学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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JO8話:レンVSヒナタ

 ※※※

 

 

 

 ──暁ヒナタと、黒鳥レンの因縁は、10年前に遡る。

 二人がデュエリスト養成学校・鎧龍決闘学院に入学した日の事。

 

 

 

「貴様の所為で僕のカードが汚れただろうが……ッ!!」

「ひったくりを追いかけてたんだから仕方ねえだろ!? 水たまりに気付かなかったんだって!!」

「問答無用ッ! 貴様は此処で成敗してくれる」

「だけどよ、恍惚とした顔で自分のカードを眺めてるオメーも十分アレだと思うぞ!?」

 

 

 

 初デュエルは校門の前。

 その勝者となったのは──

 

「──《蒼狼の始祖 アマテラス》で、トドメだァァァーッ!!」

 

 ──ヒナタの方だった。

 根っからのオールラウンダー。ありとあらゆるデッキを使いこなす。

 それが彼のスタイルだった。

 一方でレンも、闇の美学を徐々に極めていき──最終的にその実力は互角。

 

「《暴走龍 5000GT》でダイレクトアタック!!」

「《悪魔神バロム・クエイク》でダイレクトアタック!!」

「《龍覇 グレンモルト》でダイレクトアタック!!」

「《極・龍覇ヘルボロム》でダイレクトアタック!!」

「スピードアタッカーを付与した《勝利のアパッチ・ウララー》でダイレクトアタック!!」

「《Kの反逆 キル・ザ・ボロフ》でダイレクトアタック!!」

 

 その戦績は、少なくともレンが在籍している間は互角だった。

 しかし。

 鎧龍に入学した彼らを待ち受けていたのは、希望にあふれた学園生活だけではない。

 実体化するクリーチャーの引き起こした事件だった。

 その全てを解決し終えた時、レンは憔悴しきっていた。

 彼の心はデュエルから離れていき──そして。

 

「鎧龍を、辞める!?」

「……ああ」

「っざっけんな!! お前が居ないなら、俺は誰に勝つことを目指せば良い!?」

「自惚れるな、プロの世界には貴様も見たこと無いような強豪ばかりだ」

「っ……」

「なあヒナタよ。貴様は……僕が居なければ頂点を獲れないような器か?」

「そっ、それは──」

「誇れ、貴様は……獲るべくして頂点を獲る男だ」

 

 そう言って、レンは鎧龍から去っていった。

 カードとは無縁の平穏を手に入れるために。

 しかし、それでもヒナタは──

 

 

 

「なあ、いつか!! いつか、また会ったら!! その時にまた、デュエルしようぜ!!」

 

 

 

 ──いずれ、あるかもしれない再戦を彼に望んだのだった。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「どういう心境の変化だよ?」

「さあな。ただ……貴様に玉座を奪われっぱなしなのもシャクでな」

「そうか……なあレン、お前は一つウソを吐いたよ」

「何?」

「世界にはまだ見ぬ強豪がいっぱいいるって言ってたけどさ──お前以上にワクワクさせてくれるヤツなんて、居なかったぜ」

「お世辞か?」

「いーや、今でもってことだよ。ビックリしたぜ、お前がこんなデッキを使うなんてな」

「破壊と再生もまた……闇の美学だ」

 

 レンの戦術。

 それは所謂「巨大墓地ソース」と呼ばれるものだった。

 序盤に、コストが大きいカードをかき集める《巨大設計図》を連打。

 そして、3ターン目に手札のカードを墓地に送ることでコストを軽減する《樹食の超人》を呼び出す。

 その墓地に送ったカードでコストを軽減し──

 

 

 

「──数多の屍を乗り越え、暴走する。来たれ、《暴走龍(ライオット)5000GT》ッ!!」

 

 

 

 ──全身を武装した無法者《5000GT》によって、ヒナタの盤面を一挙に焼き払い、更にパワー5000以下のクリーチャーの召喚を封じたのだった。

 だが、それでさえも彼にとっては前座でしかない。

 

(以前、シヴァに使われた戦術だが……此処まで美学をそそられるギミックとはな。……このデッキで、ヒナタを倒す!!)

 

「おいおいお前が《5000GT》を──」

「驚くのはまだ早い。僕は《5000GT》をマナゾーンに送り、墓地からこのカードを蘇らせる」

「ッ!!」

 

 呼び出した《5000GT》をマナに送ることで──彼は切札を呼び出したのである。

 

 

 

 

「死せず、朽ちず、されど生きず。大地は樹海の牢獄となる──《大樹王ギガンディダノス》、フシギバース!!」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 ──そして、現在に至る。

 

「《ギガンディダノス》の効果で、パワー50000より小さいクリーチャーは僕を攻撃出来ない。そして、《ギガンディダノス》の効果で貴様の手札は全て叩き落とした。貴様にもう打つ手は無無い」

「確かにお手上げだなー、こりゃ」

 

(ヤツのデッキは……赤白黒(デイガ)ドラグナーか。7マナ帯に達すれば切札が現れる。アレが出れば、こんな盤面などひっくり返されてしまうだろう)

 

(悠長にしていれば、負けるのは僕の方だ。そして、ヤツなら引きかねん)

 

「俺はこれでターンエンド。レン、お前のターンだぜ」

「ああ」

 

 ヒナタは有効なカードが引けなかったのか、それとも最低限マナを増やすためか、マナにカードを置いてターンを終了した。

 傍から見ればレンが圧倒的に有利な状態だが、なまじ《ギガンディダノス》の効果でヒナタのマナが増えている以上、油断できない。

 

(……問題は肝心の《ブラキオ龍樹》が墓地に落ちていないことで、完全なロックが出来ていない点か。まあクリーチャーのトリガーは《5000GT》で封じている。これ以上はケアのしようがないか)

 

「僕は巨大設計図を発動! 《百万超邪(ミリオネア)クロスファイア》、《暴走龍5000GT》、《破壊者シュトルム》、2枚目の《ギガンディダノス》を手札に!」

 

(有効牌は2枚だけ、か……!! しかし、このターンで決めるには十分だ!!)

 

 墓地のカードは充分過ぎる程溜まっている。

 レンは、このターンでヒナタの息の根を止めることにした。

 

 

 

 

「──百万の銃器が、貴様を打ち払い、そして滅ぼす!! 《百万超邪(ミリオネア)クロスファイア》!!」

 

 

 

 ヒナタの口角が釣り上がる。

 最も彼が愛用したカードの1枚だ。

 それを今──レンが使っている。

 そして、自らを追い詰める切札として差し向けている。

 

「まだだ! 残る1マナで《5000GT》も呼び出す!! これで……ゲームセットだ、ヒナタ!!」

 

 無法者が銃器を展開。

 そして、ヒナタのシールド目掛けて一斉に撃ち放つ。

 

「《5000GT》でT・ブレイク!! 《クロスファイア》で、シールドをW・ブレイクだ──ッ!!」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「師匠ーっ!! 師匠、やっちゃえーっ!!」

「黒鳥さん……!! こりゃ勝ったんじゃねえか!?」

「頑張ってーっ!!」

「オイオイ、マジかよ……」

 

 

 

 ノゾムは驚愕の表情を浮かべていた。

 

 

 

 

(この盤面で……まだ諦めてねえぞ……!? ヒナタ先輩は……!!)

 

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 

「S・トリガー、《ホーリー・スパーク》」

「ッ!!」

 

 

 

 誰もが、黒鳥の勝利を確信したその瞬間だった。

 無法者たちはその閃光を前にして平伏す。

 黒鳥の攻撃は、そこで終わった。

 

「引いたか……!! 《初不》……!!」

「あぶねーあぶねー、流石に今回ばっかりは負けると思ったぜ、《ロージア》も使えねーしよ」

「……貴様はそういうヤツだ。ここぞという時に……」

「だから、デュエマは面白いんだろ?」

「……そうだな」

 

 ヒナタは7枚のマナをタップする。

 

 

 

 

「──燦然世界を終わらせる三千の剣。次元を突き破り、此処に参戦ッ!!」

 

 

 

 

 バトルゾーンに突き刺さる無数の剣。

 それを手に取るのは──

 

 

 

 

「来い──《最終(ファイナル)龍覇 グレンモルト》!!」

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