学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】 作:タク@DMP
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私とみづ姉のデュエル。
現在、私のシールドの1枚は《海底鬼面城》で要塞化されており、ターンの最初に互いのプレイヤーが1枚ずつカードを多く引ける状態です。
私の場には《
「私のターン、《
対するみづ姉の場には剣を掲げた2色の無法者、《虹彩奪取 トップラサス》が現れます。
互いに4コスト圏に繋げる準備は整っているようですね。
「あハはァ、シづ……シづ……? どうしてそんなに怒ってるノ?」
あの妙なものに憑りつかれた影響が大きかったのでしょうか。
普段のみづ姉とは違う、悍ましい何かと戦っている気がするのです。
喋っているのはみづ姉、目の前に居るのもみづ姉で間違いないのですが……最も、それで私の激高する理由が消えたわけではないのは勿論ですが。
「では私のターン」
「《鬼面城》の効果デ引くわ」
「私もです。そして、さらにドロー。マナチャージ……1コスト軽減して、3マナで《アクロパッド》をNEO進化」
早速出していきますか。このデッキのキーカードを。
手札の消耗が激しいので、上手く行くか心配でしたが、《鬼面城》の手札補充で上手くやりくりできました。
早速、叩き込むとしましょう。
「深淵へ響け、憐憫たる夜想曲。進化で重なる絆の音色――《記憶の紡ぎ 重音》」
現れたのは、太古の龍の化石を纏ったゴーレム。
メタリカの力、存分に振るわせて貰いましょう。
「《重音》で攻撃――するとき、キズナプラス発動です」
「キズナプラス……!?」
「このクリーチャーが攻撃するとき、進化元を墓地に置くことで発動する効果ですよ」
私は、《重音》の進化元の《アクロパッド》を墓地に置きます。
そして、その効果で手札からコスト5以下の呪文を唱えることが出来ます。
「呪文、《超次元 シャイニー・ホール》。効果で、超次元ゾーンより《激天下!シャチホコ・カイザー》をバトルゾーンへ出します。そして――みづ姉、どうか許してください。シールドをブレイク」
巨大なゴーレムがシールドを砕きました。
その破片がみづ姉に降りかかりますが――光になって収束しました。
「っ……S・トリガー、《フェアリー・トラップ》。効果で、山札を捲って、ソのコスト以下のクリーチャーをマナに置くか、捲ったカードをマナに置くカ選べるわ! もっとモ捲れたノは《トレジャー・マップ》だから、マナに置くけど」
これでみづ姉のマナは次のターンで4枚。
5コスト帯のクリーチャーを呼ばれるのは厄介ですが……。
「じゃあいくわよ? 《トップラサス》軽減、1マナで《ステップル》召喚。効果でマナブースト。さらニ、4コストで《ステップル》NEO進化――《ゴアジゴディ》!」
次の瞬間、大地が隆起し、《ステップル》を抱擁しました。
そして、地中から現れたのは、クワガタ――いえ、あれはアリジゴク、と言うべきでしょうか。
更に、あのクリーチャー、確か……。
「みづ姉も……キズナプラスを」
「さっキは驚いタわ。しヅも、キズナプラスを使うンだモノ。でも、このターンは攻撃しないワ。ターンエンド」
殴ってこなかった……? 相手にも考えがあるようですが、このデッキにはそれを止める術は今はありません。
《鬼面城》によるドローを済ませた私は、《シャチホコ》の効果を発動させることにしました。
「《シャチホコ・カイザー》の効果発動。ターン開始時に墓地からコスト3以下のクリーチャー、《アクロパッド》をバトルゾーンに出します」
キズナプラスで墓地に置いたクリーチャーをこうして復活させることができるのは大きいです。
さらに、これだけでは終わりません。
「まず、コストを軽減して2マナで《黙示護聖 ファル・ピエロ》を召喚します。効果で自身を自爆させ、墓地から《シャイニー・ホール》を回収。ターンエンドです」
これで、仮に次のターンに《シャチホコ》が倒されても問題はありません。
また、出せば良いのですから。
「うふフ。しヅ……私の可愛い、シづ」
「……そうやって、私の動揺を促そうというわけですか。みづ姉に取り付く悪魔め」
「……フフフ」
不敵な笑みを浮かべたみづ姉。
少なからず、私は苛立ちを憶えました。あの奥にある悪意の存在に。
そして、盤面だけ見ればこちらが有利です。最も、《鬼面城》で相手にも手札を供給してしまっているのが少々痛いですが……。
「私のターン。1コスト軽減、1マナで《一番隊 ルグンドド》召喚」
「《ルグンドド》……!」
「そしテ、1コスト軽減、5マナをタップ!」
「!」
出てくるのはグランセクトのクリーチャー。しかも6マナ帯ですか。
「それは戯曲の如く。1度嵌れば抜け出せない、芸術と奈落の落とし穴――《ルグンドド》、NEO進化!」
このデッキで、6コストのNEOクリーチャー。
キズナプラス、グランセクト。導き出されるのは――”あのクリーチャー”ですか。
「アハハハハハハ!! [[rb:物語りなさい >ナラティブ]]、《マイト・アンティリティ》!!」
空から滑空して飛び降りたのは、蜻蛉のようなクリーチャー。
これはまずいことになりました。あのクリーチャーも、キズナプラスを持っているのですから。
「《マイト・アンティリティ》の効果発動! 墓地かラ、カードを2枚までマナに置くワ! ソシテ、《アンティリティ》で攻撃――するとき、キズナプラス発動!」
来ましたか。これが、キズナプラスの本領発揮。
キズナプラスを持つクリーチャーが進化元を墓地に置いて攻撃したとき、自分のキズナプラス効果、そして”味方1体のキズナプラス効果”も使うことができるのです。
いわば、サバイバー等に見られる効果の共有に似たものでしょう。
『やっべーぞ、マスター……!!』
「はい。あのクリーチャーの効果は確か……!」
「まずは《アンティリティ》のキズナプラス効果で、マナゾーンからコスト4以下のクリーチャー、《[[rb:単騎連射 >ショートショット]] マグナム》を出スわ!」
「単騎マグナム……!」
「サらに! 《ゴアジゴディ》ノキズナプラス効果デ、自分のクリーチャー1体、ここは《アンティリティ》のパワーを+4000し、ブレイク数を1枚追加! T・ブレイク!」
一気に割られる3枚のシールド。
おまけに、《単騎》の効果で手札に来た《カーネル》が使えない。まずいです。
あのカードが来なければ、確実に私は敗けるでしょう。
「コレで終わり! 《ゴアジゴディ》で攻撃すル時、進化元を墓地に置いてキズナプラス発動! 《ゴアジゴディ》のパワーを+4000し、ブレイク数を1枚追加!」
みづ姉が高笑いするのが聞こえました。
もう1つのキズナプラスが発動します。
「しヅ? シづの一人ぼっちのキズナプラスとは、訳が違うのよ! マナから《ドープ”
「……あれはスピードアタッカーの……!」
「これで終わりよ!」
……さて、今度こそ防御用トリガーが無ければ詰みですが……。
此処で私が負けることは、みづ姉を助けることが出来ないという事。
終わり? そんな結果、私が受容するとでも。
「――S・トリガー、《攻守の天秤》。効果で《トップラサス》と《ボーダー》をタップ」
「……ターンエンドよ」
さあ、此処からが踏ん張りどころです。
シールドは0。対して、みづ姉は4枚。厳しいですが……確実に勝てる立ち回りをしていきたいですが、最後の1枚が引けません。
「……やっぱり、私は、1人だけじゃ戦えませんね、シャークウガ」
『……そうだな。だが、1人じゃねえってのは、心強いだろ』
「はい。これは、私の戦いであり、私だけの戦いではないのですから。私は1人じゃない。それを、みづ姉に潜むあの忌まわしき魔物に思い知らせます」
……どうか。私に、力を貸してください。
「――ドロー」
よし。
引けました。後は、全て上手くいくことを祈りましょう。
「まず、《シャチホコ》の効果で《ファル・ピエロ》を出します。自爆して、手札に《シャイニー・ホール》を加えます。そして、《アクロパッド》の効果でコストを1軽減します」
……白銀先輩のおかげで何とか完成したこのデッキ。
守られるだけじゃない。私だって、守ってみせる。この切札で。
「5マナで、《アクロパッド》よりNEO進化」
《アクロパッド》の上に重ねた切札。それは――
「咆哮は魔砲の雨となり、荒波をも砕く嘆きの要塞――出撃、《魔法特区 クジルマギカ》」
深海の海溝より浮上したのは、巨大な鯨の要塞。
嵐のような咆哮が場を震わせました。
これが私の、新たなる切札です。
『ヒャッハー!! これがムートピアの戦艦都市! さあ、マスター! あんたならこれを使いこなせるはずだ!』
「無論です。《クジルマギカ》は、自分のNEOクリーチャーが攻撃するとき、墓地、および手札からコスト5以下の呪文を唱えることができます」
では、まずは第一タスクです。
このまま、確実に勝てる流れを作ります。
「私は1人ではないですよ、みづ姉。もう、1人じゃない。キズナプラスだけが、NEOの絆の力じゃないのですから。《重音》でシールドに攻撃――するとき、《クジルマギカ》の効果で《ファイナル・ストップ》を手札から唱えます。効果で、相手は次の相手のターンの終わりまで呪文を唱えることができず、私は1枚ドロー」
「なっ……!?」
「シールドをブレイク」
残りシールド、3枚。
破片が飛び散り、みづ姉に降りかかりました。
「し、しヅ、痛い……やめテ……!」
「っ……!!」
拳を握りしめます。
ああ、私は、私は最低の妹だ。
こうして目の前で姉が傷ついているというのに、その痛みを癒すことができない。
それどころか、こうして傷つけることでしか姉を救うことは出来ないなんて。
「でも」
唇を噛み締めました。
血の味がしました。
「でも、私は折れない……! ここで、ここで引き下がることは、みづ姉を助けることから遠ざかってしまう……!
《シャチホコ》で攻撃。シールドをブレイクです!」
これで、みづ姉のシールドは2枚。
私の場には《クジルマギカ》のみ。ですが――
「《クジルマギカ》で攻撃――するとき、墓地から呪文を唱えます。呪文、《攻守の天秤》! 効果で場のクリーチャー2体をアンタップ。 起き上がりなさい《クジルマギカ》、《重音》!」
これで、打点は足りました。
さらに、呪文も使えません。
一気に叩き込み、みづ姉を助け出します。
「シールドをW・ブレイク」
「S・トリガー! 《夢うつつラッコルさん》で《重音》ノパワーを+4000して相手プレイヤーを攻撃不能にすル……!」
それだけではもう、止めることは出来ません。
これで終わりです。
みづ姉。もう少しだけ、我慢してください。
悪夢は、もう醒めますから。
『叩き込め、マスター!!』
「――《クジルマギカ》。ダイレクトアタックです」
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「折れないな。暗野紫月。トリスに付け込まれたから、もっと脆いのかと思っていたが」
バチン、と何かが焼き切れる音が頭の中でした。
接続が途切れた、と表現するのが適切だろう。
「奴等、思った以上に精神面も肉体面も頑強というわけだな。まあ良い。悲劇は何度でも起こるさ」
彼女は振り返った。
そこに聳え立つ自らの切札を。
そして思い返した。自らの過去を。
「――例え、何度焼かれようと……お前の力で、何回でも複製する。それだけの話だ」