学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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JO32話:CRY MAX/CLIMAX

 ※※※

 

 

 

「我のターン……! 3マナで《天災(ディザスター)デドダム》を召喚!」

「《カーネンの心絵》を発動で、手札にタマシードと進化クリーチャーを回収する!」

 

 ──ジャオウガは早速、《ジャスミンの地版》と《デドダム》によってマナ、手札、墓地を一挙に増やしてしまった。

 ……リソース差がどんどん開いている。

 俺の場には《ジャスミンの地版》と《カーネンの心絵》。

 

「……何故諦めん!! 何故諦めんのだ、白銀耀!!」

「諦められねえ理由があるからだよ!! 俺じゃねえとお前は倒せないし、お前を放っておいたら──仲間達の生きる、この世界の未来はねぇからな!!」

「他者の力を借りねば生きられぬような、脆弱な生き物が……大人しく、踏み潰されるが良い!」

 

 ジャオウガの手にマナが集まっていく。

 巨大な祭器の鬼だ。

 EVEのそれと似ているが、何かが違う。

 その正体が掴めない。

 

 

 

「──スター進化、《カンゼン邪器<不明.鬼>》!!」

 

 

 

 ああ、成程、道理で。

 《完全不明》の力を強奪した鬼レクスターズか。

 確かアイツの能力は、相手のクリーチャーが場に出たら、マナゾーンからタマシードかクリーチャーを出す事、だったか。

 ……しかもご丁寧にジャオウガのマナには《終末の時計 ザ・クロック》が置かれている。

 つまり、コスト3以上のクリーチャーを出せば、その時点で俺のターンは終わる。かと言って、展開すると、マナゾーンの他のクリーチャーも出てくる。

 例えば、マナゾーンにある《ウマキン☆プロジェクト》や《デドダム》は良い例と言えるだろう。その状態でターンを返すのは──最悪だ。

 

「俺は──《カーネンの心絵》を発動! その効果で、《<ライオネル.Star>》と《ゲラッチョの心絵》を手札に加えて処理を終える……!」

「ジャハハハハハ! 手も足も出ないか! では、此方から行くぞ? 我は《デドダム》をスター進化──《グーゴル<XENOM.Star>》」

 

 邪悪なる気がさらに集まっていく。

 現れたのは、死神の力を継承したレクスターズのドラゴンだ。

 しかし、鬼ではないはずの彼もまた、禍々しい角が生えており、苦しそうにうねっている。

 《デドダム》にも角が生えていたし、鬼化はクリーチャーにも影響が……!

 

「──《<XENOM.Star>》の効果により、貴様の全てのカードはタップされる」

「ッ……!」

「……もうお終いだ。貴様は何も出来んのだ、ジャハハハハハハハ!! この簒奪したカードで作り上げた我の為のデッキ……だが、我が出るまでも無かったかな?」

「言ってろ! 俺は《バイナラドアの心絵》で《<XENOM.Star>》をマナに……!」

 

 

 とはいえ時間稼ぎでしかない。マナに埋めた所で、また《カンゼン邪器》の効果でマナゾーンから出てくる。

 八方塞がりだ。

 ……落ち着け。必ず活路はあるはずだ。必ず……!

 

 

「──此処から先は──絶望の一方通行だ、白銀耀!!」

 

 

 何だ?

 今まで以上に禍々しい気配が──そうか、来るのか。 

 ジャオウガの……本当の姿が。

 

 

<鬼S─MAX:ジャオウガ>

 

 

 

「百鬼夜行──逢魔が刻に鬼神来たりて!!」

 

 

 

 次の瞬間。

 俺のシールドも、ジャオウガのシールドも、全て焼け落ちていく。

 空は赤黒く染まっていき、まるで黄昏時だ。

 

 

 

「我は終焉を齎す者──《CRYMAX ジャオウガ》」

 

 

 

 

 それが立ち上がった時。

 世界は一変した。

 理性が吹き飛びそうになる。

 もう、まともに立っていられない。

 鬼化への強い衝動が──始まった。

 

「……どうだ? これが鬼の力だ。存在するだけで、全てを圧倒する鬼の力だ。貴様も鬼になりたかろう!!」

「あっ、ぐぅっ、また……!!」

「……まずは、きっちりと貴様もモモキングも屈服させんとなァ」

 

 ジャオウガが足を突きあげる。

 その衝撃で《<ライオネル.Star>》は消し飛び、俺の手札も2枚とも焼け落ちる。

 何が起こった……!?

 今のが、アタックトリガーだってのか……!?

 攻撃の予備動作だけで、戦場を更地に……したのか。

 

「屈しねえよ、お前なんかに……!!」

「鬼になって死ぬか。死んで鬼になるか。……鬼の歴史では、死んでも終わりではないぞ?」

「お前の軍門に下がるなんざ、まっぴらごめんだ……!」

「ならば、消えいッ!!」

 

 シールドが吹き飛び、俺の身体は軽く塵のように吹っ飛んだ。

 何が起こったのか分からなかった。

 そうだ。そう言えば。

 此処は、空間を広げていただけで、空の上だったっけ──

 

「──マスター殿ッ! ぐぅっ……!!」

「モモキング!! 貴様も例外ではない。今度こそ、鬼にしてくれる!! 鬼狩りとしての貴様の尊厳を踏みにじる事が、我の復讐なのだ!!」

「あっ、あぐっ……!」

 

 ダメだ、落ちる。

 身体が空間を通り抜けたのか。

 落ちている──空に……!!

 

 ダメだ。減速しない。自由落下だ。

 此処が地上から何メートルあるかなんて考えたくもないが、少なくとも助からない。

 

 まだ、デュエルは終わっていない。終わっていないはずなのに……ッ!!

 

 

 

「畜生、こんな所で終わりなのかよ──!!」

 

 

 

 

(──やれやれ。本当に、しょうがないマスターでありますなぁ。殺しても死なないのがマスターでありましょう)

 

 

 

 

「ッ……!?」

 

 

 

 その時。

 一陣の風が吹いた気がした。

 

 

 

「……おうよ。そうだ!! ……殺しても死なねえ男、それが白銀耀だ!!」

 

 

 そうだ。もう、人間の心臓なんて俺には無いはずなんだ。

 常識なんかぶち壊せ。

 こんな事で死ぬようなタマじゃねえだろ、白銀耀。

 お前は、皆から色んなモンを貰って立ってたんじゃねえのか。

 

 

 

「根性出せ、モモキング!! 俺達ゃまだ終わってねえぞ!!」

「ッ……ウオオオオオオオオオオオオーッ!! マスター殿ォォォォーッ!!」

 

 

 モモキングの声がした気がした。

 見ると。

 モモキングも実体化して落ちてくる。

 このままの勢いならきっと、俺に追いつくだろう。

 しかし、今度は決戦の場に戻る事が出来ない。

 

「ぐぅっ、おお、意識がぁぁぁぁーっ!!」

「踏ん張れモモキング……俺も……根性で……っあ!」

 

 落ちてきたカードを手に取る。

 それは光り輝いていた。

 割られたさっきのシールドのカード──

 

 

 

「──切り札(ワイルドカード)が、この俺自身になる日が来るなんてな……ッ!!」

 

 

 

 

 ──S・トリガー、発動。

 

 

 

 

「俺を進化元に──ッ」

「某をマスター殿に重ねて──」

 

 

 

 

 ──《スロットンの心絵》ッ!!

 

 

 

 

 

「──スターMAX進化ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「ねぇ、あれ……アカルとモモキングじゃないデスか!?」

「落ちているが、なんか光っていないか!? 高濃度の魔力が……合わさっている!?」

「……耀君……!」

 

 

 

 紫月の見上げる先には、

 

 

 

「……すごい……二つの光が、ひとつに……!?」

 

 

 

 もう1つの太陽が、現れていた。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 空を見下ろすジャオウガ。

 空間から弾き飛ばされれば、そこは空。

 もう、上がってくることは無い。

 モモキングも鬼化していて、力を自由に振るえないはずだ。

 終わりだ。

 呆気なかったが──もう、自分を倒せるものはこの世にはいない。

 

 

 

 

「やれやれ。大口を叩いたからどれほどのものかと思ったが、大したことはなかったな! 塵のように吹き飛びおったわ、ジャハハハハハハハ──」

「誰が大したことがないって?」

 

 

 

 

 

 ジャオウガの高笑いはそこで止まった。

 そして、その頭は突如、巨大な腕に掴まれ、一気にぶん投げられる。

 

「なっ、何じゃい!?」

「……ひとつ。瞳を光らせた。ふたつ。不死身の桃の英雄。みっつ。仲間を泣かせた悪の鬼!! 倒してみせよう、桃太郎──」

「何者だ!? 名を名乗れ!!」

 

 彼が当惑するのも無理は無かった。

 青年の身体に、熊の如き巨大な腕。

 龍の頭を思わせる兜。

 白銀耀でもなければ、モモキングでもない。

 

 

 

 

 

 

 

「俺達は切り札(WildCards)──《モモキング─MAX》!!」

 

 

 

 

 

 

 暗雲は晴れた。

 太陽が空から刺す。

 不死身の英雄たちは今、ひとつになったのだ。

 身体も心も、真の意味でひとつに。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 

 

「これが俺達の、切札の極点。お前なんかに負けはしねえよ、ジャオウガ!!」

「だがしかし、シールドはもう無いのだぞ!?」

「S・トリガーで逆転したんだ。《スロットンの心絵》で俺を呼び出した」

「ぐぬぅ……! だが、《カンゼン邪器》で《<XENOM.Star>》を《デドダム》から進化させる!! ──《<XENOM.Star>》でダイレクトアタック!!」

 

 それは残念だが通らない。

 迫りくる鬼化した龍。

 しかし、それを障壁ではじき返す。

 

「S─MAX進化。俺達が場に居る時、手札の《モモキング─MAX》を捨てれば、俺は敗北せずに生き残る!!」

「ッ……持っていたか……!」

「そして、《カンゼン邪器》はブロッカーになっている俺達を超える事は出来ない! ……残念だったな」

 

 猛攻は乗り切った。

 後は、此処から逆転するだけだ!!

 

「俺のターン! 《バイナラドアの心絵》で《カンゼン邪器》をマナに送る!」

「ぐぅっ、おのれ……クリーチャーであればターンを飛ばしてやったものを……!!」

「そして俺達で攻撃する時、効果発動!! 先ずは、革命チェンジだ!!」

 

 俺達の身体は一度分離し、そして──戦場に現れたのは、音符を浮かび上がらせた

 

「──《時の法皇 ミラダンテⅩⅡ》!!」

「ッ……しまった……!!」

「そして《ミラダンテ》の効果でカードを1枚引き、その後《モモキングMAX》の効果で更に手札からコスト6以下のタマシードを使う──ッ!!」

 

 使うのは勿論、此処まで散々躊躇って来た展開用のカードだ。

 

「発動、《スロットンの心絵》! もう1度《モモキングMAX》に合体!! ──そしてT・ブレイクだ!!」

 

 ジャオウガのシールドは──全て叩き割れた。

 残るのは、あいつだけだ!!

 S・トリガーは無い。このまま貫いてみせる!!

 

「貴様如きが我に勝てるかああああああああああああああああ!!」

 

 ジャオウガの槍の如き足を、俺が拳で受け止める。

 勝ってみせる、に決まってんだろ!!

 

「貴様のようなちっぽけなドラゴンが!! 人間が!! 鬼の歴史を一人で引っ張って来た我に勝てるものかァ!!」

「ちっぽけだから重ねれば重ねる程、強くなるんだよ!! 俺達で攻撃する時……《マンハッタンの心絵》を発動!!」

「ッ……!?」

「ぶちまかせ、開拓の大嵐!! マンハッタン・トランスファーッ!!」

 

 大嵐が巻き起こる。

 次の瞬間、俺の場のクリーチャーも、ジャオウガの場のクリーチャーも全て消し飛んでいく。

 

「《デドダム》だけを残して残りのクリーチャーをマナに飛ばせ!!」

「ぬぐううううう!? わ、我が、我が吹き飛ぶわけにはいかぬッ……!! 《ジャスミンの地版》、《デドダム》、《ウマキン》……我が糧になれい!!」

 

 鬼S─MAX。

 それは仲間を食うことで生き残る力。

 だけど……もう、()()()()()()

 

「……それで、どうやってこの攻撃を防ぐんだァ! ジャオウガ!」

「ぬおおおおおおお!? 俺様が負けるわけには……!?」

 

 拳がジャオウガに叩きつけられる。

 今度は俺達の番だ。

 その巨体を空間から弾き出し、天から叩き落とす──ッ

 

 

 

 

「風よ力を貸せ──CLIMAXインパクトッ!!」

「ぬォォォォォォッ!! 逢魔極限怒号鏖殺ゥゥゥーッ!!」

 

 

 

 ッ……しぶとい。

 だけど……こちとら背負ってるモンの重さが違うんだよ。

 まだまだ、出力を上げられるぜ。

 ついでに自由落下の速度もプラスだ。

 

「……何故だ!! 何処から、こんな力が!?」

「テメェがCRYMAXなら、俺達はCLIMAXだ!!」

「何ィ!?」

「《モモキング─CLIMAX》の力、特と見やがれェェェーッ!!」

 

 犬、雉、猿。

 参つの幻獣が具現化し、ジャオウガに喰らいつく。

 炎が。光が。水が。

 俺に、力をくれる……!

 

「我は負けん、絶対に負けんぞ……!! 貴様もみちづれだ、桃太郎……!!」

「そりゃあ虫が良すぎるんじゃねえか!? 生憎こちとら、みちづれの相手は決まっててね! お前は今まで通りお一人さんだよ、ジャオウガ!!」

 

 ばきっ、ばきっと音を立て、ジャオウガの脚が砕け散っていく。

 もう片方の足を振り上げようとしたジャオウガだったが──

 

 

 

 

「ちきしょォ、白銀耀ゥゥゥーッッッ!!」

「つーわけで、あばよ……ジャオウガ!!」

 

 

 

 

 ──その前に身体が崩れ、砕け散ったのだった。

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