学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】 作:タク@DMP
※※※
──バラバラに切り飛ばされた聖魔連結王。
だけど。そこから埋め込まれた2枚のエリアフォースカードが出てくる様子もなければ、亡骸がただ目の前に転がっているだけだ。
そして、その亡骸は消えていき──その後には1枚のカードが俺の手元へ返ってくる。
「……《聖魔連結王ドルファディロム》……!」
何だ、これ。
俺が使ってもいいってことなのか……?
見れば見る程、アルファディオスとドルバロムの融合クリーチャーには違いない。
だけど……そのもととなったカードに戻る気配が全くない。
「強いカードには違いないし、有効活用するのも手……」
『アバレガンで散々懲りたでありましょう!?』
「うぐっ、それはそうなんだよな……」
とはいえ、こんな所に放置しておくことも出来ない。
一応、神力を通してコイツがまた動き出す様子がないか確かめて──よし。
どうやら本当にただのカードになったみたいだ。中に魔力が通っている様子がない。
「だけど一応持っていくか?」
『まだ言ってるでありますか! そんなカードを!』
「バカ言えこんなところに置いておくわけにはいかないだろ。このカード自体が奪われたエリアフォースカードへの手掛かりになるかもしれねーだろ?」
『まあ、確かに……エリアフォースカード自体が、アカリ殿の手の中でありますか……』
その様子を見ながら、少女は「ほんとに、斃しちゃった……」と呟くばかり。
「ッ……んで、教えてもらうぜ。お前が何者か──そして、今地上で何が起こってんのかを!!」
「……そ、それは……」
『マスター!! アレ!! アレを見るでありますよ!!』
チョートッQの声がけたたましく聞こえてくる。
見上げると──聖魔連結王がやってきた空の大穴が今にも閉じようとしていた。
「分かったよ……連れていってあげる」
にやり、と彼女は俺の手を繋ぐ。
そして──ふわっ、と浮いて飛び上がった。
「うおっ、空を飛んで──!?」
「キャハッ! あたしは……禁断の端末」
「……禁断!?」
思わず掴まれた手を離しそうになった。
禁断って、禁断って──あの禁断か!?
「滅ぼす星に住まう民の言語を学習し、そして意思の疎通を図るための通信端末」
「ま、待て、禁断って──」
「そう。
彼女の言葉が一瞬だけ、聞き取れなかった。
まるで違う星の言語のような──そんな感じだ。
「──
やっぱり……ロクでもねーんじゃねーか!! 畜生!!
なんてこった。更新だ。
1000年前に日本を襲って宇宙に放逐されたのは──ドキンダムXだったのか。
しかも俺達は、前の歴史でそのドキンダムXに敗けたってのか……!?
「あたしの事は……エッ子って呼んでね♡」
「うわ、それこそダセーネーミングじゃねえか……」
「ドキンちゃんでも良いよ?」
「エッ子ちゃんよろしくお願いします」
何か色々ダイナマイトでデンジャラスな呼び名だったのでやめた。
まだエッ子のがマシだ。
『これほど最悪な”敵の敵は味方”があったでありましょうか……マスター、アカリ殿で散々懲りたでありましょう?』
「わぁーってるよ……」
かと言って、今は他に縋るものが無いのも事実だ。
反故にしたらしたで、禁断と1人で事を構えることになりかねない。
そうしたら今度こそ終わりだ。
「……助けてやるよ、禁断。だけど、ぜってーに人間には……地球には手を出さないって約束出来るんだよな?」
「キャハッ! どっちが手綱を握ってるか分かってるの? 今ここであたしが手を離したら、おっ死ぬザコザコなのにぃ?」
「ぐぅっ……!」
やっぱコイツは信用出来ない。危なすぎる。
何処で手を切ってやろうか、と考えながらも幽世の穴を抜けていく。
そもそも禁断はエリアフォースカードが全部揃わなかった歴史では、俺たちではどうしようもなかった敵だということが分かってしまった。
守護獣ではない、これが宇宙からやって来たクリーチャーの脅威なのだろう。
(マジでコイツが敵対したら終わる……全部、終わる)
『どうか……お気をつけて。白銀耀』
「っ……大丈夫だ。行ってくる!」
ククリヒメの声に、ついそう答えてしまった。
……史上最悪の仲間と、史上最悪の局面を切り抜けねばならない。
これの一体どこが大丈夫なのだろう。
しかし──それでも、やるしかない。
外で戦っているであろう皆の安否も心配だし……エリアフォースカードだって取り返さなきゃ──
「ッ……!!」
──幽世の大穴は、直接外の世界から開けられていたからか、すぐに俺達は地上に出ることが出来た。
しかし。
それ故に俺は絶句することになる。
「なあ、此処は──本当に地球、だよな?」
思わず、そう問うてしまった。
──空を飛ぶ、無数のドラゴン。
その全てが歪に何かと繋ぎ合わされた異形だ。
そして、地面は焦土となっており、山は全て活火山となって常時吹き荒れている。
『魔力反応……400%オーバー……この大気中で、人間は……生きていけないでありますよ』
暑い。とてつもなく暑い。
きっと、本来ならばこのまま死んでいてもおかしくない熱気がこの場を包んでいる。
大地は、歪に繋ぎ合わされた超獣達が地面を蹴って進んでおり、そこに人間の姿も、街も、なんなら──俺の知る日本は無い。
そこに俺の知る街があったという痕跡すらない。
まるで書き換えられたかのように、最初から無かったかのように──
「……もう一回聞くぞ。此処は……地球、なんだよな……!?」
「間違いないよ。ご主人様でも出来ないことをやってのけちゃったんだよ、アメノホアカリは」
エッ子は──顔を顰めて言い放つ。
不快なモノを見て、軽蔑するかのように。
「……この星は、5つの文明に別たれた──
※※※
「……へぇーえ。生きてたんだ。おじいちゃんも、そしてアマツミカボシも」
アメノホアカリは──嗤う。
最早、それさえも些細なことである、と。
彼女の目の前には、石柱が聳え立っていた。
ゆっくりと、破滅の刻を刻み続ける時計。
それはさながら、墓標のようであった。
「
奏でるのは鎮魂歌ではない。
黙示録。まさに、終わりの始まり。
そして、この終わりの果てにあるものこそが──全ての始まり。
彼女の目指す先の新世界だ。
「……禁時混成王」
巨大な墓標の前で、死んだように項垂れていた灼髪の将軍は──従順そうに首を垂れる。
それは服従を示す行為に他ならなかった。
「……聖魔連結王」
呼ばれるなり、黒い法衣に身を包んだ金髪の少女が首を垂れた。
相反する者同士が繋ぎ合わされた歪な魔物が唸りを上げる。
「……零獄接続王」
小柄な少年は頷いた。
強欲と無欲が支配の鉄鋲で繋がれた存在が静かに佇んでいる。
「……勝災電融王」
巨大な剣を掲げた少女が頷き、傅いた。
文武の極致が我欲の電磁で引き合わされた存在が猛々しく吼える。
「──邪帝縫合王」
最後に首を垂れたのは──身の丈に合わないフードで、目元を隠した少女だった。
悪意の糸によって繋ぎ合わされた、神にも比類する多頭の怪物が咆哮を上げる。
「……ざーんねん、おじいちゃん。アカリを追いかけてきても無駄だよ」
ディスペクター。
それは──彼女の手によって作られた新世界の住民。
「もう、おじいちゃんの守りたかったものは、この星には無い」
王と呼ばれるそれら全てでさえ、彼女の従順なる使い捨ての駒でしかない。
アカリによって、その使い手に選ばれた者達でさえも──例外ではない。