学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】 作:タク@DMP
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「……好い気になるなよ、白銀耀!! 例えデュエルであろうと、俺達の戦力差は歴然なんだからなァ!!」
咳き込みながら、彼は2枚のマナをタップする。
早速、禁断の槍が幾つも降り注ぎ、闇文明の力を身に纏った《モモキングダムX》が現れる。
赤黒の鬼レクスターズに、あのカードの相性は最高。
タマシードが場に出る度に、封印が1枚ずつ剥がれていくのだ。
「……2マナ。《ジャスミンの地版》を発動ッ!!」
「手緩いな! こちらは2マナで《シブキ将鬼の封》、1マナで《ストリエ雷鬼の封》を発動!!」
次々に《モモキングダムX》の封印は解放されていく。
残りは3つだ。打点で押し切られるのは、このデッキにとっては苦しい……!
相手の場のタマシードは2枚。少なくとも、2体の進化クリーチャーが場に出てくるわけだ。
「ウッ、ウッウウウ……マスター殿ォ……ッ!!」
「くそぉ、モモキング……! 絶対に助けてやるからな!」
「助からんよ、ヤツは。もう体も心も鬼になっているからな!」
「さっき守護獣を檻にも入れられなかったあんたが言っても、説得力が欠片もねぇよ!」
「何ィ!? あ、あれはちょっと、目ェ離してただけだし!」
……薄々察してはいたけれど。
「……あんた、悪役向いてねーよ」
「はぁ──ッ!?」
「悪い事なんて、結局出来ねえようになってんだよ。鬼の力なんて手放せ、って! 《ライフプラン・Reチャージャー》発動!」
この呪文は、デッキから5枚を見てクリーチャーを手札に加えるカードだ。
それで俺が手札に加えるのは、《オウ禍武斗<サンマ.Star>》。
場に出た時にマナのカードを3枚増やす、侵略持ちのレクスターズの進化クリーチャーだ。
そして、手札にある他の2枚のカードがあれば、俺は──次のターンで勝負を決められる。
(麻雀とは誰が言ったか……役が揃って、マナさえ溜まれば、その時点で俺のアガリが確定する……ヤツを倒すにはこれしかねえ!)
「──させんぞ。《マガン金剛<Nワル.鬼>》に進化!!」
「げっ!?」
現れたのは、サイバー・N・ワールドを鬼化させたようなクリーチャー。
その魔眼により、俺の手札からカード2枚が零れ落ちる。
あ、あああ! 後ちょっとだったのに……!
「効果でデッキからカードを2枚墓地に落とし、その2枚がタマシードならば相手の手札を破壊する!」
「《<サンマ.Star>》と《モンキッド<ライゾウ.Star>》が……!」
「何を考えていたかは知らんが、今の手札破壊は相当な痛手だったようだな? 白銀耀」
「ッ……!」
「さっきとはデッキが違うが、凡そ決勝戦で使うはずだったデッキでも持ってきたのかね? お生憎様だが、鬼には……勝てんよ」
冗談じゃない。
同じ相手に二度も負けて堪るか。
「諦めねえぞ……! 《ジャスミンの地版》を《晴舞龍ズンドコ・モモキング》に進化! 効果でマナを増やす……!」
「……残念だ。こんな所で終わりになるとはね」
言った彼は、5枚のマナを払う。
タマシードの1枚が──その姿を変えていく。
天が裂け、稲光が落ちる。
周囲には邪悪な気配が満ちていく。
この嫌な空気の正体はきっと──デモーニオの持つ、あの槍からだ。
「……スター進化!! 《
槍が変形し、龍の如き鬼へと姿を変える。
空間を引き裂き、幾つもの宝玉を従え、混沌の鬼は戦場へ降り立った。
そして、引き裂かれた時空から更なる鬼が現れる。
「──このターンで終わりにしてやろう! 《
「ッ……ってことは、来るのは……!」
「タマシードは《ドラヴィ圧鬼の封》! そして、進化クリーチャーは──」
幾つもの超獣の怨念を身に纏った鬼が、降り立つ。
デモーニオの背後で、それは咆哮してみせる──
「百鬼夜行、鬼の王が来たりて!! 《終来王鬼 ジャオウガ》!!」
混沌の鬼に続き、ジャオウガそのものが場に現れる。
そして、数々のレクスターズの力を溜め込んだことにより──《モモキングダムX》の鎧も弾け飛ぶ。
「……さあ、終わりだ。禁断解放」
槍が吹き飛び、滅びの光が放たれる。
《ズンドコ・モモキング》は消し飛び、後には鬼の大群が残るのみ。
パワー99999の超パワークリーチャーが、俺を見下ろしている。
「……ッこのデッキから有効牌が2枚以上出る確率は……計算しても、仕方ねえか……!!」
「行くぞ!! 《邪王来混沌三眼鬼》でW・ブレイク!!」
トリガーは無い。
しかも、残る後続は3体。
《マガン金剛》に《ジャオウガ》、《モモキングダムX》の3体だ。
そして、T・ブレイカーの《モモキングダムX》の攻撃が迫る。
槍が次々に降り注いでいく。
こいつらを全部止められる札なんて──
「マスター殿ォ……!!」
「ッ! モモキング!」
声がした気がした。
今、モモキングが俺のことを呼んだ。
「……某も戦うでござる、マスター殿も……諦めちゃ、ダメでござる……ッ!!」
「……」
そうだよな。
お前が苦しんでる時に。
俺が諦めるのは……絶対に有り得ねえよな。
例え今は相対していても、俺達は相棒だ。
共に闘うパートナーなんだ!
「《モモキングダムX》でT・ブレイク!!」
「……俺ってバカだよな。こんなに沢山の人に、仲間に助けられてたのに、自分ひとりでケジメ付けるつもりで居たんだからよ」
砕け散るシールド。
破片が俺を切り裂いていく。
だけど、もう負ける気はしなかった。
「G・ストライク……《ライフプラン・Reチャージャー》、そして」
……サンキュー、モモダチ!
離れていても、俺達は仲間だぜ!
「G・ストライク、《モモスター・モンキッド》!!」
《ジャオウガ》と《マガン金剛》の身体は雷に打たれたように痺れ、動かなくなってしまう。
2枚のG・ストライク札……この場は耐え切った!
「バカな! 2枚もG・ストライクを!?」
「……0じゃねえ限り、有り得るんだよ! 何にもトリガーをケアしてないなら、文句は言えねえよなあ!」
少なくとも、ノゾム兄ならそう言うはずだ。
そして、これで全ての札は揃った。
さっき《ズンドコ・モモキング》が場を離れた時の効果で、俺はマナゾーンから必要なコンボパーツを揃えていたのだ。
そしてシールドから加わったカード。
これで……逆転の準備は整った!
「《邪王来》の効果で全てのクリーチャーは可能ならば攻撃しなければならない……! 貴様を待ち受けているのは地獄のタマシード・S・トリガーたちだぞ!」
「だろうな。だから、シールドには触れねえ。元より、これで勝つことしか考えてなかったからな」
「何のつもりだ……!?」
「……一点は狙わねえ。全部まとめて、吹き飛ばすぜ!!」
……モモキング、ありがとう。
やっぱりお前は最高の相棒だ!
「6マナをタップ」
<
「よう、久しぶりだな。……紫月との試合で使うつもりだったけど、前倒しだ。頼むぜ──これが俺達の全力全壊ッ!! 俺を進化元に──スターMAX進化だッ!!」
旋風が巻き起こる。
鬼による本能解放なんかじゃない。
俺自身の意思で全てを突き貫く、自由の風を、此処で起こす!
「これが俺の
それは──ジョーカーズの中でも最も「自由」とされる存在。
純然たる龍にして、人の創造した龍。
そして、全ての弾丸を友とする者だ。
降り立ったジョラゴンは、無数の火器を身に着け、その弾丸を目掛けて充填していく。
「ジョラゴン、だとォ!?」
「ああ──全ての銃が味方だッ!!」
手札も。
マナゾーンも。
全て、フルチャージだ……!
「発動、ジョラゴン・
<《<ライゾウ.Star>》ローディング>
「──これで完成!! 名付けて《G・ジョラゴン<ライゾウ.Star>》!!」
装填するのは《モンキッド<ライゾウ.Star>》。
その効果は、出た時にマナゾーンにカードを1枚置いて、マナゾーンの数よりコストの小さい進化クリーチャーを呼び出す事だ!
「そして、この状態のジョラゴンに進化クリーチャーを重ねる事で、装填したクリーチャーの出た時の能力を使用できる!」
「何!?」
「……《ジョラゴン》で攻撃する時、侵略発動!! 《オウ禍武斗<サンマ.Star>》!!」
これで、《オウ禍武斗<サンマ.Star>》の効果が解決される。
そして、コピーした《<ライゾウ.Star>》の効果も解決される!
「その効果でマナにカードを3枚増やし、そしてマナゾーンから《<ライゾウ.Star>》を重ねる! そしてまた《G・ジョラゴン<ライゾウ.Star>》の効果でマナゾーンから《超獣軍隊ダディパイン》を場に出す──」
「待て、まさか……!」
「気付いたみてーだな。マナゾーンに進化クリーチャーが居る限り、このループは続く!!」
俺のマナゾーンには、《ダディパイン》の5ブーストにより、また《<サンマ.Star>》が落ちている。
まだまだ連鎖されることが出来る。
次々にその上には《ズンドコ》が、《サンマ.Star》が重ねられていき、その度にマナが増えていく。
「だが、そこからどうやって勝つつもりだ!? そのままでは貴様の山札が切れるぞ!!」
「安心しろよ。……お前はもう、勝てねえぜ。《<ライゾウ.Star>》の効果発動!!」
その上に重ねるのは──進化の頂点。究極進化だッ!!
「──究極進化、《神羅サンダー・ムーン》!!」
現れたのは、雷霹を操る神の月。
その権能は、マナゾーンから好きな呪文を唱える事だ──ッ!!
「わりーな。逆転はさせねぇ。《一王二命三眼槍》で凌がれるのも、もうゴメンだしな。ラストワード……《オールデリート》!!」
「……そ、その呪文は」
「効果で、互いのプレイヤーのシールド、手札、墓地のカードを全てシャッフルして山札に戻す!!」
その場には大嵐が巻き起こる。
無論、スター進化で場に残るタマシード達は退かせない。
だが、重要なのは互いにシールドも、手札も、もう存在しない事だ。
デモーニオも、俺の場も、ガラ空きだ。
「だが、お前もミチヅレだ──ッ!! 俺様が進化クリーチャーを引けば、その時点でお前の負け──いっ」
その頭に《ジョラゴン》の銃口が突きつけられる。
最後の一撃、残しておかないわけが無いだろ?
「……言ったろ、《<ライゾウ.Star>》の効果をストックしたって」
「ま、まさか、そんなことが──」
「──《G・ジョラゴン》で、ダイレクトアタック!!」
全力全開。
全てをデモーニオにぶつける。
鬼を──剥がす勢いで!!
「フルチャージッ!!」
「くっ、おのれ、斯くなる上は──」
次の瞬間だった。
デモーニオが槍を使い、空間に穴を開ける。
まさか、逃げるつもりかこの場から──
「ぎっ、動かない……!!」
その時だった。
デモーニオの身体が硬直する。
見ると──モモキングが実体化しており、彼の身体を羽交い絞めにしていた。
「……撃て、主ッ!! チャンスは今しかないでござる!!」
「サイコーだぜ──お前はやっぱり!!」
至近距離からの極大の弾丸が──爆ぜた。