学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】 作:タク@DMP
「……一撃で終わらせる?」
「確かにループ系デッキなら、先に《ゲンムエンペラー》立てときゃあ大体シャットダウン出来るからな。だけど、今回の俺のデッキは違う」
「それは大方察していましたが──」
ヒナタは6枚のマナをタップする。
起動されたのは自然と水のマナだ。
「《蒼狼の王妃 イザナミテラス》召喚ッ! 効果で、山札の上から1枚をマナゾーンに置く!」
「ッ……!」
鎧龍決闘学院時代、暁ヒナタが好んで使っていたカード《蒼狼の始祖アマテラス》。
その系譜を継ぐカードであり、マナゾーンのコスト以下の進化クリーチャーに進化する。
一瞬身構える紫月だったが、すぐさまマナのカードから見ても《キリコ³》が飛んでこないであろうことを察知する。
(ではあれから何を飛ばす? カチュアイカヅチ? いや──)
「生憎俺は一撃で消し飛ばすのが好みでな──さあ暴れようぜ。神の歌をこの場に轟かせる時だ!」
すぐさま始祖の超獣は、その身を──巨大な巫女へと変えた。
水流が周囲を覆っていき、暁ヒナタの背後に、それが現れ、絶唱した。
「暁の戦場に、勝利を刻め──神化、《エンペラー・キリコ》ッ!!」
元、プレミアム殿堂カード。
幾つもの伝説を作った、最恐の進化クリーチャーの一角。
それを目の当たりにし、紫月は言葉を失った。
此処から何を出し、フィニッシュムーブに持っていくのか、想像すらつかない。
(何を狙っているのですか……!? キリコから出してこのブロッカー4体を貫通するカードなんて──そりゃあ幾らでもいますが、マナを見る限り、キリコにしては強力な大型で固めたようなデッキではない……!?)
「《エンペラー・キリコ》の効果発動。登場時に他のクリーチャーを全て山札の下に送り、その後、進化ではないクリーチャー3体──《めっちゃ! デンヂャラスG3》、《蒼狼の王妃 イザナミテラス》、《
「《デンヂャラスG3》……ッ!?」
現れたのはこの場に似つかわしくないふざけた巨大ロボット。
しかし。
ヒナタの不敵な笑みと合わさり、得体の知れなさを醸し出している。
「”シールドなんて要らねえ”──俺のクリーチャー3体に
「そのブレイクは通りません。こちらには《ウェルキウス》2体に《ゲンムエンペラー》、《ミカドレオ》が居るのです」
「ブレイクを通すつもりなんてハナからないんだよなぁ!! ──《イザナミテラス》の効果で山札の上から1枚をマナに置く。そして──マナゾーンから《S級
「ッ……!?」
「進化クリーチャーは進化元に付与された効果を引き継ぐ。従って、この《アダムスキー》はG・ブレイカーも引き継いでいる!!」
これで紫月は凡そのコンボの全容を理解した。
《アダムスキー》は、相手のシールドをブレイクする代わりに──山札を消し飛ばす進化クリーチャーだ。
「《アダムスキー》はブロックされない。そして攻撃時にブレイクするシールドの数×2枚の山札を墓地に送る」
「ッ……!」
「普段なら何回も攻撃しなきゃいけないところ──G・ブレイカー付与で、俺と君、合計11枚のシールドをブレイクできる。この意味が分かるよな?」
G・ブレイカーとは、相手だけではなく自分のシールドもブレイクする能力だ。
この時点で紫月の山札は全て消し飛ばされるのである。
仮に山札がギリギリ残ったとしても、横には《エンペラー・キリコ》が立っており、《アダムスキー》のS級侵略[宇宙]によって進化させることが可能だ。
この破壊的山札破壊は2度来る。敗北から逃れる手段は無い。
「……良いデッキだったが……俺は太陽なんでね。もう誰にも落とされるわけにはいかねえんだよ」
「ッ……ごめんなさい、師匠……」
頭を垂れる紫月。
太陽はあまりにも大きい。
「これで終わりだ。《アダムスキー》はブロックされねえ! シールドへ攻撃する代わりに山札を破壊する!」
一気に紫月の山札が──消し飛んだ。
「……ライブラリアウトだ。相手が悪かったな」
※※※
「《<鬼羅.Star>》の効果発動!! 手札から《謎の光 リリアング》を場に出し、更に《緊急再誕》で《リリアング》を破壊して《蒼狼の大王 イザナギテラス》を場に出すデスよ!」
最も、破壊された《リリアング》はシールドを1枚犠牲にすることで生き残るのであるが。
更に追加で現れた《イザナギテラス》は、カードをサーチする上に手札から3コスト以下の呪文を唱えられるイカれた4コストブロッカーだ。
ドラゴンまで種族に付いている恐ろしいクリーチャーである。
「《イザナギテラス》の効果で、デッキから5枚を見て《T・T・T》を唱えるデース! 3枚ドローデスよ!」
「オ、オイ、マジかよ、どんだけ引けば気が済むんだ……!?」
「そのまま、攻撃する時、また《エヴォ・ルピア》を出して、《正義星帝<鬼羅.Star>》に進化デース! その登場時効果で2体目の《奇天烈シャッフ》を召喚しマース!」
「ギャーッ!? ま、まさか止めるのは」
「当然、《スーパー・スパーク》の5、デース!」
巨大なゴーレムを背負ったメタリカ、《正義星帝<鬼羅.Star>》の拳が耀のシールドを叩き割る。
赤緑ボルシャックのトリガーは薄い。せいぜい、《スーパー・スパーク》くらいなものである。
加えて、一瞬で3体ものクリーチャーを展開した恐るべき横並び能力。
しかも、《<鬼羅.Star>》の余計な最後の1文によって4コスト以下のクリーチャーにはブロッカーが付与されているのである。
(次のターンが帰ってきても、ブロッカー化したメタクリ共を突破しなきゃいけないってマジ?)
攻撃出来るのが《<鬼羅.Star>》だけなのが救いだ、と俺の額には汗が伝っていたが──
「2体目の《<鬼羅.Star>》で攻撃する時、効果発動! 今度は《カダブランプー》を場に出して、アンタップしマース!」
「や、やべぇ、ふざけんじゃねえ!?」
「W・ブレイク、デース!」
トリガーなどあるワケがない。
速度と構築の純化に頼ったデッキであるがゆえに《切札勝太&カツキング~熱血の物語~》すら入ってないのだから。
「もう1発、《<鬼羅.Star>》で攻撃する時、最後のダメ押しに《その子供、可憐につき》を出すデスよ!」
スピードアタッカーも進化クリーチャーもマッハファイターもタップインするカードだ。
あくまでもターンを渡しても俺に勝たせるつもりは無いらしい。
しかもその効果で、コスト4以上のクリーチャーはスピードアタッカーになっている。
残り攻撃出来るのって、《奇天烈シャッフ》に《カダブランプー》、《イザナギテラス》に《テスタ・ロッサ》の4体だろ?
こいつら全員を止めることが出来るのか?
……いや、止めるしかない。止めなければ、決勝に進むことなど出来ない。
「どうデスか? アカル。私、結構強くなったと思うんデスけどね?」
「……よくやったよ、お前は。最初はルールすらおぼつかなくって、《シャーロック》を入れた墓地退化しか組まないとしか言ってたようなヤツが……」
「そ、そのことはもう良いじゃないデスか! ホームズは今でも私のバイブル、デス!」
「今となっちゃ、シャッフの数字宣言をきっちり当てられる上に、こんな強いデッキまで使いこなせるようになったんだからな……デュエマ部・元部長として鼻が高ぇよ」
「えっへへへへ……」
少しブランは照れたように言った。
「……私、アカルにデュエマを教えて貰ってよかったと思ってるデス。そして、デュエマ部の皆が一緒に居てくれるのが嬉しいんデス」
「ブラン……」
「このラッカ鬼羅.Starは強いのは勿論デスけど……火、水、光……ジョーカーズ。デュエマ部のカラー、ってカンジデショ? だから、アカル相手に使いたかったんデスよ」
「お前……そんなことまで考えて……」
ヤバい。
少し泣きそうだ。
銃口さえ突きつけられたも同然の場面でなければ、もっと感動出来たんだけど。
「と言う訳で、このまま気持ちよーく勝たせていただきマスよ! 《シャッフ》攻撃時8宣言ッ!!」
畜生!!
しっかり《シャッフ》から攻撃してきやがった!!
シールドは0。盤面は《栄光・ルピア》だけ。
ならば──やることは一つしかない。
「革命0トリガー!! 《ボルシャック・ドギラゴン》、宣言!!」