学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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JO14話:逆転の切札

「……一撃で終わらせる?」

「確かにループ系デッキなら、先に《ゲンムエンペラー》立てときゃあ大体シャットダウン出来るからな。だけど、今回の俺のデッキは違う」

「それは大方察していましたが──」

 

 ヒナタは6枚のマナをタップする。

 起動されたのは自然と水のマナだ。

 

「《蒼狼の王妃 イザナミテラス》召喚ッ! 効果で、山札の上から1枚をマナゾーンに置く!」

「ッ……!」

 

 鎧龍決闘学院時代、暁ヒナタが好んで使っていたカード《蒼狼の始祖アマテラス》。

 その系譜を継ぐカードであり、マナゾーンのコスト以下の進化クリーチャーに進化する。

 一瞬身構える紫月だったが、すぐさまマナのカードから見ても《キリコ³》が飛んでこないであろうことを察知する。

 

(ではあれから何を飛ばす? カチュアイカヅチ? いや──)

 

「生憎俺は一撃で消し飛ばすのが好みでな──さあ暴れようぜ。神の歌をこの場に轟かせる時だ!」

 

 すぐさま始祖の超獣は、その身を──巨大な巫女へと変えた。

 水流が周囲を覆っていき、暁ヒナタの背後に、それが現れ、絶唱した。

 

 

 

 

 

「暁の戦場に、勝利を刻め──神化、《エンペラー・キリコ》ッ!!」

 

 

 

 

 元、プレミアム殿堂カード。

 幾つもの伝説を作った、最恐の進化クリーチャーの一角。

 それを目の当たりにし、紫月は言葉を失った。 

 此処から何を出し、フィニッシュムーブに持っていくのか、想像すらつかない。

 

(何を狙っているのですか……!? キリコから出してこのブロッカー4体を貫通するカードなんて──そりゃあ幾らでもいますが、マナを見る限り、キリコにしては強力な大型で固めたようなデッキではない……!?)

 

「《エンペラー・キリコ》の効果発動。登場時に他のクリーチャーを全て山札の下に送り、その後、進化ではないクリーチャー3体──《めっちゃ! デンヂャラスG3》、《蒼狼の王妃 イザナミテラス》、《ACE(エース)-Yamata(ヤマタ)》をバトルゾーンへ!」

「《デンヂャラスG3》……ッ!?」

 

 現れたのはこの場に似つかわしくないふざけた巨大ロボット。

 しかし。

 ヒナタの不敵な笑みと合わさり、得体の知れなさを醸し出している。

 

「”シールドなんて要らねえ”──俺のクリーチャー3体に(ギャラクシー)・ブレイカーを付与する!!」

「そのブレイクは通りません。こちらには《ウェルキウス》2体に《ゲンムエンペラー》、《ミカドレオ》が居るのです」

「ブレイクを通すつもりなんてハナからないんだよなぁ!! ──《イザナミテラス》の効果で山札の上から1枚をマナに置く。そして──マナゾーンから《S級宇宙(スペース)アダムスキー》に進化させる!」

「ッ……!?」

「進化クリーチャーは進化元に付与された効果を引き継ぐ。従って、この《アダムスキー》はG・ブレイカーも引き継いでいる!!」

 

 これで紫月は凡そのコンボの全容を理解した。

 《アダムスキー》は、相手のシールドをブレイクする代わりに──山札を消し飛ばす進化クリーチャーだ。

 

「《アダムスキー》はブロックされない。そして攻撃時にブレイクするシールドの数×2枚の山札を墓地に送る」

「ッ……!」

「普段なら何回も攻撃しなきゃいけないところ──G・ブレイカー付与で、俺と君、合計11枚のシールドをブレイクできる。この意味が分かるよな?」

 

 G・ブレイカーとは、相手だけではなく自分のシールドもブレイクする能力だ。

 この時点で紫月の山札は全て消し飛ばされるのである。

 仮に山札がギリギリ残ったとしても、横には《エンペラー・キリコ》が立っており、《アダムスキー》のS級侵略[宇宙]によって進化させることが可能だ。

 この破壊的山札破壊は2度来る。敗北から逃れる手段は無い。

 

「……良いデッキだったが……俺は太陽なんでね。もう誰にも落とされるわけにはいかねえんだよ」

「ッ……ごめんなさい、師匠……」

 

 頭を垂れる紫月。

 太陽はあまりにも大きい。

 

 

 

 

「これで終わりだ。《アダムスキー》はブロックされねえ! シールドへ攻撃する代わりに山札を破壊する!」

 

 

 

 

 一気に紫月の山札が──消し飛んだ。

 

 

 

 

 

 

「……ライブラリアウトだ。相手が悪かったな」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「《<鬼羅.Star>》の効果発動!! 手札から《謎の光 リリアング》を場に出し、更に《緊急再誕》で《リリアング》を破壊して《蒼狼の大王 イザナギテラス》を場に出すデスよ!」

 

 最も、破壊された《リリアング》はシールドを1枚犠牲にすることで生き残るのであるが。

 更に追加で現れた《イザナギテラス》は、カードをサーチする上に手札から3コスト以下の呪文を唱えられるイカれた4コストブロッカーだ。

 ドラゴンまで種族に付いている恐ろしいクリーチャーである。

 

「《イザナギテラス》の効果で、デッキから5枚を見て《T・T・T》を唱えるデース! 3枚ドローデスよ!」

「オ、オイ、マジかよ、どんだけ引けば気が済むんだ……!?」

「そのまま、攻撃する時、また《エヴォ・ルピア》を出して、《正義星帝<鬼羅.Star>》に進化デース! その登場時効果で2体目の《奇天烈シャッフ》を召喚しマース!」

「ギャーッ!? ま、まさか止めるのは」

「当然、《スーパー・スパーク》の5、デース!」

 

 巨大なゴーレムを背負ったメタリカ、《正義星帝<鬼羅.Star>》の拳が耀のシールドを叩き割る。

 赤緑ボルシャックのトリガーは薄い。せいぜい、《スーパー・スパーク》くらいなものである。

 加えて、一瞬で3体ものクリーチャーを展開した恐るべき横並び能力。

 しかも、《<鬼羅.Star>》の余計な最後の1文によって4コスト以下のクリーチャーにはブロッカーが付与されているのである。

 

(次のターンが帰ってきても、ブロッカー化したメタクリ共を突破しなきゃいけないってマジ?)

 

 攻撃出来るのが《<鬼羅.Star>》だけなのが救いだ、と俺の額には汗が伝っていたが──

 

「2体目の《<鬼羅.Star>》で攻撃する時、効果発動! 今度は《カダブランプー》を場に出して、アンタップしマース!」

「や、やべぇ、ふざけんじゃねえ!?」

「W・ブレイク、デース!」

 

 トリガーなどあるワケがない。

 速度と構築の純化に頼ったデッキであるがゆえに《切札勝太&カツキング~熱血の物語~》すら入ってないのだから。

 

「もう1発、《<鬼羅.Star>》で攻撃する時、最後のダメ押しに《その子供、可憐につき》を出すデスよ!」

 

 スピードアタッカーも進化クリーチャーもマッハファイターもタップインするカードだ。

 あくまでもターンを渡しても俺に勝たせるつもりは無いらしい。

 しかもその効果で、コスト4以上のクリーチャーはスピードアタッカーになっている。

 残り攻撃出来るのって、《奇天烈シャッフ》に《カダブランプー》、《イザナギテラス》に《テスタ・ロッサ》の4体だろ?

 こいつら全員を止めることが出来るのか?  

 ……いや、止めるしかない。止めなければ、決勝に進むことなど出来ない。

 

「どうデスか? アカル。私、結構強くなったと思うんデスけどね?」

「……よくやったよ、お前は。最初はルールすらおぼつかなくって、《シャーロック》を入れた墓地退化しか組まないとしか言ってたようなヤツが……」

「そ、そのことはもう良いじゃないデスか! ホームズは今でも私のバイブル、デス!」

「今となっちゃ、シャッフの数字宣言をきっちり当てられる上に、こんな強いデッキまで使いこなせるようになったんだからな……デュエマ部・元部長として鼻が高ぇよ」

「えっへへへへ……」

 

 少しブランは照れたように言った。

 

「……私、アカルにデュエマを教えて貰ってよかったと思ってるデス。そして、デュエマ部の皆が一緒に居てくれるのが嬉しいんデス」

「ブラン……」

「このラッカ鬼羅.Starは強いのは勿論デスけど……火、水、光……ジョーカーズ。デュエマ部のカラー、ってカンジデショ? だから、アカル相手に使いたかったんデスよ」

「お前……そんなことまで考えて……」

 

 ヤバい。

 少し泣きそうだ。

 銃口さえ突きつけられたも同然の場面でなければ、もっと感動出来たんだけど。

 

「と言う訳で、このまま気持ちよーく勝たせていただきマスよ! 《シャッフ》攻撃時8宣言ッ!!」

 

 畜生!!

 しっかり《シャッフ》から攻撃してきやがった!!

 シールドは0。盤面は《栄光・ルピア》だけ。

 ならば──やることは一つしかない。

 

 

 

 

「革命0トリガー!! 《ボルシャック・ドギラゴン》、宣言!!」 

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