学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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JO11話:亜堕無

「──《神ナル機カイ 「亜堕無」》だと……!?」

 

 

 

 これはまずい──かもしれない。

 確かアイツは《奇天烈シャッフ》と同じ、宣言した数字と同じコストのクリーチャーの攻撃と呪文を封じるのだ。

 

「コストは5を宣言!! 《JO》は次のターン、攻撃出来ねえぜェ! 無様にそこで突っ立っているんだなァァァァーッ!!」

 

 マズい。 

 これは非常にマズい。

 バウンスされた方がまだマシだった。

 場に居る《JO》は棒立。一方の俺は、手札に2枚目の《モモキングダムX》が居ないため、まだ退化出来ない。

 このデッキ、防御力はハッキリ言って脆弱も良い所だ。

 あの《「亜堕無」》とかいうクリーチャーは、よりにもよって攻撃の終わりに手札に戻り、再び場に出るという無限攻撃能力を持つのだ。

 一度手札に戻る以上、《JO》と違ってG・ストライクも通用しないのである。

 

「そして、《「亜堕無」》でシールドを攻撃だーッ!!」

 

 チャカッ、チャカッ、という音と共に──シールドが消し飛び、衝撃波が襲い掛かる。

 砲撃だ。

 あのロボットの砲弾で──あれ?

 

「しょうげき、波……!?」

 

 あまりにもそれが「当たり前」の事象で一瞬、疑問にも思わなかったが──こいつの攻撃で今、衝撃波が起こったのか!?

 しかも、あのバケモノの鎮座している床が沈んで、割れているように見える。

 

(やっぱあいつ、実体化してねえか……!?)

 

 となるとまずい。

 あいつをこれ以上攻撃させれば、被害が大きくなる可能性が高い。

 

「攻撃の終わりに《「亜堕無」》を手札に戻す。ターンエンド!!」

「相手の連続攻撃を事前に阻止できるかにかかってる……!」

 

 ……正直やりたくないが、こちらも腹を決めるしかないだろう。

 

「俺は5マナで《JO》を《キャンベロ<レッゾ.Star>》に進化!! これで次のターンの連続攻撃も封じる!!」

 

 攻撃は出来ないから、タダの延命措置だ。

 手札には《堕牛の一撃》があるので、次のターン、退化させて攻撃することは出来る。

 ……最も、また攻撃を止められなければ、の話であるが。

 

「しつけぇんだよ、オマエェ! 俺っちに気持ちよくデュエルさせろや!!」

「気持ちよくデュエルさせたらその時点でゲームが終わるから仕方ねえだろ!!」

「なら俺っちは4マナで再び《「亜堕無」》を場に出す……!! さあ、コスト5を宣言だ!!」

 

 攻撃の度に《「亜堕無」》は手札に戻り、また次のターンに《JO》を止めてくる。

 このままではいたちごっこだ。

 

「《「亜堕無」》でシールドをブレイク!!」

「ぐおっ!?」

「攻撃の終わりに手札に戻し、ターンエンドだ!」

 

 今度は砲弾が頬を掠め、後ろの機材を壁を爆破した。

 ……こいつを暴れさせたら、色々マズい。

 こうなればやるべきことは1つ。2度目の退化を決めるしかない。

 幸い今のドローで、良いカードが手札に来てくれた。

 

「俺は2マナで──《エボリューション・エッグ》を唱える!! 効果で、デッキから──げっ」

 

 俺は言葉を失った。

 無い。何処にも──《モモキングJO》が無いのだ。

 《エボリューション・エッグ》は山札からサーチするため、デッキに《JO》があるかも確認できるのだが──もう、無いのだ。

 

(シールドの中か!? 1枚はマナに置いちまったし……!! 1枚は場にある……!!)

 

 JO退化において投入する《JO》は3枚。

 残り1枚の行方は、それしか考えられない。

 残るは3マナ。この時点で色んな意味で終わっている。

 

「ッ……《モモキングダムX》を場に出して、ターンエンド!!」

「ハッハ!! 万策尽きたみてーだなぁ、白銀耀!! これで、お終いにしてやるよ!! 1マナで《アロマの海幻》を出し──《「亜堕無」》に進化!!」

 

 再び場に現れる《「亜堕無」》。

 場のタマシードは──4枚。ジャストキルだ。

 

「登場時に5を宣言! 《キャンベロ》をバインドする! 徹底的に嬲ってやるぜーッ!!」

 

 《「亜堕無」》の砲撃が次々に俺のシールドを薙ぎ払っていく。

 攻撃する度に手札に戻り、再び場に顕現。

 その後、更に攻撃を繰り返す。

 

「これで──終わりだーッ!!」

 

 最後のシールドが割られる。

 《JO》はやはりシールドにあった。

 此処で終わるのか?

 

 

 

 

(──明日は敵同士ですから)

 

 

 

 ……終われるかよ。

 終わって堪るか。俺にはまだ──

 

「S・トリガー、《バッドドック・マニアクス》!! 《キャンベロ》を破壊して、《「亜堕無」》を破壊だ!!」

「ッ……ん、なぁっ!?」

 

 ──果たしてない、約束があるッ!!

 

「俺のターン!! 5マナで手札から2体目の《モモキングJO》を場に出す!!」

「がっ、くそっ、な、何で──こんな──こんなヤツに──!!」

「”山に2枚目のJOが無い”なんて低い確率を俺が引いたんだ。デッキに4枚しかない《マニアクス》を引くくらい、許してくれよ」

 

 最も、ちゃんと相手が《マニアクス》のケアしてたら負けてたんだけどな。

 此処は理性がブッ飛んでて助かったというか何と言うか、余程場のJOが動き出すのが怖かったんだろうか。

 

「──《JO》で攻撃する時、効果発動! 《禁断のモモキングダム》にスター進化して、W・ブレイク!!」

「S・トリガー、《ツヴァイの海幻》、《コーライルの海幻》──」

「効かねえよ」

 

 《モモキングダム》はそれらの追撃を避け、再び鎧をパージさせた。

 

「もう1度《モモキングダム》で攻撃する時──《ボルメテウス・モモキング》にスター進化!!」

「あっ──」

「登場時に相手のシールドを1枚、墓地に送る!!」

 

 落とされたのは──《終末の時計 ザ・クロック》。

 ……何処までも、紙一重の試合だったな。

 

 

 

 

「──《ボルメテウス・モモキング》で、ダイレクトアタックだ!!」

 

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 

「プレイヤー側の理性がフッ飛んでしまい、《「亜堕無」》の性能を十全に生かせなかった、か。クク、それもまた良し」

 

 

 

 全ての試合を見届けたデモーニオは──何故か嬉しそうにつぶやいた。

 

「屈辱は鬼の力になります。あんなのに使われて、ADAMはさぞお怒りでしょう」

「怒りは、鬼の力になりますのでねェェェーッ!! それはそれで好都合!!」

「……今回の大会は良い。良き試合ばかりで、ADAMとEVEにもエモーショナルなエネルギーが溜まっている」

 

 笑みを浮かべた彼は、培養液に浸かった2枚のカードを見やると──

 

 

 

「次の試合も楽しみだ。我が悲願のため……目覚めてくれよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あばばばば、大変でござる……!! あいつら、鬼のカードを目覚めさせようとしているでござる……!!」

 

 

 

 ──モモキングは見た。

 幸い、彼ら自身は魔導司ではないのだろう。未だにモモキングの姿を視認している様子はない。

 事実、彼らからも魔力の類は確認できない。

 問題は、培養ポッドに入れられている2枚のカードだ。

 先の試合で耀が戦っていた《「亜堕無」》のカード、そして──《EVENOMIKOTO》と書かれたカードが浸かっている。

 

(見た目こそ同じだが、市井に出回るものとは違う、あの2枚は本物の”鬼”が封じられたカード……!! 目覚めたら大変なことになるでござる!!)

 

 早く戻って、この事を耀に報告せねば。

 そう思い、モモキングが踵を返したその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──誰だね? そこに居るのは──」

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