学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】   作:タク@DMP

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第6話:ディティクティブ・トリック─推理終了

 ※※※

 

 

 

 突如現れた空間に、私は戸惑うばかりデシタ。

 遠目に盾のようなものが出てるし、手元には山札がありマス。

 手札が目の前には浮かんでいて、本当にデュエマしろって事デスカ。

 

「この俺を捉えたつもりか? こんなゾンビ状態で戦わなければいけないのが、頭に来るがぶっ潰してやるぜ、オルァ!!」

「何かすっごい怒ってるデス!?」

「気にしないでおくでありますよォ。目の前にいるあいつに取り付いたクリーチャーは、デュエマで勝てば取り払えるであります!」

「なら、単純明快! 簡単デス!」

 

 どうやらやるしかないようデスネ! デュエマの腕の見せ所デス!

 

「私のターン――! とにかく、マナをチャージしてターンエンドデス!」

「俺のターン……マナを置いてターンエンドだ」

 

 序盤は互いにマナにカードを置くだけデス。本当に普通のデュエマみたい、デスネ……。

 

「私のターン、《【問2】ノロン(アップ)》を召喚――」

 

 そういった途端に、テック団のマークが目の前に現れマシタ。

 そして、丸っこい機械のようなクリーチャーが本当に出てきて――ワオ……どうやら、この空間ではクリーチャーが実体化するみたいデスネ! 

 

「その効果でカードを2枚引いて2枚墓地へ! ターンエンドデス!」

「俺のターン……2マナで《フェアリー・ライフ》を使い、マナを1枚増やす。ターンエンドだ」

 

 ふふん、ターンが返ってきまシタ。

 こっちも準備を進めマショウ!

 

「呪文、《エマージェンシー・タイフーン》! その効果で、カードを2枚引いて1枚を墓地へ! ――ターンエンドデス!」

「ふん、俺のターン……呪文、《グローバル・ナビゲーション》! その効果で《復讐 ブラックサイコ》を手札に加える!!」

 

 《ブラックサイコ》……。厄介なカードを手に入れてきましたカ……。こっちもパーツは揃えられてないデス……。

 でも、此処までで確信が持てましタ。

 

「私のターン……もう1回《エマージェンシー・タイフーン》で、カードを2枚引いて、1枚を墓地へ!」

「ハッ、墓地を増やしてばかりじゃねぇか……笑わせるなよ!!」

 

 デッドゾーン……Youの自信は何処から来るんでしょうかネ。

 とはいえ、こっちも手札はそんなに強くないのデスガ……。

 もう5ターン目デスシ、もう何してくるかは分かってマス。

 

「俺のターン――5マナで、《超次元 フェアリー・ホール》!! その効果により、速攻・速攻・超速攻で《勝利のガイアール・カイザー》をバトルゾーンへ!!」

 

 ぽっかりと穴が開いて、そこから鎧に身を包んだ(ドラゴン)、《勝利のガイアール・カイザー》が出てきマシタ。思わず戦慄しマシた。

 登場ターンにアンタップしているクリーチャーを攻撃できる上に、火と自然に闇を併せ持つ、ドラゴンでコマンド。革命チェンジは勿論デスガ――

 

「――《ノロン》への攻撃時に侵略発動!! 《復讐 ブラックサイコ》――」

 

 突貫した《ガイアール》。デスが、その頭に侵略者の印が浮かんで、剣を掲げた騎士になりまシタ。ちょっと危ないかもデスネ。

 だけど、もう1枚のカードが頂に重ねられましタ。今度はその足元から(アーム)が伸びて地中に引きずり込まれて――

 

 

 

 

「アクセルを掛けろ!! 地の果てまでも引きずり回せ!! 

不死身の侵略、《S級不死(ゾンビ) デッドゾーン》!!」

 

 

 

 

 ――工房の床から巨大な機体が姿を現しましタ。

 この流れは知ってマス。

 私の手札が一気に2枚、墓地へ叩き落されましタ。更に、伸びた(アーム)が私の《ノロン(アップ)》を廃材(スクラップ)に……!

 

「ハハハ、その効果で貴様の手札を2枚、墓地へ叩き落す!! そして、相手のクリーチャーのパワーをマイナス9000して破壊!! この程度の敵、バトルで破壊するまでも無い!! オラオラオラァッ!!」

「ッ……!」

「破壊しても無駄、バウンスしても無駄、超次元ゾーンに《ガイアール・カイザー》がある限り、俺は何度でも蘇る――!! 手札も、クリーチャーも、全部根こそぎ破壊してやるぜ、オラァッ!! シールドはその後で、ゆっくりと全部割ってやるよ……!!」

 

 《デッドゾーン》は、破壊されても墓地から侵略するS級侵略:不死(ゾンビ)の持ち主デス。

 だから、破壊しても無駄。侵略元が居る限り、何度でも蘇りマス。

 このタイプのデッドゾーンデッキは、そうやって何度もこの組み合わせを再利用して、相手の手札も場も消してから一気に攻め込む、ビートダウンのようなコントロールデッキ! 

 正直、あまり良い状況とは言えまセン。早く対処しないと、必要なカードまで墓地に叩き落されマス……。

 笑い声をあげて、デッドゾーンは言いましタ。

 

「フン、怖気づいたか?」

 

 怖気づいた――そうデショウネ……アカルは、アカルはもうこんな経験をしていたのデショウカ。

 体が、震えてきました。

 でも、デモ、この気持ちは怖さじゃないデス。

 

「諦めろ。人間がクリーチャーに勝てると思ってるのか?」

「……私は、シャーロック・ホームズに色々教わりマシタ」

「?」

 

 訳が分からないと言った顔デスネ。

 クリーチャーは、探偵なんて知らないデショウ。

 デモ――

 

 

 

「事件を前に諦める、なんて事は教わった事は無い!! 恐怖に負けて、何も知らない人を利用する悪人を見逃すなんて有り得ないのデス!!」

 

 

 

 そう。こんなところで諦めるわけにはいきまセン。

 この程度の敵、怖くは無いデス!!

 

「私のターン、ドロー……来ましタ!」

 

 今日は、ツイてマス!

 全てのパーツが揃いましタ!

 

「1マナで墓地進化、《死神術師 デスマーチ》!!」

「その程度で――」

「見るべき場所を見ないから、大切なモノを見落とすンデスヨ!! 重要なのは、《デスマーチ》が何から進化したかという事!!」

 

 残る3枚のマナ。

 さっきのハンデスでこれだけは落とされずに済んだので助かりましタ――!

 

「――呪文、《龍脈術 落城の計》!! その効果で、場のコスト6以下のカード――《デスマーチ》を手札に戻すデス!!」

 

 カードを指定する除去カードは、進化クリーチャーを指定した場合一番上のカードだけしか取り除くことは出来まセン。

 でも、逆に言えば――それを利用すれば、こんなことも出来るのデス!

 

「Youがevolution(進化)するのなら、私が使うのはその逆デス!」

「なっ……!!」

 

 私の背後に、巨大な影が現れマシタ。

 出てきましたネ――私の、私の一番大好きなカード!

 

 

 

「伝説の探偵の名を冠す者よ、偽りの力を持って真実を導きだしなサイ! 

devolution(退化)、《偽りの名(コードネーム) シャーロック》!!」

 

 

 出ましタ、私の切り札――近くにいると、何て頼もしいんデショウカ! 感激デス!

 《シャーロック》は最強クラスの光と闇の未知なる侵略者(アンノウン)! そして、私の敬愛する伝説の名探偵、シャーロック・ホームズの名を冠する唯一つのカード!

 パワーは驚きの24000、シールドを一気に4枚破壊するQ・ブレイカー! デスが、私が彼を選んだ理由は――デッドゾーンのデッキを完全に封じることが出来るからデス!

 

「た、退化、だとォ!?」

「《シャーロック》の効果発動、もう誰もサイキック・クリーチャーを出す事は出来まセン!」

「ク、クソッ!!」

 

 悪態をついても、もう遅いデス!

 この侵略者の追跡を逃れることは出来ないのデス! 《ガイアール》はもう出せまセン!

 

「っく、クソがァァァァーッ!!」

「ターンエンドデス!」

「このアマァ!! 俺は、俺は絶対に、どんな手を使っても生身の体を手に入れてやるぞ!! 此処まで積み上げた計画、邪魔されて堪るか!!」

 

 カードを引くデッドゾーン。

 そのまま、マナをタップしマシタ。何をするつもりデショウカ……!?

 

「――《超次元 ガロウズ・ホール》!! これで除去してしまえば関係は無い!! その効果で《シャーロック》をバウンスだ!! その後に闇のコスト7以下のサイキック、《勝利のガイアール・カイザー》を呼んでやるぞ!!」

 

 激流が次元の穴から出てきましたガ、安心しましタ。

 どうやら《シャーロック》を押し流すつもりデスガ――それは無駄デス。

 その激流は、《シャーロック》の目の前で散ってしまいマシタ。

 

「な、何でだ!?」

「知らないようデスネ。《シャーロック》は、相手がクリーチャーを選ぶ時に選ばれマセン!!」

「ば、馬鹿な!! どかせないということか!?」

 

 その呪文は、無駄に終わってしまいましたネ――もう、後は私の土壇場デス!

 

「1マナで、《死神術師 デスマーチ》を墓地進化! ソシテ、《落城の計》でdevolution(退化)――《世紀末 ヘヴィ・デス・メタル》!!」

 

 この子はパワー39000のワールドブレイカーでスピードアタッカー!!

 退化したので、そのデメリット効果も発動しまセン!

 これで、このターンで攻め勝ちマス!

 

「《ヘヴィ・デス・メタル》で貴方を攻撃! シールドを全てブレイク!」

「ぐ、ぐああああ!?」

 

 このデッキには、私が知っている限りでは余りシールド・トリガーが入ってないと思っていマシタガ――本当に何も入ってなかったようデス。

 

「な、何故だ!! こんな技術がありながら、しょうもないゴミばかりを量産する愚かな人間どもを、俺は有効活用してやったと言うのに!!」

「モノの価値は――人それぞれ、ということデスヨ」

 

 最早、多くを語るつもりはありまセン。

 これで、終わりデス!

 

「《偽りの名(コードネーム) シャーロック》でダイレクトアタック!!」

 

 ※※※

 

 

 

 デュエルエリアが閉じた。

 一部始終を見届けたが、ブランが勝利したようだ。

 巻き込んじまったが、デッドゾーンは元のカードに戻ったようだな。

 がたがたっ、と音がする。

 科学部の部員達が一斉に眠るように崩れ落ちたのだ。

 

「大丈夫であります。皆、デッドゾーンの洗脳下から抜けて気絶しただけでありますよ」

「そうか」

 

 ……あ、そういえば体の力が元に戻っている。

 起き上がれるぞ。

 見ると、そこには全てが終わって脱力したブランの姿があった。

 

「ブラン!」

「……アカルー?」

 

 とても疲れているようだったが、にひひ、と無邪気な笑みを彼女は浮かべた。

 大丈夫みたいだな。

 

「シャーロック・ホームズの言葉に、こういうのがあるのデス。日本語では、”芸術のために芸術を愛する者にとっては、細かなとるに足らぬものの中にこそ、強い満足を汲み取る場合がしばしばあるものだ”って言葉デス。私は、発明の為に発明を愛する科学部の人達も、他の人から見れば細かなとるに足らないモノを大事にしてたのかな、って思ったんデス」

「……そうか」

 

 だから、こいつは科学部に対してそこまで否定的な目で見てなかったんだな。俺もそういうところは見習わなきゃいけないな。モノの価値は人それぞれ。こいつらにとっては、発明品を作った事自体に意味があったのだろう。

 本当に、彼女は正義感が強くて熱い奴だったんだな。ただの推理小説好きだと侮っていたのが恥ずかしい。

 

「……ところでだな。ブラン。そろそろ話しておかなければいけないことがあるんだが」

「ふぇ?」

 

 こうなってしまった以上はブランにも事の経緯を話さなきゃならなくなった。

 受け入れてくれるか心配だったが、有耶無耶にするよりは手っ取り早いだろう。

 

「――ナルホド、デス。ワイルドカードが出たら、デュエルで解決できる力をアカルは手に入れたってことデスネ」

「ああ。面倒な事になったがな」

「カリンの異変も、カードの仕業だったとは……にわかに信じ難いデスケド、今目の前で起こってる上に」

 

 ぐいっ、と彼女は自分で自分の頬を抓る。

 だが、すぐに痛がって離した。

 

「いつつ……夢じゃ、無いみたいデス」

「なあ、ブラン。このことは、他の奴に話さないでくれるか? 俺も出来ることなら、これ以上ワイルドカードに関わる人間を増やしたくないんだ」

「マ、マスター……我の行動は、あの時は仕方なかったのでありますよ」

「分かってる。じゃなきゃ、俺はやられていたからな」

「……良いデスヨ! 探偵は口が固いノデ、誰にも言いまセン! デ、デモ……大丈夫だったんですカ? アカル、危ない事とかに首突っ込んだり――」

 

 幸い、そういうことはまだ花梨の一件だけだ。

 だけど、これからまた事件に関わることもあるだろう。

 そうなったときは――やっぱり、今度はこいつの力を借りることもあるのだろうか。

 

「私も頼ってくだサイ! 私とアカル、ずっとデュエマ部で一緒でしたカラ! 事件があるなら、放っておけまセン!」

「……そうか」

 

 デッドゾーンに殆ど何もさせずに勝った、こいつの腕は確かだ。

 それに、こいつのことだし止めても無駄なんだろうな。

 

「その時はよろしく頼むぜ」

「ハイ! 頑張りマス!」

「仲間が増えた、でありますな! マスター!」

 

 仲間、か。

 今回の事件で、俺はブランと本当の意味で同じ境遇にある仲間になったのかもしれない。

 

「……ああ」

 

 それを肯定するように、俺は頷いた。

 ワイルドカードの事件は、俺だけでは手に余りそうだということが証明されてしまった以上は仕方がない。

 

「――改めて、よろしくな。ブラン」

「こっちこそデス! アカル!」

 

 ハイタッチを交わす俺達。

 こうして、俺の奇妙な日常に本当の意味での仲間が1人、加わったのだった。

 正直、かなり複雑だが――まあ、今はあれこれ心配していても、仕方が無いな。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「……白銀 耀に、或瀬ブラン――か」

 

 一部始終を見届けていた彼は、ため息をついた。

 非常に、面倒な事になった。エリアフォースカードを使える生徒が、この学園に分かっているだけで2人もいるということだ。

 

「……オイ、ちゃんと隠れてろよ。今テメーが奴等に見つかるのはまずい」

 

 こくり、と”彼女”は頷く。

 しばらく考えたが、ごちゃごちゃと理屈で作戦を立てるのは好きではない。よって、導き出した結論は――

 

 

 

「仕方ねえ……狩るか。エリアフォース諸共――それが俺の芸術を邪魔するなら、容赦しねえよ」

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