学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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第38話:戦車暴走─命の天頂

 ※※※

 

 

 

 俺とバーバーパパのデュエル。

 相手も俺も、互いにジョーカーズデッキ。

 場には、互いに《ヤッタレマン》の睨み合いだ。

 

「俺のターン! まず、3マナで《フェアリー・クリスタル》を使う! 効果で山札の上から1枚をマナに置き、それが無色カードの《バイナラドア》の為、もう1枚マナを加速する! ターンエンドだ!」

 

 さて、と。こっちの出だしは上々だが、相手がどう仕掛けてくるか警戒しないとな。

 恐らく、こっちのデッキの方が動きは遅いから攻め切られる前に大型獣を出して止めないと。

 俺のマナは今5枚。場には《ヤッタレマン》がいるから、何か出てきても次のターンに《ジョリー・ザ・ジョニー》でまとめて2体までなら焼き払える。

 

「私のターン!! へへへへ!! 《ヤッタレマン》でコストを1軽減。そして、気分は最高にJOE(ジョー)JOE(ジョー)でクレイジー!」

 

 次の瞬間、バトルゾーンに赤い火の輪が現れる。

 それを潜り抜けるようにして、異形が姿を現した。

 

「メラメラ燃える、ジョーカーズの必殺技ァ!! J・O・E(ジョーカーズ・オーバー・エクスプロード)1、発動!」

J・O・E(ジョーカーズ・オーバー・エクスプロード)、だと!?」

「3マナで、《カメライフ》召喚!!」

 

 炎から現れたのは、一眼レフカメラに目玉がついたようなクリーチャー。

 そして、それが《ヤッタレマン》に纏わりつくようにシャッターを切りまくる。

 

「《カメライフ》は登場時にパワー4000以下のクリーチャーを1体破壊!」

 

 次の瞬間、《ヤッタレマン》の身体が炎上し、破壊された。

 どうして写真を撮られただけで破壊されるんだ……!?

 

『成程、報道的な意味の炎上と物理的炎上を掛けた高度なギャグでありますか!』

「そうなのか!?」

 

 最早突っ込むまい。

 この馬鹿馬鹿しさ加減が、道化の化身・ジョーカーズを道化たらしめる所以なのだから。

 

「そしてターン終了時、《カメライフ》はJ・O・Eの効果で山札の下に戻り、私はカードを1枚ドロー! ターンを終了する!」

 

 B・A・D(バッド・アクション・ダイナマイト)に似てるな……だけど、こっちと違って破壊じゃなくて山札に戻る上に1枚ドローできるのか。速攻能力というより、コスト軽減して使い捨て扱いにして相手の動きに対応するのがメインみたいだ。

 だけど、こっちも負けてはいない。無色ジョーカーズの強さを思い知らせてやる!

 

「俺のターン! 3マナで《ニヤリー》を召喚! 効果で、山札の上から3枚を表向きにし、無色カードの《洗脳センノー》と《戦慄のプレリュード》を手札に加える! 更に、3マナで《洗脳センノー》を召喚! ターンエンドだ!」

「へへへへへ、お客さん、そろそろカットの時間ですよ、へへへへ」

 

 カードをマジックアームで引いたバーバーパパは、4枚のマナをタップした。

 

「《ヤッタレマン》でコストを1軽減。さらにJ・O・E(ジョーカーズ・オーバー・エクスプロード)2、発動! 合計コスト、-3軽減!」

「3コストもか!?」

 

 つまり、元々は7コストのクリーチャーてことか!?

 おいおい勘弁してくれよ……! こんなに連続でクリーチャーを出されたんじゃ、堪ったもんじゃない!

 炎に包まれるバトルゾーン。そこから、道化の化身が姿を現した。

 

 

 

「4マナで、《バーバーパパ》を召喚! へひゃひゃひゃ! そのままシールドをW・ブレイク――するとき、効果発動!」

 

 

 

 飛び出した異形は、すぐさま動き出す。

 そして、電ノコを取り出し、《洗脳センノー》を目掛けて切りつけた。

 

「私は場に出たターンに相手に攻撃できる。そして、攻撃時に相手のクリーチャー1体と強制バトルできるのだぁ! シールドをW・ブレイク!」

「くっ……!」

 

 シールド・トリガーは無し。

 おまけに、こっちのクリーチャーを破壊されてしまった。

 

「さらに、ターン終了時に《バーバーパパ》はJ・O・Eの効果で山札の下へ送られ、1枚ドロー。ターンエンドだ!」

「くそ、当て逃げしていきやがった……!」

 

 悉く、邪魔を喰らっているようなものだ。

 こっちのクリーチャーは出す度に倒されているようなもんだし……。

 

「だけど、こいつは破壊出来るかな!」

「何ィ!?」

 

 俺は7枚のマナをタップする。

 よし。マナのジョーカーズの数は十分だ。焼き払うのは、お前の特権じゃないんだぜ、バーバーパパ!

 

「――これが俺の切札(ザ・ジョーカーズ・ワイルド)、《ジョリー・ザ・ジョニー》!」

 

 次の瞬間だった。

 俺の”皇帝”のカードが一層輝き、飛び出した。

 まるで炎のように熱いエネルギーを放ち、俺の目の前に浮かび上がる。

 

「ど、どうしたんだっ……!?」

『カードが、共鳴しているであります……!? 何が起こっているのか……見当が付かないでありますよ』

「……とにかく、《ジョリー・ザ・ジョニー》を召喚だ! 小難しいことは後! まずはこいつをぶっ飛ばす! そのまま攻撃、マスター・W・ブレイクだ!」

 

 現れた孤高のガンマン。

 その二丁拳銃が、シールド、そして《ヤッタレマン》を撃ち抜いて破壊する。

 が――

 

「S・トリガー! 《爆殺!! 覇惡怒楽苦(ハードラック)》で《ジョニー》を破壊!」

「なっ……!」

「その程度かあ? お前の《ジョニー》の力は」

 

 ”お前の《ジョニー》”……? 

 まさか、こいつらの仲間にも《ジョニー》が居るって言うのか?

 だけど、今は気にしていられねえ。

 

「《ニヤリー》でシールドをブレイク!」

 

 これで、相手のシールドは残り2枚になった。

 

「……ターン、終了だ!」

「へへへへ!! まだまだ行くぜ!」

 

 カードを引いたバーバーパパは、再びカードを繰り出した。

 

「J・O・E2で2コストを軽減し、5マナで《絶対音カーン》召喚! こいつでシールドをW・ブレイク!」

「っ……!!」

 

 火のジョーカーズは、一撃必殺というよりコスト軽減で波状攻撃を仕掛けてくるのが厄介だ。

 仮に1体止めても、またクリーチャーがやってくる。

 今度もまた例外じゃない。現れた音楽の化身は、俺のシールドを残り1枚に叩き割る。

 

「そして、《カーン》の攻撃の終わりに、各プレイヤーはカードを全て捨ててもよい。そうしたプレイヤーは、山札からカードを3枚引いても良い!」

「何っ……!?」

「勿論、私は手札を全て捨てて3枚ドロー!」

 

 何てことだ。手札を補充されてしまった。

 しかも、ターンの終わりにJ・O・Eの効果でまた1枚手札が増える。

 一方の俺は、手札が元々多いので手札交換の旨みが少ない。

 ……でも、待てよ。今の俺の手札に、この状況を一気に打開できるものは無い。ならば――賭けてみるか!

 

「俺も、カードを全て捨てて3枚ドローだ!」

「はっ、今更無駄なこと! 《カーン》を山札の下に送り、J・O・Eの効果で、手札を1枚引く――!」

 

 これで、俺のシールドは1枚。

 そして、相手の場のクリーチャーは0。

 でも、相手の手札にJ・O・E持ちのスピードアタッカーが居れば、俺は次のターンに仕留められるだろう。

 

「でも、賭けは俺の勝ちだ。この勝負の切札(ジョーカー)は手札に来た!」

「何ぃ!? 私のシールドは残り2枚もあるんだぞ!? どうやって勝つんだ!?」

「勝てるんだよ! 此処で、一気に決めてやるぜ!」

 

 俺のマナは8枚。十分だ。足りている!

 

「3マナで、《戦慄のプレリュード》! 効果で、次に召喚する無色クリーチャーのコストを-5する!」

「何!? 何を出すつもりなんだ!?」

「へっ、見てろ。今にビビるぜ!」

 

 タップされる残り5枚のマナ。

 次の瞬間、巨大な紋章が戦場に浮かび上がった。

 凄い力だ。現実世界でも確かにサイズはでかいクリーチャーだけど、この空間だと、ここまでマナの流れをびりびりと感じることが出来るのか!

 

 

 

「正規の契約は履行された! 生命を司る切札(ワイルドカード)、《「(いのち)」の頂 グレイテスト・グレート》!」

 

 

 

 現れたのは、甲冑で構成された戦の神。

 振り上げられた槍が、全ての命を呼び起こす。

 あまりにも破格で、あまりにも強大で、あまりにも膨大なマナがその神に流れ込んでいく。

 ”召喚”という正規の契約を履行するために。

 

「な、なぁぁぁ!? 何だそいつはぁぁぁ!?」

「こいつは、召喚して場に出した時、俺の墓地、またはマナからコスト7以下になるようにクリーチャーを出せるんだ。そして、俺が出すのは、さっきお前が破壊したコイツだ!」

 

 墓地から飛び出した孤高のガンマン。

 引き金は再び引かれる。目の前にある、あらゆる障壁を撃ち貫くために。

 

「出てこい、《ジョリー・ザ・ジョニー》!」

「よ、蘇っただとォ!?」

 

 そして、《ジョニー》はスピードアタッカーだ。

 もう容赦はしない。2度目の弾丸、撃たせたことを後悔させる間もなく、仕留めるぜ!

 

「《ジョニー》でマスター・W・ブレイク!!」

 

 剥き出しのシールドが2枚、まとめて銃弾によって貫かれた。

 もう、守ってくれるクリーチャーも、S・トリガーもないバーバーパパを目掛けて、黄金の弾丸は――

 

 

 

「攻撃の後、シールドもクリーチャーも無いので、俺の勝ち(エクストラウィン)だ!」

 

 

 

 ――止まることを知らず、炎の道化を撃ち貫いたのだった。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「お兄、どうしたんだろう……」

 

 男子トイレの前で、花梨は溜息をついた。

 ほんの10分前のことである。急に腹痛だと言って男子トイレに駆け込んだ兄は、一向に戻ってくる気配がない。

 耀達も居ないし、今は実質一人ぼっちであった。またさっきのようなモヒカン達に絡まれなければいいのだが。

 

「……それにしても」

 

 彼女にとって、疑惑と疑念はもう1つあった。

 あのモヒカン達から感じられた異様な力だ。

 考えたくは無いし、関わりたくもない。だが、あの正体が仮にも。もしも”そう”なのだとすれば――

 

 

「……まさか、クリーチャーってことはないよね……」

 

 

 刀堂花梨の懸念は、当たっている。それらに白銀耀達が立ち向かっていることも含めて、だ。

 しかし、彼女の知らない場所で、世界で、もう1つの戦いが行われているのを彼女は知らない。

 そう。彼女は、まだ何も知らないのだ。

 彼らが何のために戦っているのか。そこに命を賭す意味を見出しているのかも――

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