学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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王来MAXが終わりそうなのでそれに合わせて最終章MAXの始まりです、完結したんじゃなかったって? まあ、そうね……。


最終章MAX:切札VS鬼札篇
JO1話:ONI・トーナメント(1)


 ──2022年、4月末。

 

 ギリシャにて震源不明の地震が発生し、✕✕✕地域に大規模な断裂が発生。

 

 ──2022年、5月。

 

 この新しい地層から、原因不明の発光を確認。現地の考古学グループが調査を開始する。

 

 ──2022年、6月。

 

 発掘調査により、正体不明の遺物が発見。祭器の一種と見られているが、複数の槍が刺さっている上に、中央には日本の土偶を思わせる土人形が鎮座。

 明らかに地層との年代と異なることから、誰かが悪戯で埋めたものではないか? と考えられいるほどである。

 

 ──2022年、6月末。

 この正体不明の祭器を、伊ONIグループのCEO、デモーニオ・エティケッタ氏が6億ドルで買い取った模様。

 祭器は、同グループで研究される見通し。

 

 

 

「古代の浪漫には、大富豪も抗えないのデスね! ワクワクするデース!」

「くだらん。金で遺物かどうかも分からんモノを買い取ったのか……スケールが大きいのやら小さいのやら」

 

 ピッ! と音を立てて、テレビが切れる。

 残念そうに或瀬ブランは溜息を吐くと「何で勝手に消したデース!?」と猛抗議。

 しかし素知らぬ顔で、黒鳥レンは彼女に向かい直すと唸るように詰問するのだった。

 

「貴様こそ何なんだ、こっちは課題中だぞ。勝手に押しかけて来おってからに……大学はどうした大学は」

「今日は休みデスよぅ。暇だし、久々に黒鳥サンのアトリエに遊びに来たのデース! ……どうせヒマデショ?」

「帰れ早急に! 此処は僕が借りてる部屋だぞ!」

 

 作業用に丁度良いとばかりに借りた空き部屋。

 それが黒鳥の新しいアトリエであった。

 しかし、クリーチャーの事件とは関係の無い身内である玲奈から離れて、ミーティングをするのには都合のいい場所だったのが良くなかった。

 今となっては暇を持て余したブランが、大学から近いのを良い事に度々足を運んでいるのだった。

 

「嫌デース!! だって、暇なのデース!!」

「貴様も学生ならバイトでもしていろ」

「今日は休みデース!!」

「……チッ」 

「皆が居なくて、私は寂しいのデスよう。カリンは相変わらず剣道バカで、桑原パイセンは美術の課題に追われ、ヒイロは魔導司の仕事で、どの国に居るかも分かりまセーン」

「良い事ではないか、貴様のような年柄年中探偵ごっこばっかりやっているチャランポランとは大違いだ」

「酷いデース!! なーんでそんなに冷たいデース!?」

「そう言えば白銀はどうしている? 最近、やつの話をあまり聞かんが」

「今は借りた家で高卒検定の勉強やってるデスよ。ただ……本人も何をすればいいのか、モチベーションが迷子みたいデスけど」

「元気がないのか?」

 

 何処か心配そうに黒鳥は眉を顰めた。

 冷淡な印象の彼だが、こと後輩たちの変化については人一倍興味を示したし敏感であった。

 

「そうデスね……たまに顔を合わせても以前みたいなツッコミのキレがないデス」

「貴様は貴様であいつで漫才しようとするんじゃあない」

「でもシヅクも同じこと言ってるデスよ? 自分と居る時も、ぼーっとしてることが増えた、って言ってるデス」

 

 まあ、あれだけの凄まじい経験をしてしまえば、人生における山場を全て使い切ってしまってもおかしくはないだろう、と黒鳥は考える。

 現に自分でさえ、かつての戦いの後は似たような状況が続いたものだ。

 もう良いんじゃないかな? でも人生は終わらないし、別に死にたいわけでもないしな……といった精神具合が続く。

 ゲームはエピローグで終わりだが、人生のエピローグは死ぬまでであるがゆえに。

 

「今まで使命感に駆られるように目の前の戦いに没頭してきたのだ、燃え尽き症候群なのかもしれないな」

「バーンアウト、ってことデス?」

「そうだな……あいつは今、自分自身で自分のやるべきことを探している段階なのだろうな……」

 

 

 ピンポーン

 

 

 

 その時だった。

 チャイムが鳴ったので黒鳥はブランから逃れる次いでで玄関に出ると、

 

 

 

「……おめでとうございまァァァーすゥゥゥーッ!!」

「は?」

 

 

 

 外に居たのは──シルクハットにスーツ姿の奇妙な男だった。

 背が高く、顔の掘りが深い。日本人のようには見えない。

 一抹の不審さを感じながら、黒鳥は玄関に身を乗り出した。

 

「何だ貴様、セールスはお断りだ」

「セールスだなんてとんでもありませェェェーんッッッ!」

「うっわうるさ」

 

 黒鳥は耳を塞ぐ。

 しかし、追い出そうとする前に男は名刺を取り出した。

 

「ワタクシ、こういうものでして」

「何々……ONIグループの営業、ジョン・ドゥ……?」

「そうでェェェーすッッッ!!」

「うるさっ!?」

「黒鳥サン、ONIグループって……テレビで言ってた、あのONIグループデース!?」

「おやぁ? おやおやおやおやおやおやおやおやァァァーッ!? よォォォーッくご存じでお嬢さん!! いやぁはやぁ、異国の方にも我々の事は知られているのですねェェェー!!」

「うるさいといったのだ貴様! 近所迷惑だぞ!」

「すみませェェェーん、地中海育ちなもんでつい!!」

「地中海は絶対関係ないデース……」

 

 二人はげんなりしながら眉を顰める。

 いきなり現れたこの胡散臭いジョンは、チケットを押し付けるように黒鳥とブランに渡す。

 

 

 

「単刀直入に言いましょう。黒鳥レン、或瀬ブラン……あなた方を是非ッ! ONIグループ主催の、デュエル大会にご招待しようと思いまして!」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「……白銀耀。貴方を是非。ONIグループ主催の、デュエル大会にご招待したいのです」

 

 

 

 突然の来訪客に、俺は驚きを隠せなかった。

 外国人だろうか。ゴシックな衣装を身に纏った少女だ。

 

「なんて? 大会……?」

「……申し遅れました。ジェーンは、このようなものです」

「えーと、ONIグループの社員……ジェーン・ドゥ……?」

「はい。招待状は渡しました」

「いや、いやいやいや……何か証明とかあるのか? 悪戯じゃねえよな? だってONIって、世界的な企業じゃないか」

「その招待状にあるパスワードをONIの公式サイトで読み込んで貰えば良いかと」

 

 いきなりの事が多すぎて、何も分からない。

 そもそも大会に選ばれるようなことをした覚えは無いのだ。

 CSで優勝したことなんて1度もない無名の選手の俺に、何故……?

 こんなの怪しいに決まってる。

 

「はぁ……何で? 何で俺なんだ? 他に強い選手なんて幾らでも居るだろ」

「ジェーンにはそれを答える権限ありませんので。それでは、当日の参加を楽しみにしております」

「……いや、いやいやちょっと待てって! ……はぁ」

 

 たっ、たっ、とジェーンは逃げるようにその場を去ってしまった。

 追いかける間もなかった。

 

「……はぁー、どうすりゃいいんだよコレ」

 

 家に帰った後、ONIの公式サイトにアクセスし、パスワードを打ち込むと……大会参加者用のログインフォームなるものが現れる。

 そこには確かに俺の名前が書いてあった。

 大会の場所、ルールなどは追ってメールで送信って書いてある。

 どうやら悪戯ってわけではなさそうだ。更に、ネットで調べたところ、他にも俺のように招待状を渡された人がいるらしい。

 そのツイートはバズっており、調べてみると所謂有名な強豪プレイヤーのアカウントであった。確認できた所では──4人。

 どうしたものか。人選が謎だ。

 

(デュエマの大会っつったって……招待されたのって名だたる強豪ばっかじゃねえか、俺で太刀打ちできるような相手じゃねえぞ……?)

 

 イマイチ気が進まない。やる気が出ない。

 そう思っていた矢先、電話が鳴る。

 誰からだろう、紫月からだろうか、と思っていたのだが──

 

「げぇっ……」

「げぇっ、とは何だ、貴様。……愛しの彼女でなくて落胆したか?」

「ええまあ、それなりに」

「ハッ倒すぞ貴様」

 

 黒鳥さんだ。

 普段は絶対に彼の方からかけてくることはないのに。

 一体どうしたというのだろう。正直彼からの連絡がある時は大抵事件なんだよな。

 

「貴様。ONIグループの者から招待状が届かなかったか? デュエル大会の……」

「……! 黒鳥さんにも、ですか!?」

「僕だけじゃあない。或瀬宛てにも、だ」

「……マジで? 黒鳥さんだけならともかく、何でブランにまで……?」

「聞こえてるデスよ、アカルーッ!」

「お前も居たのかよ!!」

「ええい邪魔だ貴様! ともかく一度僕のアトリエに来てくれ」

「……はい」

 

 何だか……大変な事になってしまったみたいだ。 

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