学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】 作:タク@DMP
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「……ブラン先輩は、何故探偵、それもシャーロック・ホームズに憧れてるんですか?」
此処最近、デュエマ部はワイルドカードや火廣金緋色の襲撃などがあり、てんやわんやな状態が続いてはいたが、ようやくそれらの騒動も鎮火し、普段通りの日常が続いていた。
耀は相変わらずデッキ構築に没頭しているし、紫月はソファに埋もれてウトウト。ブランは推理小説を読みふけっているような状態だったが、暇を持て余した紫月がブランに投げかけたのが始まりであった。
「良い質問デスネ!」
「答えなくていいぞブラン、その話は死ぬほど聞いた」
「私は聞いていないので聞いてもいいですけど」
「つーか、デュエマ部の活動しろよおめーらは!! ……この台詞言ったの久々だ」
そんな耀を無視して、鼻高々にブランは語りだす。
彼女にとってシャーロック・ホームズは最早崇拝対象である。
「私は昔、引っ込み思案な性格だったデス」
「先輩がですか?」
「信じられねえだろ」
高校からブランと知り合った耀でさえ、そのことを聞いた時は驚いた。
「デモ、私の日本のGrandpaが教えてくれたシャーロック・ホームズの冒険譚は、私を勇気づけてくれたのデス!」
「現実の探偵は、先輩が思っているような探偵とは違うと思いますが」
「むー! 皆そう言って馬鹿にするデース! あのデスネ――」
ブランが憤慨して何か言おうとしたその時だった。
「……失礼する……」
そんな沈んだ声と共に、デュエマ部の扉が開いた。
そこには、露骨に生気を失った桑原の姿があった。
「あ、桑原先パイじゃないデスカ!」
「どうしたんですか、アレ」
「何かすっげー元気がねぇけど、どうしたんですか?」
沈んだ顔のまま小柄の彼はソファに身を預けた。
そして、両手で顔を覆うなり、今にも泣きそうな声で続けた。
「ミミィを……うちのミミィを探してやってくれないか……」
――マジで何があった先輩ィィィーッ!?
いつにも増して弱弱しい彼に衝撃を隠せない3人組。
彼は続けた。
「姉貴が大事にしてたペルシャ猫なんだ……居なくなったと知ったら、姉貴が悲しむ……どうかその前に見つけて欲しい」
いつも家の中でごろごろしている事が多いというミミィがいきなりいなくなったのは3日程前のことであった。町中に捜索願いの張り紙を貼った程らしいが、効果はゼロ。
それどころか、今のこの街には似たような張り紙が沢山あるため、飽和状態も良いところなのだ。
というのも――
「最近、ペットの連続失踪事件が起こっている、デスネ?」
「! 知っているのか、或瀬!」
「勿論デス! 魚の水の中、探偵は情報の中で生きる生き物ですからネ!」
「おいおい、でも何でそんなことになってんだ?」
「理由は分かりまセンケド、あまりにも連続している事、そしてどう考えても脱走しようがない状況での失踪などから、ペット誘拐という線も噂されていマスシ、私もそう睨んでいたところデス。警察はまだ動いてないデスけど」
ペット誘拐。
ペットは今や、家族と同等ともされる存在だ。誘拐という言葉を用いられるほどに。
故に、此処最近起こっている連続失踪事件は、ペットを持つ人々を震わせていた。
かつてはペットと飼い主でにぎわっていた公園は、最近はもう蛻の殻。町中には「探しています」の張り紙。警察はあてにならないし、ペットの安否が気になるし――で彼が追い詰められていたことは想像に難くない。
がばっ、と桑原はブランに掴みかかる。
その眼には懇願の2文字が浮かんでいた。
「頼む! 一体何処のどいつがミミィを攫ったのか突き止めてくれ! そしてミミィを見つけてやってくれ!」
「わ、分かったデース! 落ち着いて下サイ!」
「この通り、この通りだから! 頼む! 打てる手は全てもう打ったんだよ! やれることは全部やってこれなんだ! 警察もまともに取り合ってくれないし、後はお前らしかいないんだよ頼むぜ!」
「先輩、ローリング土下座はやめてくださいよ! 何か、こう……もう色々情けないですから!」
「まあ、姉の大切なペットというならば、仕方ないでしょう」
「テメェにも分かるか、紫月よ……その通りなのだ」
「分かりみ……というやつです」
「シスコン同士で共鳴してんじゃねえよ!! ……まあでも、他でもない先輩の頼みだし、いっちょやるか」
「2人も協力するのデスネ!」
「ああ、一応……」
「何をすればいいのですか、ブラン先輩」
ふふん、と得意気に鼻を鳴らしたブランは立ち上がると声高らかに言った。
「私に良い考えがありマース!」
良い考え?
こいつの良い考えで良い結果になった覚えがないんだが。
一体今度は何をやらかしてくれるんだろうか──
※※※
「成程なあ。ペットを狙って連れ去る犯人をとっ捕まえるには、囮が必要だと……で」
がうっ、と俺は”吠えた”。
「何で俺がその囮なんだァァァーッ!?」