学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】 作:タク@DMP
「──《禁時混成王ドキンダンテⅩⅩⅡ》ッ!!」
時計盤から顕現したのは──禁断の存在。
しかし、その手足はモザイクによって繋ぎ合わされている。
そして異様なのは、ミラダンテと思しき墓標の如き時計塔であった。
そこからは天使の羽根、そして馬の如き脚が生えている。
そして、もう1つの命がそのシールドへと埋め込まれていく。
「EXライフ──混成完了。……君達の敗北は決定事項だ」
『これが、禁時混成王でありますか……あれは、ミラダンテなのでありますか!?』
「ほう、面白い!! 馬には馬というわけか!!」
「効果発動──ミラクル・フォービドゥン」
次の瞬間、空から無数の槍が降り注ぎ、《ソーナンデス》と《ドンジャングル》を刺し貫いた。
「効果により、貴様のクリーチャーは全ての効果を失った! 封印されたも同然というわけだ! 更に《ドキンダンテⅩⅩⅡ》のパワーは99999……ディスペクターの王では最高を誇る」
「禁断由来の、超パワーか……面白い」
「面白い? そう言っていられるのも今のうちだ! 超えられるものならば超えてみろ」
しかし、未知のクリーチャーを前にして皇帝は少なからず警戒を怠らなかった。
あのクリーチャーから、本能的に嫌なものを感じたのである。
「ならば、お望み通り超えてみせよう! 呪文、《灰になるほどヒート》! 効果で《イッスン・スモール・ワールド》を場に出し、《ドキンダンテⅩⅩⅡ》とバトルさせる! 最も、パワーは必ずこちらが上回るがな!!」
──パワー、脅威の109999。
僅かでも上回れば、バトルで勝ちとなるこのゲームに於いて、《イッスン・スモール・ワールド》は最強の巨大クリーチャーキラーとなる。
「ッ……バカな超えられた!? どうなっているのだ!? EXライフで生き残る!」
「あっはははは! 混成王、パワーで超えられてやんの」
「うぐう……!」
《イッスン・スモール・ワールド》は、相手の最もパワーの高いクリーチャーよりもパワーが1000高くなるクリーチャー。
しかもマッハファイターも持つため、このまま攻撃すれば《ドキンダンテ》を解体することが可能──
「でも。混成王の切札は文字通りサイキョーだもん。パワーだけじゃない。能力だってサイキョーだから」
「ふん……その通りだ。EXライフを剥がしたことは褒めてやるが……そこが貴様の限界だ!」
その時。
時計盤が動き──滅亡の刻が刻まれた。
「発動、禁じられた奇跡!! 呪文──《ドルマゲドン・ビッグバン》!!」
次の瞬間、皇帝の場にあったクリーチャー達は次々に封印されていく。
今度は能力の消失ではない。文字通りの封印だ。
「ジョーカーズにコマンドはそうそう居ない……この封印は解けんだろう!」
『こちらの呪文の詠唱に反応して呪文を唱えたであります!?』
「呪文だけではない。この効果はクリーチャーの召喚にも反応する」
『んなぁ!? それ手の打ちようがないでありますよ! ズルであります!』
「そーだよ? ズルなら、混成王は最強。パワーも、能力も、あたし達の中で一番強い! それが《ドキンダンテ》と混成王だ!」
「ッ……やるではないか! 褒めて遣わす!」
「それだけではない。貴様が墓地に置いてくれたEXライフが、貴様の首を絞める! 墓地から火または闇のコマンド──2体目の《ドキンダンテ》を場に出す」
競りあがる滅亡の時計盤。
そこから2体目の《ドキンダンテ》が姿を現した。
「……もう何もかもがお終いだ。俺は、貴様が力尽きるまで貴様の行動にカウンターしていればいい。楽な仕事だ。そうしてる間に俺の場にクリーチャーは並ぶ。逆に貴様は何も出来ない」
「ほう! 随分な自信だな! なかなか威勢は良いではないか、家畜の王!」
「誰が家畜だッ! 俺はディスペクターの王でも最強の男・混成王だッ! 8マナで《沸天混成 ジョバンセン・ガロウズ》を召喚!!」
<ジョバンニ!! ガロウズ!! GotoDispect!!>
<We are Dispecter>
「その効果で、墓地から呪文を全て手札に加える。もう1度《ドルマゲドン・ビッグバン》が使えるぞ!!」
そして、と混成王は叫ぶ。
「もう、貴様の反撃など怖くはない!! 《ドキンダンテ》で攻撃する時──アタック・チャンス《禁時王秘伝エンドオブランド》!!」
「また呪文を封じてきたか……!」
「そして、このままT・ブレイクだ!!」
雷光が降り注ぎ、皇帝のシールドを叩き割る。
その破片が飛び散り、彼の身体を切り裂いた──
「ッ……余の身体に傷をつけるとは……天晴!!」
「……ターン、エンドだ!!」
2体の《ドキンダンテ》によって呪文による反撃が常に行われる状況。
更に、混成王の手札は潤沢だ。
「……あくまでも。反応するのが召喚ならば、勝機はある!」
「無い。貴様に奇跡は起こらない。俺の奇跡が、全てを終わらせる」
「ならば貴様の言う奇跡を打ち消してみせよう!!」
──故に。
その数少ないチャンスを的確に潰す。
それだけが彼の勝機だった。
8枚のマナを捻り出し──皇帝は自らの切札を突きつける。
「余は、皇帝である! 余の前では奇跡もただの偶然でしかない! そして、偶然は二度も三度も続きはしない!」
風が──吹いた。
「これが
狩人の姿となったジョニーが戦場へ姿を現す。
狙うは──3体のディスペクター達だ。
「先ず、その登場時効果でマナゾーンから手札にカードを加える! 加えるのは《キング・ザ・スロットン7》だ!」
「馬鹿め血迷ったか!! 禁じられた奇跡を受けてみろ!!」
禁時王の目が光る。
滅亡の刻が刻まれようとしていた。
「──呪文、《ドルマゲドン・ビッグバン》!! 効果で貴様のクリーチャーを全て封印する!!」
隕石が降り注ぎ、終焉が訪れようとする。
しかし──それを全て《オラマッハ・ザ・ジョニー》が撃ち抜いた。
「皇帝の戦術に抜かりなど無いわ、たわけ!! 《アイアン・マンハッタン》を捨てて打ち消した!!」
「ッい……!?」
「《オラマッハ・ザ・ジョニー》の効果。相手が呪文を唱えた時、同じ手札を捨てればその効果を打ち消す! 皇帝の銃は武を以て覇を成し遂げる銃なり!!」
「ならば2体目の効果!! 今度は《蒼龍の大地》を使う!!」
「今度は《バイナラドア》を捨てて無効!」
「ぐっうッ……!?」
「感謝する。貴様が不用意に攻撃してくれたおかげで、我が手札が増えたぞ」
「そ、そんな、馬鹿な……!? S・トリガーをケアしていれば……良かったのでは……無いのか!?」
「たわけが。そんな生温いデッキを、ヤツは使ってはおらん」
彼は笑みを浮かべてみせた。
「このデッキは、ヤツが今まで歩いてきた軌跡そのもの! ヤツの切札達の集まりよ! それを侮ったこと、後悔するが良い!」
「だが、《オラマッハ・ザ・ジョニー》1体で何が出来る!!」
「先ずは《ジョバンセン》のEXライフを砕けるッ!!」
クロスボウが異形を撃ち抜く。
その背後にあるEXライフシールドが破壊された。
「更に、マスター・マッハファイターで《オラマッハ》はアンタップし、貴様のシールドをブレイクする!」
「ッ……S・トリガー、《S・S・S》!!」
「7コストの《SMAPON》を捨てて打ち消す!」
「そんな、馬鹿な!?」
「《オラマッハ》で《ジョバンセン》を攻撃して破壊!! マスター・マッハファイターでシールドをブレイクしてアンタップする!」
これで、残るは《ドキンダンテ》2体とシールド3枚を残すのみとなった。
「このターンで仕留める。《ドキンダンテ》に《オラマッハ》で攻撃する時、革命チェンジ発動!」
「ジョーカーズの革命チェンジだと!? そんなものはデータには──」
次の瞬間、《オラマッハ》の身体に龍の如き甲冑が身に着けられていく。
そして、巨大なガンランスが手には構えられ、そして──《ジョギラゴン》の上に騎乗するのだった。
「これが
ジョギラゴン、そしてジョニー。
ジョーカーズの2大切札が共に現れる。
そして、2体の銃にジョーカーズの力が装填されていく──
「《旅路》は手札からジョーカーズを捨てる事で、その効果をコピーする!! 発動……ジョギラゴン・ビッグ1ッ!!」
<《スロットン》ローディング>
「効果で──《勝熱英雄 モモキング》をバトルゾーンへ!!」
「ッ……そんな、馬鹿な……!?」
「後は……薙ぎ払うのみ!!」
《ドキンダンテ》に撃ち落とされる《ジョギラゴン&ジョニー》。
しかし、その意思は確かに《モモキング》へと受け継がれた。
残るシールドを、二刀が切り払う。
「ッ……バ、バカな……俺の禁じられた奇跡が封じられた!?」
「先に残弾が尽きたのは……貴様だったようだな、家畜の王!!」
「あっ、あっ、ああ……!? あああああああああああああ!? 何故だ!? 俺は、俺は、俺は混成王!! 至高の頭脳と呪いを持つ混成王だぞ!?」
「ね、ねえ、混成王もしかしてこれってヤバい──!?」
「あっ、ぎっ……おのれ……一生分の不名誉だーッ!!」
「フ……確かに手強かったぞ。だが所詮はガワのみ。他愛も無いッ!! ハッハハハハハハハハハハハハハ!!」
《モモキング》の刀が、電融王と混成王の身体を両断した──
「《勝熱英雄 モモキング》でダイレクトアタック、である!!」
※※※
──両断された混成王と電融王は、地面に転がっていた。
既に身体も消えかかっており、限界を迎えていた。
「あ、ぎ……? クソ、クソ、電融王……お前が、足を引っ張った所為で……俺は……俺は……最強なのに……!!」
恨み節をぶちまける。
負けたことが認められない。
勝ったと思っていたのに負けたのが悔しい。
何より──あの顔の男に敗けたことが、腹が立って仕方がなかった。
だが、もう遅い。
全ては──遅きに失したのだ。
彼には何もかもが足りなかった。
白銀耀であっても、皇帝であっても、その好敵手には成り得ない。
何故ならば、何処まで行っても彼は──火廣金緋色ではないからだ。
しかし。
「混成王……大丈夫だよ……あたし、混成王が強いの、誰よりも、知ってる、気がするんだ……何で、だろ、ね……」
「俺はッ、お前の所為でえ……負けてぇ……!!」
──その強さを認める者は居た。
隣に。
混成王と電融王は間違いなく、あの二人ではない。
だが、敗北しても尚その強さを認める電融王は──本来あるべき姿の彼女のようだった。
「ッ……クソ……バカのくせに……」
「えっ、えへへへ……混成、王……」
2人は、灰となって消えていった。
《ドキンダンテ》、そして《ギュカウツ・マグル》のカードと共に。
それを──バルガ・ド・ライバーは何処か物悲しそうに眺めていた。
「……主君。主君の身体も心も……必ず俺が取り戻してみせる」
「引き続き警戒を続けるぞ。ディスペクターが何処に潜んでいるか分からんからな」
「……うむ」
サッヴァークが障壁を解除する。
ドキンダンテが消滅したことで、滅亡の可能性も全て消え去っていた。
後に残るのは、皇帝だけだ。
『す、すごいであります……ディスペクターの王をまとめて2体同時に……!』
「感心している場合か、たわけ!」
皇帝は──工房へと踵を返す。
「……貴様の相棒を叩き起こしに行くぞ、チョートッQ」