学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】 作:タク@DMP
※※※
──暁ヒナタと、黒鳥レンの因縁は、10年前に遡る。
二人がデュエリスト養成学校・鎧龍決闘学院に入学した日の事。
「貴様の所為で僕のカードが汚れただろうが……ッ!!」
「ひったくりを追いかけてたんだから仕方ねえだろ!? 水たまりに気付かなかったんだって!!」
「問答無用ッ! 貴様は此処で成敗してくれる」
「だけどよ、恍惚とした顔で自分のカードを眺めてるオメーも十分アレだと思うぞ!?」
初デュエルは校門の前。
その勝者となったのは──
「──《蒼狼の始祖 アマテラス》で、トドメだァァァーッ!!」
──ヒナタの方だった。
根っからのオールラウンダー。ありとあらゆるデッキを使いこなす。
それが彼のスタイルだった。
一方でレンも、闇の美学を徐々に極めていき──最終的にその実力は互角。
「《暴走龍 5000GT》でダイレクトアタック!!」
「《悪魔神バロム・クエイク》でダイレクトアタック!!」
「《龍覇 グレンモルト》でダイレクトアタック!!」
「《極・龍覇ヘルボロム》でダイレクトアタック!!」
「スピードアタッカーを付与した《勝利のアパッチ・ウララー》でダイレクトアタック!!」
「《Kの反逆 キル・ザ・ボロフ》でダイレクトアタック!!」
その戦績は、少なくともレンが在籍している間は互角だった。
しかし。
鎧龍に入学した彼らを待ち受けていたのは、希望にあふれた学園生活だけではない。
実体化するクリーチャーの引き起こした事件だった。
その全てを解決し終えた時、レンは憔悴しきっていた。
彼の心はデュエルから離れていき──そして。
「鎧龍を、辞める!?」
「……ああ」
「っざっけんな!! お前が居ないなら、俺は誰に勝つことを目指せば良い!?」
「自惚れるな、プロの世界には貴様も見たこと無いような強豪ばかりだ」
「っ……」
「なあヒナタよ。貴様は……僕が居なければ頂点を獲れないような器か?」
「そっ、それは──」
「誇れ、貴様は……獲るべくして頂点を獲る男だ」
そう言って、レンは鎧龍から去っていった。
カードとは無縁の平穏を手に入れるために。
しかし、それでもヒナタは──
「なあ、いつか!! いつか、また会ったら!! その時にまた、デュエルしようぜ!!」
──いずれ、あるかもしれない再戦を彼に望んだのだった。
※※※
「どういう心境の変化だよ?」
「さあな。ただ……貴様に玉座を奪われっぱなしなのもシャクでな」
「そうか……なあレン、お前は一つウソを吐いたよ」
「何?」
「世界にはまだ見ぬ強豪がいっぱいいるって言ってたけどさ──お前以上にワクワクさせてくれるヤツなんて、居なかったぜ」
「お世辞か?」
「いーや、今でもってことだよ。ビックリしたぜ、お前がこんなデッキを使うなんてな」
「破壊と再生もまた……闇の美学だ」
レンの戦術。
それは所謂「巨大墓地ソース」と呼ばれるものだった。
序盤に、コストが大きいカードをかき集める《巨大設計図》を連打。
そして、3ターン目に手札のカードを墓地に送ることでコストを軽減する《樹食の超人》を呼び出す。
その墓地に送ったカードでコストを軽減し──
「──数多の屍を乗り越え、暴走する。来たれ、《
──全身を武装した無法者《5000GT》によって、ヒナタの盤面を一挙に焼き払い、更にパワー5000以下のクリーチャーの召喚を封じたのだった。
だが、それでさえも彼にとっては前座でしかない。
(以前、シヴァに使われた戦術だが……此処まで美学をそそられるギミックとはな。……このデッキで、ヒナタを倒す!!)
「おいおいお前が《5000GT》を──」
「驚くのはまだ早い。僕は《5000GT》をマナゾーンに送り、墓地からこのカードを蘇らせる」
「ッ!!」
呼び出した《5000GT》をマナに送ることで──彼は切札を呼び出したのである。
「死せず、朽ちず、されど生きず。大地は樹海の牢獄となる──《大樹王ギガンディダノス》、フシギバース!!」
※※※
──そして、現在に至る。
「《ギガンディダノス》の効果で、パワー50000より小さいクリーチャーは僕を攻撃出来ない。そして、《ギガンディダノス》の効果で貴様の手札は全て叩き落とした。貴様にもう打つ手は無無い」
「確かにお手上げだなー、こりゃ」
(ヤツのデッキは……
(悠長にしていれば、負けるのは僕の方だ。そして、ヤツなら引きかねん)
「俺はこれでターンエンド。レン、お前のターンだぜ」
「ああ」
ヒナタは有効なカードが引けなかったのか、それとも最低限マナを増やすためか、マナにカードを置いてターンを終了した。
傍から見ればレンが圧倒的に有利な状態だが、なまじ《ギガンディダノス》の効果でヒナタのマナが増えている以上、油断できない。
(……問題は肝心の《ブラキオ龍樹》が墓地に落ちていないことで、完全なロックが出来ていない点か。まあクリーチャーのトリガーは《5000GT》で封じている。これ以上はケアのしようがないか)
「僕は巨大設計図を発動! 《
(有効牌は2枚だけ、か……!! しかし、このターンで決めるには十分だ!!)
墓地のカードは充分過ぎる程溜まっている。
レンは、このターンでヒナタの息の根を止めることにした。
「──百万の銃器が、貴様を打ち払い、そして滅ぼす!! 《
ヒナタの口角が釣り上がる。
最も彼が愛用したカードの1枚だ。
それを今──レンが使っている。
そして、自らを追い詰める切札として差し向けている。
「まだだ! 残る1マナで《5000GT》も呼び出す!! これで……ゲームセットだ、ヒナタ!!」
無法者が銃器を展開。
そして、ヒナタのシールド目掛けて一斉に撃ち放つ。
「《5000GT》でT・ブレイク!! 《クロスファイア》で、シールドをW・ブレイクだ──ッ!!」
※※※
「師匠ーっ!! 師匠、やっちゃえーっ!!」
「黒鳥さん……!! こりゃ勝ったんじゃねえか!?」
「頑張ってーっ!!」
「オイオイ、マジかよ……」
ノゾムは驚愕の表情を浮かべていた。
(この盤面で……まだ諦めてねえぞ……!? ヒナタ先輩は……!!)
※※※
「S・トリガー、《ホーリー・スパーク》」
「ッ!!」
誰もが、黒鳥の勝利を確信したその瞬間だった。
無法者たちはその閃光を前にして平伏す。
黒鳥の攻撃は、そこで終わった。
「引いたか……!! 《初不》……!!」
「あぶねーあぶねー、流石に今回ばっかりは負けると思ったぜ、《ロージア》も使えねーしよ」
「……貴様はそういうヤツだ。ここぞという時に……」
「だから、デュエマは面白いんだろ?」
「……そうだな」
ヒナタは7枚のマナをタップする。
「──燦然世界を終わらせる三千の剣。次元を突き破り、此処に参戦ッ!!」
バトルゾーンに突き刺さる無数の剣。
それを手に取るのは──
「来い──《