を!!』

「──報復なんて受けないよ」

 

 ぐっ、と彼女が拳を握り締める。

 次の瞬間、3人の身体は──熱風で吹き飛ばされた。

 その身体は次々に瓦礫で満ちた地面へと叩き落とされていく。

 

「ぐぅっ……!!」

「シヴァを倒せたからって、アカリまで倒せるだなんて思ってる? バカだなァ……それは流石にナメ過ぎだよ。この3割の力でも、あのシヴァじゃああたしに及ばない」

 

 起き上がる3人に、アカリは言った。

 

「アカリは、今まで君達が相手してきたような弱体化した神やひよっこの神とは違う。アマツミカボシだって1000年前に一回倒してるんだから」

「なぁッ!?」

「アカリが……アマツミカボシを、倒した……!?」

「貴様、何者だ……ッ!! 正体を言え!!」

「神を殺す神。アカリはそのために、人間に作られた。アマテラス神に似たようなのが欲しかったみたい」

「人間に、作られた……!?」

 

 黒鳥は愕然とする。

 そんな事が可能なのか、と。

 しかし、以前伊勢神宮の彼らは言っていた。

 神力におけるタブーというものが存在する、と。

 

 

 

 ──その記述は、本来人が読む事は出来ないのです。魔導司が読む魔術書のように、読むだけで心が侵されます。

 

 

 

 ──はい。伊勢神宮が天照大神様……太陽の女神を祀っている事はご存知でしょう。

 

 

 

 ──それを……遥か昔の神に携わる者は、”降ろそうとした”という記述があるのです。

 

 

 

 

「神を降ろそうとした、というのは……アマテラス神に似て非なるコイツを作り上げた、ということなのか……ッ!!」

 

 この推測は恐らく正しい。

 このような形でしか伝わってなかった理由として、アカリが当事者を皆殺しにしてしまったからだと考えられる。

 当然、他の神類種の資料も、当時の彼女が都を襲った際に全て焼けてしまったのだろう。

 

「だけど……人間たちはアカリを恐れて、アカリを遠い島に流した!!」

 

 その目には1000年もの間溜め込んだ怒りが沈んでいる。

 

 

 

「何で!? アカリ頑張ったよ!! 頑張って頑張って頑張って、ガマンしたのに……ッ!! アカリの事を誰も褒めてくれなかった……ッ!!」

 

 

 

 子供のように喚き散らすアカリ。

 しかし、その表情はすぐに残虐な笑みへと変わる。

 

「──だから、先ずは船を沈めてやった!! アカリを作った奴らを皆殺しにしてやった!! 都で暴れて、全部焼き尽くしてやった!!」

「1000年前。アマツミカボシを倒したのが、コイツだというのか……!? それが神道におけるタブーで、それが現代まで伝わってないのは、こいつが皆殺しにしたから……!?」

 

 この推測が正しいものであることを黒鳥は確信する。

 それだけの力を、目の前のアメノホアカリは持っている。

 

「そんな時、どっから現れたのか知らない西洋の魔術師が……アカリをバラバラにして封じ込めたッ!! それが……あの忌しいエリアフォースカード!!」

 

 

 

 

 彼女の顔には、憎悪が浮かんでいる。

 自らの邪魔をして、水を差したあの22枚のカード。

 そして、自分の命を犠牲にしてそれをやり遂げた、西洋の魔術師。

 両方に対する1000年間の怨みだ。

 

 

 

「アカリの力の殆どは……エリアフォースカード22枚の中に分割して封印された……1000年もの間ね!!」

「……自業自得でしょう」

 

 

 

 バッサリ、と紫月は切って捨てる。

 

「貴女がどんな目に遇って来たのか。それは私には分かりません。ですが──それがいまの人々、ましてや……私の親しい人達を傷つけて良い理由にはなりません」

「そうデス……ッ!! アカルが貴女に何をしたのデスか!! アカルは……アカリのこと心配してて、大切に思ってたんデスよ!? 未来から来てくれた、唯一の仲間だったアカリを!!」

「……ハッ。自分で作ったものを自分で捨てるような人間は……やっぱり全部等しく愚かだ。よりによって、神に楯突くなんて。……滅ぶしか無いねッ!!」

「自分のワガママを暴力でしか通せない貴女は……赤ん坊以下ですよ」

「──ッ!! もう良いッ!! 決めたッ!! この場でお前達のエリアフォースカードも奪ってやるッ!!」

 

 ぐっ、とアカリが腕を交差させたその時。

 ブランの、そして紫月の持っていたエリアフォースカードがアカリの手に吸い込まれていく。

 魔術師(マジシャン)が。そして、正義(ジャスティス)が。

 彼女の手元へと渡っていく──

 

『ぬぐぅっ……!? おのれ、こやつエリアフォースカードを直接……ッ!!』

『なんつー力だ……ッ!!』

「これで、また2枚!!」

 

 肩に黄金の装飾が現れる。

 また、彼女が力を取り戻したことを意味していた。

 

「──さーて。後は守護獣と、使い手を始末するだけ、か」

『カードが……!!』

『無いとデュエルに持ち込めねえ……ッ!! こいつ最初からこうするつもりで!!』

「──誰から殺してほしい? アカリは……まとめて、が好きかなあ!!」

 

 空へと飛びあがった彼女の、黄金の日輪が輝く。

 無数の火縄銃が、一斉に放たれた──

 

 

 

 

 

「制止ッ!! ……これ以上の狼藉は許さんッ!!」

 

 

 

 

 ──その時。

 それらは全て、撃ち返された。

 アカリは驚愕の表情を浮かべる。

 目の前に現れたのは──同様にして巫女服を身に纏った──青い肌の少女。

 その背中にも日輪が背負われている。

 

「ッ……アマテラス……!!」

「助けにきてくれたのですか……!?」

 

 

 

「……無論ッ!! 恩は返すためにある!! 何より……我が友たちに手を出すことは《晴天神類アマテラス》の名に懸けて、断じて許さんッ!!」

 

 

 

 振り返った彼女は笑みを浮かべて腕を組んだ。

 文字通り、最大の助っ人としてすんでのところで現れたのである。

 しかも、力の座で出会った時よりも体が大きくなっている。

 

「アマテラァス……ッ!! 何故、何故あなたが生きているッ!! アカリの、アカリの存在意義はァ……ッ!!」

「納得ッ!! かつてアマツミカボシを追放したのは汝であったか。……かつての我が無力さが、回り回ってこのような暴れ神を生み出した。汚点ッ!! 岩戸があったら入りたいッ!!」

「汚点、だとぉ……!? ッ……アカリの邪魔をするなら、此処で消えて貰うよッ!!」

「我が友たちよッ!!」

 

 キン、とアマテラスの声が響き渡る。

 

「此処は我に任せよッ!! 其方たちは逃げるが良いッ!!」

「私達も一緒に戦うデスよ!!」

「拒否ッ!! やつの取り込んでいるえりあふぉーすかーど? 無しで勝てる相手ではないッ!! 余波に巻き込まれて死にたくなければ下がるが良い!!」

「……ブラン先輩。此処は退きましょう」

「いったん立て直さなければなるまい。アマツミカボシも相手せねばならない上に、白銀の安否も気になるからな……!」

「っ……!」

 

 黒鳥と、紫月の表情を見れば分かる。

 皆、耀が心配なのだ、と。

 

「……分かったデス」

 

 空を見上げる。

 裂け目は──大きくなるばかりだ。

 そして、その下では太陽の女神、そして熱の女神がぶつかり合っている。

 

 

 

 

「──《晴天神類アマテラス》、参るッ!!」

「……《灯神類アメノホアカリ》。邪魔者を潰すッ!!」

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