学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】 作:タク@DMP
「《聖魔連結王 ドルファディロム》……ッ!!」
突如として現れた強大にして歪なる王。
頭も、腕も、そして胴体さえも。
《ドルバロム》と《アルファディオス》の身体がまぜっこぜになって繋ぎ合わされている。
改めて見てみると、合体元に同情を禁じ得ないほどの醜悪な姿だ。
しかもこれ、繋ぎ目がジッパーじゃねえか……!? どうなってんだよ……!?
いや、見た目だけの問題じゃない。
──コイツは、エリアフォースカードを取り込んでいる。しかも、ブランが持っていたカードを、だ!!
「奪われたのか……!? 他のカードも、アカリに!?」
「オォオ……オオオオオオオオオオオオオオーッッッ!!」
ッ……思考している間もない。
王の降臨と共に《ボルシャック・ドギラゴン》はその身体を一瞬で消し飛ばされてしまう。
場に出ただけで相手のクリーチャーを吹きとばした上に、折角割ったシールドがまた増えた……!
胸がざわついてくる。
目の前の巨大なバケモノと、仲間の安否に──心が挫けそうになる。
「ディスペクターの王……《ドルファディロム》。コイツの前では、単色クリーチャーはザーコザーコ♡のクソザコなんだよー♡」
『要するに、出た時に多色以外を全て破壊するってことでありますな!?』
「ッ……くそっ!! 悪趣味なモン作りやがって!!」
ディスペクターの王……か。
確かにそれならば、この恐ろしい能力も納得かもしれない。
持ち合わせる文明は火、光、そして闇の3色。……3色?
「……火は何処から来たんだ!?」
『我に聞かれても知らないでありますよ!!』
此処までの破壊効果は《ドルバロム》を思わせるものだ。
つまり──《アルファディオス》の持つロック効果も併せ持っている可能性がある……!?
って、考えてる場合じゃない!
「オオオオオオオオオオオオオオンンンッッ!!」
「げぇっ!! 殴って来たァ!?」
『こいつスピードアタッカーでありますよ!』
「そのためだけの火文明かよーッ!?」
場には《ザーディクリカ》と《デドダム》も居る。
つまり、あいつがT・ブレイカーならば既にジャスキル打点が作られてしまっている──ッ!
「っ!?」
砕け散る3枚のシールド。
破片が飛び散る中──早速S・トリガーが来た!
「呪文、《スーパー・スパーク》!! 効果で残りのクリーチャーを全てタップする──うぅ!?」
と、唱えられない。
S・トリガーが、発動しない……!?
『マスター!! ヤツの前では多色以外の呪文も通用しないでありますよーッ!!』
「だからそういう事はもっと早くに言えーッッッ!!」
「《ザァーディ──クリカ》ァァァーッ!!」
迫る水晶龍と天使の合成獣。
放たれる無数の火球が俺の残るシールドを焼き尽くす──
「いや、まだだッ!! G・ストライク、発動!!」
<《ボルシャック・モモキング》>
盾から飛んできた新しいモモキングのカードに助けられた……!
「ッ……!! ヌゥ、アァァ……!!」
そして、これでこのターンの攻撃は防いだ……!
手札は潤沢にあるし、2枚目の《RX》もある……!
『く、首の皮ひとつ繋がったであります……!』
「……」
『どうしたであります? マスター?』
……だけど気になる事がある。
何で相手はこの段階で殴ってきた?
2体のクリーチャーを無理矢理くっつけた融合獣相手なら思考がメチャクチャである可能性はある。
だけど、ここまで的確なプレイングを見せつけておいて、何も無しに殴ってくるなんてことあるか?
ジャスキルなんて、1回防げばそれで終わってしまうのに──
「安心するのは早いんじゃなーい? ねぇねぇー」
「俺は別に安心してねーよ!!」
「《ドルファディロム》の全体破壊は、EXライフシールドが離れた時にも発動するんだよねぇー! まさに多色以外はクソザコってわーけ」
「……全体破壊が……もう1回!? シールド割ったら!?」
そ、それはマズいぞ!!
実質、単色限定の《アポカリプス・デイ》がシールドに埋まっている状態ってことだ。
しかもシールドを焼こうが煮ようが、離れた時点で発動……しかも《ドルファディロム》を退かしても発動……。
無駄打ちさせようにも呪文は使えないし、そもそもこのデッキにあのバケモノを2回除去するようなリソースは残ってない。
そして《RX》から単色クリーチャーに進化しても、すぐにはがされる……!
「っ……《ボルシャック・モモキング》……!」
ふと、手札に来た先程のカードを見やる。
ボルシャックの力を受けついだモモキングのカード。
だけどG・ストライク以外は純バニラ。此処では決定打にならない……!
「クソッ……!! ……
──アカル! 観察と、ただ見るだけなのは違うのデス! 見るべきものを見ないから、本当に大切な事を見逃すのデスよ!
「見るべき、もの……!」
……そうだ、ブラン。
こんな時こそ、落ち着かなきゃダメ……だよな!
「……待てよ。スター進化……!?」
何なんだこのカード。
今までの進化クリーチャーとは違う。
そして、このデッキに入っている《RX》は、これと組み合わせるのが前提のカード……!?
「……賭けてみるか。《モモキングRX》、お前の力を見せてみろ!!」
5マナをタップし、再び切札を呼び出す。
こちらは単騎。
相手のシールドには、聖魔連結王のEXライフが罠のように仕掛けられている。
それを防ぐ手段はない。
防ぐ手段がないなら踏み越えていけばいいだけだ!
「出た時に手札を捨てて2枚引いて──その後、コイツから進化できるクリーチャーを重ねる!!」
「オァ……ァァア!?」
……来た。
「これが俺の
<《ボルシャック・NEX》>
「──《ボルシャック・モモキングNEX》!!」
一瞬浮き上がる、《ボルシャック・NEX》の姿をしたオーラ。
それが覆いかぶさるようにモモキングの身体へ纏わりついていく。
重なった闘気は、鎧となって具現化する──ッ!!
『ま、まさかまさかでありますよ! 耀殿が……モモキングが、ボルシャックの力をモノにするとは……!!』
「……こいつが、このカードの本領か……!」
『かつての過去の種族を受け継ぎ、自らの鎧として纏う種族……これが、レクスターズでありますな!』
「でも、火文明単色のクリーチャーなのにどうやって勝つつもり~? 《ドルファディロム》で死んじゃうじゃん」
「まあ見てろよ! 《モモキングNEX》の効果発動!! 場に出た時、山札の上から1枚を表向きにして、それが火のクリーチャーかレクスターズならば場に出す!」
捲れたカードは──《ボルシャック・大和・ドラゴン》だ。
スピードアタッカーだけど、単色クリーチャー……!
「ッ……ァ、ア、ボルシャァァァーックゥゥゥ!!」
「そして《NEX》で《ザーディクリカ》に攻撃する時、効果発動! 来たのは──《ボルシャック・クロス・NEX》……!」
「ッ……来ないじゃん!!」
「るっせェ!! 今度は《デドダム》に攻撃だ!!」
捲れるのは──《ボルシャック・ドラゴン》……!
これだけ並んでも、単色クリーチャーは《ドルファディロム》で消し飛ばされてしまう。
……だけど!!
「これで良い!! 《ボルシャック・モモキングNEX》で《ドルファディロム》に攻撃!! 捲れたのは──《ボルシャック・栄光・ルピア》!」
「だけど《NEX》のパワーは9000……このままじゃ、聖魔連結王は倒せないんじゃなーい? 《ドルファディロム》のパワーは13500もあるんだけどー!?」
「大丈夫だ!! 攻撃時、コイツは墓地の火のカードの数×2000、パワーが上がる! 墓地には3枚あるから、今のコイツのパワーは15000だ!!」
「だけど、破壊したらEXライフが剥がれて──」
「うるせぇ!!」
「ひぃん!?」
「大丈夫って言ったら、大丈夫なんだよ!! 俺を──信じろ!!」
「っ……!」
聖魔連結王の手が伸び、極太のビーム砲がモモキングを襲う。
しかし──巨大な爪が《ドルファディロム》の連結を断ち、切り裂いた!!
「ッ……ァ、アアア!! ボルシャックゥゥゥーッ!!」
「……《聖魔連結王》……討ち取ったり!!」
「ッ……アアアアアアアア!! ボルシャックゥゥゥーッッッ!!」
その時だった。
来る。全体破壊が。
強大な波動がフィールドに広がり──俺のクリーチャーを全て破壊し尽くしていく。
「っ……アアアアアア!! ボルシャァァァァーック!!」
「ああ、全滅……!!」
「すげぇ攻撃だぜ、ドルファディロム……!」
フィールドは焦土と化した。
……だけど、これで終わりじゃない。
まだ場には《モモキングRX》が立っている。
「ッ……ァア!?」
「言ったはずだ! 討ち取ったり、聖魔連結王──ってな!」
「ウソでしょ……!?」
少女は目を丸くする。
生き残っている《RX》を前にして信じられないといった様子だ。
だから言ったはずだ。絶対に大丈夫だってな。
「スター進化は、鎧をまとう進化!! 《ボルシャック・モモキングNEX》が破壊されても、下の《RX》は無事だ!」
『しかも、シンカパワーでアンタップしているのであります!』
「そして、頼みの綱の最後のシールドは焼け落ちた!」
除去耐性には除去耐性をぶつける!
これで後は、《RX》の攻撃が通れば──
「──《モモキングRX》で、ダイレクトアタック!!」
──俺の、勝ちだ!
《RX》の神速の剣技が聖魔連結王の身体をバラバラにしていく。
相反するものを繋ぎとめたディスペクターの王は、そのまま崩れ落ちていくのだった──