学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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GR143話:接続王(2)

「──《零獄接続王 ロマノグリラ0世》の効果発動。墓地とマナを増やすッ!!」

 

 

 

 大量の魔弾を撃ち放つ《ロマノグリラ0世》。

 それが、虚空に穴を次々に空けていく。

 そこから雪崩れ込むエネルギーが次々に接続王のマナを、そして墓地を肥やしていく。

 

「更にそれだけじゃねえ! コイツはマッハファイターだ! 《富士山ン》に攻撃する時アタックチャンス発動ッ!! 《零獄王秘伝 ZERO×STRIKE》!!」

「ッ……マジかよ!? こいつもアタックチャンスを!?」

『連結王や混成王に続き、接続王までも! ディスペクターの王は皆、専用のアタックチャンス呪文を持っているのでありますか!!』

「その効果で、《ロマノグリラ0世》は──」

 

 空いた虚空から、《ロマノグリラ》と同じ影が次々に現れていく。

 

 

 

「──4体に増える……!」

 

 

 

 マナから、手札から、そして墓地から。

 次々に《ロマノグリラ》が姿を現していく。

 おいちょっと待て嘘だろ。

 1体でも厄介なディスペクターのキングマスターが合計で4体……!?

 

「そして、《ロマノグリラ》の魔銃が火を噴くぜッ!! 攻撃時の効果で、俺のマナゾーンよりもコストの小さいクリーチャーを墓地またはマナゾーンから場に出す!」

「まさかマナと墓地を増やしたのはそういうことかよ!?」

「俺の魔銃は、禁断の存在さえも呼び起こすッ!」

 

 一際大きな魔弾が、地面を穿った。

 墓場から──それは顕現する。

 かつて、デュエル・マスターズを破壊し尽くした強大なる禁断の王が。

 

「なんだ、これは……!?」

「これがアカリ様から賜った禁断の竜王の力だ!! 殺される前に、殺すッ!! 安全安心にッ!!」

 

 それは、歴史の裏から現れた存在だった。

 

 

 

 

「それは無限にして刹那。禁断にして永遠!! 時の海の藻屑になれッ!!」

 

 

 

<ボルバルザーク!! VV-8!! GotoDispect!!>

 

 

 

<YourScream”KNDN”!!>

 

 

 

 

「──君臨せよ《禁断竜王 Vol-Val-8(ボル バル エイト)》ッ!!」

 

 

 

 

<We are Dispecter>

 

 

 

 

「EXライフ──禁断完了」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「おや? 戻ってきたんだね、縫合王」

「……まあ、はい」

 

 

 

 アカリの背後には──5体の巨大な龍が佇んでいた。

 しかし、龍達は声を上げることもせず、ただ首をもたれているのみだった。

 

「これは一体……?」

「あっれー? 見せなかったっけ。文明の起源である五元神龍。それを──復活させた」

 

 あたかも当然のようにアカリは言ってのける。

 流石の縫合王も後ずさっていた。

 恐ろしい魔力を溜め込んだ龍達。

 全てのクリーチャーの頂点とも言える存在。

 それが今、アカリの前に立っている。

 

「と言っても、龍魂珠に詰め込まれたクリーチャーのDNAから辿って再現したに過ぎないけどねー?」

「……全てのクリーチャーの、起源、ですか」

「そーゆことー! ふふんっ、すごいでしょ? この力を使えば世界を何度でもリセット出来る」

「何故、そのようなことを?」

 

 

 

「……飽きたから。てか、絶対飽きるから」

 

 

 

 アカリは悪びれもせず言った。

 

「あたし飽き性なんだよね。今の世界も絶対に、いつか飽きる。行き詰って、滞って、絶対に何処にも行けなくなる。そうなったとき、あたしはコイツの力で全てをリセットする」

「……」

「何なら今此処でそれを使っても良いんだよ? まあ、こいつが──新世界王が目覚めてないからムリだけどね」

「……」

 

 自分の退屈が晴れるならば、後はどうでもいい。

 そうアカリは言ってのける。

 何処までも自己中心的で、そして身勝手な神であった。

 しかしこの場には、彼女を讃える「王」しかいない。

 その「王」達でさえも彼女の一存で滅ぼされてしまうのであるが。

 

「あたし今、コイツを作るのに全ての魔力使ってるから、白銀耀は絶対この部屋に入れないでよ? と言っても、王は死んでもスペアがすぐあいつら迎撃しに行くから関係ないけど」

 

 つまり、今塔の外で行われている攻防戦など無意味だ、とアカリは言ってのけたも同然だった。

 全員が倒せもしない王を相手に必死に戦っている。

 そして仲間の顔をした相手を前にして苦しんでいる。

 そう考えると愉悦感が込み上がってきて仕方がない。

 そうして白銀耀達が死に絶えた頃に、今度はこの忌々しい顔をした王諸共──世界をリセットするつもりだ、と彼女は語る。

 

「まあまさか白銀耀が立ち上がってくるなんて思わなかったけど、別に良いや。あたしはこれが完成すればそれで良い。最初っからまともにゲーム盤に立つつもりなんてないんだよね」

「……」

「適当にあいつをあしらって、時間稼ぎが出来ればそれで良い。だから今、全力で君達とコレの完成に魔力リソース裂いてるんじゃない」

 

 元より自分は勝者だ。

 

 白銀耀との勝負に乗ってやる必要など欠片も無い。

 

 元より自分は勝者だ。

 

 ならばあとは、自分が世界を想うがままにするための基盤を固めるのみ。

 

「それに……アレの仲間の顔したヤツがいつまでもあたしの傍に居たらハッキリ言って虫唾が走るんだよね」

「……」

「まあそんな悲しそうな顔しないでよ! 最期に君達には、新世界王の姿を見せてあげるからさ。あたしを最期まで裏切らないでくれたお礼に、ね」

「……もう少し、近くで見せてもらっても?」

「良いよ~! 縫合王は、一番白銀耀を絶望させられたし、特別にねっ」

 

 つかつか、と縫合王はアカリの傍に並び立つ。 

 5つの龍が龍魂珠に引き寄せられ始めた。

 その肉体は崩壊していき、そして混ざり合おうとしている。

 

 昂星の龍神──白き光のアークゼオス。

 

 深淵の龍神──碧き水のクリスド。

 

 漆黒の龍神──黑き闇のモルナルク。

 

 灼熱の龍神──紅き火のヴォルジャアク。

 

 樹海の龍神──翠の自然のバラフィオル。

 

 

 

「それを混ぜ合わせた王神が──Volzeos(ヴォルゼオス)-()Balamord(バラモルド)──新世界の王の名前だ!!」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「──禁断、竜王……!?」

「そうだ。これで俺は、安全に安心に、テメェに勝利してみせるぜ……ッ!!」

 

 

 

 それは、異様なクリーチャーだった。

 巨大な機関車のような怪物に、《無双竜機ボルバルザーク》と《禁断機関VV-8》の身体が埋め込まれている。

 何より歴史の裏から現れた禁断の存在と、文字通りの禁断機関が組み合わされた存在を前にして、俺は開いた口がふさがらなかった。

 

「永遠の禁断……エターナルプレミアムズの力を見せてやるよ!! 《Vol─Val─8》でシールドを攻撃する時、効果発動!! 山札の上から5枚を見て、その中から2枚までを手札に加える。まあ、山札切れが怖いから全部山札の下だけどな!」

 

 わざわざ手札を増やす必要もないだろう。

 マナゾーン、そして墓地からクリーチャーを呼び出せる《ロマノグリラ》がアイツの場には4体もいるのだから。

 

「だがそれだけじゃねえ!! 《Vol-Val-8》の効果でその後、パワー6000以下のクリーチャーを全て破壊する!!」

「っんな……!?」

 

 《トップギア》、《ザ・RE:ッド》、そして──《Disゾロスター》は破壊される。

 そして、その破壊された体が粒子となり、《Vol-Val-8》に蓄積されていく。

 

「そのまま引き潰すッ!! シールドをT・ブレイクだ!!」

「んぐっ……!?」

 

 S・トリガーは無い!?

 まずい。このままじゃ、負ける──

 

「それだけじゃねえ!! 《Vol-Val-8》の効果!! ターン終了時にクリーチャーが4体以上破壊されていれば、俺はエクストラターンを得る!!」

「っ……!」

 

 《ボルバルザーク》と《VV-8》のEXターン能力も健在か!

 まずい。アイツの場には4体の《ロマノグリラ》に加えて、《Vol-Val-8》までいる……!

 

『いつか見た《ロマノフ》から《煉獄と魔弾の印》で《紫電》を復活させる動きを思わせるでありますな……相反するもの同士の共闘でありますか……!』

「言ってる場合か!! 色々すっ飛ばしてんだよ! 少なくとも《ロマノフ》は墓地からクリーチャーをそのまま吊り上げる効果は持ってねえし、《紫電》はEXターンをとったりしねえんだよ!!」

「もう1度俺のターンッ!! 今度は《龍装者ジスタジオ》を召喚!!」

「げっ!!」

 

 俺は目を丸くする。

 あれはまずい。まずいぞ。

 パワー12000以上のクリーチャーがバトル以外では離れなくなるグランセクトだ。

 今、接続王の場にはパワー17000の《ロマノグリラ》、そして──パワー54321の《Vol-Val-8》が立っている。

 コイツ等全員が完全な除去耐性を得たってのか!?

 

「更に《ロマノグリラ》でシールドを攻撃!! EXターンはもう取れねえが、よしんば逆転してもテメェに勝機はねえぞ!!」

「っ!?」

「《ロマノグリラ》はタップされてる時、俺を攻撃出来なくする効果がある!!」

『ってことは、クリーチャーにしか攻撃出来ないってことでありますか!?』

「パワー17000の《ロマノグリラ》に攻撃して自滅するかねえんだよ! 最も、このターンを生き延びられればの話だがなあ!!」

 

 ……まずい。

 本当にマズい。

 この盤面からひっくり返せるビジョンが浮かばない。

 接続王の言う通りだ。

 

「《地封龍ギャイア》を場に出す!! コイツの効果で、もう登場時効果を持つクリーチャーは場に出せねえ!! S・トリガーも封じたぜ!!」

「……ッ」

「イッヒャハハハハハ!! 俺は最強だ!! 俺の守りは鉄壁だ!! アカリ様の力のおかげだぜ──ッ!!」

 

 

 

 

<俺はお前らの障壁になるものを全部ぶっ壊す。テメェは安心してどっかり構えろ。前も言ったはずだぜ?>

 

 

 

 

 押し潰されそうになった時。

 桑原先輩が、前に言ってくれた言葉が背中を押してくれた気がした。 

 そうだ。俺が──どっかり構えてねえといけねえんじゃねえか!

 俺は部長だ。デュエマ部部長だ!! そして──人類の最後の希望だ!!

 

「にひっ。ザコザコ。気付いたようね? 禁断の力を扱う極意」

「っ……!」

「耐えて耐えて耐え忍ぶ。そして最後に爆発させる。でも、ただ爆発させるだけじゃダメ。その胸の鼓動を握って、放さないで。溢れ出る生への希望を!! 悦びを!!」

「生への希望……悦びッ……!!」

 

 そうか。

 禁断の力は──絶望の力じゃない。

 全てを破壊するこの力を、目の前の障壁を壊して前に進むための力に変える。

 奪われたものを取り戻す為に!!

 

「S・トリガー発動!! レクスターズ──《ムカチャッカ》、《さびらびりん》!!」

「ッ……《ギャイア》が効いてない!? だが、只のブロッカーで、この軍勢を止められるかよ!!」

「いいや、これで良い」

 

 ぱつん、ぱつん。

 音を立てて《モモキングダム》の封印が解かれていく。

 

「聞こえているか、俺の鼓動!! これが今の世界を生きる、最後の人間の力だ!!」

「っ……何だ!? 何なんだいきなり……!?」

 

 湧き出てくる。

 黒い感情を──抑えて、力に変える!!

 

 

 

 

「禁・断・解・放ッ!! 《禁断英雄(ヒーロー)モモキングダムX》ッ!!」

 

 

 

 

 次の瞬間、解き放たれた無数の槍が《ロマノグリラ》達を、《ギャイア》を、《ジスタジオ》を、そして──《Vol-Val-8》を貫き、そして溶かしていく。

 EXライフも貫通した槍によって、ディスペクター達は二度と蘇らなかった。

 

「何だ!? 何故だ!? 安心安全絶対完璧的な俺様の鉄壁がァァァーッ!?」

「テメェが本当に桑原先輩なら……俺が禁断じゃないデッキを使ってたなら……俺は負けてたよ」

『桑原殿なら、10マナ溜めた時点でわざわざ攻撃せずともマスターに勝ってるでありますからな!!』

「ああああああ!? 死ぬな!! 死ぬな《ロマノグリラ》!! 俺を、俺を守ってくれよォォォーッッッ!!」

 

 これで残るシールドは4枚。

 ……一気に攻め勝つ!!

 

「《モモキングダムX》でシールドをT・ブレイク!! 《ムカチャッカ》でシールドをブレイク!!」

「あっ、ああああ!? 嫌だ!! 死にたくねえ!! 死にたくねえよお!! やめてくれ、欲しいモンなら何でもやる!! 禁断の力でもディスペクターの力でも何でもくれてやる!! だから──命だけは助けてくれええええ!!」

 

 鼻水、涙、その他諸々を噴出させながら這いつくばる接続王。

 

『……本当に生き汚いヤツでありますな!!』

「おい待てよ! 俺はちょっとお前達の邪魔をしてやろうってだけだったじゃねえか!! 許してくれよ!! ほら!! この俺様が頭を下げてるんだぜ!! なあ!? 最後の人類の希望様は、慈悲とか人の心とかねえのかよ!?」

「……」

 

 これ以上、その顔で情けない事を吐くんじゃねえ。

 桑原先輩は──カッコよくて、強い。俺の……自慢の先輩だ!!

 

 

 

 

「その口で……その顔で二度と喋るんじゃねえ!! ──《さびらびりん》で、ダイレクトアタック!!」

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