学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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第43話:証明、結晶龍の王─龍解・QED

※※※

 

 

 

 ノゾム兄と桑原先輩のデュエル。

 先攻2ターン目、早速ノゾム兄が動き出した。

 

「オレのターン! 2マナで、《一撃奪取 マイパッド》を召喚!」

「何のデッキでしょうか。ビートダウンとも取れますが」

「さあなあ。まだ2ターン目だし、決め付けは早計だろ」

 

 ノゾム兄は早速、《マイパッド》を繰り出した。

 こいつが居れば、ターンの最初に召喚する水のクリーチャーのコストは-1される。

 彼が好んで使うのは水文明だから、ここまでは予想通りだ。

 

「俺のターン。2マナで《タルタホル》召喚。効果で、パワー12000以上のクリーチャーを1体手札から見せて、山札から1枚をマナに置く。見せるのは《コレンココ・タンク》だ」

 

 桑原先輩が使っているのは、新しいグランセクトのカード。

 こいつ、パワー12000以上があれば実質デメリット無しの《ステップル》なのか。

 

「ターンエンドだ」

「成程なあ。グランセクト、か。マナブースト戦法が相手なのはなかなかキツイ。けど――」

 

 言ったノゾム兄は、3枚のマナをタップする。

 

「コストを1軽減して3コスト! 《パクリオ》召喚!」

「チっ……!」

「こいつは、相手を手札を見て、その中からカードを1枚選び、持ち主のシールドに封じ込めるカードだ」

 

 桑原先輩の手札が展開された。

 4枚の手札の中身は、《コレンココ・タンク》、《タバタフリャ》、《メガロ・カミキュロス》、《ハイパー・マスティン》。

 ノゾム兄はその中から《タバタフリャ》を選んでシールドに置いた。

 桑原先輩のデッキでは回収不可能のシールドゾーンへのハンデス。水文明のカードは、本当にトリッキーなカードばかりだ。

 

「ターンエンドだ」

「くそがッ! 手札1枚シールドに送ったからって調子に乗んな! 俺は、《カミキュロス》をマナに置き、2マナで《ジャンボ・ラパダイス》を使う! 効果で山札の上から4枚を捲り、その中からパワー12000以上のクリーチャーを全て手札に加えるぜ!」

 

 展開されたカードは《コクーン・マニューバ》、《ルツパーフェ・パンツァー》、《グレート・グラスパー》、《タルホタル》の4枚。加えられたのはパワー12000以上の《ルツパーフェ・パンツァー》、《グレート・グラスパー》だ。

 凄い勢いで増えた桑原先輩の手札。ハンデスも怖くない、と言った様子だ。

 

「はっ、ドローは質だ! 数だけじゃねえぜ! モヤシ野郎にゃ負けねえよ!!」

 

 そい言い放つ桑原先輩。

 水文明とはある意味対照的な手札補充故か。

 挑発を流し、ノゾム兄もカードを引いた。

 

「……オレのターン。《マイパッド》で1コス軽減して、3マナで《精神を刻む者 ジェイス》を召喚。こいつの効果で俺は3枚カードを引き、2枚を山札の上に戻す。ターンエンドだ」

 

 対するノゾム兄もドローを繰り返す。

 まだ、互いに睨み合いが続く。桑原先輩も、此処から一気にマナを溜めていくはず。

 一方のノゾム兄も、得意なコンボ戦法へ繋げていく。

 

「……またドローか。カードばっか引いても、何にもならねえぜ! 3マナで、《ルツパーフェ・パンツァー》召喚! 手札から場に出たので、こいつの効果でこいつ自身をマナに置く! さらに、2マナで《一番隊 ルグンドド》も召喚して、ターンエンドだ!」

 

 ぴりぴりとした雰囲気のデュエルテーブル。

 ノゾム兄も只ならぬ桑原先輩の覇気を感じ取ったのか、キッと鋭い視線を彼に向けた。

 

「カードを引くことはオレ自身の未来を引き込むこと! オレはさっき、未来を引き込んだ! 5マナで、《Dの機関 オール・フォー・ワン》を展開!」

「なにっ!?」

「こいつの効果で、オレはターンの終わりに自分のクリーチャーを1体破壊する。そして、そいつよりコストが最大で2大きいクリーチャーを手札から場に出せるんだ! 破壊するのは、《ジェイス》だ!」

 

 言ったノゾム兄は、手札からクリーチャーを場に出した。

 

「今度も頼むぞ! 《龍覇M・A・S(メタルアベンジャーソリッド)》を場に出す!」

 

 《オール・フォー・ワン》の能力は2つ。

 まず、ターンの終わりにクリーチャーを破壊して、それよりも最大コストが2大きいクリーチャー(それ以下ならば何でも出せるのが恐ろしい)を手札から場に出すというもの。5コストでこれは非常に強い。前のターンに出した4コスト獣がドラグナーに化けたのだから。

 しかし、それだけではなく、コストが同じクリーチャー、コストが小さいクリーチャーも自在に出せるので、非常に使い勝手が良いのだ。

 

「こいつが場に出た時の効果がトリガーした時、オレは《オール・フォー・ワン》の(デンジャラ)スイッチをオン!」

「来るか……!」

 

 そして、言ったノゾム兄は《オール・フォー・ワン》のカードを上下逆さまにひっくり返すと言った。

 

「この効果は1度の代わりに2度トリガーする!」

「登場時効果が2倍……ってことか!」

「《M・A・S(メタルアベンジャーソリッド)》の登場時効果で、超次元ゾーンからコスト4以下の水のドラグハートを場に出す!」

 

 ドラグハート……! ドラゴンが封じられた武器、または要塞だ。

 特定の条件を満たすことで、ドラゴンへ昇華する強力なカード。

 来る。俺の知ってる限りで最も強いノゾム兄の戦略が展開されようとしている。

 しかも、それが《オール・フォー・ワン》の効果で2度も、だ。

 

「《龍波動空母 エビデゴラス》、抜錨!」

 

 それは、とても大きな龍の母船が描かれたカードだった。

 ヒロイックなカードを好むノゾム兄らしい切札だけど、かっこいいだけじゃない。

 それはドラグハート・フォートレス。クリーチャーではないため、場から引き剥がすのが困難なカードだ。

 

「更に、2度目の効果で《M・A・S》に《真理銃 エビデンス》を装備だ! 効果で1枚ドロー!」

「あれが、水のビクトリーカードでドラグハートの2枚か……!」

「2つが同時に揃うのは、壮観ですね。桑原先輩は、どうにか切り抜けられれば良いのですが」

「お兄……凄い……!」

 

 俺だってこんな光景は初めてだ。

 そして、あのノゾム兄が本気を出している。

 

「ハッ、流石だな。だけど、《エビデンス》の龍解は容易じゃねえ。そして《エビデゴラス》は龍解条件こそ簡単だが決め手に欠ける。もたもたしてる間に、押し潰す!」

 

 あくまでも桑原先輩はいつも通りパワーで押し潰すつもりだ。

 

「6マナで俺は、《コレンココ・タンク》を召喚! その効果で、山札から3枚を表向きにし、パワー12000以上を好きな数手札に加え、残りをマナに置く。《グレート・グラスパー》を手札に。残り2枚をマナに。ターンエンド!」

 

 次のターン、桑原先輩は3体の切札で攻め込みにかかるだろう。《グレート・グラスパー》、《ハイパー・マスティン》、マナに置かれた《メガロ・カミキュロス》。

 この3体は非常に強力だ。暴れだせば止まらない。圧倒的な物量を前に、ノゾム兄は倒されるしかない。

 

「――悠長にしてられないのはそっちの方だぜ」

「何?」

 

 しかし、それを前にしてもノゾム兄は笑みを浮かべていた。

 

「このターンで、オレは2枚のドラグハートを両方共龍解させる!」

「何ィ!?」

 

 桑原先輩は目を見開く。

 観戦に回っていた俺達も、ノゾム兄の発言に驚愕していた。

 

「そんなことできるの!?」

「《エビデゴラス》はターン中にカードを5枚以上引けば龍解、《エビデンス》はターン中に水のクリーチャーの召喚、水の呪文の詠唱を合計3回以上行えばターン終了時に龍解します。1ターンで出来ないことはありませんが、後者の条件が少々きつめです」

「オレのターンの始めに、《エビデゴラス》の効果で1枚ドロー。そして、ターン開始時のドロー!」

 

 出来ないことは無い。

 だけど、紫月の言う通り、両方のドラグハートの龍解の条件はそれぞれ違っていて、同時に龍解させるのは難しいはずだ。

 だから、此処からがノゾム兄の実力の見せ場だ。

 

「まず。4マナで《パクリオ》を召喚! 効果でお前の手札から《ハイパー・マスティン》をシールドに封じ込める!」

「だが、それで残り2マナだ!」

「いや、足りてるぜ。1マナで《アクア忍者ライヤ》召喚! こいつは登場時に、自分のクリーチャー1体を手札に戻さなきゃいけない。《パクリオ》、戻ってこい!」

 

 これで、2回。だけど、《エビデゴラス》の龍解には、カードをあと3枚引く必要があるのに……もうマナが無い!

 

「そして、G・ゼロ発動! 《龍素力学の特異点(ドラグメント・ポイント)》!」

「なっ……!? G・ゼロ呪文! その手があったか!」

「こいつは、オレの場に水のドラグナーがあればタダで唱えられる! 効果で2枚ドローし、手札を1枚山札の一番上に置く! これで、オレはこのターンだけで4枚カードを引いた。後、1枚!」

 

 そして、その眼光は桑原先輩のシールドへ向けられた。

 邪魔な障壁は存在せず、さらに盤面はある程度ノゾム兄は把握している。

 それも、シールドの中身も含めて――

 

「《エビデンス》を装備した《M・A・S》で《タバタフリャ》を封じたシールドを攻撃――」

「くそっ、今さら《タバタフリャ》が来ても――」

「――するとき、装備した《エビデンス》の効果で1枚ドローだ! これで、俺はターン中に5枚のカードを引いたので、龍解条件達成!」

 

 そうか、これで5枚。

 《エビデゴラス》の龍解条件は達成された。

 横向きのそのカードを掴み、裏返し、アンタップする。

 そこには、蒼き結晶龍が描かれていた。

 

 

 

「――龍解、《最終龍理 Q.E.D.+》……勝利の公式は導かれた!」

 

 

 

「《Q.E.D+》……水単コントロールの切札ですね」

「お兄の、切札……! で、どんな効果だっけ、あれ……見るの久々過ぎて忘れちゃったよ。大会のデッキには超次元なんか無かったのに」

 

 ドラグハート・クリーチャー。それこそが、ドラグハートの真の姿。

 此処からが本領発揮だ。

 

「《Q.E.D.+》はターン開始時のドロー操作効果を除けば、単体では水のドラゴン全員をアンブロッカブル化する、パワー11000のW・ブレイカーに過ぎない。だけど、龍回避で非常にしぶといのが特徴だ」

「全部盛りだから、強いんだね……」

「だけど、これだけじゃ決め手に欠ける。ノゾム兄のデッキは水単コントロール。反撃を完全に封じるために、もう1つ切札を持ってるはずだ」

 

 《M・A・S》の攻撃が引き金となり、強力なドラグハート・クリーチャーが降り立ってしまった。

 だけど、ノゾム兄のターンはまだ終わっていない。

 

「ターン終了時。オレはこのターン、水のクリーチャー、《パクリオ》と《ライヤ》を召喚し、《龍素力学の特異点》を唱えた。よって、《エビデンス》の龍解条件も達成……龍解!」

 

 言ったノゾム兄は、《M・A・S》に装備された《エビデンス》を離し、裏返した。

 

 

 

「──龍解、《龍素王 Q.E.D.》……証明開始だ!」

 

 

 

 巨大な主砲を掲げた水晶龍のドラグハート・クリーチャー。

 凄い。本当に2体とも龍解させてしまったぞ。

 

「さらに、《オール・フォー・ワン》の効果で、《M・A・S》を破壊し、手札から《パクリオ》を場に出す! 効果でお前の手札から、《グラスパー》もシールドに置くぜ! ターンエンドだ」

「くそっ、俺の切札が全て手札からシールドに……!」

 

 悪態をついた桑原先輩は、カードを引いた。

 しかし、フィニッシャーが削がれた今、最早まともに動けない。そう思われたのだが……。

 

「6マナで、《幻影 ミスキュー》召喚! こいつをマナに置き、オレは山札をシャッフルした後、その一番上のカードを捲り、クリーチャーならば場に出せる!」

 

 運次第に見えるこの効果。しかし、桑原先輩のデッキには沢山フィニッシャーが居る。そのどれかが捲れれば、逆転できるかもしれない。

 互いに山札をシャッフル、そしてカットし、桑原先輩はその一番上を盤面に叩きつけた。

 

「ハッ、来たな。最高に芸術だぜ!!」

 

 あれは――クリーチャーだ!

 

 

 

()を堕とせ、楽園(パラダイスよ)――《古代楽園 モアイランド》!」

 

 

 

 来た! コスト10、パワー18000のQ・ブレイカー、桑原先輩の切札の1つだ!

 しかも、こいつには強力な効果が備わっている!

 

「こいつの効果で、もうテメェは呪文を唱えられない。しかも、テメェの場には所詮W・ブレイカーが2体と《パクリオ》だけだ。俺のシールドは7枚ある。増えたシールドのツケは払って貰うぜ! このままじゃ決められねえだろ! ターン終了!」

 

 こいつの効果で呪文は封じられた以上、《モアイランド》は簡単には除去されない。

 おまけに、バトルに勝てば相手のシールドをマナに送るおまけつきだ。

 ノゾム兄は、次のターンで決定打を与えないと、ずるずると桑原先輩のペースに持っていかれてしまう。

 しかし。

 

「まあまあ、そう急くな。まず、《Q.E.D.+》のターンの始めの効果で、オレは山札の上から5枚を見て、それを好きな順で戻した後、”こいつの効果で”1枚引ける。ターンの最初のドローとは別にな」

 

 落ち着き払ってノゾム兄が展開した5枚のカード。

 それを見た後、何かを思いついたような顔を浮かべ、それを戻した。

 そして、カードを2枚引く。この効果で、ノゾム兄は山札の上から5枚から好きなカードを2枚引き寄せられたようなもの。

 さらに、言い放った。

 

 

 

「2手だ。2手でお前は詰む」

 

 

 

 ぴしゃり、と場に張り詰めた空気が漂った。

 先ほどのノゾム兄の行動からして、ハッタリじゃないのは間違いない。

 だけど、呪文を封じられた状態であんな化け物をどうやってどかす……? 仮にバウンスしても、また戻ってくるのに。

 

「な、なに言ってんだテメェ」

「《Q.E.D.+》はオレに確かに勝利の解の公式を導いてくれたようだぜ。答えは、《Q.E.D.》が見せてくれるだろ!」

「数学は苦手で嫌いなんだ。芸術でしかものを語れねえ俺にも分かりやすく言ってくれねぇか、天才よォ!!」

「良いぜ。御託は置いて、実際に解き方を見せた方が分かりやすい! まずは1手。《龍素王 Q.E.D.》は1ターンに1度、水のクリーチャーをコストを支払わずに出せる。」

 

 叩きつけられた1枚のカード。

 それが、桑原先輩の勝利の可能性を全て吹き飛ばした。

 

 

 

「──答え合わせだ(ジ・アンサー)、《伝説の正体 ギュウジン丸》!」

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