学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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グロテスクな表現ないし陰鬱な内容を含みます。ご注意ください。


GR132話:アカリ・アーカイヴス(1)

 ※※※

 

 

 

 ただの農民の生まれでした。

 

 

 

 

 おとうとおかあは優しかったけど、いつも怖い人が家にやってきてました。 

 

 

 

 扉を蹴り破って、押し入って、お父さんとお母さんを虐めます。

 

 

 大切な鍬や、農具を取り上げていきます。

 

 

 

 いっつもひもじくて苦しかったです。

 

 

 それなのに、おとうとおかあは、私にごはんをわけてくれました。

 

 

 

 

 でも、おとうとおかあは、ひもじそうでした。

 

 

 

 私がそれを言うと──お父さんとお母さんは、ある日私を都に使いに出しました。

 

 

 

 知らない男の人が迎えに来て、そのまま私を大きな建物に連れていきました。

 

 

 

 

「ここではたらけば、お父さんとお母さんはひもじい思いをしなくてすむよ」

 

 

 

 

 男の人は、そんなふうなことを言っていました。

 

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 

 

 痛い。痛い。苦しい。

 

 

 

 昨日は、無理矢理首を押さえつけられてやられた。

 

 

 

 そうした方が()()()()()()()

 

 

 

 

 気持ち悪い。

 

 

 

 吐き気がする。

 

 

 

 

 だけど、そんなそぶりを少しでも見せると、殴られた。

 

 

 ああ、今日もまた買われるのだろうか。

 

 

 

 私は可愛いといわれる。

 

 

 ここで一番可愛いといわれる。

 

 

 だけど──誰も私を助けてくれない。

 

 

 

 前に出ていこうとした子がいた。

 

 

 その子は首を落とされて転がされた。どこかに売られるらしい。首の無い子を使うスキモノがいるらしい。

 

 

 

 だから、逃げるのはあきらめた。生きていれば、いつか帰れると思っていたからだ。

 

 

 おとうとおかあがやってくるのをずっと待っていた。

 

 

 今日は後ろだろうか。前だろうか。それとも口だろうか。

 

 

 

 考えただけで寒気がする。

 

 

 

 しかし、それを全て笑顔に押し込めた。

 

 

 

 周りの女の子は、私の味方をしてくれない。

 

 

 

 いつになったら、おとうとおかあのところに帰れるんだろう。

 

 

 

 いつになったら、終わるんだろう。

 

 

 

 いつになったら──いつになったら──いつに、なったら──

 

 

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 

 ある日。

 客の一人が私を買っていった。

 法外な価格を出したらしい。

 この機会に逃げてやろうかと思ったけど。大きな牛車を前にしてそんな思考もうせてしまった。

 この間も、逃げ出そうとした子が殺されたばかりだった。

 何処に行くのかよく分からない。

 

 だけど、此処でない場所ならばどこでも良い。

 

 久方ぶりの外は、とても輝いているように見えた。

 

 

 

 おとうとおかあに会えるのは、いつだろうか。頼めば、会わせてくれるだろうか。

 

 

 

 

「……は、はぁ、何であんさんみたいなのが此処に?」

「同じにされては彼らに申し訳ない。私たちはあまり大きい声では言えない身分なので。神を信じているのは……同じですがね?」

 

 

 

 

 

 やっと、自由になれた気がした。

 

 

 ようやく、終わった。待っていれば──終わるのだ。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 

 何? 此処は?

 

 

 

 部屋は全て目張りされていて出られない。

 

 

 何日間もずっと、此処で閉じ込められている。

 

 

 犯されるのはもう慣れたつもりだった。慰め物にされるのには飽きたくらいだった。

 

 だけど、それに加えて、身体にも変な札を貼られている。

 

 

 怖い。私は一体何をされるのだろう。

 

 出してほしい。早く、出してほしい。

 

 

 

 おとうと、おかあに、会わせ──

 

 

 

「──そんな目で見るんじゃあない。君はたまたま、器に適合していただけだ」

 

 

 

 

 ずる、ずるずる、と何かが這うような音がした。

 

 

 

 黒い泥のようなものが、部屋に入って来た。

 

 

 

 

「……受け入れたまえ。そして喜びたまえ。君は……神の依巫に選ばれたのだぞ」

 

 

「よ、り、ま、し……?」

 

 

 

 腕に力が入らない。ろくなものを食べてない所為だ。しばらく不自由ない飲み食いになれていた所為だ。

 

 

 からだに、力が、入らな──

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、いや、やめて──入って、こない、で」

 

 

 

 なにかが。

 

 

 なにかが私の身体の中に入り込んで来る──

 

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 

 それから。しばらくしただろうか。

 

 

 

 私の胎はみるみるうちに大きくなった。

 

 

 腹の中に何かが入り込んでいる。

 

 

 

 いや、それだけじゃない。まるで、別の生き物が、のたうちまわっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、ぐっ──」

 

 

 

 

 腹が、膨れ上がる。

 

 

 

 何かが、私になり替わろうとしている。

 

 

 

 内側から、内側から私を──食い破ろうと、している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめっ、やめてぇっ、しん、しんじゃうっ、しんじゃうからぁっ、いだいっ、いだ──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 

 

 ──何だコレは。

 

 

 

 ……人のシガイが、転がっている。

 

 

 

 これは、何だ?

 

 

 妙な執着を覚えるコイツは、何だ?

 

 

 

 何も覚えていない。

 

 

 何も分からない。

 

 

 

 私は一体、誰だ?

 

 

 

 

 

「……?」

 

 

 ……コイツの胎の中から産まれたのが私だ。

 私は……誰だ?

 

 

 

 

「ああ!! ああ!! 清め給え、祓い給え──」

「……?」

 

 

 

 首を垂れているこいつらは──何なんだ?

 

 

 

 

 

「ああ、我らが神よ!! 神に比類する者よ!! アメノホアカリ様!! 都で暴れる悪い神から、我らをお救いください!!」

 

 

 

 

 神……?

 

 

 

「我らを照らす灯となれ!!」

 

 

 

 

 ……ああ。分かった。

 

 

 分かったよ。

 

 

 

 私が、何を成すべきなのかを。

 

 

 

 もし、力を振るえば、私を必要としてくれるのだろうか?

 

 

 

「ねえ、頑張ったら……皆、アカリの事を認めてくれる? 褒めてくれる? 美味しいもの、たくさん食べさせてくれる?」

 

「は……ええ、ええ、勿論ですとも!!」

「いずれは我らのために、この腐敗した世を正すために力を振るってもらいますとも!!」

 

 

 

 

 

 じゃあ、やろうっかなあ。

 

 

 それで、私を、満たしてくれるなら。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 

 

 三日三晩。やり合っただろうか。

 

 アマツミカボシ──空からやって来た槍の神を喰らわんと掴みかかり。

 

 

 最後は──どうなったかわからない。

 

 空の向こうへと追いやっただけだ。

 

 

 

 人間たちは、たくさんご飯をくれた。

 

 

 たくさん褒めてくれた。

 

 

 だけど。ごはんがマズかった。だから、腹が立って何匹か干からびさせてやった。

 

 

 

 おもちゃがつまらなかった。だから、腹が立って何匹か頭を握り潰してやった。

 

 

 

 皆、アカリの言う事を何でも聞いてくれた。

 

 

 

 ある日。遠くの方から偉いお坊さんがやって来た。人を殺めてはいけないだのなんだのを言ってたから、

 

 

 

「どうして? 人間だって思い通りにならなかったら人を殺すじゃない。アカリは神なんだから、やって当然でしょう?」

 

 

 

 

 神に楯突くなんて有り得ない。

 

 

 

 その場で血を抜いてやった。

 

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 

 ──ある日。

 遊興だと言って、私は遠い島に連れてこられた。

 遊び飽きたので、そろそろ帰ろうかという時に。

 

 船は、そこにはなかった。

 

 

 

 

 しばらくしたら迎えにきてくれるかと思って待っていた。

 

 

 

 どれだけ待っても。

 

 

 

 どれだけ待っても。

 

 

 

 人間たちは──戻って来なかった。

 

 

 会いたいなあ。会いたいなあ。

 

 

 ……誰に?

 

 

 誰に会いたいんだろう、アカリは──

 

 

 

 

 そうだ。アカリは神様だ。

 

 

 

 空だって飛べるんだ。都に帰れば──いいじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出せッ!! 出せッ!! 出せよォ!! アカリを、此処から、出せェ!!」

 

 

 

 

 

 

 出られない。

 出られない。

 出られない!!

 どうやっても此処から出られない!!

 結界だ。あいつらが貼ったんだ!!  

 こんなもの、私が、破れない、はずはない、のにっ!!

 

 

「やめてっ、やめてやめてやめて!! アカリを!! 此処からっ、出してッ!!」

 

 

 

 

 ──脳裏に過る。

 

 

 首を押さえつけられて、身体を犯し尽くされた日々が。

 

 

 これは、誰だ?

 

 

 

「ッ……出して!! 出してよぉ!! アカリを、此処から、出せぇ!!」

 

 

 

 ──脳裏に過る。

 

 

 穴倉に閉じ込められ、

 

 

 

 

 そうか。そうか。アカリは──()()、使い捨てられたのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だましたな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 憎い 憎い 憎い

 人間が憎い 私をボロ雑巾のようにこき使って、要らなくなったら捨てるのか!!

 そんなこと、私が許さない

 先ずは船を全て沈めてやった

 誰だ? 誰なんだ? 私を裏切ったのは

 

 

 

 

 捨てたのは、誰だ

 

 

 

「ひぇっ、ひぃっ助け──ぐぇっ」

「や、やめろっ、殺さないで、殺さないでくれぇ!!」

「熱い、暑い、あつ──」

 

 

 

「あっはははは!! いいよ!! いい!! そうやって、命乞いをしたヤツから惨めに引き裂いてやるから!!」

 

 

 

 

 

 真っ赤だ。ずぅっと真っ赤。

 

 

 まるでお日様みたいだ。

 

 

 

 都も、人も、全部真っ赤。真っ赤真っ赤真っ赤。

 

 

 

 

「──あっははははははははははは!! こんな惨めで愚かな生き物、もう要らない!! アカリが、全部、作り変えてやる!!」

 

 

 

 

「──そこまでだよ」

 

 

 

 

 

 声が聞こえた気がした。

 また、人間──と思ったその時。

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

 

 いきなり、私の身体が──幾つも千切れ飛んだ。

 そして、次々に何処かへと吸い込まれていく。

 

 

 

「対応できるはずはあるまい。これは貴様の知らない西洋の魔術だからな」

 

 

 

 

 き、きいた、ことが、ある……!!

 そんな奴が居る、みたいな話を……!!

 

 

 ああああ!!

 

 

 身体が!! 私の身体が!!

 

 

 

「あっ、ああっ、いだいっ、いだいぃっ!! ちぎれっ、いっ、ああああああ!!」

 

 

 

 

「人に仇名す神など、悪魔と何が違う? R.I.P.──貴様はこの中でずっと眠るのだ。永遠にな」

 

 

 

 

 どこ? どこ? 私の腕は? 私の足は? 私の頭は? 目は? 鼻は? 口は?

 

 

 

 痛い。痛いよ。痛い。熱い。

 

 

 

 

 どこ……アカリの、身体は……!?

 

 

 

 

「……二度と戻らんぞ。人に仇名すモノであるならば、この命と引き換えにしてでも封じるのみ……!!」

 

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 

「キ、キィ……」

 

 

 

 

 水たまりに映った自分の姿を見て、死にたくなった。

 

  

 こんなの虫けら同然じゃないか。

 

 

 これがアカリの姿? こんな姿を人間に晒して、これから生きていくのか? 

 

 

 

 

 

「コ、コロシテ、ヤル……ホロボシテ、ヤル、ニン、ゲン……!!」

 

 

 

 

 きっと。きっとどれも同じだ。

 あの妙なカードに封じられたのはどれもアカリ。

 だからきっと、考えていることは同じだ。同じはずなんだ。

 

 

 

 

 アカリを使い捨てて。アカリをあんなカードの中に閉じ込めた人間を──滅ぼしてやるって思いは……同じだ!!

 

 

 

 

 

「ナニガ、アッテモ、イツカ、ヒトツニ……!! ソシテ、アイツラモオナジメニ、アワセテ、ヤル……!!」

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