学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

298 / 316
JO15話:鬼の神

 ──《ボルシャック・ドギラゴン》。

 相手が自分を攻撃する時、シールドが無ければ現れる逆転の一手。

 登場時に山札の上を捲り、それが火のクリーチャーであれば、それを進化元にして現れ、相手クリーチャーをバトルで破壊する。

 しかし、それだけではなく、この時捲ったクリーチャーの登場時効果も使う事が出来るのだ。

 

「……捲れたカードは──《王来英雄 モモキングRX》だッ!!」

「んなぁっ!?」

「ちょっち運任せになるけど……まあ仕方ねえだろ。《ボルシャック・ドギラゴン》の効果で《シャッフ》を破壊!!」

「でも、後2体、残ってるデスよ!!」

「まだだ! 《RX》の効果発動!! 手札を1枚捨てて2枚引き、こいつから進化できる進化クリーチャーを重ねる!」

 

 ……あれだけシールドをブレイクされたのだ。

 既に切札は出揃っている。

 

 

 

「これが俺の燃え滾る切札(バーニングワイルド)!! スター進化──《ボルシャック・モモキングNEX》ッ!!」

 

 

 

 NEXの鎧を身に纏った《モモキング》。

 その力は、仲間を呼ぶ力だ。

 そして、メタクリーチャー達の効果は俺のターンには及ばない。

 

「《ボルシャック・モモキングNEX》の効果発動! 山札の上から1枚を表向きにし、それが火のクリーチャーかレクスターズなら場に出す──」

「《決闘・ドラゴン》狙いデスか……ッ!?」

「それが来れば一番手っ取り早いんだが──お」

 

 捲れたカードは──《ボルシャック・NEX》だ。

 

「来た! 《ボルシャック・NEX》の効果で、デッキから《凰翔竜機ワルキューレ・ルピア》を場に出す!」

 

 そっちがブロッカー付与なら、こっちもブロッカー付与だ。

 俺の場にいるドラゴン達は全て、防御札となった。

 《モモキングNEX》だけがタップインしているものの、残りの《ボルシャック・NEX》、《ワルキューレ》、《栄光》で、残る攻撃を止めることは可能だ。

 

「攻撃はもう通らないデスか……ターンエンドデス!! 都合よく良いカードを引くなんてぇ!」

「いやいや、《決闘ドラゴン》でも返せてたからセーフセーフ」

 

 ……つっても確率的には30%だったんだよな、確実にこの盤面を防げるカードを引ける確率。

 先ず此処まで追い詰められている時点で負け濃厚だったわけだし。

 

「ところでブラン、お前のクリーチャー、コスト4以下はブロッカーになってるんだったな」

「? そうデスよ! しかも、ターンの終わりに皆アンタップするデス!」

「じゃあこの勝負──俺の勝ちだ!!」

「──あっ!!」

 

 ブランの顔がみるみる蒼褪めていく。流石に何かを察したのだろう。

 やっぱり入れておくものである。

 ブロッカー対策というものは──

 

 

 

 

「──来い、《龍騎旋竜 ボルシャック・バルガ》!! 効果でブロッカー全破壊だッ!!」

 

 

 

 次の瞬間、《リリアング》以外のブランの場のクリーチャーが全て消し飛んだ。

 《ボルシャック・バルガ》は登場時効果で相手のブロッカーを全て破壊する効果を持つ。

 そして、《<鬼羅.Star>》でブランのクリーチャーは皆ブロッカー化している。

 名だたるメタクリーチャー達も当然のように破壊されていった。

 これで、俺の展開を邪魔するカードは無い。

 

「スター進化!! 《栄光・ルピア》を《ボルシャック・モモキングNEX》に──ッ!!」

「ひ、ひえええええ!? こいつら止められるS・トリガーなんて入ってないデスよーっ!?」

 

 そりゃそうだろう。

 ラッカ鬼羅.Starは、盤面で守りを固めることは出来ても、S・トリガーを入れられるスペースなんて殆ど無い。

 G・ストライクくらいは入っているだろうが、防御札を入れると展開力が鈍ってしまうのだ。

 

 

 

「悔しいデスけど……次は絶対勝つデスからね、アカルーッ!!」

「おうよ、何回でもかかってきやがれーッ!!」

 

 

 

 ボルシャック達の一斉攻撃がブランに突き刺さる。

 S・トリガーは無く、勝負は決するのだった。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 

「……ん? おかしいな」

 

 

 

 

 ヒナタは、妙な静けさに違和感を覚えていた。

 勝負は決まったはずだ。

 紫月の山札は全て墓地へ送ったはず。

 この時点で、勝敗は決するはず。

 

「ごめんなさい、師匠──太陽を落とすのは、やっぱり私が先だったようです」

 

(貴様を落とすのは──僕だ、ヒナタ)

 

「ッ……レン……!?」

 

 暗野紫月の顔に──黒鳥レンのそれがフラッシュバックし、ヒナタは目を見開く。

 消し飛ばしたはずの紫月の山札が、全回復しているのだ。

 思わず《キリコ》に手を掛けようとして、それが無駄であることを悟った。

 

「あー……成程ね。成程成程だわ。……君、想像以上に強いっつーか……強かだな」

「──諦めの悪さまで、似てしまいましたから」

「それも……レンから教わったのか?」

「いいえ。こっちは一番、大事な人から、ですよ」

「流石は天才ビルダーだ。コンボデッカーだからこそ、コンボデッキを殺す手段も知り尽くしてる、か──デッキに、《【クリック】》を入れてたな?」

 

 正式名称《【今すぐ】うわっ…相手の攻撃止めすぎ…【クリック】》。

 ふざけた名前のカードであるが、コスト5以下のクリーチャーの攻撃とブロックを止める優秀な呪文だ。

 しかし同時に、墓地へ送られた時に墓地のカードを山札に戻す効果を持つのである。

 これにより、一気に破壊された紫月の山札は──全て、元に戻った。

 そして、このカードもデッキに戻るため、ライブラリアウトは絶対に通用しないのである。

 

「ッ……あーあ、マジかよ。折角ブチかましたのに……山札破壊が完璧に決まっても勝てねえって思わないよなあ。世界には強いヤツがいっぱいいるって聞いてたけど……君もその一人だったか」

「と言っても、メタカードがたまたま刺さっただけですがね」

「いーや、構築の段階で、相手がどうやって突破してくるのか何通りにも計算したってところだろ? その抜け穴を塞いだってところか? 俺の方は、今時ライブラリアウトなんて警戒するヤツなんていねーって思って組んだのに」

「最近の対話拒否のトレンドは、特殊勝利かスコーラーですからね。大体は《ゲンムエンペラー》でケアすれば何とかなるので。後は──デッキ破壊だけでした」

「お見事だよ、マジで……」

 

 ヒナタは肩を竦める。

 後に待ち受けるのは──《ミカドレオ》による勝利宣言だけだ。

 

 

 

 

 

「──それでは《ミカドレオ》の効果発動──私の勝利です」

 

 

 

 

 ──虎の間。

 勝者、暗野紫月。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「──見て見て! 見てくださいっ! しづが! しづが勝ちましたーっ!」

「ぐびびび、ぐびが、じまる──」

「お兄ーッ!?」

「おい翠月、刀堂兄が死んじまうから離せ!!」

 

 

 

 かつてない大盛り上がりを見せる暗野宅。

 ノゾムが泡を吹きながらも、耀の、そして紫月の勝利を祝福するのだった。

 

「お、おかしい、おかしいだろ……何でヒナタ先輩だって、あんな馬鹿みたいなデッキを……いや、馬鹿だからか? 生粋のデュエマ馬鹿だからあんなふざけたデッキ使ったのか? ガチガチのリーグ戦じゃないからと言って変なデッキを持ち出してんじゃねー!!」

 

 普通に青黒スコーラーなら勝ってただろー!! と言わんばかりのノゾム。

 少なからずヒナタに勝ってほしい気持ちがあったのだろう。

 

「世の中オメーみたいに全部を合理的に考えるヤツばっかじゃねえんだよ、刀堂兄の方。プロは魅せる試合もしなきゃいけねえしな。どうせ普通に殴るデッキなら天門撃たれた時点で負けてるだろーが、相性負けだよ」

「そ、そうだよな……あのコンボ自体は即死コンボだったしな……悪い、ヒナタ先輩が負けたのを見て取り乱した」

「紫月ちゃん、勝っちゃうなんて……!」

「だから言ったんです! うちのしづは、すごいんですよっ!」

「って事は……決勝戦は」

「ああ。世界最強クラスのプロプレイヤーを屠った紫月と──」

「耀の頂上決戦、ってところか」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 

「侵入者か。大方、白銀耀達が連れてきたペットというところだろう」

「貴様等、何が目的でござるか!! 何故、某の姿が見えているでござるか!!」

 

 

 

 モモキングは刀を抜こうとする。

 しかし。デモーニオの身体からは、普通の人間からは考えられない程の圧力を感じる。

 まるで、中に何かが潜んでいるかのようだ。自らの主人のように。

 

「デモーニオ様。何が見えているのですか? 何かが居ることは分かりますが……」

「何、ネズミだ。どうせ君達には見えんよ。ジョン、ジェーン、下がってなさい」

「……」

「君の相手は、このデモーニオが務めよう、ネズミ君」

 

 デモーニオの右手に──槍が現れる。

 そして、神速の薙ぎ払いがモモキングに襲い掛かる。

 それを刀で受け止めるが、明らかにクリーチャー以上の馬力を持つそれを抑えきれない。

 

「此処まで辿り着いたことは褒めてやろう。だが、俺様は生憎、此処で止まる訳にはいかんのだ──!」

「鬼を解放すれば、世界は大変なことになるでござる! 人間が鬼に喰われる末法の時代が来るでござるよ!」

「的外れな指摘だ! 鬼など我々の力で制御できるからな!」

「ぐっ、ぐぐぐーッ!?」

「ほうれ、これが鬼の力だ!!」

 

 モモキングは、この姿でも力には自信があった。

 しかし、もう少しで組み伏せられてしまう。

 最早万事休すと思われたその時──

 

 

 

 

「どりゃあああああああああーっっ!!」

 

 

 

 

 そんな声が他所から飛んでくる。

 次の瞬間、硝子にヒビが入る音が鳴る。

 培養液槽に──剣が突き刺さっていた。

 方や氷、方や水晶。 

 それを投げ付けたのは──

 

「何ッ!?」

 

 ──サッヴァーク。そしてシャークウガだった。

 培養液槽は粉々に砕け散り、液が漏れていく。

 

「助太刀に参った」

「クリーチャーの力を秘めた槍……もうこれは限りなくクロだぜ!! しかも鬼の力とはな!!」

「サッヴァーク氏!! シャークウガ氏ッ!!」

 

 

 

 

「馬鹿め!! もう遅いわ!!」

 

 

 

 

 黒いオーラが周囲を包み込む。

 培養液槽に浸かっていた2枚のカードが、禍々しく光り輝いている。

 

「んな!? 今しがたブチ砕いたはず──」

「もう既に魔力が溜まっていたというのか!?」

「くっくっ、準決勝はなかなか良い試合だったようだ。このような戦いを、私は求めていた」

 

 デモーニオは高笑いする。

 

 

 

 

 

「──先の試合で、エネルギーは既に満タンだったのよ!! 「亜堕無」!! EVENOMIKOTO!! 復活せよーッッッ!!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。